①9月25日9時の天気図 気象庁HPより引用
②9月25日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 日本気象予報士会HPより引用
③9月25日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用
台風12号は、9月24日夕方、小笠原諸島に再接近した後、9月25日は伊豆諸島の東海上~本本州の東海上を勢力を強めながら速度を上げつつ、北北東へ進んでいます。
引用図②より、台風を取り巻く雲の集団の形は、円形から次第に勾玉形に変化しつつあり、台風が次第に温帯化しつつあることを示しています。また、引用図②③より、上空500hpaの気圧の谷と台風自体がドッキングしていますね。当該気圧の谷のすぐ後面から、水蒸気画像上の顕著な暗域が流れ込んできています。これは、昨日の本ブログ記事でも紹介しましたように、台風の進行方向には、相当温位の相対的に低い気流がどっと流れ込んでいる(寒気移流)証拠ですね。
これらのことより
Ⅰ:台風の中心から離れた地域(進行方向左側でも)でも強風が吹く
Ⅱ:台風自体、勢力は弱めることなく、その移動速度がしだいに早くなる。
という、定石通り、東北地方太平洋側から関東地方沿岸部、伊豆諸島にかけてを中心として、本州の広範囲で大変強い風が吹きまくりました。
最大瞬間風速は、千葉県の銚子で37・4m 八丈島で34・3m 八丈島空港で33・4mを観測したほか、10分間の平均の最大でも、銚子や八丈島、三宅島で20mを超えたほか、東北地方から山陰地方の所処で、15mを超えました。
このため、JRでは、千葉県内や茨城県内の各線で、運転中止や運行ダイヤの乱れが発生したほか、東京湾アクアラインでも一時通行止めとなり、最大瞬間風速24・2mを観測した成田空港でも、一時航空機の離着陸が見合わせると言う影響も発生しました。
以前、本ブログで、台風が接近・通過時は、台風の暴風域や強風域の位置に固執しないこと と述べました。今回の台風12号の事例もまさにその通り。台風が実際に接近・通過時に吹く強風と言うものは、a :台風を取り巻く地域の気圧経度 と b:地形的要因 によって左右されると言うことが如実に物語っていますよね。
台風情報を見ていましたら、今回、大変強い風が吹いた千葉県銚子や伊豆諸島には、暴風圏からは離れていましたよね。
これは、どういうことなんでしょうか?
ご質問の件ですが、気象庁発表の台風情報での、暴風域(風速25m以上) 強風域(風速15m以上)は、気象衛星からの台風を取り巻く雲の動向や、地表の観測地点の実況値などを勘案して、便宜上、円形に表現しているものです。ですから、今回の台風12号のように、本州の東海上で次第に暴風域や強風域が膨らんだり、進行方向右側で暴風域夜強風域の半径が大きくなったりします。また、暴風域から外れていても、風速25m以上の風速を観測することも珍しくないのです。
こういうことを踏まえて、私自身、台風が接近・通過時には、暴風域や強風域の位置にあまり固執するべきではないと言います。地上天気図を見て、等圧線が混んでいる箇所は何処なのか?、着目することの方が、防災上、実益あることなんですね。
今回 台風は関東には上陸せずに離れて行きましたよね、今後同じようなコースで今度はかなり西寄りに進路をとり上陸するという台風は来る可能性はありますか?
よろしければ教えて頂けないでしょうか?
ご質問の件ですが、ちょっと、断言はできないですね。
済みません。
ただ、10月~11月は、日本付近で、暖気と寒気がぶつかりやすい
パターンとなることが予想されますね。ことによると、ご指摘のような
進路を取る台風も現れる可能性は無いわけではありませんよね。