カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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 暖湿流は、流れ込んでくる風向,風速の分布状況にも注意

2008-06-29 20:00:12 | インポート

①6月29日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②6月29日15時の日本付近アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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③6月29日15時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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梅雨も本州では後半に入り、南から暖湿流(大雨の原動力となるもの)が頻繁に流れ込みやすくなり、各地で大雨が降りやすくなっています。

本ブログの前回の記事で、雨雲発達には、地表のみならず、上空の気流の動向にも左右される旨を紹介しましたが、大雨の原動力となるべき暖湿流というもの、その、風向や風速の分布状況にも気を配る必要があります。梅雨前線の、まず 南側の気流の動向(暖湿流の流れ込む様子と置き換えることができますね)に注意することですが、このことは、本ブログの本年6月の記事で紹介しました。

では、梅雨前線に向かって南から流れ込む暖湿流が、どのようになっている箇所が要注意でしょうか?

<1>暖湿流の風速がより強めになっている。→暖湿流がよりいっそう多く流れ込んできていることを暗示するものです。おおむね、地表付近で風速12~13m程度、上空1500m付近で、相当温位320K以上で風速50ノット以上であれば、当該暖湿流が地形的要因などで収束し、上昇気流となる箇所では、24時間雨量で100㎜以上、上空1500m付近で相当温位が335k以上風速40ノット以上であれば、当該暖湿流が地形的要因などで収束し、上昇気流となる箇所では、24時間雨量で200㎜以上となる箇所が発生するようになります。

さらに、

<2>地表付近で暖湿流と考えられる気流の部分の風向が不連続になっている箇所や、風速が水平方向で不連続になっている箇所→これは、気流の風向が不連続であれは、当該気流は収束し、上昇する状態となるからです。風速が水平方向へ不連続になっている箇所は、当該箇所で気流同士、収束し上昇する動きをするためです。

このように、なぜ、暖湿流の風向が不連続になったり、風速が水平方向へ不連続になってりするのでしょうか?これは、地形的要因ですね。内陸部での夜間の気温低下も大きな要因です。

以上述べたことを留意して、引用図②③を見比べてみましょう

引用図③で、雨雲が特に発達している箇所(東海地方から伊豆諸島北部など)では、伊豆諸島北部周辺では、南東風と南西風とが風向の不連続を形成し遠州灘沿岸から伊豆諸島南部では南西風が強めですが、その北側、東海地方内陸部では、風向が疎らで風速は湯輪目となっており、前記した<2>の箇所になっていることが分かります。

以上、本記事の内容は、梅雨前線(低気圧や前線)時ばかりでなく、台風接近時での、当該台風外縁の雨雲がかかる際にも、局地的大雨となりやすい箇所を見極めることにも有効ですね。


梅雨前線活動活発 大雨発生には上空の気流の状態にも左右されるもの。

2008-06-22 17:28:58 | インポート

①6月22日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②6月22日12時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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③6月22日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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梅雨前線の活動が活発となり、九州地方では昨日から激しい雨が降り続いており、がけ崩れや交通機関のダイヤの乱れなど、九州地方各地で発生しています。

梅雨前線に限らず、低気圧や前線の伴う雨域で特に強まる箇所というものは、

<1>地形的に気流が収束する箇所→暖湿流が流れ込んでくる方向に開いている山の斜面や湾の沿岸に当たる地域ばかりでなく、山地などの影響で地形的に気流が周辺に迂回しやすい箇所も低気圧がその箇所に発生しやすく、気流が迂回しやすい気圧配置の場合は特に当該箇所で雨雲が発達します。

<2>上空5500m付近の渦度度移流域

<3>上空3000m付近の上昇流域→前記<2>にあたる地域ですが、暖かく湿った気流(高温位の気流とも言いますが)が収束している箇所もこれに該当する箇所で、雨雲発達を特に促進させるといえる箇所です。

以上3点にあたる場所で、雨雲は発達しやすいといえます。引用図②と引用図③と比較されればこの様子はお解かりかと思います。

各種予想図にて、前記した<1><2><3>の箇所の動向に着目すれば、雨雲の発達しやすい地域(勿論、個々の発達した雨雲は何処に発生するかを特定することまでは困難ですが、雨雲が発達するポテンシャルが強い地域を事前に見極めておくことは可能であり、重要なことであると私は思いますね。)はどこか、見極めることが大事です。

各種予想図より、これから、6月23日未明まで、関東以西の各地では、所々で大雨となる恐れがあります。

6月23日日中はどうでしょうか?関東以西では、幾分、天気は回復するものの、各種予想図より、引用図②で中国東北区にある気圧の谷(上空に寒気を伴っています。)が本州付近まで南下し、本州上は、広範囲で前記<2><3>に該当するようになるでしょう。

④6月23日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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⑤6月22日9時のFXJP854図(上側左より6月22日21時,上側右より6月23日9時,下側左より23日21時、下側右より24日9時の日本付近上空1500m付近の相当温位と風向風速分布予想図) 日本気象予報士会HPより引用

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引用図⑤の上側右と下側左より、東北地方上空を吹く北東から北より風が、中部山岳を迂回するようになると見られ、北東風と南西風とが収束する関東地方南部から甲信地方南部や東海地方では高温位になる予想の表示がなされています。

関東地方南部から甲信地方南部や東海地方では、前記<2><3>ばかりか、<1>にも該当することが予想されます。

よって、6月23日の本州各地では、晴れ間が出るところがあるものの、広範囲で急な雨や雷などの不安定な天気となり、特に、関東地方南部から甲信地方南部や東海地方では、一時的に強い雨や激しい雷が発生する恐れがあります。!


梅雨前線 線より帯として捉えましょう。特に帯の南縁では強い雨に要注意!

2008-06-20 12:45:54 | インポート

①6月20日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②6月20日9時の日本付近雲画像図(赤外) 気象庁HPより引用

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③6月20日9時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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6月も20日を過ぎて、梅雨前線が本州上に停滞するようになってきました。

こうなると、日本列島(西日本中心ですが)の所々で大雨に見舞われるようになります。防災上、油断できない時期でもありますね。梅雨前線が日本列島の何処にかかるか?気になるところです。

ただ、私自身、このブログで、「前線は線としてではなく帯として捉えましょう。」と申し上げたことがあります。そもそも、前線というものは、相対的に高い温位(相対的に気温が高いか、湿度が高いかのいずれか)と相対的に低い温位(相対的に気温が低いか、湿度が低いかのいずれか)とは相見え、当該温位のコントラストが高くなっている部分を言います。ですから、地表から上空(普通私たちが、単に前線と言う部分は、地表から上空5500m付近までの状況から見極める必要があります。)に向かって、鉛直方向への気流の状況をも踏まえて、前線が何処にあるか、見極めるべきものなのです。

通常、テレビや新聞などの天気図でお目にかかる前線の表示は、前記した、鉛直方向へと広がる前線の、地表付近での表示部分ということになりますから、実際の前線の位置は、純粋に線として表現することはなかなか難しいものですね。特に、梅雨前線など、気温より湿度のコントラストが大きい部分として表現されることが多いものですなら、なおさらです。

ですので、前線を天気図上で発見したら、当該前線の天気図上の位置もさることながら、

<1>前線を挟んでの等圧線の走向

<2>前線付近の雲画像図(赤外)の映像の様子

<3>前線付近のレーダーアメダス解析雨量図

<4>前記3点を総括的に確認するには、上空1500m付近の相当温位と風向風速分布図を吟味する。

以上の4点に注意を払うべきです。

<1>は、前線の南側の優勢な高気圧があり、かつ、等圧線が ハ の字型に走っている場合は、その 等圧線の ハ の字と前線とが、垂直にぶつかっている状態であるほど、前線の当該部分には、南海上から暖湿流が大量に流れ込んでいる状態であり、雨雲が発達する場であるといえます。さらに、前記した、等圧線が ル の字型に描かれている部分の、日狩り側の等圧線の走向に注目!、当該等圧線の走向によって、南からの暖湿流がどの方向へ流れ込んでいるかが判ります。

雨雲は、暖湿流の流れ込む方向に沿って、幾重にも帯状に発達しながら分布(暖湿流の勢力が強いほど、この帯状部分の本数は増大します。)するようになります。<2> <3>より、当該、帯状に発達した雨雲が発生しているかどうか?前記<1>と併せて、どの方向へ暖湿流が流れこんで、どの方向へ雨雲が帯状に発達するか?も見極めましょう。

ちなみに、暖湿流が流れ込んでくる方向へ開いた山の斜面の当たる地形や、暖湿流が流れ込んできる方向へ開いた湾沿いの地域では、特に局地的な強雨に注意!当該箇所に当たる方々は、アメダス風向風速分布図や気温分布図にも注意しましょう!

さて、引用図①②③より、関東以西の各地(特に西日本)には、南から暖湿流が大量に流れ込んである様子が判ります。これらの地域では、今後の雨の降り方にご用心!


岩手宮城内陸地震 震源地付近では震度7相当の揺れのところも

2008-06-15 23:55:19 | インポート

昨日発生した、平成20年岩手・宮城内陸地震(マグニチュード7・2、震源の深さ8㎞)ですが、防災科学技術研究所から15日、岩手・宮城内陸地震が起きた時、震源から最も近い岩手県一関市内(栗駒山近辺)の観測地点で、揺れの瞬間的な強さの指標である最大加速度が4022ガル(ガルは加速度の単位)を記録していたことが発表されました。http://www.hinet.bosai.go.jp/topics/iwate-miyagi080614/ を参照ください。

 国内の地震で、4000ガルを超える加速度が記録されたのは初めてです。これまでの記録は2004年10月の新潟県中越地震(本震のすぐ後の最大余震時)で観測された2515・4ガルでした。

 加速度は、上下、水平方向への地盤の動きを基に計算されますが、前記した岩手県一関市内では、水平方向の動きよりも上下の動きが激しかったのが特徴です。上下成分が3866ガル、南北成分は1143ガル、東西成分が1433ガルとなっています。

 今回の地震は、断層が上下にずれる逆断層型で、観測点が震源の直上付近にあったことから、断層の上下方向の動きで激しい縦揺れが卓越したと考えられます。震源地真上周辺の地震加速度分布の典型的なものです。

さらに、最大加速度を1秒間で積分した、最大速度(上下、東西、南北の3方向合成)ですが、100・1カイン(※1カインが毎秒1センチ)となっています。

震度と、加速度および速度との間には、一般的に、その地震での地震波の卓越周期が長い(短い)ほど、当該地震の揺れの継続時間は長く(短く)、震度は大きく(小さく)なりますが、おおむむね、内陸直下型地震の場合、最大加速度が1500ガル以上であれば、震度は7となりますから、今回の岩手・宮城内陸地震での震源地真上周辺では、震度7相当の激しい揺れに見舞われていたといえそうです。


東北地方で大きな地震 最大震度6強

2008-06-14 09:48:21 | インポート

気象庁6月14日9時01分発表の、6月14日8時43分発生の地震の震源地と震度分布図です。気象庁HPより引用。

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5月14日08時43分頃東北地方でかなり強い地震がありました。震源地は岩手県内陸南部 ( 北緯39.0°、東経140.9°)で震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は7.0と推定されます。

前記した、地震の震源地の情報は、地震発生してまだ間もないため、今後、変更される可能性はありますが。この地域では、南北方向へ分布する活断層(地震発生の原動力となります。)が殆どなため、今回の地震も、南北方向へ分布する活断層で発生したのでしょうか?今回の地震の強い連れの分布は、大まかに見ると南北方向に分布していますね。

この地震で、岩手県奥州市と宮城県栗原市では震度6強を観測、このほか、秋田県、岩手県、宮城県、山形県、福島県の一部にかけて、震度5弱以上の強い揺れを観測しました。

前記した、地震の規模や震源地の情報がこの通りであったとすると、震源地の真上付近では、震度7程度の猛烈な揺れに見舞われた恐れもあります。この地震による被害の程度が懸念されますね。

地震の震度の計算方式は、本ブログ平成17年6月4日の記事で、まだ、地震の震度の分布の特性に関する記事を平成17年3月20日の記事で紹介していますので、是非とも、ご覧いただければ、と思います。やはり、これだけ震度観測地点が全国津々浦々に設置されると、本ブログで平成17年3月20日の記事で紹介していることが如実にわかります。仙台市を例に取れば、同じ仙台市内でも、宮城野区では震度5強や震度5弱、泉区では震度5弱と観測されましたが、比較的地盤の固い旧市街地に位置する、太白区の観測地点では震度4でした。

今回の地震のように、内陸の地下の比較的浅い箇所で発生した大きな地震は、余震の発生が多くなることが特徴で、今後の余震の発生状況に注意!余震でも最大でマグにチュード6クラスの地震(震源地真上では震度6弱以上)の発生する可能性もあります。