カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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関東地方、甲信越地方南部中心にして大雪!降雪分布を細かくみると・・・・・(1月22日の事例より)

2018-01-31 01:39:18 | 日記
①1月22日18時の天気図 気象庁HPより引用



1月22日は、低気圧が発達しながら本州の南岸を東北東へ進み(南岸低気圧)、低気圧が北から寒気を引っ張り混んだため、
普段、降雪になりにくい、関東地方や甲信越地方中心に大雪となりました。

関東地方各地の積雪ですが(22日24時までの24時間降雪量)

奥日光 30㌢

前橋  29㌢

宇都宮 27㌢

東京  23㌢

水戸  19㌢

横浜  18㌢

つくば 16㌢

千葉  10㌢


東京では、平成26年2月14日以来の降雪20㌢以上となりました。

②1月22日24時までの、関東地方周辺の各観測地点での、24時間降水量日最大値画像 気象庁HPより引用


③1月22日15時、18時、21時の アメダス関東周辺風向風速分布図 気象庁HPより引用
15時:
18時:
21時:

④1月22日15時、18時、21時の 全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用
15時:
18時:
21時:



引用図②より、
22日、日降水量が20㍉以上と比較的まとまった地域を見ると、ア:千葉県太平洋沿岸〜茨城県鹿行地域南部と、イ:神奈川県箱根周辺、ウ:山梨県富士五湖地域に見られるほか、エ:東京23区~東京多摩地区東部、神奈川県相模原地区周辺にも見られますが、

引用図③④より

アは、低気圧接近通過に伴って、海上からの気団と関東平野の気流とが収束したため 

イ,ウは、下層(上空1000㍍以下)の気流が山の斜面に衝突し、気流が強制上昇したため

エは、下層(上空1000㍍以下)の気流の流れの水平方向でコントラストが大きくなったため


さらに、これら ア、イ、ウ、エ は

⑤1月22日15時、18時、21時の 関東周辺推計気象分布図(天気)気象庁HPより引用
15時:
18時:
21時:


⑥1月22日15時、18時、21時の 関東周辺推計気象分布図(気温)気象庁HPより引用
15時:
18時:
21時:


引用図⑤⑥より、

アは 概ね雨かみぞれで 気温2℃以上で推移していますが、イ、ウ、エ は 概ね雪 気温は0℃以下で推移したことと、引用図③より、18時以降、関東地方の水戸と勝浦上空1000㍍の風向風速は概ね北東風で風速10㍍毎秒以上と強まっています。低気圧接近に伴って、北からの下層寒気の流入が一層強まっていることを示すもので、その証左として、引用図⑥より、18時以降、関東平野(特に南部)で気温の下降が顕著で、東京都心でも、18時以降、0℃あるいは氷点下の気温となっています。

このように下層寒気の流入が強まったことと、前記ア、イ、ウ、エ の気象特性が加味された点、22日の大雪の特徴といえるでしょう。

風化してはならない!兵庫県南部地震発生から23年!

2018-01-17 01:15:00 | 日記
兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)から、本日で23年が経ちました。

この地震、神戸という大都市のほぼ直下で発生した直下型大地震で、神戸や淡路島を中心にした阪神地区に未曽有の大被害をもたらしました。が、いつまでも、防災上の観点から、この地震の特徴・教訓は語り継がなければなりません。

本日は、この立場から、本ブログで記した記事を抜粋し、兵庫県南部地震というものを語っていこうと思います。

以前、本ブログにて記述したように、この兵庫県南部地震、建造物にダメージを及ぼしやすい周期の地震波が卓越した地震ということでした。
今一度、平成23年3月に発生した東北地方太平洋沖地震での速度応答スペクトル図(任意の固有周期を持つ建造物が地震でどのようは速度を観測したかを図示したもの)
を引用図①(東京大学地震研究所HPより引用)をご覧ください 。




周期1秒以上の地震波が、木造家屋への影響が大きくなるもので、鉄筋や鉄骨建造物も同様です。それに、建造物の階数がより高くなると、影響を受けやすい地震波の周期は大きくなります。
さらに、速度応答スペクトルが周期1秒以上で200㌢毎秒以上になると、建造物に壊滅的な被害が生じるようになります。

ご覧のように、東北地方太平洋沖地震での築館、塩竃、日立では、応答速度が100㌢毎秒以上の固有周期は1秒以下なのに対して、兵庫県南部地震でも、神戸市中央区葺合と須磨区鷹取の速度応答スぺクトル値を見ると、
周期1秒以上で200㌢毎秒以上をなっております。故に、兵庫県南部地震では、建造物にダメージを及ぼしやすい地震波が卓越したといえるわけです。

さらに、昨年発生した熊本地震での、熊本県益城と熊本での速度応答スペクトル図(防災科学技術HPより引用)を引用図②で紹介しでみました。


◇4月14日21時26分発生

益城


熊本



◇4月16日1時25分発生

益城


熊本


ご覧のように、昨年の熊本地震(4月14日21時26分と 4月16日1時25分)においては、益城、熊本いずれも、周期1秒以上で速度100㌢毎秒以上、益城では、4月14日、4月16日双方発生の地震でも、
速度200㌢毎秒を観測した周期が1秒以上の周期に見受けられます。


よって、昨年の熊本地震でも、兵庫県南部地震ほどではないにせよ、建造物のダメージを及ぼしやすい地震波が卓越した地震であるといえるでしょう。


兵庫県南部地震や熊本地震のように、建造物にダメージを及ぼしやすい地震波はどのような地形やメカニズムにして発生するか?ですが、

Ⅰ:基盤の上に表土層が堆積している箇所(火山の近隣など)

Ⅱ:地震発生する地殻の破壊が、ドミノ崩しのごとく、連鎖的になっていた。

ことがあげられますね。



※大阪府や京都府も甚大な被害であった!!最後に未曾有の大被害をもたらした兵庫県南部地震ですが、京阪神地域(兵庫県、大阪府、京都府の被害状況について記しました、ご参考にしてください!(気象庁発刊、㍻9年兵庫県南部地震報告より、震度分布は気象庁、JR,各自治体、阪神高速道路公団発表地震加速度値より筆者が推定したもの)

<兵庫県>
※神戸市、淡路島北淡町、津名町、一宮町、宝塚市、芦屋市、西宮市の一部で震度7を観測

死者:6394名 行方不明:2名

負傷者 :(重傷)857名 (軽傷)31497名

全壊家屋:103934棟 半壊家屋:136096棟 一部損壊家屋:240030棟


<大阪府>
※大阪では公式発表震度は4であったが、現行の震度算出方式では計測震度4・55(現行では震度5弱)であった。大阪市、豊中市、池田市、吹田市の一部地域では、震度6弱以上を観測したものと推定される。

死者:30名 

負傷者:(重傷)175名 (軽傷)3414名

全壊家屋:895棟 半壊家屋:7221棟 一部損壊家屋:87879棟


<京都府>
※京都市の公式発表震度は5 現行では震度5強、京都市一部や亀岡市などの一部地域では局地的に、現行震度では震度6弱程度の揺れがあったものと推定される。

死者:1名

負傷者:(重傷)3名 (軽傷)46名

全壊・全焼家屋:3棟 半壊・半焼家屋:6棟 一部損壊家屋:2741棟




冬型気圧配置時の日本海上の帯状雲(日本海寒帯気団収束帯 JPCZ ) 寒気と朝鮮半島と中層の上昇流域をもが発生要因

2018-01-15 00:58:26 | 日記
①1月12日3時の天気図 気象庁HPより引用



②1月12日3時の
ⅰ:日本付近赤外画像図 高知大学HPより引用


ⅱ:日本付近水蒸気画像図 高知大学HPより引用



                 ↓
③1月12日15時の日本付近赤外画像図 高知大学HPより引用



1月9日、低気圧が北海道付近に進んで発達したあと、本州付近上空には、波状的に北極からの強い寒気が流れ込んで、本州日本海側ではまとまった雪と、各地で凍てつく寒さに見舞われました。

特に、1月11日から12日にかけて、引用図②でわかるように、日本海北西部から日本海中部、および、北陸地方にはひときわ白く輝く帯状の画像域(発達した積乱雲の集団です。)が見られて、この帯状雲がかかった北陸地方では、平野部中心に記録的な大雪となり、新潟市内では、12日6時までの24時間に73㌢の降雪量を観測!12日、日中以降、当該、日本海中部〜北陸地方にかけてかかる帯状雲は、やや弱まりながらゆっくりと南下したため、12日、日中以降、記録的な大雪の範囲は北陸中部〜西部、近畿北部へと移動して、12日18時までの24時間には、新潟県西部地域の能生で93㌢、金沢でも50㌢を超えました。

冬型の気圧配置時に出現する、こういった、帯状雲は、筋状雲が更に発達したもので、日本海寒帯気団収束帯 JPCZ と呼ばれるものです。(本記事内では、JPCZと呼びます。)

筋状雲同士、ハ の字型に合流して更に発達し、JPCZを形成するものですが、
この成因は、
ア:大陸からの季節風が、朝鮮半島の天白山脈などの、山地をいったん迂回し、その後、日本海で再度合流する性質を持つことと、

それにプラス、
イ:大陸から日本列島付近へ流れ込む寒気の勢力がより強いこと。

と 
ウ:寒気の流入の先端に分布する、中層(上空およそ3000㍍付近)の上昇流域が重なることで、
冬型季節風に伴う筋状雲が、JPCZへと発達するするとみられます。

ですので、前記、ア と イ と双方が顕著になるほど、帯状雲は発達して、帯状雲を形成する筋状雲同士の合流は、より対角線方向へ変化し、更に発達すると、JPCZ内には、渦巻き状の雲の集団も見られるようになります。

JPCZは、日本海上空1000㍍〜3000㍍の風向が

◇西寄り~北西風であると、日本海西部で北西〜ほぼ東西方向に分布

◇北西〜北北西方向であると、北西〜北北西方向に分布

して、日本海から本州付近へと流れ込む寒気の勢力が強く、日本海上空1000㍍〜3000㍍の風速が強まるほど、JPCZ自体の活動は強まるといえます。

また、JPCZ自体、複数発生する事例も多く見かけます。

概ね、日本海沿岸部の上空5500㍍付近で-35℃以下、日本海上空1000㍍〜3000㍍の風速が20㍍毎秒(10分間平均)であれば、JPCZがかかる日本海側の地域では、ほぼ大雪警報基準の降雪が見込まれて、
当該状況下で、日本海上空1000㍍〜3000㍍の風速が一層強まると、日本列島の脊梁山地の地形的鞍部から太平洋側の一部までも大雪となります。


また、JPCZの中では、発達視した積乱雲の集団ですので、竜巻や突風などの強風災害の発生しやすいことは勿論、JPCZの外縁部のあたる地域では、特に広範囲で強風
、海上では高波に見舞われます。この点も要注意!ですね。


④㍻29年1月24日12時の日本付近赤外画像図 高知大学HPより引用





このような、非常に発達したJPCZの影響で、引用図④で示すように、昨年1月15日に、京都で15㌢の降雪を観測し、同月22日~24日にかけて、鳥取周辺から近畿北部にかけて、記録的な大雪に見舞われたことは記憶に新しいところですし、22年前の㍻7年12月25日、日本海北西部から若狭湾周辺へと非常に発達したJPCZがかかった影響で、24時間降雪量が三重県四日市で53㌢、愛知県伊良湖岬で12㌢と、やはり、記録的な大雪を観測しています。