カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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猛烈な暑さ続く!熊谷では観測史上最高41・1℃を観測!

2018-07-23 23:22:02 | 日記

ⅰ:7月23日12時の天気図 気象庁HPより引用


ⅱ:7月23日16時までの日最高気温一覧画像 気象庁HPより引用


連日、東北南部以西の各地では、所によっては体温以上の猛烈な暑さが続いていますが、23日は、関東地方や東海地方中心に、まさに、命にかかわる危険な猛暑となりました。

日中の最高気温は、

埼玉県熊谷で全国の観測史上最高となる41・1℃を観測し、東京都多摩地区青梅で40・8℃、
岐阜県多治見で40・7℃、山梨県甲府で40・3℃と、全国各観測地点の4地点で40℃を超えています。

名古屋で39・6℃、東京都心でも、観測史上4位となる39・0℃を観測しております。

この暑さの原因ですが

②7月23日6時、9時、12時全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用
ⅰ:6時


ⅱ:9時


ⅲ:12時


引用図②ⅰ、ⅱ、ⅲより、日本付近では、東北地方以西で、上空3000㍍付近、2000㍍付近、1000㍍付近とも、時計回りの気流の流れとなっていて、背の高い高気圧の覆われている様子がわかります。この状態は、ここ2週間程度持続しております。引用図にはありませんが、東北以西で、太平洋高気圧の上側にチベット高気圧が張り出して、上空10000㍍以上まで下降気流が卓越していることが原因ですが、

さらに、23日は、関東地方から中部地方にかけて、概ね北西の風向で、風速は、関東地方や東海地方といった太平洋側中心に10㍍毎秒以上と強まっております。この状態は、北西風が関東山地や中部山岳を越える際に、山越えのフェーン現象を引き起こしている証左であり、太平洋高気圧とチベット高気圧とが、タッグを組んでいる状態に、中部山岳の山越え気流のよるフェーン現象が加わったこと。言ってみれば、太平洋高気圧、チベット高気圧、山越えフェーン現象の、3つのタッグによって引き起こされたわけです。

昨日22日までは、太平洋高気圧とチベット高気圧の2つタッグでした。このため、東京都心に限ってみると、1日を通して風向は疎らで風速は弱めでありましたが、日中、東京湾方面からの南〜南東風の海風が入り混んで、気温の上昇はやや鈍ってしまった傾向にありましたが、23日の、東京都心の気温と風向風速(ともに千代田区北の丸公園内で計測)の6時~13時までの推移をみると※風速は㍍毎秒単位

6時  28.7℃ 北西 1.5
7時  31.3℃ 北北西 2.3
8時  32.4℃ 北 2.7
9時  32.7℃ 北東 2.8
10時 34.1℃ 北東 2.4
11時 36.1℃ 北北西 2.9
12時 37.1℃ 北東 3.0
13時 37.4℃ 北 1.5


気温は上昇持続していた6時~13時まで、東京都心の風向は概ね北東〜北〜北西で、風速は弱めで推移しております。
このことは、関東地方の北側と西側からの山越えの気流が、日中、東京湾方面から吹く海風を打ち消したことが原因
というわけです。

大阪北部地震発生より1か月。この地震の特徴は?

2018-07-18 09:47:39 | 日記
①6月18日7時58分頃大阪府北部で発生した地震の震央と各地検震度分布図(地震予知総合研究振興会HPより引用)


6月18日7時58分頃、大阪府北部、深さ凡そ10キロを震源とする地震が発生しました。

この地震で、

<震度6弱>を

大阪北区茶屋町 高槻市立第2中学校 枚方市大垣内 茨木市東中条町 箕面市粟生外院

<震度5強>を 大阪府北部から京都府南部の

京都中京区河原町御池 京都伏見区向島 京都伏見区久我 京都西京区大枝 亀岡市余部町 
長岡京市開田 八幡市八幡 大山崎町円明寺 久御山町田井 大阪都島区都島本通 
大阪東淀川区北江口 大阪旭区大宮 大阪淀川区木川東 豊中市曽根南町 豊中市役所 
吹田市内本町 高槻市桃園町 高槻市消防本部 寝屋川市役所 箕面市箕面 摂津市三島 
交野市私部 島本町若山台

<震度5弱>を、滋賀県南部から京都府南部、奈良県北西部、大阪市内広範囲をはじめとする、大阪府北中部
、兵庫県南東部にかけての

大津市南郷 京都伏見区竹田 京都伏見区醍醐 京都伏見区淀 京都西京区樫原 
宇治市宇治琵琶 宇治市折居台 亀岡市安町 城陽市寺田 向日市寺戸町 京田辺市田辺 
南丹市八木町八木 井手町井手 精華町南稲八妻 大阪福島区福島 大阪此花区春日出北
大阪港区築港 大阪西淀川区千舟 大阪東淀川区柴島 大阪生野区舎利寺 大阪国際空港 
池田市城南 守口市京阪本通 大東市新町 四條畷市中野 豊能町余野 能勢町役場 
尼崎市昭和通 西宮市宮前町 西宮市平木 伊丹市千僧 川西市中央町 大和郡山市北郡山町
御所市役所 高取町観覚寺 広陵町南郷

以上の地点で観測し、

大阪府、京都府、奈良県、兵庫県内にかけて、

死者 4名 負傷者434名(重傷15名 軽傷419名)

全壊家屋 10棟  半壊家屋181棟、一部破損家屋 32989棟

※いずれも総務庁消防庁調べ

といった、かなりの被害を生じました。(総務庁消防庁㍻20年7月17日発表)


②防災科学技術研究所HIネットによる、6月18日7時58分発生地震の発震機構と、6月1日以降本震の震央付近で発生した、
マグニチュード3・6以上の地震(本震の主な余震とみなせるので、ここでは主な余震と表記いたします。)の震源位置図 図内A─A´、B─B´は当該地震の発生分布方向を示す(防災科学技術研究所HPより引用)


引用図②より、今回の地震の本震と主な余震の震央分布より、図内表記Aのエリアで発生した地震とBのエリアで発生した地震との2つの地震が発生した、いわば、双子地震ではないかと私は推測いたします。  その根拠ですが、

③6月18日地震における ⅰ:大阪府高槻市立2中(震度6弱)  ⅱ:亀岡市余野町(震度5強) ⅲ:京都府宇治市宇治琵琶(震度5弱)
ⅳ:四條畷市中野(震度5弱)の地震波形図(防災科学技術研究所HPより引用)をご覧ください。

ⅰ:

ⅱ:

ⅲ:

ⅳ:


各々の地点の波形より、南北方向、東西方向 上下方向 ともに、2つの揺れが大きい部分が見られます。

因みに、
紹介した地点が位置する、大阪平野から京都府南部地域のように、

Ⅰ:地形的に周囲を山地の囲まている地域は、地震波が地下を伝わってくる間に、周囲の山地を形成する基盤に地震波が屈折しやすく、
その結果、南北方向、東西方向、上下方向とも揺れが大きくなり、

Ⅱ:地下の基盤が傾斜している地域(山地の外縁部など)では、南北方向、東西方向の地震波が、屈折の影響で、一部、上下方向に変化して
上下方向の地震波か顕著になる特性もあります。

Ⅲ:地震波は、まず上下方向、時間経過とともに、南北方向、東西方向の地震波がやってくる

Ⅳ:表層に軟らかい地層が多く分布するほど、南北方向、東西方向のへ地震波が多くなり、地震波の周期と継続時間も長くなる。




こういう地震波の特性を念頭に、引用図③ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳ」を見ると、ⅰの高槻では、上下方向の大揺れが先行しており、ⅱの宇治では、始めの大きな揺れの約5秒に、南北、東西、上下との最大の揺れを観測、ⅲの四条畷では、1回目の大揺れで羽上下方向が特に顕著ですが、
3〜4秒後の2回目の大揺れでは、南北、東西、上下ともに顕著で、地震波の継続時間も長くなりました。

ⅰの高槻では、北側に山地があり、前記特性のⅡに該当するため、エリアAで発生した地震での上下方向の地震波が増幅された

ⅱの亀岡では、エリアAで発生した地震波が、大阪府北部県境に南北方向に分布する地形的鞍部を伝播する際に、前記Ⅱの特性を受けて、高槻と同様に上下方向の揺れが増幅された。

ⅲの宇治では、紹介した3地点の中で、一番震源から離れているため、最大の揺れはA、B双方で発生した地震波同士でもたらされ、前記Ⅰの地形的特性のために、南北、東西、上下方向とも顕著になった。

ⅳの四条畷では、南東側に生駒山地が位置して、地下の基盤が南東〜北西方向に傾斜している地形的特性を持つと推測されるが、最初に発生したAでの地震波は北西方向から伝播して、地下の基盤が南東〜北西方向に傾斜している地形的特性を受けて、上下方向の地震波がまず顕著になった。


以上の事実より今回の地震では、A─A´の方向も地殻変動して形成されたエリアAでの地震が発生、その2〜3秒後に、Aとは直交する方向B─B´に地殻変動して形成されたエリアBでの地震波発生したもの、といえます。

ただ、今回の地震は、

④大阪府高槻市立2中(震度6弱)の速度・加速度応答スペクトル図(任意の固有周期を持つ建造物が地震でどのような速度・加速度を観測したかを図示したもの)
※図上が速度応答、図下が加速度応答スペクトル図となっています。


引用図④より周期約0・2秒程度で、速度応答最大100カイン(100㌢毎秒)加速度応答最大2000ガルと比較的短周期の地震波が卓越した地震だったため、建造物に共振現象を発生しにくく、深刻な被害を発生しにくかったといえます。
このことは、今回の地震による全壊家屋数(10棟)にたいし、一部破損家屋数(32989棟)と一部破損家屋数が非常に多いことがこのことを物語っていますね」。