カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
講演依頼等連絡先は、tenki@air.ocn.ne.jpへどうぞ

東北のぞいて梅雨明け

2006-07-30 16:32:36 | インポート

06073012 引用図は7月30日12時の天気図です。気象庁HPより引用。

気象庁は、今日30日、関東から九州北部までの地域で、梅雨があけたとみられるとの発表(俗に言う梅雨明け宣言)がありました。

これで、梅雨がある地域では、東北地方だけをのぞき、全ての地域で梅雨が明けたわけです。

梅雨明けには2つのパターンがあります。①南の太平洋高気圧の勢力が増して、梅雨前線を押しあげて梅雨明けとなるもの と ②梅雨前線の活動が弱まり、天気図上から梅雨前線が消滅して梅雨明けとなるもの との2種類あります。

本年は、どのパターンか?それがもうお解かりですよね。前記の②のパターンです。引用図の天気図を見てわかるように、天気図上から梅雨前線は消えています。もうひとつ、気象庁HPより引用の、30日12時の雲画像図(赤外)を見ても、梅雨前線は本州上にその残骸と言えるべき雲はほとんとありません。

20060730120000

ただ、この雲画像図をみると、大陸から日本のすぐ北側にかけて、大きな雲の集団がいくつか見られます。と言うことは、大陸から日本のすぐ北側では、偏西風が蛇行している様子を示していますね。

日本のすぐ北側で偏西風が蛇行していると、北日本中心にして上空に寒気が入りこみやすく、本州付近では大気が不安定になり、にわか雨や雷が発生しやすくなります。

まあ、梅雨明けと言っても、本年は、前記のような日本のすぐ北側で偏西風が蛇行している状態であるかぎり、本州各地とも、にわか雨や雷の多い、不安定な空模様が起こりやすいと言えそうです。


いつまで梅雨?

2006-07-26 09:53:10 | インポート

06072606 引用図は7月26日6時の天気図です。気象庁HPより引用。

25日後半から梅雨前線の活動はいったん(と言っておきましょう)弱まり、各地の雨も小康状態となりました。

本当に、本年の梅雨前線は活動が活発で、7月4日以来昨日25日まで、梅雨前線の影響で全国のどこかに大雨警報が発表されていたほどです。

さて、今後の梅雨前線の活動はどうなるでしょうか?

梅雨が長引いている原因ですが、日本付近を取り巻く偏西風が、北の寒気の流れ込みが強くいため蛇行し、この寒気が太平洋高気圧と押しあいへしあいをしている状態が続いているためであると言えます。

現に、引用図にはありませんが、大陸から北海道の北をみると、上空の気流が蛇行していますからね。

そして、前記引用図より日本の南海上の海水温が例年より高いために、フイリピンの東海上から東南アジア方面まで対流活動が盛んな様子がわかります。この様子を、昨日25日8時(左側)と今日26日8時(右側)の太平洋北西部の雲画像図を引用(気象庁HPより)しましたので、ご覧ください。

20060725080000 20060726080000

これらの図より、東南アジア方面からフイリピンのはるか東側の北緯160度線付近まで、延々と対流活動が盛んなために発生した、白く輝いた雲の列でびっしりですね。

よって、本年は、夏の主役である太平洋高気圧は、日本の南海上ではその勢力は弱くないと言えますね、梅雨が鼻引いている原因は、北からの寒気の勢力が強いためです。

そろそろ梅雨明けは?と言う時期でしょうが、大陸や日本の北側の上空の気流の流れの動向には目が離せませんね。ここの地域で気流が南北流が顕著な限り、本州の梅雨明けはないのでは と私は思います。


梅雨前線活発!関東や中部中心に大雨。

2006-07-19 23:24:04 | インポート

06071909 引用図は7月19日9時の天気図です。気象庁HPより引用。

梅雨末期を迎え、各地で大雨の降る時期となっていますが、18日より、関東や中部地方を中心に激しい雨となりました。

天竜川や千曲川、犀川には、一時、水防法にもとずく洪水警報が発表されたりして、長野県中心に、土砂崩れなどで、19日18時現在、亡くなった方が10名を超えてしまいました。

この大雨で、罹災した方々には謹んでお見舞いを申し上げます。

この大雨は、梅雨前線が本州上に停滞して活動が活発となったところへ、梅雨前線上を小さな低気圧が東進したためですが、梅雨前線に向かって西から南西の非常に湿った気流が吹き付けています。このため、南西から西よりに開いた斜面沿い(神奈川県箱根付近や山梨県西部や北部、長野県中部から南部、それに、群馬県北部吾妻地方など)で、雨量が多くなりました。

このように、梅雨前線にともなう雨で、特に雨量がまとまる地域は、当該梅雨前線の位置と、前線に吹き込む暖湿流の流れ込む方向や、その量によって左右されますが、梅雨前線上を進む小さな低気圧の動向にも目が離せません。

一般に、梅雨前線上を低気圧が東進する場合、当該低気圧の前面から、その低気圧が通過するまで特に梅雨前線の活動は活発になります。この部分がかかる時期が特に大雨に警戒が必要ですね。そして、その低気圧が通過した地域では、梅雨前線はいったん活動が小康状態となり、梅雨前線の位置もやや南下するものです。

ただ、梅雨前線が活動が小康状態となり、位置も南下しても、これまで降った多量の雨による、土砂災害や洪水などには手抜かりなく!


意外に知られていない台風の素性についてPART2

2006-07-17 23:10:47 | インポート

※PART1より続きます。

次に、台風の中心付近の最大風速ですが、PART1で、気象衛星からの測定で算出する言いましたが、それゆえ、特に上陸後は、台風の目も小さくなりぼやけてくることも多く、地形的の影響も加わり、気象衛星からの最大風速の算出に誤差が生じるようになります。

ただ、ある一定の強さの台風が、陸地に上陸すると、上陸後、中心付近では予想以上の猛烈な暴風に見舞われることがあります。目安として、台風が中型以下で、中心付近の最低気圧が上陸前に960hpa 台以下の場合、要注意と言えます。

これは、台風は円運動をするのですが、この台風の中心が陸地に上陸すると陸地の摩擦のため小さくなります。このため、台風の中心付近では、角速度保存の法則により、中心の渦は小さくなるとともに、渦の速さはかえって早くなってしまう(風速が増大する)ことになるからです。もっとも、そのまま、台風が陸地の摩擦力にさらされると、次第に衰えてきますが。勢力の強い台風で、大きさが中型以下であるほど、前記した角速度保存の法則が中心付近に働きやすい傾向があるからですね。

台風は、大きさもさることながら、その強さ(中心付近の最低気圧や最大風速)の方に中着目するべきでは、と思っています。

まさに、このような台風は、山椒は小粒でピリッと辛い ものが要注意ですね。こんな台風は、台風接近とともに急激に猛烈な暴風雨となりますしね。


意外に知られていない台風の素性についてPART1

2006-07-13 23:55:28 | インポート

0604_3 引用図は7月13日22時の台風4号進路予想図です。気象庁HPより引用。

台風4号は13日日中に先島諸島を通過して、13日22時には、与那国島の北に進んでいます。

よく、台風情報で、台風の中心付近気圧や最大風速、風速25メートル以上の暴風域、また、風速15メートル以上の強風域と言う文言を耳にしたことがあると思いますが、これらは、どのように算出しているのでしょうか?

答えは、地球の上空にある気象衛星から、台風の雲の形を写し、当該台風の雲の形とアメリカのハリケーンの中心付近の最低気圧との解析事例(ドボラック法と呼んでいるものです。)に当てはめて、中心付近の最低気圧を導くものです。

さらに、中心付近の最大風速や、風速25メートル以上の暴風域、風速15メートル以上の強風域は、気象衛星から台風を取り巻く雲の移動速度から風速を割り出しています。

台風の中心位置は、これはもう言うまでもありません。気象衛星から位置を測定しています。

このように、台風の位置、強さは、台風の上空からの気象衛星で測定してますので、実は、少々誤差はつき物。しょうがないことです。台風情報を活用する際には、この点注意し、台風の推定位置、風速など、ガチガチに捉えないようにしましょう。

まず、台風の中心付近の最大風速、暴風域、強風域ですが、台風自体の移動速度が比較的速い場合、台風の進行方向右側から後方の広い範囲に偏って強い風の区域があり、実際の台風情報の発表される風速値より、強い風速になるものです。

さらに、秋の台風に多いものですが、台風の左側に、上空の気圧の谷が接近して、冷たい空気が流れこむようになると(台風が温帯化するとも言いますね)、当該台風は、進行方向左側でも広範囲で、強い風が吹くようになります。このような状態の場合、雲画像で台風を見ると、台風特有の螺旋形の雲の形ではなく、当該台風の進行方向左側の雲が途切れていたり、温帯低気圧のように、勾玉系や、久形の雲の形になっています。

さらに、台風が温帯化すると、台風自体の移動速度を速めるものも多く、そのような台風は、雲の形は、台風の後方が広範囲に雲がとぎれるようになります。

よって、台風は、温帯化した台風ほど、強風には広範囲で警戒が必要。と言えるでしょう。

※PART2へ続く