カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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3月30日から東京都内神田川でも洪水予報開始 でも 洪水ってこんな箇所で発生するもの!

2009-03-30 23:49:32 | インポート

本日3月30日より、気象庁予報部と東京都建設局合同で、東京都内神田川で、洪水予報が開始される運びとなりました。

神田川はじめ、石神井川や目黒川など、東京都内を流れる中小河川は改修が進み、氾濫が起こりにくくなりつつありますが、特に神田川は、河川幅が都内の他中小河川と比較すると狭く、うねうねと蛇行しながら流れていますので、氾濫の危険性は、他都内中小河川と比較すると高くなっているのも事実です。

予報の手順

①気象庁の1時間先までの雨量予測を基に→②東京都が水位の変動を予測して→③神田川が氾濫する恐れのあるときは、東京都を通じて、各報道機関、関係区市へ、洪水予報(氾濫危険情報・・・・・避難行動をとる目安となるもの を発表する と言うものです。

このように、3月30日開始の神田川洪水予報もさることながら、降水予報と言うと、河川の水位予報にウエートがかかっている(語弊承知で言いますけど)ように感じますが、実は、洪水の中には、内水氾濫 と呼ばれるものがあり、この、内水氾濫が、洪水被害原因の中でウエートが大きいものですね。

内水氾濫というのは→河川等に流れる下水道や各用水などが、流れ行く先の河川の水量が上がると、当該下水道や各用水に河川等の流水が逆流し、河川等の氾濫する以前に、当該河川等に流れる下水道や各用水が一足先に氾濫してしまう。と言うものです。

下水道や各用水等は、流量のキャパシテイーが小さいので、少しの増水でも氾濫しやすいものです。

他、洪水対策には、地形的・建造物の特性に留意することも看過することは出来ません。周囲より地底的に低くなっている箇所は降水の危険性が高く、当該箇所の面積が狭まるほど、短時間強雨で、あっという間に水が堪って被害を起こすようになります。

道路では、陸橋のアンダーパスになっている箇所は要注意!昨今、道路が鉄道と交差する箇所は、陸橋にして踏切をなくす箇所が多くなっていますが、このような箇所で、アンダーパスになっている部分は、大雨の際に、確実に水が出水するものとして対策を講ずるべきです。

これから、暖かくなるとともに、大雨に遭遇する機会が増えてきますが、以上の事項に留意されて、少しでも洪水の被害が軽減されることを祈ります。


関東地方や東北南部中心に太平洋側で山越えおろし風強まる 成田空港では強風で航空機横転炎上事故

2009-03-23 23:50:12 | インポート

①3月23日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月23日3時~9時までのウインドプロファイラー時間-高度断面図(勝浦) 気象庁HPより引用

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③3月23日3時~9時までのウインドプロファイラー時間-高度断面図(熊谷) 気象庁HPより引用

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④3月23日3時~9時までのウインドプロファイラー時間-高度断面図(水戸) 気象庁HPより引用

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3月23日は、低気圧が北海道の北と関東の東海上で発達し、本州付近は冬型気圧配置が一時的に強まりました。

ただ、上空の強い寒気の中心が沿海州から北海道の北を通過したため、東北南部日本海側や北陸地方では降雪(雨)が強まらなかったため、逆に太平洋側には、脊梁山地を吹き降りる山越えのおろし風の北西風(一部で北より風や西より風)が強まってしまう結果となりました。

最大瞬間風速が、福島県の白河で33・4m 栃木県の那須で28・8m 千葉県の千葉で27・6mと、台風並みの強い風を観測しました。

このため、東北地方や関東地方を中心に、鉄道など交通期間の運行ダイヤが乱れ、23日午前6時36分に、10分間の平均風速でも15・8mの大変強い風を観測した千葉県の成田国際空港では、23日6時48分頃、中国広州からの米国籍の貨物機が強風に煽られて着陸に失敗して、滑走路上で機体を2回バウンドさせた後横転炎上し、パイロット2人が死亡すると言った痛ましい事故が発生してしまいました。

今回の、この航空機事故、一番の原因は 強風 ですが、これに、山越えおろし風の方の特性と、成田国際空港の周辺の地底的特性も重なり合い、事故は発生したと言えます。

まず、引用図②③④をご覧ください。

23日3時から9時まで、勝浦、熊谷、水戸とも、上空1000m付近より下側のほうが、上空1000mより上側よ風速が強まっている様子がわかりますが、もうひとつ、上空3000m付近より下側では、下降流が卓越する時間帯と上昇流が卓越する時間帯と交互に現れています。(一番顕著なのは熊谷ですよね)

上空1000m付近より下側で風速が強まり、上空3000mより下側で下降流と上昇流とが交互に時間を置いて現れるのは、山越えおろし風が強まる際の典型的な気流のパターンなのです。

気流が脊梁山脈を越える際に、山頂付近の強風域を引きずりおろしますが、すんなりと、直線的な流れで強風域が引きずり下ろされるのではなく、蛇行気味に乱流しながら引きずり降りていくことを示すものです。そして、乱流気味に関東平野を吹き抜けるおろし風ですが、成田空港周辺の地形が、下総台地と、当該台地上を刻むようにして分布している谷底低地となっており、比較的に扁平な地形ではなく、この付近を吹き抜ける気流は、一層乱流の度合いを強めてしまうようになります。(この状態は下層乱気流と呼ばれるものです。)

事故当時の成田空港では、おそらく強風が上下方向、水平方向へと乱流しながら吹き荒れていたと推定され、事故機は、この乱流によって生じた低層ウインドシアー(空港付近での気流が風向や風速の不連続状態になっている箇所。このような箇所では、気流の密度がアンバランスとなっており、航空機が差し掛かると、航空機の揚力(空を浮く力)が減少して、操縦に支障をきたし、最悪の場合、操縦不能となってしまいます。)の為に、揚力を失って操縦不能となり、今回の事故に繫がったといえますね。

実は、成田国際空港は、国内の空港の中で、低層乱気流の発生頻度が一番高い空港(第2番目が福岡空港)なんですよね。成田空港では、これまでも何度か、低層乱気流によって、航空機事故が発生していることは事実なんですよ。


春にはつきもの 寒の戻りがやってくる

2009-03-22 23:59:38 | インポート

①3月22日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月23日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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③3月22日9時気象庁発表のFXFE5782図の24時間後予想図(上側・・・上空5500m付近の気温分布予想と上空3000m付近の湿数分布予想 下側・・・上空1500m付近の風向風速分布予想と上空3000m付近の鉛直方向の気流の動向予想) 日本気象予報士会HPより引用から加工 

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3月22日は、日本海を低気圧が急速に発達しながら東進したため、ほぼ全国的に、南~南西風が強まりました。

石川県の金沢では、最大瞬間風速が30・7mを観測し、伊豆諸島や四国の一部では、10分間の平均風速でも、最大で20mを超す、台風並みの非常に強い風を観測した箇所もあります。

また、ですが、鹿児島県の田代では1時間に77㎜と、猛烈な降水を観測したほか、鹿児島県内や岐阜県内、静岡県内ではあちこちで24時間の降水量が100㎜以上を観測しています。

またまた、春の嵐 見参ということでしたね。

気温はほぼ全国的に高めで、日本海側の一部では、5月のゴールデンウイークあたりの気温となった箇所もありました。

ただ、日本海で低気圧が発達した翌日は、決まったように、寒の戻りがやってきるものです。

引用図③より、3月23日も多聞にもれず、日本付近には大陸から寒気がやってくる予想(23日9時には、地上で降雪となる目安となる、上空1500m付近の-6℃の等温線は、本州中部まで南下してくる予想ですね。)ですから、日中、気温が上がらない箇所も多く、夜になると、各地で冷え込んできそうですね。

ただ、上空5500m付近の寒気の中心は、引用図③より、シベリアから北海道上空に進んできる予想で、本州中部上空では、寒気の中心から外れそうです。こうなりますと、北陸あたりでは、降雪となっても、量はさほどではない反面、東北南部から関東、甲信南部では、北西風が、脊梁山脈を越える際に、山越えのおろし風 を強まらせるようになります。

引用図③の下側より、上空3000m付近の下降流の指数が東北南部から中部地方上空で70以上、関東北部上空では 指数84が予想されており、風下側の東北南部沿岸から関東沖では上昇流が帯状に分布するものと予想されています。

これは、山越えのおろし風が強まる典型的なパターンですね。

よって、3月23日は、東北南部太平洋側から関東地方、それに甲信南部や東海地方南部では 山越えのおろし風(北西風、一部では北より風または西より風となるでしょう)の強風にはご用心!


東京で桜開花! だが 22日は桜には試練の天気

2009-03-21 23:52:06 | インポート

①3月21日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月22日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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③3月21日9時気象庁発表のFXJP854図(※上側左・・・21日21時 上側右・・・22日9時 下側左・・・22日21時 下側右・・・23日9時の日本付近上空1500m付近の相当温位分布と風向風速の予想図です。) いであHPより引用。

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3月21日は、気象庁より、東京(標本木は千代田区靖国神社内)で桜が開花した と発表がありました。平年より7日早く、昨年(3月22日に開花)と比較しても1日早い開花となりました。

これで、もうすぐ、満開の桜の木の下で宴ができると思うと・・・・・ニンマリしてきますね。(笑)

だが、今日開花した東京始め、関東以西の各地では、桜が開花した箇所も多いのですが、明日22日は、この桜にとって、満開を迎える前の、試練 とも言えそうな天気となりそうですね。

まず、引用図②より、22日9時には、日本海西部に前線を伴なった低気圧が発達しながら進んできて、この低気圧、さらに発達しながら22日21時には、北海道の西海上へ進むでしょう。(引用図③より)

更に、引用図②と引用図③より、22日9時と21時の予想では、寒冷前線(等温位線の混んでいる箇所)の予想位置より暖域側で、南西風と西より風とが強めに吹いて(おおむね、22日9時で50ノット以上、22日21時では60ノット~70ノット程度までに達しています。)合流し、この部分では相当温位がおおむね330K以上と特に高温多湿となっている様子が解りますね。

これは、暖湿流が南西方向と西方向から流れ込んで互いに合流して収束している様子(特に雨雲が発達しやすい箇所)を示しています。そうですね。スコールライン と呼ばれるものです

この、スコールラインは、22日午前中には西日本に達し、22日夜には東海地方から関東地方へとかかってきそうですね。

日本海で低気圧が発達する際には、関東平野では、地形的に雨雲が弱まってしまい、悪天にならないことも多いのですが、今回のように、低気圧の暖域に顕著なスコールラインが発生して、それが関東平野にかかる場合は別。当該スコールライン通過にあわせて雨量がまとまることも多く、関東平野内陸部に滞留する冷気との間に、沿岸前線が発生する箇所など、局地的に強い雨となるものです。

今回は、引用図③より、本州上を通過するスコールライン周辺の相当温位と風向風速分布予想より、関東以西の太平洋側中心に雨量がまとまり、特に、南側に開いた山の斜面にあたる地域では、大雨となる恐れがあります。

要注意地域としては、西から、九州西部や南部、四国南部や東部、京阪神地区など紀伊水道沿岸地域、それに、紀伊半島南部から東部や、岐阜県、静岡県や神奈川県西部なででしょうか。関東平野も、前記した、沿岸前線発生地域周辺では、局地的に強い雨が降りそうですから、ご用心ください!

また、風ですが、22日は、東北から九州までの広範囲で、所によって、暴風警報クラスの非常に強い風が吹きそうです。強風や海上の高波にも注意してください。!

さらに、気温が上がりますから、積雪の多い地域では、なだれ にもお気をつけて!


14日は東日本 北日本で大荒れの天気

2009-03-14 23:58:02 | インポート

①3月14日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月14日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③3月15日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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3月14日は、低気圧が急速に発達しながら日本海から北海道近海へと進んだため、東日本や北日本では大荒れの天気となってしまいました。

ですが、伊豆大島で最大瞬間風速31・4m 低気圧が北海道に接近した14日夕方には、八戸で最大瞬間風速33・3mと、猛烈な突風を観測したほか、東日本や北日本のあちこちで、瞬間最大風速25m以上、10分間の平均風速の最大でも15mを超えました。

も、静岡県の天城山で24時間降水量が146㎜を観測したほか、静岡県内では、軒並み24時間降水量が100㎜を超す大雨となりました。

引用図②より、当該低気圧通過後した後の日本海には、寒気の吹出しに伴う筋状雲が現れていますが、大陸から離れた箇所から現れていて、さほど勢力が強そうなものではなく、黄海では、当該 筋状雲の勢力は、日本海よりも弱めであることがわかります。さらに、本州の東海上から南西に延びる、寒冷前線に伴う雲の帯の様子をご覧いただきますと、南西方向へ行くほど、雲の帯は広がっていますが、画像がややぼやけてきており、寒冷前線としての活動は弱まりつつある状態ですね。

つまり、寒気の吹出しは一過性で、さほど強い寒気ではないことが読み取れますね。

ただ、このような、低気圧の通過後、寒気の吹出しの勢力が強くない場合は、北西風や西より風が北海道や本州の脊梁山脈を越える際に、山越えのおろし風が強まるもの。引用図③より、3月15日は、北日本では等圧線の幅がまだ狭まっており、北西風や西より風が強まりそうですが、特に、脊梁山脈の風下側では、山越えのおろし風の強風には注意が必要です!