カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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低気圧発達しながら本州南岸を東進、別の低気圧が日本海に隠されて・・・・・

2015-12-11 23:54:58 | 日記
①12月11日3時の天気図 気象庁HPより引用


②12月11日3時の雲画像図(赤外画像で拡大版)気象庁HPより引用


③12月11日3時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用




12月10日から11日にかけて、低気圧が発達しながら東シナ海から本州南岸を東進したなめ、近畿地方や四国地方では、この時期としては珍しく、12月の観測史上最高となる、24時間雨量が200㍉を超す大雨となりました。

一方、低気圧が東海上へ移動した、11日昼以降は、寒気の流入はなく、暖かい気団が残ったため、関東、東海地方中心に気温が上昇して、三重県尾鷲では最高気温25・6℃の夏日となったほか、
東京都心でも最高気温24・1℃と、9月のお彼岸頃の陽気となりました。

今回は、この低気圧の降水域について、個性ある事象がありましたので、そのことを紹介しましょう。

引用図①より、11日3時現在、低気圧が四国付近にありますが、引用図②③をご覧いただきますと、山陰沖の日本海に四国付近の低気圧に伴う雲とは別に、
低気圧が存在すると推測されるような雲の集団があり、レーダーアメダス合成図上でも、当該、山陰沖の日本海のある雲の集団に対応して、発達した降水域がみられます。

④12月11日3時の全国ウィンドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用



引用図③より、11日3時の上空1000㍍付近の風向風速を見ると、福井で南東風で10㍍以上と強めで、浜田で北西風となっており、前記した、山陰行の日本海に低気圧性循環が観測されており、この地域に低気圧が存在することを物語っております。さらに、和歌山県美浜では、南寄り風で30㍍以上ととりわけ強めですが、これは、四国付近の低気圧前側に広がる暖湿流gaを、四国付近の低気圧はもとより、前記した、山陰沖の低気圧に向かって大量に流れきんでいる証左でもあります。

このため、紀伊水道付近に暖湿流がとりわけ集中して互いに収束して、紀伊半島南部や四国のみならず、兵庫県淡路島周辺でも記録的な大雨となり、洲本では、11日12時までに24時間に242・5㍉もの、やはり、12月としては観測史上最高となる降水量を観測しました


以下、

⑤11日4時の全国レーダーアメダス解析雨量図、



⑥11日5時の全国レーダーアメダス解析雨量図


より、11日4時から5時にかけて、強い降水域は低気圧の移動ととともに東へ広がり、京阪神地区でも、あちこちで、1時間に20ミリを超す強い雨を観測しました。


筆者調べによりますが、今回のように低気圧が本州南岸から南海上を東進する場合で、当該低気圧が四国付近へ差し掛かったあたりで、、日本海側の山陰沖から若狭湾周辺には、定常的に別の低気圧が発生するもので、低気圧の前側で、暖湿流の流れ込みが強まっている場合など、山陰沖に発生する低気圧が、当該暖湿流を、紀伊水道周辺と、四国周辺と双方から寄せ集める作用をして、紀伊半島南部や四国のみならず、近畿地方中部や西部周辺でも大雨を降らせやすくなります