カノウおにいさんの気象・地震再発見

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台風21号は未明に八丈島南海上を通過 意外と知られていない台風の素性についてPart13 台風の強降

2012-10-19 16:39:45 | インポート

①10月19日3時の天気図 気象庁HPより引用

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②10月19日3時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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③10月19日3時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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④10月19日1時~7時までの八丈島ウインドプロファイラー時間高度分布図 気象庁HPより引用・加工

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大型の台風21号ですが、昨日18日から、速度を速めて本州の南海上を進んで、19日3時ごろ、八丈島の南海上を通過しました。

さて、引用図①より、台風21号の進行方向北側にあたる伊豆諸島付近には前線が停滞しています。

台風が本州の南海上を通過し、かつ、当該台風の進行方向北側に前線が停滞する場合、灯台前線は、伊豆諸島の三宅島付近を横切る場合が多く、台風の接近に先行して、まず、三宅島周辺で雨量が多くなるように見受けられます(筆者調べ)さらに、今回の台風21号のように、移動速度を早める台風と言うもの、台風周辺の鉛直シアーの強い部分(進行方向すぐ左前側)で特に強い降水域が発生するもの(筆者調べ。本ブログ内2008年9月18日記事を参照)でありますが、今回も、このシナリオ通り、まず、昨日18日夜遅くから三宅島周辺で激しい雨となり、八丈島では台風21号のすぐ北東側に入った19日1時~2時頃にかけて1時間75㎜もの猛烈な降水を観測しました。

また、この猛烈な降水がおさまった直後、10日3時頃を中心に、八丈島では特に風速が強まり、島内八重見ヶ原(八丈島空港)では19日3時05分に25・9m毎秒(北東風)、八丈島測候所では19日3時03分に22m毎秒の最大風速を観測したほか、最大瞬間風速では、八重見ヶ原(八丈島空港)で19日3時01分に38・6m毎秒 八丈島測候所でも19日2時59分に33・6m毎秒と言った暴風を観測しました。

ここで、引用図②③④より、、19日1時~7時までの、八丈島(八丈島測候所観測)の、ウインドプロファーラー時間高度分布図を見ると、1時間降水量75㎜を観測した、19日1時~2時では、上空3000m付近では南より風、地表付近では北東風と、鉛直方向のシアーが大きい状態となっております。その後、上空3000m付近の風向が南東~東へと変化するとともに上空2000mより下側では北東風が次第に強まってきて、前記した19日3時03分に、最大風速22m毎秒(北東風)を観測しております。

このことは、台風の進行方向すぐ北東側の鉛直シアーが大きな箇所に当たる、とりわけ発達した降水域を形成するため、当該降水域では強い上昇流が発生していたわけですが、当該強い上昇流を形成するため、周辺部から気流が集まり、なかんずく、地表付近~上空2000m付近まで風向が合致した北東風が特に強まられた結果 と私は見ています。

今回の事例に限らず、台風周辺で鉛直シアーが大きな箇所に発生する強い降水域の周辺域(特に進行方向後側)では、風速が強まりやすくなります。

台風に伴う強風の分布で、よく言われる、進行方向右側が風が強くなる(危険半円)ということは、必ずしも全ての台風に当てはまるものではありません。この点、以前、筆者自身、本ブログの記事内で紹介させていただいたことですが。


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1 コメント

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お世話になります。とても良い記事ですね。 (バーバリー アウトレット)
2012-11-17 09:47:54
お世話になります。とても良い記事ですね。
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