カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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北日本日本海側中心に大雪 仙台でも降雪6cm 

2008-12-31 14:44:27 | インポート

①12月31日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月31日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③12月31日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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④1月1日21時の予想天気図 気象庁HPより引用

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大晦日の今日は、冬型気圧配置が強まり、本州付近(北日本中心ですけど)上空に強い寒気、(引用図は割愛ですが31日9時現在、上空5500m付近で-36℃の等温線が東北地方上空から北海道上空にかかっています。)が流れ込みました。また、(引用図は割愛)31日9時現在、北日本上空1000mより上空では北西風がおおむね20m以上と大変強まっています。

このため、北日本や東日本の日本海側を中心に大雪となり、飛行場大雪警報が出された新千歳空港では、31日午前中だけで20cmを超す降雪となり、31日10時現在、滑走路等の除雪が追いつかず、閉鎖されているとのことです。

また、東北地方では、岩手県内陸部や宮城県平野、それに、福島県中通り方面にも、奥羽山脈の鞍部を雪雲が越えて流れ込み、福島県中通りや宮城県の平野部でも、所によって24時間降雪量が15cmを越えた箇所もあり、冬型で降雪が比較的少ない仙台でも、31日午前中、最高で6cmの降雪を観測しました。

引用図②の上側の網掛け部分が(上空5500m付近の正渦度移流域)に注目です。31日9時現在、上空5500m付近の正渦度移流域が帯状に顕著になった部分が、北海道石狩平野付近と東北地方秋田県と山形県境付近から宮城県付近へ広がっていますが、当該、帯状に正渦度移流域が顕著になった部分で、引用図③より、冬型気圧配置に伴う筋状雲が帯状に強まっている様子が解りますね。

本ブログで12月26日の記事でも紹介しましたように、冬型気圧配置に伴う筋状雲

<1>筋状雲の走向は →上空1500m~3000mにかけての風向の合成方向へ分布する。当該部分の風速が増大するほど、筋状雲は遠距離に分布する。

<2>筋状雲が分布する範囲→Ⅰ・上空寒気が強いほど  Ⅱ・上空5500m付近の正渦度移流域が顕著なほど Ⅲ・地表の気流同士の収束があったりして、上空2000m付近より下側で、気流の鉛直シアーが大きい地域ほど 筋状雲は雲の活動が活発化し、帯状雲にも形を変えてきます。

と言う所以ですね。

さて、31日夜より1日朝にかけては、全国的に冷え込みそうですから、初詣には暖かくしてお出かけを!その後、引用図④より元日1月1日も、日本付近は冬型気圧配置が続くでしょう。引用図にはありませんが、明日1月1日夜には、上空5500m付近の正渦度移流域が西日本へかかってきそうですね。こうなると、1日夜以降、京都盆地や大阪平野、それに神戸市内周辺でも降雪となる恐れがあります。

※本ブログをご覧の皆様へ。

本年1年、いろいろお世話になりました。本年も、本ブログご覧になった、防災関係等や航空関係、さらには、百貨店関係の方々より、講演会等の引き合いを昨年よりも一層、御引き合い頂き、誠にありがとうございました。

私自身、本ブログを通じての私自身の気象に対するポリシーが段々と、一般の皆様に受け入れられつつあることを、本当に嬉しく感じます。ありがとうございました。

昨今の気象情報では、気象キャスターがタレント化し、その放送内容も、気象庁さんの解説をそのまま横流しするだけの解説が多くなってしまったのは事実です。大変憂慮するべきことですよね。

来る2009年も、本ブログでは、気象や地震、火山など、局地性の部分を重視して、皆様に役立つ情報を記事にしておく所存です。

それでは、皆さん、良いお年を!


北日本の大荒れ天気は続く だか今日まで

2008-12-28 23:40:36 | インポート

①12月28日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月28日15時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③12月29日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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12月28日も、オホーツク海に発達した低気圧が居座り、北日本では等圧線の幅が混み、大荒れの天気が続きました。

北海道のえりも岬で40・3m 山形県の飛島で33・5mの最大瞬間風速を観測したほか、10分間の最大風速でも、北海道から東北地方の広範囲にわたって、20mを超えた箇所が散見しました。

引用図②より、オホーツク海の低気圧に伴う雲の渦巻きが北日本周辺にかかっていますが、その中で、日本海北部から東北地方北部にかけてと、もうひとつ、中国大陸東北部から日本海中部にかけて雲の帯が現れていますが、これは、上空5500m付近の正渦度移流流域に対応するもので、こういう雲の帯の両端で、特に風が強まりやすいものですね。

ただ、引用図③より、北日本の大荒れの天気も今日一杯まででしょう。引用図③より、オホーツク海の低気圧が次第に衰え、北日本の等圧線の幅も、今日と比較すると広がる予想です。ようやく北日本もほっと息つきそうですよね。


北日本を中心に強い冬型続く 雪の降り方は局地性が大変強いもの

2008-12-27 23:59:22 | インポート

①12月27日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月27日15時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③12月28日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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12月27日も、北日本中心に強い冬型気圧配置が続きました。

引用図②より、昨日記事の引用図②と見比べてみると、冬型気圧配置に伴う筋状雲の大陸からの離岸距離は本日27日になると、より長くなっており、上空寒気も次第に衰えつつあることを示していますが、北日本では等圧線の幅が大変混んでおり、各地で非常に強い風が吹きました。

最大瞬間風速は、北海道の羅臼で38・1m 同じく北海道の襟裳岬で34・9m 山形県飛島で30・4mを観測したほか、10分間の最大風速でも、北海道の羅臼、襟裳岬や山形県の飛島、それに伊豆諸島の神津島で20mを超えています。

引用図①より、オホーツク海の発達した低気圧は南西方向へ移動していますが、低気圧は、発達して、移動方向が停滞したり、南西~北西方向に移動したりする進路を取っている場合は、上空の気流が低気圧の等圧線に沿って流れている証拠で、当該低気圧自体、ほぼ同位置に停滞気味となるものです。

引用図③より、あす12月28日も、オホーツク海に発達した低気圧が居座り、北日本では等圧線の幅が本日27日とほぼ同程度狭まりそうですね。

そして、引用図にはありませんが、27日夜半から28日にかけて、東北地方(特に津7ガル海峡から青森県周辺を中心として)が、上空5500m付近の正渦度域に入る予想です。こうなると、青森県周辺では降雪が強まりますし、北海道のみならず、低気圧から比較的離れた東北地方や北陸地方東部などでも、風(北西~西よりですが)がことのほか強まることが考えられますね。非常に強い風や海上の高波にはくれぐれもご用心ください!

また、明日28日も、北日本や北陸の山間部を中心に降雪となりますが、雪の積もり方と言うもの、非常に局地性が強いものなのです。これは、雪の密度が、気温が低下するほど高くなる性質があることと、我々の住む日本列島の地形が複雑で、総じて急峻な地形であることに所以します。地形的要因で、局地的に気流同士が互いに収束したり、上昇したりしやすく、ここのことに伴って、雪雲も、局地的に強まったりすることが多くなるからです。

局地性が強い雪の積もり方の一例として、本日27日9時現在、滋賀県内の名神高速道路の彦根ICでは、積雪1cmとのことでしたが、直線距離でおよそ15km  (南南西方向)しか離れていない、同じ名神高速道路の八日市ICでは、積雪37cm(27日未明~明け方にはおよそ40cmを超えていたと推定されます。)を観測しています。※ユキイロComより情報入手

高速道路網が全国津々浦々発達した昨今、制限速度をしっかり守っている程度の走向速度でも、15kmの距離であれば、ものの10分程度で通過してしまいます。積雪が殆どないと思っていたら、あれよあれよという間に積雪地帯が現れた。などということはよくある事です。

これからの時期、帰省等で高速道路を走行する方々も多いと思われますが、こういう雪の積もり方の特徴は是非とも、しっかり認識されて、事故等のないようになさってください!


クリスマス寒波襲来 全国的に強風 日本海側では大雪のところも 

2008-12-26 23:53:34 | インポート

①12月26日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月26日15時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③12月26日15時の日本付近ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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④12月27日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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12月26日は、低気圧が千島近海とオホーツク海で発達し、大陸からは高気圧が張り出して、日本付近は冬型気圧配置が強まりました。本州付近の上空には強い寒気も流れ込んできたため、全国的に気温が低くて強風に見舞われて、所々で瞬間で30mを超す台風並みの風が吹き、海上も北日本近海を中心に時化となりました。

さらに、北海道から山陰を中心に日本海側の広範囲の所々で大雪となり、26日23時までの24時間に福島県の桧枝岐で80cm、群馬県藤原で79cmの降雪となった他、北海道の新千歳空港では 26日午前中、大雪で除雪作業が追い付かず、断続的に滑走路が閉鎖されましたね。

冬型気圧配置に伴う筋状雲ですが、

<1>筋状雲の走向は →上空1500m~3000mにかけての風向の合成方向へ分布する。当該部分の風速が増大するほど、筋状雲は遠距離に分布する。

<2>筋状雲が分布する範囲→Ⅰ・上空寒気が強いほど  Ⅱ・上空5500m付近の正渦度移流域が顕著なほど Ⅲ・地表の気流同士の収束があったりして、上空2000m付近より下側で、気流の鉛直シアーが大きい地域ほど 筋状雲は雲の活動が活発化し、帯状雲にも形を変えてきます。

よく、太平洋側の仙台や名古屋あたりで、冬型気圧配置が強まって時ならぬ大雪となることがありますが、そんな時は、前記した<1><2>を満たす気象状況の時ですね。

さらに、大陸から日本海や黄海で筋状雲が発生し始めた箇所との距離差(離岸距離と言いますが)で、上空寒気の強弱を見積もることが出来ます。この離岸距離が大きい(小さい)ほど、上空の寒気は弱い(強い)ものですし、離岸距離が長くなる(短くなる)と、寒気は弱まる(強まる)状態であると言えます。

ここで、引用図②の日本海や黄海の離岸距離を確かめてみましょう。どうでしょうか?西方向へ行くほど、離岸距離が長くなっていますね。

これは、今回の寒波も一旦峠は越えつつあることを示すものです。

ただ、引用図④より、12月27日も、オホーツク海には発達した低気圧があり、北日本中心に等圧線の幅が混む予想です。よって、27日も、北日本を中心に、強風や海上の高波にはご用心ください!


クリスマス寒波の襲来 スキー場では恵みの降雪となりそう

2008-12-25 23:43:12 | インポート

①12月25日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月25日18時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③12月26日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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④12月27日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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12月25日は、低気圧が日本海北部からオホーツク海に進んで、この低気圧から延びる寒冷前線が日本海から本州を通過中です。

※ここで、気象庁さんに苦言を呈したいのですが、本日25日の地上天気図内で、日本海北部からオホーツク海に進んだ低気圧から延びる寒冷前線の位置を日本海で、殆ど移動させていない解析をされていますが、いかがなものでしょうか?仮に日本海で寒冷前線が停滞気味と言う気圧配置であれば、寒冷前線を挟んで南側の高気圧の勢力が強く、北側からは寒気移流がさほど強くないことになります。しかし、各種実況図より、当該寒冷前線の北~北西側からは、段階的にせよ、寒気移流が大変顕著になっています。

引用図②より、三陸沖から本州中部へと延びる雲の帯がありますが、この雲の帯の位置を寒冷前線と解析するのが、引用図③の26日9時の予想天気図の気圧配置との整合性を考えると、正解なのでは?と私は考えます。引用図②で日本海沿岸にある雲の帯は、寒冷前線通過後、上空の気圧の谷の前面に入っていることにより、地表と上空との風向風速のコントラストが大きい(鉛直シアーが大きい)ことで発生したものでしょうね。(本ブログ12月22日の記事を参照ください。このことと類似の現象を解説しています。)

よって、25日夕方までは、本州付近では寒気移流が顕著ではなく、どちらかと言うと南から暖気が流れ込んできたため、関東や東海地方など、日中の最高気温が軒並み15℃を超して、小春日和を思わせる1日となりました。

が、25日夜遅くからは、大陸から次第に寒気移流が強まってくる予想で、26日9時には、各種予想図(引用図にはありませんが)より、平地でも降雪となる目安となる、上空1500m付近の-6℃の等温線が本州をすっぽりと覆い、東北南部か北陸東部上空5500m付近には、平地でも大雪(大雪警報クラスとなる)となる、-36℃以下の等温線がかかってきそうですね。

さらに、引用図③④より、26日は低気圧がオホーツク海と三陸沖で発達し、27日には、三陸沖の低気圧がオホーツク海に進んで、更に発達して、台風並みの勢力になることが予想されます。

このため、25日深夜から26日にかけて、(北日本では27日も)全国的に風(北西~北より風、所によって西より風)が相当強まり、海上では時化てくるでしょう。また、東北南部から北陸地方、甲信越北部や関東北部の山間部を中心に大雪となる恐れがあります!

これまで、雪不足だった、本州各地のスキー場は、恵みの降雪となりそうですね。ただ、強風や大雪による交通機関等への障害が懸念されます。