カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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冬型気圧配置時 関東では以外に天気が複雑です!

2010-01-29 22:58:47 | インポート

①1月29日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月29日9時の日本付近雲画像図(可視画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③1月29日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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1月29日は、前日、本州各地に雨や雪を降らせた低気圧が東海上へ去って、本州付近では、弱いながら冬型気圧配置となりました。

冬型気圧配置というと、一般的に、日本海側で天気が愚図つき、太平洋側では乾いた晴天となるのが通常です。太平洋側の関東平野では、乾いた晴天となるはずですが・・・・

しかし、29日は、午前中、関東平野の各地では予想に反して曇天。茨城県や千葉県の一部では所々雨も降り、なんと、雷まで鳴った箇所もある始末でした。

これは、以前、本ブログで、冬型季節風時には関東平野の季節風の吹き方は複雑です。と書きましたが、原因の一つに、この、関東平野での冬型季節風の吹き方の特性が一役買っているわけです。

今回、関東平野で曇天(一部で雨や雷)になった原因

Ⅰ:関東平野の冬型季節風の吹き方の特性。関東南部沿岸では、西~南西風であったが、関東北部や内陸部では弱い北より風か北東風であったこと。で双方の気流が関東平野でぶつかって収束したこと。

Ⅱ:500hpa(上空5500m付近)の正渦が通過したこと。

以上2点が挙げられますね。

前記Ⅰのため、下層で気流の収束があるところへ、前記Ⅱのため、上空3000m付近で上昇流が顕著となることで、関東平野周辺で局地的に、雲が発生・発達し易くなったためです。

特に、海上から湿った気流が入りやすい、千葉県や茨城県周辺で雲の活動がより活発となりやすく、29日も、この地域では、雷もなったりしました。

そして、前記ⅠとⅡの組み合わせ如何で、雲の形(降水域)は<1>北東~南西方向に帯状になったり、<2>関東南東沖から天狗の鼻の形の様になったりします。

前記<1>になる場合は、

・・・・低気圧が北日本周辺で発達し、関東平野沿岸部に南西~南より風が入り込んでいる。500hpaの正渦の形が北東~南西方向や、ほぼ南北になっている場合。

前記<2>となる場合

・・・・前線が本州の東海上~南海上に停滞して、関東平野内陸部ではおおむね北より風(一部で北東風)となる。500hpaの正渦の形が北東~南西方向や、ほぼ東西になっている場合。

また、<1><2>共に、上空1500m付近の風向風速のコントラストが強い部分で雲の活動が活発となり、帯状に降水域が発生し、下層と上空5500m付近との相当温位に差があり、大気が不安定な場合は、当該雲の形は渦巻状やコンマ状となり、局地的に雷が発生したり、強い降水(雨や雪)を伴うようになります。

さらに、当該帯状の降水域周辺の空域では、乱気流を伴いますから注意が必要ですね。

上空500hpaの正渦が通過し直後から、寒気の吹き出しが強まるものです。


再び寒気が本州付近へ 関東では日中まだ春の陽気 関東は冬型寒気が一番遅くやってくる。

2010-01-21 23:52:46 | インポート

①1月21日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月21日9時気象庁発表のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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昨日1月20日は、日本海を寒冷前線が南下して、引用図①より、本日1月21日9時には、本州南岸沿いに達しました。

この前線に向かって南から暖気が流れ込んだため、先日はほぼ全国的で春のような陽気となりました。本日1月21日は、再び強い寒気が本州付近上空へ北から流れ込んできましたが、関東や静岡市周辺だけは、日中、寒気の影響はなく、各地で4月上旬~中旬の暖かさとなりました。

東地方の主要都市の最高気温は

東京 18℃ 

横浜 19・1℃

千葉 18℃

熊谷 19・2℃

水戸 16・9℃

宇都宮 17・2℃

前橋 15・7℃

でした。

引用図①より、21日9時には、関東地方は寒冷前線の北側に入り、教科書通りにいけば、寒気が流れ込んで気温が低下する訳ですが、実際の実況では、教科書通りには行かないもの。まして、関東平野は北側~西側の山地の影響で、冬型季節風に伴う寒気が、本州では一番遅く到達するようになります。

さらに、引用図①と引用図②の下側図より、上空1500m付近の風向が、寒冷前線の南側では南西風ですが、寒冷前線北側の関東地方から東海地方付近では西より風と、風向のコントラストはさほどではなく、寒気移流も顕著ではありません。

実は、寒冷前線が通過後、関東地方から東海地方上空1500m付近で、西より風となり、寒気移流が顕著ではない場合、関東平野各地や甲府盆地、静岡市周辺(特に静岡市周辺が顕著です)では、日中、決まって高温となるのが定石です。これは、西より風が中部山岳の外縁をぶつかることで、当該中部山岳を越える気流を発生させて、当該気流がフェーン現象を発生させるためですね。

このため、静岡市周辺でも21日日中気温が上昇し、最高気温は20℃を超えました。

前記したように、寒冷前線の後面に入り、上空1500m付近の風向が、風向のコントラストはさほどではなく、寒気移流も顕著でない状態であっても、更に寒気側の風向や寒気移流の程度には注意しましょう!

以前、本ブログで、寒気は段階的に流れ込んでくると言いました。寒冷前線の寒気側では、上空1500m付近での寒気移流の顕著でない箇所と顕著である箇所があるのも事実です。当該上空1500m付近の寒気移流のコントラストの強い箇所では、上空5500m付近の正渦度のすぐ前面(上空3000m付近の上昇流域)にあたることが多く、気流が乱れやすく、また、局地的に雲が発生・発達しやすい場でもあり、不意を付く降水や雷などの激しい現象を引き起こすものです。

当該、当該上空1500m付近の寒気移流のコントラストの強い箇所が通過直後、寒気の吹き出しが強まって、関東平野の各地でも気温が低下するようになります。


兵庫県南部地震より15年 未曾有の大被害は地震の揺れ方が一要因

2010-01-17 13:45:11 | インポート

本日から15年前の平成7年1月17日午前5時46分、兵庫県淡路島付近の深さ16km付近を震源として、地震の規模マグニチュード7・3の地震が発生しました。

この地震こそ、兵庫県南部地震(気象庁命名の名称です。消防庁等官公庁の被害報告上の名称は 阪神淡路大震災と、他、一般的には、阪神大震災などとも呼ばれています。)ですね。

兵庫県南部地震の発生で、気象庁の観測(当時の震度階級ですが)、神戸で震度6、京都 彦根 豊岡で震度5を観測し、後に、淡路島の一部から神戸市内、芦屋市、西宮市、宝塚市の一部では、家屋の倒壊が30%以上となる震度7(当時の震度階級)の地域は帯状に分布していたことが判明しています。この帯状に分布する震度7の地域こそ、震災の帯と呼ばれていますよね。

この地震の影響で、死者行方不明者6437名 建造物の全壊が10万棟以上と、未曾有の大災害となってしまいました。

この地震では、当時大阪では、公式発表の震度は4(大阪管区気象台)と発表されたものの、当該、大阪管区気象台が地形的に 上町台地(礫層で堅固な地盤です)にあるため、地震の揺れ方が軽かったのですが、大阪市内の大半の地域が、軟弱な地盤であったこと、それに、地震の震源から大阪府北部地域にもエネルギが発散されたため、大阪府北部や大阪市内では、一部で、現行震度で震度5強から震度6弱程度まで達する強い揺れに見舞われ、建造物全壊1000棟弱 死者20名の大被害となりました。

大阪府内では、公式発表震度が4とのことで、地震時の初動対策が遅れて、実際に救援物資が被害地域に到着したのが翌日になってから と言う地域もあったとのことです。

この兵庫県南部地震が契機となりまして、その後、気象庁発表の震度階級の見直しや、震度計測地点の増大が行われたりしたわけです。

さて、この兵庫県南部地震ですが、未曾有の大災害を引き起こした原因は、神戸市 という大都市の直下で発生した大地震と言うこともさることながら、地震の揺れ方にも大きな要因があったと私は考えています。

兵庫県南部地震では、比較的周期の長い地震波が卓越したことが、建造物に大きなダメージを及ぼしたと言うことですね。

まず、引用図①地震の波形のモデル(一般的なもの)をご覧ください。国土交通省 国土技術政策総合研究所HPより引用。

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地震が起きると、上図に示すような加速度の波形が観測されます。最大加速度は、図中に示すように、加速度の最大値のことをいいます。

ところが、兵庫県南部地震の震源地近くの神戸(当時の神戸市中区山手の神戸海洋気象台)の波形を見ますと(引用図② 気象庁HPより引用・加工※SNは南北方向 EWは東西方向 UDは上下方向の波の成分を表現します。図内横線マス目は10秒毎となります。)

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引用図からは、ちょっと見ずらくて済みませんが、神戸では、およそ0・7秒から1秒程度の周期の波が卓越しており(ちなみに最大加速度は818ガルその時の波の周期は0・7秒でした。)、特に、最大加速度発発生後に、前記した、およそ0・7秒から1秒程度の周期の波で強く揺れている部分があることが判ります。

私たちの住む、地球上に位置する建造物や地形は、その形状や硬軟によって、地震波などの外力を受けて揺れやすい周期を保持しています。この周期を固有周期と呼んでします。

仮に、建造物や地形などが持つ固有周期と、地震波の揺れの周期とが合致するようになると、当該建造物や地形は特に揺れが激しくなります(これを共振と呼んでいます。)が、一般的に我住居など、我々が日々の生活の拠点としている建造物の固有周期は、おおむね0・5秒~1秒程度。当該建造物の高さが増すほど、固有周期は大きくなります。

地盤でも、地盤が軟らかいほど固有周期は大きくなります。

一方、地震波自体の特性ですが、地震発生させる地殻の破壊が複数個所(この数が増えれば尚更の事)でドミノ崩して気になったり(兵庫県南部地震発生時も同様ですが)、当該破壊が比較的ゆっくりと進行するほど、より周期の長い地震波を卓越させるようになりますすし、地形的に地震波が屈折などして、地震は波同士が合流する場合など、地震波自体、より周期の長い波が多くなってしまいますし、地震波の周期が長くなすほど、地震波としてのエネルギーが大きくなりますので、当該地震波の継続時間はより長くなるますし、減衰しにくく、より遠方まで伝播という性質がありますね。

前記した、神戸(神戸海洋気象台)の卓越している地震波の周期と建造物の周期とが合致していますよね。さらに、件の 震災の帯 と呼ばれる地域では、地形的に地震波が屈折して地震波同士合流していたと言うことですから、一層、周期の長い地震波が建造物を共振させて、建造物に甚大なダメージを引き起こした と言うことです。

地震波の中で、建造物を共振させやすい、周期1秒前後の周期の部分を、キラーパルス とも呼ばれています。

近い将来来るべき、東海地震や南海地震、それに宮城県沖地震などのプレート間巨大地震も、当該地震を発生させるメカニズム(アスベリテイーと呼ばれるプレート間の固着域が複数あり、このアスベリテイーがドミノ崩し的に破壊されて地震波を形成させるもの)より、比較的周期の長い地震波は広範囲に発生させるため、前記 キラーパルス による被害も甚大なもののなると懸念されます。


東京で2年ぶり冬日 -0・3℃

2010-01-15 23:52:44 | インポート

①1月15日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月15日6時の関東周辺アメダス気温分布図 気象庁HPより引用

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本州付近には、強い寒気が居座っており、日本海側の所々で、依然として大雪が降り続いており、全国的に気温が低い状態が続いています。

③気象庁(東京大手町)の露場の全景 筆者撮影

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東京(気象庁のある東京都千代田区大手町)でも、最低気温が-0・3℃を観測し、平成20年2月4日以来およそ2年ぶりの冬日を観測しました。

ちなみに、東京都内でも郊外にある練馬では-1・9℃ 八王子では-5・3℃の最低気温でした。

東京都内以外では、

横浜 と 千葉で 0・0℃

成田(成田国際空港敷地内)で -6・9℃

熊谷で -3・9℃

水戸で -6・2℃

宇都宮で -5・3℃

前橋で -3・2℃

甲府で -6・5℃

の最低気温を観測しました。本当に寒い朝でしたね。


冬将軍今日も猛威振るう 新潟県内では24時間で1m近くの降雪も

2010-01-14 23:53:24 | インポート

①1月14日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月14日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③1月14日9時気象庁発表AUPQ35図 日本気象予報士会HPより引用

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④1月14日22時現在 24時間降雪量分布図 気象庁HPより引用

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本日1月14日も、本州付近では 冬将軍 が大暴れ。特に新潟県周辺で豪雪となりました。

14日22時までの24時間に、新潟県津南町で97cm 同じく新潟県湯沢町では77㎝を観測し、他、山形県から長野県北部、富山県の一部では、あちこちで24時間降雪量が50cmを超えました。

冬型気圧配置時に、日本列島の何処で降雪が集中するか?と言う目安ですが、私自身は

Ⅰ:上空5500m付近の気温(-32℃以下では大雪に注意 -35℃以上では大雪に警戒)

のみならず、

Ⅱ:上空1500m付近の気温と上空5500m付近の気温との気温差

Ⅲ:上空1500m付近がどれだけ湿っているか?

と、そのほか

Ⅳ:上空5500m付近(500hpa)の正渦度移流流域が顕著な場所

Ⅴ:上空5500m付近(500hpa)の強風軸のすぐ北側

にも着目しています。

前記Ⅰが-35度以下、Ⅱの温度差が25℃以上あり、Ⅲは湿数3以下 かつ ⅣとⅤに該当する区域であれば、当該空気は、大雪警報クラス(おおむね24時間降雪量が平野で50㎝以上 山地で80㎝以上)の降雪になるものです。

このことを踏まえて、引用図②③④を充分に吟味しますと、大雪の中心は北陸地方周辺と言うことが判りますね。