カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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あすは、関東以西で夏の陽気。

2006-04-30 20:26:55 | インポート

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引用図は、左側が30日15時の天気図と、右側が5月1日9時の天気図です。双方とも気象庁HPより引用。

30日は、高気圧が南海上から本州実南半分を覆い、昨日まで不安定だった関東以西の天気も安定してきて、各地とも晴天となりました。

ただ、関東など、朝方、濃い霧が発生して、交通機関に影響があった箇所もありました。

が、一昨日の記事をごらんいただければ、と思いますが、濃い霧が発生するということは、上空が暖まっている証拠であるともいえますね。

そして、5月1日は、本州付近の上空は更に暖まり(上空1500メートルの気温が本州南岸では、12℃以上まで上昇する予想)、関東以西では、日中の最高気温が軒並み25℃以上となる予想です。

引用図をご覧いただくと、30日15時に朝鮮半島の東にある低気圧から延びる寒冷前線の動向に注目してください。

すでに、この寒冷前線は東西方向へ走っています(ということは、前線自身の動きはゆっくりとしていることを示しています。)5月1日9時の予想天気図では、この寒冷前線は本州日本海側沿岸に達しますが北陸沿岸までしか寒冷前線は表現されずに、それより西では前線として描かれていませんね。

つまり、この寒冷前線は、動きがゆっくりで、次第に西から活動が衰える予想であるわけです。これは、西日本上空まで、高圧帯になる見込みであるからです。

西日本上空で高圧帯となるとどうなるか?これは、本州上(特に南半分)の上空の気温が上昇することと、上空の気流が中部山岳を越える際に風下側にフェーンを起こして、西側に山脈のある地域、特に、関東や、甲信南部、静岡平野あたりの気温を上昇させることに繫がります。

明日1日は、これらの地域では、日中の最高気温が30℃以上の真夏日となるところも続出するでしょう。

また、本州の南半分では、1日9時の予想天気図では、等圧線が南北に混んでいますね。こうい状態のところへ、関東付近ではフェーン現象が加わると、上空1500メートル辺りの気温が上がるため、気温の逆転層が発生し、それより下側の気流を圧迫する作用をするため、特に、沿岸部では南西の風がことの他強まるものです。

あす、5月1日は、関東沿岸では、南西の強風にも注意!海のレジャーにはご用心!


連休初日。関東以西では不安定な天気

2006-04-29 18:11:45 | インポート

06042915 引用図は29日15時の天気図です。気象庁HPより引用。

連休初日の今日は、天気図を見る限り、高気圧に緩やかに覆われて穏やかな晴天を連想してしまいますが、実は、本州の南海上から暖かく湿った気流が入り、本州付近の5000メートル上空には、逆に、冷たい空気が流れ込んでいるため、関東以西では大気が不安定で、所々、雷を伴った強い雨が降りました。

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引用図は29日9時(日本時間)のAUPQ78図(左側)とAUPQ35図(右側)です。気象庁HPより引用。

引用図より、関東以西の上空では、1500メートル(850hpa)では6℃以上の暖かい気流が流れ込んでいます。

そして、この流れ込み具合を良く見ると、本州の南海上では南よりですが、本州上では南西となっています。さらに、関東付近や、四国沿岸で、前記した、南より風と南西風とが衝突していると思われ、これらの箇所では、気流が湿っている状態(斑点表示がされていますね)となっています。特に、伊豆半島近海から関東地方に向かう湿った気流があることが目を引きますね。

そして、関東以西の5500メートル上空(500hpa)では、-20℃以下の冷たい気流が流れ込んでいますね。

じつは、今回のように、1500メートル上空(850hpa)で、本州の南海上から南より風(南東風の場合もあります。)が吹き、本州上では南西風となる場合、本州の南岸上空では、双方の気流が合流して、特に当該気流自体湿っていて、大気が不安定な状態となります。

関東以西の5500メートル上空(500hpa)で冷たい気流が流れ込み、地上の天気図で移動性高気圧の中心より後ろ側に入った時が前記した状態になるパターンです。

関東平野など、当該高気圧の移動性高気圧の西側に入る場合、東海上からの湿った海風が入りるため、当該移動性高気圧の後ろ側を廻って、南海上からの暖かく湿った気流が入って、双方の気流が関東沿岸で衝突しやすいため、移動性高気圧の後ろ側は、他に地域より早めに雲が広がり、天気がぐずつきやすくなります。


北日本,東日本で朝方濃霧発生。

2006-04-28 17:10:14 | インポート

06042806引用図は28日6時の天気図です。気象庁HPより引用。

北日本や東日本は、先日夜から本日明け方前に雨が降りました。そのご、内陸部を中心濃霧が発生し、交通機関に乱れが生じたらしましたね。

このように、春先など、雨上がりの早朝から昼前にかけて、内陸部を中心に濃霧は発生することが多く、地面付近の湿り具合が大きい場合は、濃霧の範囲が沿岸部まで広範囲となる場合があります。

一般的に、濃霧になる場合は、

①地表付近の風が比較的弱く、湿度が高い場合ですが、

それにプラス

③おおむね1500メートル上空の気温が比較的高く、高度700メートルから1000メートルあたりに気温の逆転層がありものです。この逆転層が大きくなる(すなわち、皆木から暖かい気流がよりいっそう流れ込む状態)であれば、当該濃霧はより広範囲で濃いものとなります。

この状態では、地表付近の気流が澱んでしまい、濃霧の発生をさらに助長させる働きをするからです。

④更に、夜半過ぎから朝方にかけて晴れて気温が低下するのであれば、なおさらです。

今日の事例では。本州南海上に高気圧があり、北海道の北の低気圧のは低気圧があります。南に高気圧、北に低気圧がある気圧配置ですと、その高気圧と北に低気圧との間の地域(今回の事例では本州上となりますね)のおおむね1500メートル上空の気温が高くなっていることは経験則上明らからことです。

これから、これからに時期、この濃霧に対しても、特に交通機関では、手抜かりなく対策を行ってください。


静岡で26・5℃と暑い1日。夕刻から関東南部で雷も。

2006-04-24 23:45:13 | インポート

06042415 引用図は24日15時の天気図です。気象庁HPより引用。

今日24日は低気圧が本州東海上に抜けて、本州付近は弱い冬型の気圧配置となりました。朝は雲が多かったところもありましたが、日中は日差し恵まれました。

そして、日本海北部に低気圧がありますね。一般的に、低気圧の南側は南から暖かい気流が流れ込むものです。(特に上空1500メートルより下では顕著ですね)。

このため、関東や、静岡、山梨など、

①日中日差しに恵まれた。

②前記したように、上空1500メートルより下で暖かい気流が流れ込んだ。

③気圧配置が弱い冬型であるため、これらの地域の沿岸部では、日中、海風があまり吹きにくくなり、その上、関東山地や中部山岳を気流が越える際にフェーン現象を発生させた。

以上の原因が重なって気温が上がり、最高気温が静岡で26・5℃(6月下旬並)、甲府で26・3℃(6月上旬並)を観測しました。このほか、関東地方では、内陸部で最高気温が25℃を超えたところも多かったです。

この、地面付近の高温と、上空に寒気(日本海北部の低気圧は上空に寒気を伴っています)がじわりじわり流れ込んできたため、夕方から、関東南部で雷雲が発生、発達してきました。

24日22時現在、東京23区と多摩北部、南部。それに神奈川県全域に大雨・雷・洪水注意報が出されています。

今夜夜遅くまでが強い雨のピークとなりそうです。で、その後いったん雨は小康状態となりますが、明日25日朝から昼前後にかけて、再び、関東南部を中心に、雷を伴った強い雨が降る恐れがあります。


昨日の藤沢の突風,竜巻でした。

2006-04-21 23:38:46 | インポート

昨日の記事でも書きましたが、昨日20日12時20分頃、神奈川県藤沢市で突風が吹き、40棟あまりの建物に被害がありました。

その後、横浜地方気象台の現地調査の結果、この突風は「竜巻」であると、本日発表がありました。

今回のような突風が吹き被害が起きると、最寄の気象台、測候所で現地調査を行い、「竜巻」「ダウンバースト」か断定されますが、その基準発議の通りです。

①被害地域の被害痕跡が一列に並んで、建造物や樹木の転倒方向が収束性痕跡(渦巻状)になっている。被害地域で漏斗雲が見られた。ジェット機が通過するようなキーンという音がした。など。・・・・・「竜巻」と断定

②被害地域の被害痕跡が一列になっていない。建造物や樹木の転倒方向が収束性痕跡になっておらず扇状の広がりが見られる。など・・・・・「ダウンバースト」と断定。

前記①②いずれにもあてはまらない場合は、単に「突風が吹いた」とか、「竜巻、ダウンバーストいずれにも断定できなかった。」と、発表されます。

要は、気象庁で「竜巻」「ダウンバースト」と断定する基準は、被害地域の地表の被害痕跡によるものです。

実は、私自身、「竜巻」や「ダウンバースト」双方とも、発生原因の源となる部分は同じであると考えています。雷雲内の強い上昇流が、地表付近まで及んで、地表付近が低気圧性循環となるのが「竜巻、」一方、雷雲内の強い上昇流の影響で隣接部分に強い下降流が発生し、雷雲周辺の乾燥空気を当該雷雲に引きずり込んで、下降流をさらに発達させたのが「ダウンバースト」となるのではと考えています。

よく、気象の書物では、一般論として「ダウンバースト」は、一般的に中層に乾いた気流が流れ込んで、この中を雨粒が通過する際に、雨粒自体の蒸発が盛んになる為に、下降気流が加速されて生じると言うことがいわれていますが、この状態は、「ダウンバースト」をまさに引き起こそうとしている雷雲の中層に当該雷雲の隣接区域から局地的に強い下降流で乾燥空気が流れ込む形が考えられます。
このためには、当該下降流に隣接した、前記のダウンバーストを引き起こす雷雲内に局局地的な強い上昇流が不可欠となります。質量保存の法則によりますからね。

では、前記した雷雲内の局地的な強い上昇流発生原因は何かと言いますと、鉛直シアー(鉛直方向で風の風向風速の差が大きい状態)によるものではと考えます。それ以外に原因は考えられませんね。

よって、「竜巻」と「ダウンバースト」は発生源が同じであるので、当然、双方、隣り合わせて共存して発生、なんてことも充分ありえます。