カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
講演依頼等連絡先は、tenki@air.ocn.ne.jpへどうぞ

日中は季節外れの汗ばむ陽気 一方、大陸から本州付近へ寒気がじわりじわり

2011-10-25 23:47:17 | インポート

①10月25日21時の天気図 気象庁HPより引用

11102521

②10月25日21時の日本付近雲画像図(赤外画像) 気象庁HPより引用・加工

20111025210000

③10月25日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像) 気象庁HPより引用

20111025210000_2

10月25日は、低気圧が北海道の北で発達し、当該低気圧から延びる寒冷前線が北日本や東日本を通過しました。

こういう気圧配置の場合、南から暖気が本州に入り込んできて、関東平野など、地形的特性も相俟って、日中の気温はうなぎ登りとなるのが通常ですが、今回も多聞に漏れず、関東地方の各地では、まるで季節が1ヶ月以上も戻ったような汗ばむ1日となりました。

東京都心(気象庁のある千代田区大手町)では、最高気温が26・9℃と9月中旬並みの陽気となり、Yシャツ1枚でも、じわっと汗ばむような感じでしたね。

ただ、引用図②より、日本海には冬場によくお目にかかるような筋状の雲(寒気移流に伴う雲)が見られます。本シーズンになって初めてでしょうか。大陸から本州付近にじわりじわりと寒気が流れ込んでいることを物語っているものです。

ちなみに、26日、東京都心の朝の最低気温予想は15℃、日中の最高気温予想は19℃と、25日と比較すると、最低気温、最高気温共に5℃以上も低下する予想です。どうか、体調管理にはくれぐれも留意されて、風邪など引かぬように、皆さん、お気をつけくださいませ!

最後に、蛇足ですが、引用図②③より、引用図①の寒冷前線の位置の暖気側のみならず寒気側にも、帯状に白くぼやけた画像(よく見ると幾重にも筋状に雲が連なっている様子が解ります。)が見られますね。

寒冷前線に伴う雲画像がこのような画像になる場合は、寒冷前線を挟んで、前面の暖気移流と後面の寒気移流とが強まっている状態であることを示すものです。当該、寒冷前線に伴う雲の画像部分の帯状に白くぼやけた区域内で、白輝域が顕著になるほど、当該、暖気移流、寒気移流がよりいっそう強まっている状態であると言えます

今回の場合、北日本や東日本ほど、寒冷前線後面の寒気移流が強まっていると言う事ですね。


地上天気図からはよくわからない! 降水域はこんな所で発達

2011-10-22 23:54:24 | インポート

①10月22日9時の天気図 気象庁HPより引用

11102209

②10月22日9時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

201110220900

③10月22日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

4141

④10月22日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

20111022090000

10月21日より西日本の太平洋側を中心に所処で激しい雨が降り続き、降り始めてからの総雨量が300㎜を越えた箇所も発生しました。

引用図②より、22日9時現在、東北地方太平洋沿岸から関東地方茨城県から千葉県太平洋沿岸部と東海地方に発達した降水域が見られます。

当該発達した降水域というものですが、

引用図③の上側図より、

Ⅰ:500hpa(上空およそ5500m付近)の谷の前側に分布し、

Ⅱ:当該箇所は引用図③下側図より、上空1500m付近では、本州の南海上から、南東~南西風となって本州付近へ吹き込み、気温が高くなっており(暖気移流で暖湿流が入り込んでいる状態です。引用図④の白輝域と対応しております。)、上空3000m付近の上昇流域となっています。これらの地域では、併せて、引用図④の白輝域と対応しております。

つまり、今回の大雨、500hpa(上空およそ5500m付近)の谷の前側の下層に流れ込んだ、南海上からの暖湿流と、上空3000m付近の上昇流域が根源と言えます。

当該、下層暖湿流に伴う大雨と言うもの、本州の地形的特性に敏感に感応して、非常に局地性の富んだ降水分布します。上空1000m~1500m付近の地形的鞍部や、斜面沿いにあたる地域、それに、関東平野や東海道沿岸など、内陸部に相対的に気温の低い気流が対流しやすい地域に暖湿流が衝突しやすい地域で降水量が多くなる特性があります。

今回の場合も、内陸部に相対的に気温の低い気流が対流しやすい地域に暖湿流が衝突した関東平野の茨城県~千葉県周辺では降水量がまとまり、24時間降水量が軒並み100㎜~150㎜もの大雨となりました。


関東周辺では1ヶ月以上前の陽気!大陸からは寒気がじわりと南下

2011-10-16 23:54:04 | インポート

①10月16日21時の天気図 気象庁HPより引用

11101621

②10月16日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

20111016210000

10月16日は、関東地方や甲信地方、それに東海地方などを中心に、まるで、夏のような陽気となりました。

これは、先週後半に、本州の各地に強い雨を降らせた暖気の一部が本州太平洋側に残っていたことと、地形的特性も少々影響したことと思われます。

日中の最高気温は、群馬県上里見と静岡県静岡市清水で30・2℃と、季節はずれの真夏日となったほか、東京都心(気象庁のある千代田区大手町)でも、29・7℃を観測しています。

引用図①②より、前線が本州東海上~南海上へとありますが、当該前線の寒気側ではA、B、Cと言った、水蒸気画像上で帯状に白くぼやけた画像が見られます。同様にして、当該前線の暖気側にも、前記のような、水蒸気画像上で帯状に白くぼやけた画像が見られますね。

水蒸気画像上で、地上天気図上の前線を挟んで、暖気側、寒気側の双方に、水蒸気画像上で帯状に白くぼやけた画像が幾重にも見られる場合は

Ⅰ:当該前線周辺の暖気と寒気の勢力は強いもので、互いに勢力が拮抗している状態。

Ⅱ:地上天気図上の前線は、暖気の勢力下の一番相当温位が混んでいる箇所に描かれるが、はっきりと解析するのが難しいものである。当該前線は、移動速度は遅く、前線を挟んでの気温差は比較的小さいのが通常である。

Ⅲ:前線を挟んで、寒気の流入は比較的遅く、引用図②のA、B、Cのように、水蒸気画像上の帯状にぼやけた画像域(500hpaの正渦度移流の前側に対応する、上空3000付近の上昇流域に対応するものです。)がまず通過後、じわりじわりと段階的に寒気が流れ込む。

Ⅳ:前記した水蒸気画像上の帯状にぼやけた画像域(500hpaの正渦度移流の前側に対応する、上空3000付近の上昇流域に対応するものです。)通過時に、地表付近の風向風速の明瞭な変化が見られ、一時的に曇ったり、上空3000付近の上昇流域が顕著な場合、時には、新たに低気圧が発生して、降水や雷など伴なうこともある。

以上の特性があります。

と言うわけで、16日暑かった関東地方や甲信地方、それに東海地方など、17日以降、気温の変化と念のため空模様には留意してください!


地上天気図だけでは一見解らない こんな所で大雨!!

2011-10-09 23:50:52 | インポート

①10月9日21時の天気図 気象庁HPより引用

11100921

②10月9日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

20111009210000k

③10月9日21時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

201110092100

④10月9日21時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

20111009210000

10月9日は、寒冷前線が接近している北海道地方や東北地方北部、それに、暖湿流の影響を受けた南西諸島をのぞき、日中は晴天が広がった箇所が多かったのですが、関東地方でも、暖湿流の影響を受けて、夜には神奈川県の一部を中心に強い雨が降り始め、小笠原諸島では、ほぼ1日中、強い雨雲が掛かり、母島では、9日23時までの24時間雨量が130㎜を超える大雨となり、小笠原諸島には、大雨警報も発表されました。

こういう、大雨の原動力ともなる暖湿流、引用図①のような地上天気図上では、判別がつきません。水蒸気雲画像図が判別に有効ですね。

引用図②より、9日21時現在、引用図①での、三陸はるか東沖の高気圧の外縁に対応して、小笠原諸島から関東には帯状に白くぼやけて、所処で白く輝く画像域が見られます。同様な特徴を示す帯状の画像は、本州はるか南海上から南西諸島にも掛かっていますね。

地上天気図には見られませんが、高気圧が三陸はるか東沖のみならず、四国沖あたりにも高気圧の中心があることが解ります。

さらに、引用図③④より、関東地方周辺に目を向けると、地表では、千葉県から伊豆諸島では東~南東風(海上から暖湿流が入っていることを示すものです。)となっているのに対し、関東地方内陸部では、風向は疎らで風速は弱目となっており、神奈川県沿岸部には、風向風速のコントが特に大きくなっており(シアーラインを形成しています。)、当該箇所で特に発達した降水域が見られます。

実は、関東地方では、今回のように、高気圧の外縁に入り、暖湿流が流れ込んでくる気圧配置の場合、当該暖湿流が関東地方内陸部に対流する気流とが収束して、思いのほか、強い降水に見舞われやすいものです。この点、防災上、看過できないことですね。