カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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各地で大雨 神戸では河川増水で死者も その土地の生い立ちを知ることは防災にとって重要!

2008-07-28 23:01:31 | インポート

①7月28日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月28日15時の近畿地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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7月28日は、日本海西部から近畿地方、東海道から関東沿岸へ前線がかかりました。(昨日より東海道以東では前線の位置が少し南下しました。)

当該前線に向かって、南から暖湿流が流れ込んで、本州上空には寒気も流れ込んでいるため。この前線付近周辺を中心に大気が非常に不安定となり、28日未明から朝方にかけては北陸地方中心に、そして、午後からは近畿地方を中心に雷を伴なった猛烈な雨が降りました。(東北地方にも強い雨雲がかかり、岩手県内を中心に激しい雨が降りましたね。)

このため、近畿地方各地で、大雨による被害が多発し、特に神戸市内では、六甲山系から海岸に流れる河川(普段は水量が少なく、公園になっている箇所もあるんですねどね。そうですよね。みなこ妹さん。)が急激に増水し、河川内にいた方々が流されて、4人の方々がお気の毒に亡くなられてしまいました。

今回の神戸市内の災害で教訓となるのは、河川というもの、その流域面積よりも、流域の勾配の緩急が、災害発生を決定ずけると言っても過言ではありません。

河川は、流域勾配が急であるほど、大雨による災害が過酷なものになりやすいと言えます。流域勾配が急であるほど、今回の神戸市内のように、一気に水位が増水し(神戸市内では10分間に1m30cm水位が上昇した河川もあります。)、流域勾配が急と言うことは、山地がすぐ近くに存在することになりますから、山地で発生した山崩れなどが加わって、土石流が発生しやすくもなります。河川の流域距離の長短はあまり関係ありません。

実際、神戸市内では、昭和13年と昭和42年に、大水害が発生しましたし、六甲山系から流れる河川が、大雨の際などに六甲山系の山腹を浸食し、その浸食によって削られた土砂が六甲山系の端の堆積してできた地層(扇状地と言います)に神戸市内中心部が位置しているのを、皆さん、ご存知でしたか?

誤解を承知で言えば、有史以来、神戸市内は、幾度となく大雨災害が見舞われていたと言えるわけで、その土地の生い立ちを知ることは、防災上重要なことだと私は思います。


福井県敦賀市内で突風 1人死亡 本州上は広範囲で不安定な天気

2008-07-27 20:04:29 | インポート

①7月27日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月27日13時※敦賀市で突風発生直後 の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大)。気象庁HPより引用

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本年は、本州各地で梅雨明けした後も、本州付近では大気が不安定な日が続き、日中から夜にかけては、各地で雷や一時的に強い雨が降っています。

7月25日は、群馬県南東部で竜巻と見られる突風を観測し、民家の屋根が飛んだりの被害も発生しています。が本日7月27日12時50分頃、福井県敦賀市で突風が発生し、市内のイベント開催場所でテントが倒壊し、1人の方がお気の毒に亡くなられてしまいました。

引用図②より、突風発生直後の27日13時には、福井県周辺には、ひときわ白く輝く雲の集団があり、画像をよく見ると、福井県付近で、おおむね西から東方向へ、雲の隙間(フックエコー)がありますね。で、これらの集団自体、鍵型に白く輝いている様子がわかります。

これは、メソサイクロン と言って、大気が不安定な状態時に、天気図でなかなか解析しにくいスケールの小さな気圧の谷や、地形的に地表と上空との風向や風速の差が大きくなる(鉛直シアーが大きくなると言います)状態が重なった際に積乱雲が塊上に形成されてたもので、当該積乱雲の塊の下では、ひときわ激しい雨や、強い雷の発生は勿論、雹や竜巻、ダウンバーストなどの激しい突風(激しい突風は前記したフックエコーの先端部)を発生させるものです。

今回、引用図②で福井県周辺に現れている雲の塊(メソサイクロン)は、本日27日朝からに北海南西部を東進してきました。これは、スケールの小さい上空の気圧の谷に伴って発生して雲の塊であるため、当該気圧の谷の東進に伴い、雲の活動を持続させつつ、東進してきたものです。

このため、敦賀では、27日12時49分に 29・7mの最大瞬間風速を観測し、27日12時56分には前10分間の平均でも16・2mの最大風速を観測していますし、当該メソサイクロンの東進に伴い、石川県小松空港では、午後14時09分に、飛行場強風警報も発表されています。

このような、スケールの小さい上空の気圧の谷は、

1・上空5500m付近の正渦度移流流域(上空3000m付近の上昇流)として表現されることが多いのですが、

今回 7月26日は、こういう正渦度移流域(上空3000m付近の上昇流)でも、見出されにくく、

2・上空1500m付近の高温位の部分や風向風速のコントラストの大きい部分 

として表現されていましたし

3・上空5500m付近での周囲よりも低温域となった部分

としても表現されていました。

ので、以上、当該、スケールの小さい上空の気圧の谷の見出には、前記した項目1から3までの部分に注目し、、併せて、雲画像図やレーダーエコー図で雲の活動状況を把握するべきです。


24日未明 またまた東北で大きな地震震度6強

2008-07-24 01:03:17 | インポート

引用図は 気象庁より7月24日0時33分発表の 7月24日0時26分発生の地震の震央と核の震度分布図(東北地方中心)です。気象庁HPより引用。

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7月24日00時26分頃東北地方で大きな地震がありました。

震源地は岩手県沿岸北部 ( 北緯39.7°、東経141.7°)で震源の深さは約120km、地震の規模(マグニチュード)は6.8と推定されます。

この地震で、岩手県内陸北部の 岩手洋野町大野で震度6強を観測したほか、青森県八戸市内などで震度6弱、それに、青森県、岩手県、宮城県の一部で、震度5強や震度5弱の強い揺れを観測しました。

地震による被害状況など、今後の詳細情報が待たれるところですね。

この地震は、東北地方が載っている北米プレートの下側に沈み込む、太平洋プレートの内部で発生した地震であると推定されます。

前記事でのコメントで、K・Tさんが指摘していただいたように、一般論として、規模の大きな地震であるほど、周期の長い地震波が多くなるものですが、今回の地震のように、地下120kmと言う深い箇所で発生した地震と言うものは、比較的周期の短い地震波が大きな揺れの部分では卓越し、小刻みに揺れるように感じます。

そして、以前、昨年10月1日の緊急地震速報の記事で紹介しましたように、当該、地下深くで発生する地震での地表の揺れは、その土地の地下の構造によって、地震波が屈折などすることが、当該揺れの大きさが左右される大きな要素のひとつであるため、緊急地震速報は発表が困難なものです。


19日昼前に福島県沖で強い地震発生 東北まで梅雨明け

2008-07-19 23:51:14 | インポート

①気象庁より7月19日11時44分発表の7月19日11時39分発生の地震の震央と震度分布図(東北南部から関東周辺中心)です。気象庁HPより引用。

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7月19日11時39分頃、震源地は福島県沖 ( 北緯37.5°、東経142.5°、牡鹿半島の南東120km付近)で震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は6.6と推定される強い地震がありました。

この地震で、宮城県内、福島県内、栃木県内の一部で震度4を観測したほか、青森県から山梨県の広範囲で、震度3を観測しました。

この地震の発生直後、気象庁より、福島県沿岸に津波注意報が発表されましたが、目だった津波は押し寄せず、ほっと一安心と言ったところでしょうか。

この地震は、東北地方や関東地方が載っている北米プレートの下に沈み込む、太平洋プレートとの境界部分で発生した地震(プレート間地震)であると推定されます。来るべき宮城県沖地震や東海沖地震などと同じタイプの地震ですね。

今回の地震のようなプレート間地震は、陸地から比較的離れた海上で発生しますので、仮に最大震度が5弱以上と推定されれば、緊急地震速報が有効に出されやすい反面、比較的長い周期の地震波を発生させやすく、(特に表面波と言われる、地表面を伝わる地震波も発生しやすいものです。)、ユサユサと比較的ゆったりとした揺れとなり、関東平野や大阪平野、濃尾平野など、地形的に、鍋の底のようになっている基盤の上にやわらかい地層が多く堆積している箇所では、震源地から比較的離れていても揺れが大きくなると言う特性があります。今回も、震源地から250キロ以上離れている東京都内羽田空港や山梨県忍野村でも震度3を観測しています。

さて、19日は、気象庁より、東北地方、関東甲信、東海、北陸まで梅雨明けの発表となりました。

②7月19日12時の天気図

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ところで、気象庁では、梅雨明けの発表基準は、どのようにしているか皆さん、ご存知でしょうか?本ブログでも、読者の皆さんから、メアドへ投稿いただいているのですが。

答えは、厳密な基準はありません。各地域の担当予報官の主観も入ってしまうことも多いものです。梅雨入りの基準も同様です。ですので、本年もそうでしたが、梅雨入りや梅雨明けは、沖縄から東北まで、南から北へすんなりと移動していかないこともあります。

梅雨入りや梅雨明けはどういう基準か? 答えは、つゆ知らず です。?????


本州各地で大気不安定 強雨や雷などに注意!

2008-07-14 11:01:01 | インポート

①7月14日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月14日9時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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梅雨も末期を迎えて、上空には寒気も流れ込み、各地で雷を伴なった強い雨が降りやすくなっています。ここ1週間の間は、日本列島のどこかに、大雨に関する警報が発表されるという状態が続いています。

この時期、梅雨前線の位置が天気図上で何処にあるが?が関心を引くところですが、私自身、本ブログで依然お話しましたように、

<1>梅雨前線に限らず、前線と言うもの、厳密に線として捉えるのではなく、帯として捉えること。(前線の伴う降水域は、帯状に連なるもの。)

<2>前線に向かって南からの暖湿流がどの方向から流れ込んでくるか?その度合いは?に留意すること(暖湿流の流れ込んでくる方向からその風下方向に沿って、前記した前線に伴う降水域は、帯状に幾重にも連なるようになりますし、暖湿流の流れ込んでくる方向へ開いた山の斜面沿いや、湾の沿岸部に当たる地域では、地形的に地表付近で気流が収束しやすく、局地的に大雨となりやすい。夜間から朝方にかけてその傾向が一層強まる。)

これらのことは、引用図①と引用図②を比較してご覧頂ければ、おのずと判ります。

14日は、南からの暖湿流が南西か西方向から本州上へ流れこんでくる様子ですね。

地形的に暖湿流の流れ込んでくる方向へ開いた山の斜面沿いにあたる、東北地方日本海側や北陸地方東部では、所々で強い雨が降っています。

④7月14日21時の予想天気図 気象庁HPより引用

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⑤7月15日21時の予想天気図 気象庁HPより引用

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引用図④⑤より、これから明日15日にかけて、中部地方や関東地方を南下(引用図⑤では天気図上で梅雨前線は消えていますが、梅雨前線というもの、地表付近では気温より湿度のコントラストの強い部分に表現されるものです。中部山岳周辺の地形的要因で、地表では梅雨前線がはっきり表現できなくなったためで、実際は、梅雨前線は引用図⑥では、中部地方から南東地方に存在していると考えるべきです。)する見込みですね。

こうなると、南からの暖湿流が、北陸地方から山陰地方では西より風となって、関東地方や東海地方、甲信越地方南部には南西風となって流れ込んでくることが予想されます。

となると、これらの地域では、暖湿流に流れ込んでくる方向へ開いた山の斜面や湾の沿岸部を中心に、明日にかけて、局地的に大雨となる恐れがあります!

14日日中も、本州上では、広範囲に大気が不安定ですから、短時間に強い雨や落雷などにもご用心ください!