カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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2つの冬型気圧配置、似ているようで似ていない。こんなとことが降雪分布の差の要因

2017-01-29 18:03:32 | 日記
1月15日と1月23日、本州付近で冬型気圧配置が強まり、上空に寒気も流れ込み、本州の日本海側の各地、軒並み大雪となりました。

この時の天気図 (気象庁HPより引用)をご覧いただきましょう。

Ⅰ:1月15日9時



Ⅱ:1月23日9時



大雪の中心は、1月15日は、東北〜北陸、近畿地方北部や中部、山陰地方中心で、24時間降雪量最大で、広島で19㌢、京都で14㌢と、近畿地方中部や中国地方瀬戸内側までまとまった降雪となりました。

一方、1月23日ですが、東北地方日本海側から北陸地方、近畿地方北部や 山陰地方中心で、とりわけ、滋賀県北部や京都府北部、鳥取県周辺で、
24時間降雪量が軒並み50㌢以上となり、 自動車道での車の立ち往生などの被害が出ました。

この、両日の降雪量の差の原因は?ですが、

まず、
Ⅰ:1月15日9時とⅡ:1月23日9時との 

ⅰ:ウインドプロファイラー風向風速分布図
ァ:レーダーアメダス解析雨量図
a:水蒸気雲画像情報図 (気象庁HPおよび高知大学HPより引用)

で比較してみましょう


ⅰ:

ァ:

a:



ⅰ:

ァ:

a:


両日とも、上空1000㍍付近の風向に沿って帯状降水域が分布しており、
とりわけ、水蒸気画像図上の、帯状の白輝域と合致する箇所で、当該高水域が一層強まっている様子がわかります。

このように、

冬型気圧配置時に伴う降水域というもの、上空3000㍍付近の上昇流域(水蒸気画像図上で白輝伊気で表現される地域)と合致して強められることがわかり、上空1000㍍付近の風向の走向に沿って分布することがわかります。
上空1000㍍付近の気流がたがいに合流している箇所あると、その箇所でが気流が収束している箇所ということで、降水域をより一層発達させるようになります。当該箇所では要注意ですね。!

1月15日の場合、水蒸気画像上の白輝域が、広島県周辺をまさに通過中であり、このため、広島では、15日午前中に、2時間で10㌢を超す
非常に強い降雪となり、総降雪量が19㌢に達しました。

1月23日の場合、若狭湾周辺から山陰沖で、北西風と西北西風とが合流しており、近畿北部から鳥取県周辺で記録的大雪となったというわけです。



兵庫県南部地震発生から22年!昨年の熊本地震が似た特性を。

2017-01-17 02:24:06 | 日記
兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)から、本日で22年が経ちました。

以前、本ブログにて記述したように、この兵庫県南部地震、建造物にダメージを及ぼしやすい周期の地震波が卓越した地震ということでした。
今一度、平成23年3月に発生した東北地方太平洋沖地震での速度応答スペクトル図(任意の固有周期を持つ建造物が地震でどのようは速度を観測したかを図示したもの)
を引用図①(東京大学地震研究所HPより引用)をご覧ください 。




周期1秒以上の地震波が、木造家屋への影響が大きくなるもので、鉄筋や鉄骨建造物も同様です。それに、建造物の階数がより高くなると、影響を受けやすい地震波の周期は大きくなります。
さらに、速度応答スペクトルが周期1秒以上で200㌢毎秒以上になると、建造物に壊滅的な被害が生じるようになります。

ご覧のように、東北地方太平洋沖地震での築館、塩竃、日立では、応答速度が100㌢毎秒以上の固有周期は1秒以下なのに対して、兵庫県南部地震でも、神戸市中央区葺合と須磨区鷹取の速度応答スぺクトル値を見ると、
周期1秒以上で200㌢毎秒以上をなっております。故に、兵庫県南部地震では、建造物にダメージを及ぼしやすい地震波が卓越したといえるわけです。

さらに、昨年発生した熊本地震での、熊本県益城と熊本での速度応答スペクトル図(防災科学技術HPより引用)を引用図②で紹介しでみました。


◇4月14日21時26分発生

益城


熊本



◇4月16日1時25分発生

益城


熊本


ご覧のように、昨年の熊本地震(4月14日21時26分と 4月16日1時25分)においては、益城、熊本いずれも、周期1秒以上で速度100㌢毎秒以上、益城では、4月14日、4月16日双方発生の地震でも、
速度200㌢毎秒を観測した周期が1秒以上の周期に見受けられます。


よって、昨年の熊本地震でも、兵庫県南部地震ほどではないにせよ、建造物のダメージを及ぼしやすい地震波が卓越した地震であるといえるでしょう。


兵庫県南部地震や熊本地震のように、建造物にダメージを及ぼしやすい地震波はどのような地形やメカニズムにてはっせいするか?ですが、

Ⅰ:基盤の上に表土層が堆積している箇所(火山の近隣など)

Ⅱ:地震発生する地殻の破壊が、ドミノ崩しのごとく、連鎖的になっていた。

ことがあげられますね。