カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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19日昼前 東北道宮城県内で地吹雪下での多重事故発生!原因の一つにこんな所に!

2021-01-20 03:07:56 | 日記
①1月19日11時50分頃発生した東北道宮城県内事故発生位置と周辺地図画像※+印が事故発生地点(国土地理院HPより引用加工)




1月19日、北日本東日本中心に冬型気圧配置が強まり、北海道や東北中心に風雪が強まりました。
この状況下、19日11時50分頃、宮城県大崎市内の東北道で、地吹雪による、強風伴った視界不良状態が発生、
延べ100台以上が関係する多重衝突事後が発生してしまいました。

引用図①より、事後発生地点は、宮城県北部、奥羽山脈の地形的鞍部の接する場所で発生しています

②1月19日12時の天気図 気象庁HPより引用


③1月19日 ⅰ;11時の東北地方南部周辺アメダス気温と風向風速分布図 ⅱ:12時の東北地方南部周辺アメダス気温と風向風速分布図
ともに気象庁HPより引用

ⅰ:




ⅱ:


事故発生当時の19日12時、北日本東日本中心に冬型気圧配置が強まり、事故発生地点の宮城県北部では、地形的特性も相まって、
西北西風が概ね10㍍毎秒以上と強まり、事後発生地点付近気温は概ね-2℃〜-4℃程度。11時より12時になって風速は増しています。

積雪下で、気温がより低く、風速がより大きくなると積雪が大気中に舞い上がる(吹雪)状態となりやすく、視界が悪化し
筆者自身の調べでは、積雪がある状態で概ね気温-3℃以下、風速が10㍍毎秒以上になると、視界が50㍍以下(高速道路の通行止め基準)
となります。事故当時、吹雪で高速道が通行止めになりつつある状態ではありました。

さらに

④1月19日6時〜12時~18時にかけての仙台における ウインドプロファイラー時間高度断面図 気象庁HPより引用




事故発生地点に隣接する、仙台でのウインドプロファイラーによる鉛直方向に気流の様子を見ると、地表付近では概ね下降流の場でありますが、
19日11時まで、上空3000㍍~4000㍍付近では、上昇流となっていました。相対的な暖気移流の場となったからです。
が、11時を境に、上空3000㍍~4000㍍付近でも、相対的な寒気移流の場となって下降流が顕著となるものの、11時30分頃になると、上空3000㍍付近で再び上昇流となり11時40分頃にかけて
上空2000㍍付近まで上昇流の場は拡大しました。その後、上昇流の場は再び衰え、12時10分頃には、地表付近から下降流の場となっていきました。

このように、上空3000㍍付近で上昇流の場と下降流とが時系列で混在していると、地表付近では気流は乱流するようになるもので、とりわけ、上空3000㍍付近で、上昇流の場から下降流の場に転じる
状況下で、風の息は一番荒くなりながら風速は強まり、最大瞬間風速を観測するようになります(筆者調べ)


19日におきましても、事故現場に隣接するアメダス古川で、11時56分に、最大瞬間風速27.8㍍毎秒を観測しております。

今回の多重事故、現場付近では地吹雪が発生する状況下となりつつあるところに、風の息が荒くなりながら強まったため、地吹雪が強まって視界をより一層悪化させたため。と思われます。

兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)から26年!改めて合掌!!

2021-01-17 01:51:17 | 日記
兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)から、本日で26年が経ちました。

この地震、神戸という大都市のほぼ直下で発生した直下型大地震で、神戸や淡路島を中心にした阪神地区に未曽有の大被害をもたらしました。が、いつまでも、防災上の観点から、この地震の特徴・教訓は語り継がなければなりません。

本日は、この立場から、本ブログで記した記事を抜粋し、兵庫県南部地震というものを語っていこうと思います。

以前、本ブログにて記述したように、この兵庫県南部地震、建造物にダメージを及ぼしやすい周期の地震波が卓越した地震ということでした。
今一度、平成23年3月に発生した東北地方太平洋沖地震での速度応答スペクトル図(任意の固有周期を持つ建造物が地震でどのようは速度を観測したかを図示したもの)
を引用図①(東京大学地震研究所HPより引用)をご覧ください 。




周期1秒以上の地震波が、木造家屋への影響が大きくなるもので、鉄筋や鉄骨建造物も同様です。それに、建造物の階数がより高くなると、影響を受けやすい地震波の周期は大きくなります。
さらに、速度応答スペクトルが周期1秒以上で200㌢毎秒以上になると、建造物に壊滅的な被害が生じるようになります。

ご覧のように、東北地方太平洋沖地震での築館、塩竃、日立では、応答速度が100㌢毎秒以上の固有周期は1秒以下なのに対して、兵庫県南部地震でも、神戸市中央区葺合と須磨区鷹取の速度応答スぺクトル値を見ると、
周期1秒以上で200㌢毎秒以上をなっております。故に、兵庫県南部地震では、建造物にダメージを及ぼしやすい地震波が卓越したといえるわけです。

さらに、昨年発生した熊本地震での、熊本県益城と熊本での速度応答スペクトル図(防災科学技術HPより引用)を引用図②で紹介しでみました。


◇4月14日21時26分発生

益城


熊本



◇4月16日1時25分発生

益城


熊本


ご覧のように、昨年の熊本地震(4月14日21時26分と 4月16日1時25分)においては、益城、熊本いずれも、周期1秒以上で速度100㌢毎秒以上、益城では、4月14日、4月16日双方発生の地震でも、
速度200㌢毎秒を観測した周期が1秒以上の周期に見受けられます。


よって、昨年の熊本地震でも、兵庫県南部地震ほどではないにせよ、建造物のダメージを及ぼしやすい地震波が卓越した地震であるといえるでしょう。


兵庫県南部地震や熊本地震のように、建造物にダメージを及ぼしやすい地震波はどのような地形やメカニズムにして発生するか?ですが、

Ⅰ:基盤の上に表土層が堆積している箇所(火山の近隣など)

Ⅱ:地震発生する地殻の破壊が、ドミノ崩しのごとく、連鎖的になっていた。

ことがあげられますね。



④兵庫県南部地震発生させた断層破壊プロセス図 国土地理院HPより引用


⑤兵庫県南部地震時の神戸海洋気象台(当時は神戸市中区山手)の地震波形・スペクトル図 気象庁HPより引用


引用図④より、兵庫県南部地震発生させた断層破壊プロセスは、大きな破壊は3つ※3つを細分して5つという説もあります。で、明石海峡→神戸市中央区沿岸→神戸市東部 と推定されて、これに対応して、
当時の神戸海洋気象台の地震波形。プロセス図より、大きな揺れの部分が3つあることがわかります。

さらに、⑤より、大きな揺れの部分は、地震波のS波到達とともに発生しており、さらに、当該大きな揺れの到達時に、東西方向、南北方向、上下方向とも顕著なっており、かつ、東西方向、南北方向の地震波成分の継続時間が上下方向よりも長くなっております。
これは、表面波が顕著になっていて、神戸市周辺の地形的特性(基盤が地震波が進んで来る方向に開いていて、斜面状になった基盤の上に相対的に柔らかい表土層が堆積している.震源から地中を地表に進んできた来た地震波(実体波)と地表に到達後地表を進む地震波および基盤に跳ね返って地表をそれまでとは逆に進んできた地震波相互が合流し増幅するものである。))を反映して、実体波S波の部分が上下方向に変化したことと、表面波のラヴ波が顕著になったことですが、まさに、前記、Ⅰ、Ⅱを如実に反映しているといえますね。


※大阪府や京都府も甚大な被害であった!!最後に未曾有の大被害をもたらした兵庫県南部地震ですが、京阪神地域(兵庫県、大阪府、京都府の被害状況について記しました、ご参考にしてください!(気象庁発刊、㍻9年兵庫県南部地震報告より、震度分布は気象庁、JR,各自治体、阪神高速道路公団発表地震加速度値より筆者が推定したもの)

<兵庫県>
※神戸市、淡路島北淡町、津名町、一宮町、宝塚市、芦屋市、西宮市の一部で震度7を観測

死者:6394名 行方不明:2名

負傷者 :(重傷)857名 (軽傷)31497名

全壊家屋:103934棟 半壊家屋:136096棟 一部損壊家屋:240030棟


<大阪府>
※大阪では公式発表震度は4であったが、現行の震度算出方式では計測震度4・55(現行では震度5弱)であった。大阪市、豊中市、池田市、吹田市の一部地域では、震度6弱以上を観測したものと推定される。

死者:30名 

負傷者:(重傷)175名 (軽傷)3414名

全壊家屋:895棟 半壊家屋:7221棟 一部損壊家屋:87879棟


<京都府>
※京都市の公式発表震度は5 現行では震度5強、京都市一部や亀岡市などの一部地域では局地的に、現行震度では震度6弱程度の揺れがあったものと推定される。

死者:1名

負傷者:(重傷)3名 (軽傷)46名

全壊・全焼家屋:3棟 半壊・半焼家屋:6棟 一部損壊家屋:2741棟




冬型気圧配置時 日本海等圧線袋型 突風にも要警戒!!(令和2年12月30日の事例より)

2021-01-16 01:52:20 | 日記
①令和2年12月30日の天気図 気象庁HPより引用



②令和2年12月30日12時の日本付近雲画像図(赤外)気象庁HPより引用



令和2年暮れ押し迫った12月30日、午前中に本州南岸を低気圧が発達しながら東北東に移動して、
本州付近は西から冬型気圧配置が強まってきました。が、日本海で等圧線が袋型に歪曲しており、
これは、この袋型に歪曲した箇所が低圧部となっていることを示すもので、当該、等圧線歪曲した箇所で、
雪雲(雨雲)が発達しやすくなります。

引用図②より、前記日本海の等圧線歪曲箇所には、冬型気圧配置に伴う雲は筋状に太くまとまり、強い降水をもたらす様相で、
当該、筋状雲を日本海西部で拡大すると、

③令和2年12月30日12時、13時の日本付近雲画像図(赤外)の日本海西部拡大版
ⅰ:12時 ⅱ:13時 ともに気象庁HPより引用

ⅰ:

ⅱ:

③ⅰ、ⅱより、日本海西部等圧線歪曲箇所を通過する帯状雨の中、雲の渦巻きがいくつが散見され、当該雲渦巻き形が勾玉型にはっきりしている
aに注目すると、a自体、30日12時~13時にかけて島根県隠岐の島から鳥取県沖をと
東進しております。

このaですが、東進しながら、隠岐の島や中国地方東部から近畿地方にかけての広範囲に突風をもたらしたのです。

④海上保安庁管轄 三度埼灯台(島根県隠岐の島)と 長尾鼻灯台(鳥取県)位置 国土地理院HPより引用



⑤12月30日3時25分〜15時25分までの三度埼灯台、長尾鼻灯台 の風向風速時系列図(30分毎)海上保安庁HPより引用
ⅰ:三度崎埼灯台


ⅱ:長尾鼻灯台


⑥12月30日3時25分〜15時25分までの三度埼灯台の気圧変化図(30分毎)海上保安庁HPより引用


⑦12月30日12時、13時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図
ⅰ:12時 ⅱ:13時 気象庁HPより引用

ⅰ:

ⅱ:


引用図⑤⑥⑦より、勾玉型aが三度埼と通過した12時25分、三度埼では西南西風35㍍毎秒(10分間平均)、
長尾鼻の北を通過した12時55分、長尾鼻灯台では西風26㍍毎秒(10分間平均)を観測、海上海岸部での
瞬間最大風速は、10分間平均最大風速のおおむね1.3倍という経験則に当てはめれば、三度埼から長尾鼻
にかけて、aの通過に伴って、40㍍毎秒~45㍍毎秒もの、強い台風並みの猛烈な暴風が吹いたと推定されます。

さらに、a が12時25分頃直上を通過したとみられる三度埼では、30分間で気圧が5hPaも低下し、aがスケールの小さい低気圧であることがわかります

この、a のような、渦巻き状雲集団を、メソサイクロン と呼ばれるもので、台風などの熱帯性低気圧と同様に、螺旋状に幾重にも連なる雲を伴って形成されています。で、とりわけ、上空1000㍍~3000㍍の強風域に当該メソサイクロンの、螺旋状雲が幾重にも分布するもので、当該メソサイクロン付近の上空3000㍍~4000㍍付近の風速値をメソサイクロン通過時に瞬間風速としてもたらすポテンシャルがあると言えます。とりわけ、メソサイクロンを形成する螺旋状雲の外縁部で強風を観測しております。(筆者調べ)

引用図⑦より、今回のメソサイクロンが通過した日本海西部〜西日本の上空3000㍍付近では、風速40㍍毎秒以上になっている
ことがわかりますよね。

30日は、この、メソサイクロンaの東進に伴い、すぐ南側に入った中国地方東部や近畿地方中西部にかけて、あちこちで瞬間で30㍍毎秒を超える突風を観測!JR山陽新幹線や山陽本線などで一時列車運行がストップするなど、西日本の交通は混乱しました。