カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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東京23区内で短時間豪雨 1時間100ミリの所も

2013-07-23 23:54:12 | インポート

①7月23日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月23日15時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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③7月23日15時の東京地方周辺レーダーエコー合成図 気象予報士 西村氏主宰 気象舎HPより引用

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④7月23日15時30分の東京地方周辺レーダーエコー合成図 気象予報士 西村氏主宰 気象舎HPより引用

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23日、本年になって6回目の猛暑日を観測した東京都心ですが、大気が不安定なため、23日15時頃から東京23区周辺で雷雲が発達して、東京23区内では、西部を中心に、23日15時頃~19時頃にかけて、所によっては、1時間に100ミリを超すような猛烈な豪雨が雷を伴いながら降り、世田谷区内や目黒区内では、家屋の浸水被害が生じましたし、目黒川には、一時、気象庁と東京都合同で、氾濫警戒情報も出されました。

23日の事例のように、雷雲が局地的に猛烈発達する場合、大気が不安定なのは当然として、その上で、ⅰ:地表付近に気流の風向のコントラストが大きい(風向の明瞭なシアーラインがある) ⅱ:特に気温が日中上昇した区域 か、ⅲ:上空3000m付近で上昇流域となっている ことが必要条件ですが、

23日の場合、引用図②より、23日15時現在、関東平野では、東海上からの東~北東風と南部神奈川県沿岸~静岡県沿岸からの南~南西風とが、丁度、埼玉県~東京23区西部付近で衝突して、風向の明瞭なシアーラインを形成している様子が解ります。

さらに、23日は、関東地方では、引用図①より、オホーツク海高気圧と太平洋高気圧との間の、気圧の鞍部 に入っており、大気が不安定な状態であった状態の所へ、23日は、東京都心で最高気温が35・2℃と、東京23区周辺で特に気温が上昇しており、東京23区周辺で、とりわけ上昇気流が局地的に発達して、積乱雲を発達させたことが、今回の短時間豪雨につながったと私は考えます。

引用図③④より、埼玉県~東京23区西部付近の風向の明瞭なシアーライン上で、雨雲(雷雲ですが)が発達して、相対的に気温が高い区域である南側方向へ向かって一層発達しながら移動していった様子が解ります。


猛烈な暑さ続く、山梨勝沼で39・1℃ 東京でも3年ぶり3日連続猛暑日

2013-07-09 18:16:24 | インポート

①7月9日16時までの日最高気温画像 気象庁HPより引用

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②7月9日9時の天気図 気象庁HPより引用

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③7月9日9時の気象庁AUPQ78図 日本気象予報士会HPより引用

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連日、東日本、西日本の広範囲で大変厳しい暑さが続いていますが、7月9日も、この状態は続き、最高気温は、全国観測地点の94地点で35℃以上、622地点で30℃以上を観測しました。

山梨県勝沼では、最高気温が39・1℃と、観測史上最高気温を観測したのをはじめ、岐阜県多治見で38・8℃、甲府で38・2℃、東京都心でも、35・4℃の最高気温を観測し、東京都心では、平成22年8月15日~18日(連続4日)以来の、3日間連続猛暑日となりました。

この大変な暑さですが、

引用図②より、本州の南海上には太平洋高気圧があり、引用図③(上側が700hpa※上空およそ3000m付近 下側が850hpa※上空およそ1500m付近 の気温と風向風速分布図です。)より、上空3000m付近と上空1500m付近でも本州南海上は高気圧となっていて上空1500m付近では、東日本と西日本では、おおむね西~西北西となっており、関東~四国の各地域では、気温21℃以上、紀伊半島から四国沖には、気温22℃以上の高温域があります。

この、上空1500m付近の高温域は、前記した、上空1500m付近の西~西北西風が、本州や四国の脊梁山地を超える気流が、フェーン現象を引き起こした結果といえますが、さらに、上空1500m付近で、西~西北西となる場合、関東平野や伊勢湾岸から濃尾平野では、日中吹く海風の風向とは相反する風向となり、当該、海風を抑制させる作用も働いたため、気温がより上昇したもの と 私は考えています。

この気圧配置、引用図にはありませんが、少なくとも今週一杯続きそうで、東日本や西日本を中心とした猛暑、暫く続きそうですね。

皆さん!熱中症にはくれぐれもお気をつけください!!


大雨は水蒸気雲画像のこんな箇所で発生

2013-07-03 18:20:34 | インポート

①7月3日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月3日14時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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梅雨前線が再び西~本州付近日本海側へと延びてきた3日ですが、昼前より九州北部や中国地方などで所によっては1時間に70ミリを超すような非常に激しい雨が降った箇所もありました。

私自身、我流のようですが、梅雨期や台風接近など、大雨が予想される際には、雲画像でも水蒸気画像を凝視しています。

水蒸気画像上で帯状に白くぼやけた区域は暖湿流が集中して流れ込んでいる区域ですが、この帯状の白くぼやけた区域同士が合間見える箇所で、特に雨雲が発達して、激しい雨を観測するといえます。

引用図①より、3日12時現在、梅雨前線が中国大陸から朝鮮半島を通り、東北南部へと延びていますが、この2時間後の3日14時現在の日本付近の水蒸気画像を見ると、前記したような帯状の白くぼやけた区域が A Bの2本見受けられます。

Aは、太平洋高気圧の外縁部を廻るようにして流れ込んだ(一部は、インド洋方面からの南西モンスーンに伴う暖湿流が入り込んできていますが)暖湿流ですが、Bは、中国東北部~シベリアにある気圧の谷に伴う、上空3000m付近の上昇流が引き寄せた暖湿流です。A とBの合流する九州北部~中国地方西部付近に、水蒸気画像上でとりわけ白く輝く画像域があり、これは、非常に発達した雨雲の集団を反映しているもので、この非常の発達した雨雲の集団は、ご覧のように、太平洋高気圧の外縁部や、インド洋方面からの南西モンスーンに伴う暖湿流が入り込んできた暖湿流と、気圧の谷に伴う上空3000m付近の上昇流が引き寄せた暖湿流とが合間見えて収束した結果発生したものですね。

このように、太平洋高気圧の外縁部を廻るようにして暖湿流が本州付近へ流れ込んでいる所へ、上空3000m付近の上昇流域が接近して合流するようになると、双方が暖湿流を伴っていますので、非常に、雨雲が発達するものです。

上空3000m付近の上昇流は、換言すれば、500hpaの正渦度が移流してくる箇所といえますから、500hpaの正渦度が、前記した太平洋高気圧の外縁部の暖湿流に接近してくる場合は要注意!当該渦度のエリアが比較的狭いほうが、局地的な地域で雨雲を非常に発達させますから油断なりません。

さらに、雨雲発達にはもうひとつ、下層の気流が地形的特性による収束も大きな要素ですが、この地形的特性による収束というもの、下層部分の鉛直方向の気流のコントラストが大きくなる(風向が異なってくる)現象下でも、気流同士の収束は加速されるもの。ですから、夜間~朝方など、沿岸部(特に暖湿流の流れ込んで切る方向に開いた鞍部になっている地域)では、雨雲が局地的に非常に発達しやすい傾向があります。この点、防災上、看過できませんね。