カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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強い降水域は低気圧や前線ばかりでなく 下層暖湿流収束箇所にも発生するもの

2010-09-28 09:58:04 | インポート

①9月28日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月28日6時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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③9月28日6時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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昨日より、低気圧や前線を含む気圧の谷が本州上を通過中です。日本列島の所処で強い雨が降り、24時間雨量で150㎜以上を観測した箇所も散見しています。

今回は、強い降水域はどういう箇所に発生するのか?と言うことですが、これは、単に、低気圧や前線近隣ばかりでないことを説明しましょう。

引用図①②をまず比較してみましょう。

28日6時現在、関東南岸から九州の南海上にかけて前線が延びて、前線上の東海道沖に低気圧が見られます。発達した降水域は、東海道沖の低気圧周辺に分布していますが、もうひとつ、東北南部から関東地方の東岸にかけて見られますね。

この、東北南部から関東地方の東岸のかけて発達した降水域の区域では、引用図③より、上空1000m~2000m付近にかけて、南東風と南西風とがぶつかり合っている様子が解りますね。つまり、下層で暖湿流が収束している様子を示すものです。これに、内陸部の相対的に気温の低い気流とが局地的に上昇気流をさらに加速させて、強い降水域を形成したものと思われます。

当該、東北南部から関東地方の東岸のかけての発達した降水域の影響で、千葉県内ではJR各線では、一部区間で運休やダイヤの乱れ等発生しました。

前記した、下層で暖湿流が収束している箇所は、新たに低気圧が発生することも多く、当該箇所ので、局地的に相当多量な降水をもたらし、災害に繫がる場合も少なくなりません。

当該、下層で暖湿流が収束している箇所に前線が掛かる場合、前線が北に盛り上がるようになりますね。引用図①③参照)

このように、下層で暖湿流が収束している箇所は油断大敵!!低気圧や前線の位置ばかりにとらわれすぎで見逃さないように!!


本当に変りやすい秋の空 関東では午後から天気急変 夜には雨

2010-09-26 23:47:06 | インポート

①9月26日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月26日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③9月26日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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④9月26日15時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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⑤9月26日9時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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⑥9月26日15時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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9月26日は、台風12号は千島近海で温帯低気圧にかわり、東北地方から九州地方まで、日本海に中心がある大きな移動性高気圧に覆われました。

このため、関東地方では、午前中はすがすがしい秋の青空が広がり、絶好の行楽や運動会日和となりました と言いたかったのですが、午後から関東地方南部よりみるみるうちに雲に覆われて、夜になると各地で雨が降り出してしまいました。

本当に変りやすい秋の空 ですが、天気図上は、この、関東地方で天気が急変する兆しが現れているのです。

引用図①より、26日9時現在、日本海に大きな移動性高気圧がありますが、この移動性高気圧、その外縁が南東方向へと広がっており、関東平野南東沖まで張り出しています。この様子が、引用図②の下側図より、26日9時現在、上空1500m付近で、関東平野周辺では、弱い北より風で寒気移流となっていますが、関東平野南東沖では東風~南東風 東海道沖では南~南西風となって、暖気移流に替わっています。引用図③④より、26日9時、15時とも、上空1000m付近で、関東平野の各地では、おおむね北東~北より風で風速は弱めですが、伊豆諸島八丈島のみ、9時と15時は南南東風 で15時には、風速が10m以上と強まっています。

これらのことより、26日9時には、下層でが、関東平野の各地は寒気移流に対して、伊豆諸島南部から東海道沖辺りは暖気移流となっていることが推定されます。

さらに、引用図②上側図より、26日9時には、山陰地方に500hpaの気圧の谷があり、関東地方から東海地方では、500hpaの気圧の谷の前面に入り、上空3000m付近で上昇流が卓越してきています。特に上空1500m付近で、南より風と南西風とが衝突し、暖気移流が特に顕著になっているのが推測される東海道沖では、とりわけ上昇流が顕著となっていますね。

引用図⑤⑥より、前記した上空3000m付近の上昇流卓越地域の東海道沖で、26日9時には降水域がまとまりはじめ、26日15時には、降水域はさらに北方向へ広がり、一部、発達した降水となっています。降水域がこのように、時間が経過するに従い広がり発達してきたのは、引用図②上側図での、500hpaの気圧の谷が東進して、東海道沖から関東平野上空3000m付近の上昇流が一層顕著になったためですね。

今回のように、本州付近が大きな移動性高気圧に覆われる場合で、当該高気圧の外縁に入る場合、下層の寒気移流と暖気移流の分布具合に注意!特に、寒気移流と暖気移流とが衝突している箇所は、思いのほか悪天となってしまいます。さらに、当該、寒気移流と暖気移流とが衝突している箇所に、500hpaの気圧に谷が進んでくるパターンになると、当該、寒気移流と暖気移流との衝突箇所で局地的に降水域がみるみるうちに発達し、強い降水をもたらすようになりますから、何卒ご用心ください!


台風12号 本州の東海上を北上 銚子で最大瞬間風速37・4m

2010-09-25 23:45:46 | インポート

①9月25日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月25日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 日本気象予報士会HPより引用

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③9月25日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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台風12号は、9月24日夕方、小笠原諸島に再接近した後、9月25日は伊豆諸島の東海上~本本州の東海上を勢力を強めながら速度を上げつつ、北北東へ進んでいます。

引用図②より、台風を取り巻く雲の集団の形は、円形から次第に勾玉形に変化しつつあり、台風が次第に温帯化しつつあることを示しています。また、引用図②③より、上空500hpaの気圧の谷と台風自体がドッキングしていますね。当該気圧の谷のすぐ後面から、水蒸気画像上の顕著な暗域が流れ込んできています。これは、昨日の本ブログ記事でも紹介しましたように、台風の進行方向には、相当温位の相対的に低い気流がどっと流れ込んでいる(寒気移流)証拠ですね。

これらのことより

Ⅰ:台風の中心から離れた地域(進行方向左側でも)でも強風が吹く

Ⅱ:台風自体、勢力は弱めることなく、その移動速度がしだいに早くなる。

という、定石通り、東北地方太平洋側から関東地方沿岸部、伊豆諸島にかけてを中心として、本州の広範囲で大変強い風が吹きまくりました。

最大瞬間風速は、千葉県の銚子で37・4m 八丈島で34・3m 八丈島空港で33・4mを観測したほか、10分間の平均の最大でも、銚子や八丈島、三宅島で20mを超えたほか、東北地方から山陰地方の所処で、15mを超えました。

このため、JRでは、千葉県内や茨城県内の各線で、運転中止や運行ダイヤの乱れが発生したほか、東京湾アクアラインでも一時通行止めとなり、最大瞬間風速24・2mを観測した成田空港でも、一時航空機の離着陸が見合わせると言う影響も発生しました。

以前、本ブログで、台風が接近・通過時は、台風の暴風域や強風域の位置に固執しないこと と述べました。今回の台風12号の事例もまさにその通り。台風が実際に接近・通過時に吹く強風と言うものは、a :台風を取り巻く地域の気圧経度 と b:地形的要因 によって左右されると言うことが如実に物語っていますよね。


台風12号 発達しながら小笠原諸島近海へ

2010-09-24 10:17:22 | インポート

①9月24日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月24日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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日本列島各地に、一気に秋の空気が流れ込み、各地で気温が低下しましたが、本州の南海上には台風12号があり、小笠原諸島目がけて北上中です。

伊豆諸島近海から小笠原諸島近海にかけては、引用図にはありませんが、海水温が28℃~30℃程度と、この時期にしては高く、台風は、この高い海水温上を北上しますから、次第に、勢力を強めてきそうですね。

さらに、引用図②より、台風の進行方向北西側の日本海西部から対馬海上方面には、中層以下で水蒸気が少ない部分(画像上はくっきりとした暗域となっています。)が∪字型にわたって広範囲に見られます。引用図②と昨日の本ブログの記事内の引用図②とを比較すると、当該、広範囲にわたる水中層以下の水蒸気が少ない部分は、南東方向(台風の位置する方向)へ移動している様子が解ります。この中層以下で水蒸気が少ない部分が∪字型に分布しているのは、上空500hpaでの気圧の谷がすぐ前面示すものです。

つまり、この台風12号の進行方向北西側には、相当温位の低い気流がどっと流れ込んできている証拠で、こういう状態ですと、

Ⅰ:台風の進行方向北西側から西側にかけても広範囲で強風が吹きやすい

Ⅱ:台風の北西側に、上空500hpaの気圧の谷があり、当該気圧の谷が台風の進んでいる方向へ移動していることより、いずれ当該500hpaの気圧の谷は、台風13号とドッキングすると見られ、500hpaの気圧の谷と台風がドッキングすると、当該台風はなかなか衰えにくく、かつ、台風の移動速度は次第に速くなる。

以上の特性があります。

台風12号は、小笠原諸島近海を北上して、伊豆諸島の東から関東南東沖を北東へと進む予想ですが、勢力をほぼ維持して移動しそうですね。

これかた、小笠原諸島のみならず、伊豆諸島や、関東沿岸部などでは、次第に風(北東~北より風)が強まってきますから、どうかご用心ください!!


各地に どっと秋の気団が ただ、日本列島付近で夏の気団VS秋の気団 激しい戦い!!

2010-09-23 23:43:11 | インポート

①9月23日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月23日15時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③9月23日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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昨日まで、関東以西の各地では、季節はずれの猛暑に見舞われていましたが、昨日から、日本海から本州上を前線が南下、この前線が南下した地域には、優勢な涼しい秋の気団が流れ込んで、気温がぐっと下がりました。

特に関東地方では、北関東の地域から順に 当該秋の気団が流れ込み、日中の気温が昨日22日と比較すると、10℃~15℃も低くなりました。

ただ、このように、互いに優勢な、秋の気団と夏の気団が衝突する場合、双方の気団の境目にあたる地域では、暖湿流が大量に流れ込んで、大気が不安定となり、強い雨や雷、突風といった激しい気象現象を伴うものです。

事実、23日も、双方の気団が衝突する、関東以西の南岸沿いの地域には、前線が停滞して、この前線に向かって、南から暖湿流が大量に流れ込んで(引用図①②)、引用図③の上側図より、23日9時現在、近畿地方から四国地方にある正渦が東進したため、当該正渦の通過直前に差し掛かるタイミングで、東北南部以南の地域では、雨雲が非常に発達して、所処で雷をともなった非常に激しい雨が降り、千葉県内では、落雷による人的被害が発生しましたし、香川県内では、激しい突風が吹き、建造物等に被害が生じたりしました。

神奈川県の丹沢湖では、174㎜、静岡県の御殿場では139.5mmの24時間降水量を観測しています。

さらに、夏の気団を本州付近へ持ち込むもうひとつの顔である台風12号が、本州目がけて北上中です。本州付近で、互いに優勢な、秋の気団と夏の気団が衝突している所へ、台風が北上してくると、双方の気団の境目にあたる地域では、より一層暖湿流が大量に流れ込んで、大雨災害を発生させやすくなるばかりでなく、広範囲で等圧線を狭める作用をして、強風をもたらしたりもするのです。

今後の台風12号の進路には目が離せませんね。