カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
講演依頼等連絡先は、tenki@air.ocn.ne.jpへどうぞ

自然現象に国境はなし!青森県から宮城県の太平洋沿岸に大津波警報!

2010-02-28 10:52:32 | インポート

03_06_00_20100228093546

津波予報区名津波到達予想時刻予想される津波の高さ
青森県太平洋沿岸 28日13時30分     3m
岩手県 28日13時30分     3m
宮城県 28日13時30分     3m
北海道太平洋沿岸東部 28日13時00分     2m
北海道太平洋沿岸中部 28日13時30分     2m
北海道太平洋沿岸西部 28日14時00分     1m
青森県日本海沿岸 28日14時30分     1m
福島県 28日14時00分     2m
茨城県 28日13時30分     2m
千葉県九十九里・外房 28日13時30分     1m
千葉県内房 28日14時00分     2m
東京湾内湾 28日14時30分     1m
伊豆諸島 28日13時30分     2m
小笠原諸島 28日13時00分     2m
相模湾・三浦半島 28日14時00分     2m
静岡県 28日14時00分     2m
愛知県外海 28日14時30分     2m
伊勢・三河湾 28日15時00分     1m
三重県南部 28日14時30分     2m
淡路島南部 28日15時30分     1m
和歌山県 28日14時30分     1m
岡山県 28日18時00分     1m
徳島県 28日14時30分     1m
愛媛県宇和海沿岸 28日15時00分     1m
高知県 28日14時30分     2m
有明・八代海 28日17時00分     1m
大分県瀬戸内海沿岸 28日16時00分     1m
大分県豊後水道沿岸 28日15時00分     1m
宮崎県 28日15時00分     1m
鹿児島県東部 28日15時00分     1m
種子島・屋久島地方 28日14時30分     1m
奄美諸島・トカラ列島 28日14時30分     2m
鹿児島県西部 28日15時30分     1m
沖縄本島地方 28日15時00分     2m
大東島地方 28日14時30分     1m
宮古島・八重山地方 28日15時30分     1m
北海道日本海沿岸南部 28日17時00分   0.5m
オホーツク海沿岸 28日13時30分   0.5m
陸奥湾 28日15時30分   0.5m
大阪府 28日16時00分   0.5m
兵庫県瀬戸内海沿岸 28日16時00分   0.5m
広島県 28日17時30分   0.5m
香川県 28日17時00分   0.5m
愛媛県瀬戸内海沿岸 28日16時00分   0.5m
山口県瀬戸内海沿岸 28日16時30分   0.5m
福岡県瀬戸内海沿岸 28日20時00分   0.5m
福岡県日本海沿岸 28日21時30分   0.5m
長崎県西方 28日17時00分   0.5m
熊本県天草灘沿岸 28日17時00分   0.5m

※引用図はすべて気象庁HPより引用

昨日のチリ巨大地震では、大きな被害の状況が、時間が経つにつれて如実に現れつつあります。

懸念される津波ですが、28日早朝(日本時間)にハワイ諸島内でも2mの津波を観測したとか。これを受けて、気象庁から、28日9時34分、青森県から宮城県の太平洋側に大津波警報、他、北海道から沖縄の広範囲に、津波警報、津波注意報を発表しました。

大津波警報が発表されたのは、平成5年7月12日に発生した北海道南西沖地震以来、17年ぶりのことです。

予想される津波の到達時間、高さは波引用図の通りです。

注意点としては、津波は、うねりや風浪と比較すると、波自体の波長は極めて長く(波自体のエネルギーが極めて大きく)、長い距離伝播しても、早々に減衰しません。また、局地性が大変大きく、引用図の予想津波波高よりも、数倍高い波高の津波がやってくることが充分に考えられます。

津波自体、波長が長いゆえ、海岸に押し寄せる際には、繰り替えし、濁流気味になって押し寄せて、海岸から陸地に向かって、かなりの距離まで押し寄せます(津波の遡上と言います。)。

さらに、今回のような巨大地震となりますと、津波を発生させる地殻の変動が広範囲に及ぶため、津波が押し寄せている時間は長時間に及んでしまいますね。

津波の第1波より、第2波、第3波のほうが波高が高くなることは、申し上げている通りです。

日本への津波到達時刻は、早いところで午後1時過ぎの見込み。どうか、各方面とも厳重に警戒してください!!


地球は生きている! 今日は沖縄と南米で大きな地震

2010-02-27 20:23:39 | インポート

①2月27日5時31分発生の地震の震央と震度分布図(沖縄周辺) 気象庁HPより引用・加工

20100227053734491270531_2

2月27日05時31分頃、震源地は沖縄本島近海 ( 北緯26.3度、東経128.2度、那覇の東50km付近)で震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は6.9と推定される地震が発生。沖縄県糸満市では、震度5弱を観測したほか、沖縄本島の広範囲で震度4を観測しました。

この地震で、沖縄本島内では、石垣が崩れたりの被害が発生したほか、気象庁からは、一時、沖縄近海に津波警報が発表されましたが、大した津波は観測されなかったようです。

この地震は、震源の深さや位置から見て、沖縄本島が載っているユーラシアプレートの内部で発生した地震であると推定されます。また、震度の分布状況からみて、北東方向に地殻が破壊された、右ずれ横断層型の地震ではないでしょうか?右ずれ横断層型というと、あの、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)と同じですよね。

そして、27日は、この地震の余韻がさめやらぬ、日本時間で15時34分に、南米チリ中部沿岸で、マグニチュード8・6(気象庁算出)の巨大地震が発生しました。

気象庁が算出するマグニチュードは、地震波の実体波の振幅より算出する方式のため、マグニチュードで8・6程度が上限となってしまいます。このクラスの巨大地震のマグニチュード算出には、モーメントマグニチュード(地震発生させた地殻の破壊部分の面積から算出する方式)※地震のマグニチュードについては、本ブログの平成17年6月の記事を参照。の方が実体に即しています。

今回の地震の震源がやや深い箇所から発生し始めたようですが、このクラスの巨大地震ですと、例外なく、大きな津波を伴うもの。チリ市内では、甚大な被害が発生している様子ですし、津波も、チリ沿岸部で、1・3m程度の津波も観測されているとのことです。

以前、本ブログで、津波は波長が非常に長く(波のエネルギーが大きく)、遠距離へさほど減衰しないまま(1000km程度の距離であれば波高は変化しません)伝播するもの。また、津波は、第1波より、後続の第2波、第3波の方が波高が高くなります。

ことによると、前記した、1・3mよりも大きな津波が現地チリで発生している恐れは充分にあるのです。今後の津波の動向には要注意!!昭和35年のチリ地震では、大きな津波が1昼夜かけて、日本列島にも押し寄せて、各地で大きな被害を出しました。


朝方 関東で濃霧 交通機関混乱 羽田空港では一時離着陸不能に

2010-02-25 23:53:17 | インポート

①2月25日9時の天気図 気象庁HPより引用

10022509

②2月25日9時の茨城県館野のエマグラム図(700hpaより下側) オハイオ州立大学HPより引用

2010022500_47646_stuve700

③2月25日9時の関東地方周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

20100225090000

2月25日は、北海道の南東海上にある優勢な高気圧の縁を廻るように、南から暖湿流が入り込んだため、明け方から昼前まで、所々で霧が発生しました。

特に、夜間から朝方にかけて、内陸部の地表付近に冷気が滞留しやすい関東平野の各地では、各地で濃霧となり、東武鉄道など、徐行運転を余儀なくされて運行ダイヤが乱れ、羽田空港では、午前7時頃~11時頃にかけて、視界が100m未満となり、航空機の離着陸が不能となりました。このため、25日18時までに、国内線210便余に欠航や着陸地変更、出発空港に引き返しとなってしまいました。

よく、本州の東海上に優勢な高気圧があり、北海道から九州まで、南から暖湿流が入りやすい気圧配置で、地表付近がさほど風速が強まっていない場合、夜間から朝方、濃霧に見舞われやすいのが定石と言えるのですが、

このような気圧配置時にとりわけ濃霧にも舞われやすくなるのは

Ⅰ:地表付近が湿度が高い

こともさることながら

Ⅱ:地表と上空1000m付近より上側との風向が、明瞭なコントラストがある。(鉛直シアーが大きい)。上空700m~1000m付近に気温の逆転層があり、当該逆転層の下側で、気流が湿って(湿数3以下)いる。

特に、内陸部の地表に夜間から朝方、冷気が滞留しやすい関東平野などは、

Ⅲ:地表付近で、内陸部に滞留している気流と、海上から陸地へ吹き込む気流とが衝突している。

以上Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの条件を満たす場合ですね。

前記Ⅱとなることで、地表付近の気流が澱む一方、気流が上下方向に渦巻くようになり、逆転層の下側の気流が湿っていくようになるものです。

特に、前記Ⅲを満たす場合、特に、関東平野東部沿岸や東京湾岸地域では、日中、関東平野に南~南西風が吹き込む気圧配置時で、当該、南~南西風が入り込む3~4時間前に、局地的に北東風が海上から吹き込むようになります。こうなると、湿った地表の気流が、海上から吹き込む気流を受けて、より一層湿り、局地的に濃霧となるわけです。(引用図③を参照。羽田付近には、25日9時現在、東京湾からの東風が吹いています。)

事実、羽田空港では、25日6時30分頃までは、弱い北より風でしたが、6時50分頃から、東京湾からの北東~東風が入り込んで、次第に霧が濃くなり、当該、東京湾からの東風が入り込んでいる昼前まで、濃霧が続きました。


各地で気温上がる 5月上旬並みの陽気の所も 気温上昇はフェーンばかりではありません

2010-02-24 23:39:24 | インポート

①2月24日12時の天気図 気象庁HPより引用

10022412

②2月24日9時の気象庁AXFE578図 気象庁HPより引用

55

2月24日は、本州付近を大きな高気圧が覆い、本州各地で気温が上がりました。

特に、九州では、所によっては5月上旬頃の、汗ばむ陽気となりました。

長崎県長崎では22・6℃ 長崎県佐世保では22・4℃の最高気温を観測しています。冷たいビールやアイスクリームなどが欲しくなるような1日だったようですね。

気温が上がるか下がるかを見極めるのには、下層の気温の動向に注目するべきで、当該、下層の気温の動向を見る目安となるのが、上空1500m付近の気温に着目するべきですね。

また、高温になる条件として、

Ⅰ:暖気が、山を越える際に、フェーン現象を発生させること。

Ⅱ:上空1500m付近の気流の流れが、時計回りとなっている(高気圧性循環となっている)

以上ですが、特に、前記Ⅱに該当する場合、下層(特に高気圧性循環の後側)には広範囲に暖気が入り込んで、気温が序上昇する地域も、広範囲に及ぶものです。

以上のことを踏まえて、引用図②を見てみましょう。

引用図②の下側図より、上空1500m付近では、関東地方より西側の地域で、広範囲にわたり、気流の流れが時計周りになっており、高気圧性循環があるのがわかります。

引用図①では、高気圧の中心は北海道の南海上にありますが、本州中部から西日本には、別の高気圧が隠されていると考えて良さそうです。当該、高気圧性循環が発生している箇所では、広範囲に暖気が流れ込んでおり、特に、当該高気圧性循環の後面にあたる九州の西~中国大陸東岸の上空1500m付近では、気温が9℃以上と、5月~6月並の高温状態となっています。

今回の各地の高温は、上空1500m付近の高気圧性循環発生に伴うもの と言えそうです。


またまた関東で降雪 水戸で11cm 東京では今冬9回目 南海上の低気圧が発達していなくても関東地方で

2010-02-18 23:46:27 | インポート

①2月18日9時の天気図 気象庁HPより引用

10021809

②2月18日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

44

③2月18日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

20100218090000

④2月18日6時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象舎HPより引用。

02180600

④2月18日9時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象舎HPより引用。

02180900

2月18日は、午前中、関東の南海上を低気圧が北東に進み、関東地方上空には強い寒気も流れ込んできたため。関東地方では、伊豆諸島など沿岸地域の一部を除き、降雪となりました。

18日9時までの24時間に、茨城県の水戸では11cm 山梨県の河口湖では8cm 栃木県の宇都宮では8cmの積雪を観測し、東京や横浜、千葉でも、所々うっすらと白くなる程度の積雪でした。

引用図①より、関東の南海上の低気圧は、さほど発達していませんが、引用図②の上側図より、18日早朝から昼前にかけて、関東地方上空では、500hpaの正渦が通過して上空3000m付近では上昇流が卓越する場であったと推測されます。それに、引用図②下側図より、関東地方上空1500m付近の-3℃の等温線(関東平野で降雪となる目安)が関東地方南岸まで南下しており、関東地方では、広範囲に降雪となったわけです。

続いて、今回は、引用図③と④⑤を見比べれて見ましょう。

引用図③より、関東平野上空1500m付近は、18日朝方、水戸など沿岸部では北東風となって関東平野上空に吹き込んでおり(北東気流)、関東平野の地形的特性で、内陸部では気流が澱んでいることが推測されますね。

引用図④⑤より、関東地方沿岸部に、南西~北東方向に帯状に降水域(今回殆ど雪雲と言っていいでしょう。)がかかり、神奈川県や千葉県、茨城県の一部では、降水域自体、やや発達しています。

これは、上空1500m付近の北東の気流が、本州の東海上から関東平野上空へ吹き込みましたが、関東平野の地形的特性(北~西端がおおむね2000m以上の山脈が連なっていること)で、関東平野内陸部で澱んでしまい、当該澱んでしまった気流が、本州の東海上から吹き込む北東の気流との間で気流の不連続な部分を形成し、当該気流同士が収束したため発生したものです。

よって、今回の関東地方の降雪は、低気圧の影響もさることながら、本州の東海上からの北東気流が関東地方の地形的特性で気流の収束が発生させて、雪雲を形成させたものである。と言えそうです。