カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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15日、関東地方南部で猛烈な雨!地表気流収束+中層上昇流+上空寒気=猛烈な雨

2016-07-17 01:42:09 | 日記
①7月15日12時の天気図 気象庁HPより引用



7月15日は、昼前から昼過ぎにかけて、関東南部中心に雷雲が発達して、千葉県北西部や神奈川県東部横浜市周辺では、ところによっては1時間に80㍉~100㍉もの猛烈な雨を観測し、
浸水被害など発生してしまいました。


今回の大雨の際に、地表から中層(上空3000㍍付近)では、際立った現象が発生しているんです。

それは、

②7月15日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速データ 気象庁HPより引用



引用図②より、関東地方周辺では、上空1000㍍付近では、水戸で北東風、静岡で西より風となっており、関東地方南部で気流の収束がある様子がわかります。

さらに、

③7月15日9時の日本付近水蒸気画像図 気象庁HPより引用


水蒸気画像図上には、関東地方は、寒冷低気圧に伴う白色画像にかかり、この状態、上空3000㍍付近では上昇流域の場となっています。


④関東地方周辺アメダス風向風速分布図とレーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用
ⅰ:風向風速は7月15日10時 レーダーアメダス解析雨量図は7月15日11時 ※11時頃 千葉県市原市周辺で1時間100㍉の降水を観測



ⅱ:風向風速は7月15日12時 レーダーアメダス解析雨量図は7月15日13時 13時頃、横浜で1時間81㍉の降水を観測



ⅰ、ⅱとも、猛烈な降水を観測した地域周辺で 観測時刻直前に、東海上からの北東風と、関東平野内陸部の北寄り風とが収束しており、
当該収束箇所で降水域が非常に発達している様子がわかります。


まさに、地表気流収束+中層上昇流+上空寒気=猛烈な雨 の関係が成り立ちますよね!

夏季、北から張り出す高気圧に注意!高気圧前側で南下する前線は強雷を伴うもの! 4日の事例より

2016-07-06 01:58:42 | 日記
①7月4日12時の天気図 気象庁HPより引用


②7月4日18時の天気図 気象庁HPより引用


関東以西中心に厳しい暑さ続いていましたが、4日、北海道の北にある高気圧が次第に本州付近に張り出してきて、高気圧の張り出し前側にある梅雨前線は、本州中部で次第に南下しました。
こうなりますと、南下する前線の南側は太平洋高気圧の圏内で暖湿流が流れ込み、北から高気圧が張り出すということは、寒気が流れ込んで着るということですから、当該前線は、例外なく活動が活発で、通過時には強雷や強雨などの 激しい気象現象を伴うものです。

③全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用
ⅰ:7月4日12時


ⅱ:7月4日18時


引用図③ⅰ,ⅱより、梅雨前線の伴う降水域は、概ね2本の帯状に本州上の広範囲に分布しています。
前線に伴う降水域は、寒気と暖気の勢力下を比較して、勢力の強い側に、通常2本から3本程度の帯状の鋼水域を連なるものです。
そして、これら帯状の降水域内で、特に強まった降水域が散在しますが、これは、地表から下層での気流の収束箇所(海陸風などの収束といった地形的特性に起因するもの)で、とりわけ、降水域の強度が強められ、さらに、この、地形的特性による下層から地表の気流の収束に起因する、強まった降水域は、それ自体が連なる帯状降水域の移動方向とともに2〜3時間程度は移動する特性がありますから、当該、強まった降水域の移動には十分気を付ける必要があります。

3日、関東以西では厳しい暑さ!尾鷲で38・6℃,東京都心や甲府などで本年初猛暑日を観測!

2016-07-04 01:29:05 | 日記
①3日24時までの全国各観測地点最高気温一覧図 気象庁HPより引用



②7月3日12時の天気図 気象庁HPより引用



③7月3日12時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用


7月3日は、関東以西の各地では、梅雨前線の活動が弱まって、その梅雨前線の南側に入ったため、各地で厳しい暑さとなりました。

三重県の尾鷲では、最高気温38・6℃と、観測開始以来の最高気温を観測しましたし、東京都心や甲府などで、本年初の猛暑日を観測しました。

この厳しい暑さですが、梅雨前線の南側で高温の気流が流れ込んできているところへ、前線の活動が弱まり、各地で日中、日差しに恵まれたことが大きな要因ですが、引用図①より、関東平野各地や,甲信南部、それに、紀伊半島南東部など、西側に山地を控えた地域でとりわけ気温が上昇しております。

引用図③より、関東以西の各地では、上空1000㍍〜3000㍍にかけて、概ね西寄り風〜西南西風が卓越していますが、静岡では、上空2000㍍以上で、風速が20㍍以上とぐっと強まっています。
これは、西寄り風〜西南西風が中部山岳南端に接触して収束し、風速が強まったことですが、この結果、中部山岳の東側にあたる、関東平野や甲信南部で、下層で下降気流となり、断熱昇温で気温が上昇したこと。
さらに、関東平野と同様な地形的特性である、紀伊半島南東部でも同様西て、断熱昇温が強まり、3日の高温となったわけです。