カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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オホーツク海に優勢な高気圧 北日本や東日本の太平洋側で低温 オホーツク海に優勢な高気圧ある時は北日本

2008-05-31 23:54:30 | インポート

①5月31日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月31日12時の本州付近アメダス気温分布図 気象庁HPより引用

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③5月31日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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この数日、オホーツク海に高気圧が現れて、次第に勢力を広げてきました。

このため、本日31日も、北日本や東日本の太平洋側には冷たく湿った海風も入りでは3月中旬から4月中旬並の気温とまりとなりました。

日中の最高気温は

東京で14・4℃(平年より-10・1℃) 横浜で13・9℃(平年より-10・2℃) 千葉で14・4℃(平年より-9・2℃)と、暖房が欲しくなるような1日でした。

本日のような、北海道から東日本の太平洋側の冷たく湿った海風(北東気流と呼ばれています。)による低温のメカニズムは、本ブログの、本年5月11日の記事で詳しく紹介しています。この記事通り、引用図③の下側図より、北海道の北から千島周辺で寒気移流が顕著となり、当該寒気が、上空1500m付近の北東風によって、北日本や東日本の太平洋側へ運ばれている様子がわかりますね。

5月11日の記事内で紹介した関東での北東気流のタイプですと、今回は、タイプ1となりますね。関東平野全域で低温となる形です。

オホーツク海に優勢な高気圧がある気圧配置の場合、北日本や東日本の太平洋側での低温もさることながら、北日本や東日本での等圧線の幅にも注意を配らなければいけません。

このことをわかりやすく言い換えると、オホーツク海高気圧が優勢になると、高気圧自体、停滞しやすく、周辺に進んでくる低気圧とのコラボレーションによって、北日本や東日本中心に等圧線の幅が混んで、北東から東より、一部では南東風が強まり、東北日本海側や新潟県周辺では、脊梁山脈の鞍部を吹き抜けてくる、ダシ風 (東よりから南東風)といわれる局地風が顕著になります。山形県庄内平野の 清川ダシ 風が有名ですよね。

優勢な高気圧がオホーツク海や本州東海上にあり、北日本や東日本で等圧線がほぼ南北に走って、等圧線の幅も混んである場合、この、ダシ風が 東北日本海側や新潟県周辺で強まります。

東北地方から新潟県周辺の上空1000mから1500mあたりで風速が15m以上となると

東から東南東風の場合・・・・・山形県庄内平野周辺、新潟県阿賀野川流域で東から南東風

南東風となる場合・・・・・新潟県阿賀野川流域、上越平野周辺、姫川沿いで東南東風から南東風

が強まり、全般的に風速12m以上となり、一部で風速15m以上に達するようになります。

5月31日も、新潟県阿賀野川流域の新津市では、東南東の風で最大風速が16・8mに達して、羽越線の運行ダイヤに乱れが生じました。


25日未明から明け方にかけて、近畿地方で局地的大雨 前線は線ではなく面として捉える 立体的な状況をも

2008-05-25 23:54:29 | インポート

①5月25日3時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月24日21時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③5月24日1時の近畿地方周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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④5月24日2時の近畿地方周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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⑤5月25日3時の近畿地方周辺レーダアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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梅雨前線の活動が活発となったため、25日は、未明から明け方にかけて、近畿地方や四国地方の一部で局地的に、1時間40㎜を超す激しい雨に見舞われ、近畿地方では、浸水などの被害が出た箇所もありました。

この激しい雨の区域は、強まったり弱まったりしながらも全体として、東へ移動し、午前中は東海地方や関東地方の一部でも、一時間に30㎜以上の降水量を観測した箇所も散見しました。

引用図①と引用図⑤とを比較すると、天気図(地上天気図)上の前線の位置と、実際の強い降水域とは、必ずしもその発生位置は一致しないことがわかりますね。

本ブログの平成18年11月の記事で、私は、前線は線として捉えるのではなく、帯として捉えるべき と書いたことがありますが、前線の位置は、杓子定規に線できちんと引けるものではありません。ちょうど、水の中に油をたらすと、水と油の境界部分は、きちんとした線とはなりませんが、この様子に、前線も似ています。

前線を挟んでの、暖気と寒気との鬩ぎ合いは、日本列島の地形的要因をも加味されて、非常に複雑です。暖気や寒気が段階的に流れ込んだり、気流が収束して、ある一部地域に、集中して流れ込むこともありますね。

今回、近畿地方や四国地方で25日未明に局地的大雨になったことは、前線を挟んで、南側の暖気が局地的に収束した部分が東へ移動し、当該部分が四国山地の影響で、南西から北西方向に帯状に広がる強い降水域を形成し、この強い降水気が、紀伊水道北部での地表付近で、地形的に気流が収束したことで、雨雲が局地的に発達する原動力をもらって、当該降水域がさらに発達していった と言えそうです。

引用図②の上側より、24日21時現在、朝鮮半島付近には上空の谷があり、下側の図より、九州南東沖上空1500m付近に、南西風と南南西風とがそれぞれ35ノットから40ノットと強めに吹きつつ、四国沖で収束し(引用図にはありませんが、上空1500m付近の相当温位がこの収束している地域周辺で340K程度と相当高温多湿です。)西から北東へ広がる顕著な上昇流域を形成しています。さらに、24日21時現在に朝鮮半島付近にある谷の東進とともに東へ移動し、、これに伴って、上空1500m付近の気流の収束域も、北東方向へ移動したと推定され、その結果、当該気流の収束域が25日未明に四国山地の影響で、南西から北東方向へ強い降水域を形成したと考えられます。

さらに、引用図③④より、25日1時から2時にかけて、大阪湾周辺では風向が疎らで風速は弱めですが、紀伊水道には、四国東部の南西風と紀伊半島南部からの南東風が合流して、おおむね南よりの風向で風速は強めとなっていますね。地表付近でも気流が収束している様子がわかります。

四国東部に発生した、南西から北東へ延びる強い降水域は、東へ移動するとともに、紀伊水道周辺での地表付近の気流の収束域に入り、降水域を発達させる原動力をもらって、当該降水域がさらに発達していき、今回の激しい雨に繫がったというわけですね(引用図⑤)。

このように、前線は、周囲の地形的特性の影響を受けます。それに、上空1500m付近や3000m付近の気流の様子、さらには上空5500m付近の渦度分布の様子をも加味し、立体的な状況を見極めることが大切です。


梅雨前線が西から活発化 これから25日にかけて本州南岸沿い地域では大雨の恐れ

2008-05-24 18:28:49 | インポート

①5月24日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月24日12時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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③5月25日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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④5月24日9時のFXJP854図(上側左図24日21時,2上側右図25日9時,下側左図25日21時,下側右図26日9時の日本付近上空1500m付近の風向風速分布と相当温位分布図)日本気象予報士会HPより引用

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22日に奄美地方と沖縄で梅雨入りしましたが、早速、梅雨前線の活動は西から活発となってきました。

24日12時現在、すでに九州南部の一部では強い雨が降り出しています。

梅雨前線が本州付近に停滞する場合の雨の降り方に対する留意点として、

<1>暖湿流(上空1500m付近の相当温位が330K以上の部分の動向に着目!

高温位の気流が帯状になって梅雨前線に向かって強めに吹きつけている箇所には注意!

当該部分が帯状となり風向が梅雨前線に向かって直角方向に風速がおおむね30ノット以上となって吹きつけている梅雨前線の箇所では、大雨警報基準に達する雨量が降るものと思って間違いありません。

さらに、梅雨前線時には、モンスーンを引き起こしている熱帯地方の暖湿流が南西風となって、東シナ海から西日本付近へと流れ込んで来やすく、梅雨前線の時期には、北日本、東日本よりも、西日本で大雨が降る頻度が高いものですね。

<2>隣接する高気圧の張り出しに注意!

太平洋高気圧の北縁は暖湿流が大量に流れ込んでいることは周知の通りですが、太平洋高気圧とは言えなくても、梅雨前線の東側に優勢が高気圧がある場合、当該高気圧の外縁を廻るようにして暖湿流が南海上から流れ込んできていますから、当該優勢な高気圧が張り出す外縁と梅雨前線とが交わる部分では、強い雨が降りやすいものです。

<3>上空1500m付近での、等温位線の混んでいる部分(温位のコントラスト大きい部分)に注意!

当該部分は、地表付近で前線(梅雨前線)が走っている箇所に相当しますが、等温位線が混むということは、地表付近で対応する前線の活動が活発になっていることを示すものです。

以上のことに留意して、引用図③④を見てみると、これから25日にかけて、本州南岸沿いに梅雨前線が停滞し、梅雨前線に向かって、南海上から相当温位330k以上の高温位域が南西風となって、吹き付ける予想がわかります。その中で、梅雨前線に向かって高温位域が帯状に入り、梅雨前線とほぼ直角方向に吹き付けている部分が、24日21時では、四国沖、25日9時には関東のすぐ東、25日21時のは北海道南東海上に発生し、当該部分では、等温位線が特に混んで、北側に向かって ∧ の字型になる予想(この部分には低気圧が発生する予想でもあります。)です。

これから25日にかけて、引用図④で予想される 前記した、∧ の字型に等温位線が濃混む部分に注意!この部分が大雨の中心となりそうです。

西日本では25日朝まで、東海から関東地方が25日昼頃までが大雨のピークとなるでしょう。


北日本から東日本の太平洋側を中心に広範囲で大雨や暴風 優勢な高気圧の縁は要注意!

2008-05-20 23:17:52 | インポート

①5月20日15時の天気図 気象庁HPより引用

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20日は、本州南岸を低気圧が発達しながら北東へ進み、20日15時には、三陸沖に達しました。

このため、20日午前中は、関東地方や静岡県内では、大雨、沿岸部や海上を中心に暴風が吹き荒れました。

24時間雨量は、静岡県天城山で246㎜、神奈川県小田原で160㎜、同じく神奈川県海老名で141㎜を観測し、三宅島で31・3mの最大瞬間風速を観測しています。

引用図①より、この低気圧の東側 日本列島のはるか東海上には、優勢な高気圧があり、三陸沖にある低気圧との間で、等圧線が南北に何本も走り、等圧線の幅も非常に狭まっています。

このことより、北海道から関東にかけて、広範囲で風(南から南東風)が相当強まり、さらに、日本の針か東海上の高気圧の西縁では、等圧線の走向は ハの型になっていりことで、当該高気圧の西縁を廻るようにして、南から暖かく湿った気流(大雨の源となります)が大量に流れ込んでいることがわかります。

このように、優勢な高気圧がある場合、当該高気圧の縁辺に注意!今回のように、隣接の低気圧との進路如何で、等圧線の幅が広範囲で混み、あちこちに暴風をもたらしたり、高気圧の縁辺を廻るようにして、南からは暖湿流も大量に流れ込んできて、大雨をもたらしたりします。

現に、20日は、北海道でも、南から南東風が非常に強まって暴風警報が出された箇所もあり、北海道新千歳空港では、飛行場強風警報がだされて、航空機が欠航となったりしました。北海道の浦河で37・5m、釧路で30・2mの最大最大瞬間風速を観測しています。

優勢な高気圧は、広範囲に、何日も好天をもたらしますが、当該高気圧の縁辺に入ると、隣接の低気圧や前線とのコラボレーション如何では、好天のしっぺ返しのごとく、荒天?に見舞われるものです。


20日は 北日本太平洋側や関東周辺で大荒れの天気 大雨や暴風に警戒!

2008-05-19 23:28:55 | インポート

①5月19日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月19日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③5月19日9時のFXJP854図(上側左より5月 日本気象予報士会HPより引用

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④5月20日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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19日は、先日の記事で紹介したように、南西諸島北部周辺には前線が描かれ、当該前線上には低気圧が発生しました。

そして、南西諸島の南海上には、台風4号が進んできました。

一方、本州に東海上には、優勢な高気圧があり、この高気圧の縁を廻るようにしたり、南海上からは、暖湿流が大量に本州付近に流れ込み始めています。

このため、前線のかかる南西諸島では、19日午前中、強い雨が降りましたし、19日21時現在、本州南岸沿いの地域の所々で、雨脚が強まってきました。

引用図①で、南西諸島北部にある低気圧は、引用図②の上側図より、対応する正渦度が西側の東シナ海に見られて、渦官がしっかりしており、低気圧として今後発達する見込みですね。

また、引用図④より、この低気圧は、20日9時には、関東南部付近に進んで、この低気圧の前側の本州東海上には、優勢な高気圧があり、北日本から東日本では等圧線の幅がかなり混んで(南北に)南から南東の風が強まる予想です。

さらに、引用図③より、引用図①で南西諸島北部にある低気圧や前線に向かって、南海上から暖湿流が、とりわけ大量に流れ込んでおり、当該状態を維持しつつ、この低気圧や戦線は、今後、本州南岸を北東へ進んで、20日9時には、関東南部付近へ達する見込みですね。

20日9時には、北海道太平洋側から東北地方太平洋側、関東地方、それに、静岡県周辺には、相当温位320以上(一部で330以上)※単位はk→ケルビン、1ケルビンが-273℃となります。の暖湿流が流れ込んで、南より風(一部で南西風)で、風速はおおむね40ノット以上(関東周辺では一部70ノット以上)と予想されています。

以上のことより、これから本州南岸沿いの地域では雨脚が強まり、20日は、強い雨に区域は次第に東北太平洋側や北海道東部にも広がり、20日明け方から昼前にかけて、関東地方周辺では、沿岸や海上を中心(低気圧の進路が、沿岸前線が今回、神奈川県から東京23区、埼玉南東部から千葉県北西部、を通り、茨城県南部へと発生が予想されますが、当該沿岸前線沿いを低気圧が通過するでしょう。特に強い風の区域は、低気圧の進行進路のすぐ南側となります。)に、暴風警報基準を超える風速の南より風(一部で南西風や南東風)が吹くことが予想されます。そして、この暴風は、20日日中以降、東北地方太平洋や北海道東部沿岸でも吹く恐れがあります。

北日本太平洋側から関東地方、東海地方では、20日は、大雨 沿岸海上を中心に暴風や高波には充分に警戒してください!