カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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去り行く夏を惜しむ如し!東京練馬で30・3℃!

2011-09-30 23:53:59 | インポート

①9月30日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月30日15時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③9月30日15時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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9月も最終日となった本日、関東地方平野部では、まるで去り行く夏を惜しむような、夏のような陽気となりました。

最高気温は、東京都内練馬で30・3℃と真夏日を観測したほか、東京都心で29・6℃を観測しています。

この高温ですが、

引用図②③より、30日15時現在、関東地方平野部だけ、ほっかりと雲の切れ間となっており、静岡県~関東南岸の上空2000m~3000m付近で西より風が20m以上と非常に強まっています。

以上の事々は、西より風となって本州に吹きつけてきた暖気が、中部山岳に衝突して静岡県付近へと迂回し、この結果、中部山岳から西より風と吹き込んできた暖気を、山越えの気流とならしめて、関東地方平野部に、フェーン現象を引気起こしたため、であり、関東地方平野部の本日の高温も、この、フェーン現象によるもの と私は考えています。

今回のように、暖気が西より風となって本州に吹きつけてきて、中部山岳に衝突して静岡県付近へと迂回し、この結果、関東地方平野部に、フェーン現象を発生させている際には、関東地方平野部の下層(上空1500mより下側)では、下降気流が卓越するため、関東地方の南部沿岸部では、上空1000m付近で風速が特に増大するのが特徴(引用図③でもこの特徴が現れております。)で、日中、風速が思いのほか強まることも多いものです。

事実、30日も、日中、関東南部沿岸部で南西~西より風が強まり、東海道本線が神奈川県西部で一時、風速が運行規制値に達して、列車の運行がストップしたほどです。


台風15号 浜松市付近に上陸 首都圏を直撃

2011-09-21 23:42:06 | インポート

①9月21日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月21日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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台風15号は、21日14時頃、静岡県浜松市付近に上陸し、強い勢力を保ったまま山梨県から関東北部へと速度を上げて進んで、21日21時には、福島県浜通り地域に達しております。

最大瞬間風速は、静岡県御前崎で45・1m、東京都内八王子で43・1mを観測したほか、東京都内湾岸地域や伊豆諸島の一部で、40mを超えましたし、東京都心(北の丸公園内科学技術館屋上で観測)でも、36・0mを観測しました。

10分間の平均風速の最大でも、東京湾岸地域や伊豆諸島の一部では30mを超えています。

東京や横浜、千葉など、首都圏は、台風15号に直撃されたと言え、風速や雨量が規制値に達した(もしくは達する恐れがある)ため、21日午後より、一時、JRや私鉄各線の運行がほぼストップしてしまいました。

今回の台風15号、雨ですが、進路に当たった東北地方や関東地方、甲信越地方や東海地方、近畿地方南部は勿論、台風の進行方向左側に入った北陸地方西部や近畿地方北部、それに山陰地方東部でも降水量が多く観測され、これらの地域では、あちこちで、降り始めてからの総雨量が300㎜を超えています。

また、風ですが、前記したように、進路に当たった近畿地方南部や東海地方、それに関東地方は勿論、台風の進行方向左側に入った北陸地方や近畿地方北部、それに中国地方でも、10分間の平均風速で15mを超えた地域があちこちにありましたし、岡山県那岐南山麓に位置する奈義町では、代表的な局地風の一つである 広戸風 が発生し、最大瞬間風速が30mを超える非常に強い風を観測しております。

台風15号の、これら、前記したような雨や風の実況値分布になった原因ですが、引用図②より、台風の進行方向左側(北西方向~西方向)には、水蒸気画像上で暗域が、Uの字型に入り込んでおり、これは、比較的相当温位の低い(乾いた)気流が台風の進行方向左側(北西方向~西方向)に流れ込んできたため、地表付近の気圧経度が台風の進行方向左側でも比較的大きくなっていたことと、当該、比較的相当温位の低い(乾いた)気流と台風を取り巻く相当温位の高い気流(暖湿流)との間で、雨雲が発達したところへ、北陸地方西部や近畿地方北部、それに山陰地方東部の地形的特性(ほぼ北方向に開いた山の斜面に当たっております。)も加わり、雨雲が一層発達したこと が考えられます。


台風15号 発達しながら次第に速度上げて本州へ接近 21日には本州上陸へ

2011-09-20 23:51:54 | インポート

①9月20日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月20日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③9月21日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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奄美大島の東海上を北上中の台風15号ですが、勢力を強めて、しかも、次第に移動速度を上げてきました。

気象庁9月20日21時45分発表 台風15号進路予報文(気象庁HPより引用)によりますと(台風15号の進路情報は、常に最新のものをご利用ください!)

<20日21時の実況>
大きさ -
強さ 非常に強い
存在地域 足摺岬の南約270km
中心位置 北緯 30度20分(30.3度)
東経 133度35分(133.6度)
進行方向、速さ 北東 30km/h(15kt)
中心気圧 940hPa
中心付近の最大風速 50m/s(95kt)
最大瞬間風速 70m/s(135kt)
25m/s以上の暴風域 全域 150km(80NM)
15m/s以上の強風域 南東側 520km(280NM)
北西側 370km(200NM)

<20日22時の推定>
大きさ -
強さ 非常に強い
存在地域 足摺岬の南南東約260km
中心位置 北緯 30度30分(30.5度)
東経 133度50分(133.8度)
進行方向、速さ 北東 30km/h(15kt)
中心気圧 940hPa
中心付近の最大風速 50m/s(95kt)
最大瞬間風速 70m/s(135kt)
25m/s以上の暴風域 全域 150km(80NM)
15m/s以上の強風域 南東側 520km(280NM)
北西側 370km(200NM)

<21日03時の予報>
強さ 非常に強い
予報円の中心 北緯 31度25分(31.4度)
東経 134度35分(134.6度)
進行方向、速さ 北東 30km/h(15kt)
中心気圧 940hPa
中心付近の最大風速 50m/s(95kt)
最大瞬間風速 70m/s(135kt)
予報円の半径 60km(30NM)
暴風警戒域 全域 200km(110NM)

<21日09時の予報>
強さ 非常に強い
存在地域 潮岬の南約100km
予報円の中心 北緯 32度35分(32.6度)
東経 135度40分(135.7度)
進行方向、速さ 北東 30km/h(16kt)
中心気圧 940hPa
中心付近の最大風速 50m/s(95kt)
最大瞬間風速 70m/s(135kt)
予報円の半径 90km(50NM)
暴風警戒域 全域 240km(130NM)

<21日15時の予報>
強さ 非常に強い
予報円の中心 北緯 34度20分(34.3度)
東経 137度10分(137.2度)
進行方向、速さ 北東 35km/h(20kt)
中心気圧 950hPa
中心付近の最大風速 45m/s(85kt)
最大瞬間風速 55m/s(105kt)
予報円の半径 130km(70NM)
暴風警戒域 全域 260km(140NM)

<21日21時の予報>
強さ 強い
存在地域 群馬県
予報円の中心 北緯 36度30分(36.5度)
東経 139度20分(139.3度)
進行方向、速さ 北東 45km/h(24kt)
中心気圧 975hPa
最大風速 35m/s(65kt)
最大瞬間風速 50m/s(95kt)
予報円の半径 160km(85NM)
暴風警戒域 全域 280km(150NM)

となっています。つまり、21日昼過ぎから夕方にかけて、紀伊半島~東海地方の地域へ上陸する見通しで、上陸後、本州を縦断する見通しです。

引用図②より、台風の進行方向左側には、水蒸気画像上で、明白な暗域が現れており(相当温位の低い気流が流れ込んできていることを示すものです。)、こうなりますと、台風と言うもの、進行方向右側のみならず、進行方向左側でも相当に風が強まるものです。

台風の進行方向右側に当たる東海地方や甲信地方、関東地方、それに東北地方太平洋側では南~南西風が相当に強まることは勿論、台風15号の進行方向左側に当たる中国地方や四国地方、近畿地方や北陸地方、それに、東北地方の日本海側でも相当に風が強まります(北~西より風)ので、厳重な警戒が必要です。

一方、雨に関する点ですが、これから台風の進路にあたる近畿地方や、東海、関東甲信、北陸や東北地方のみならず、台風の進行方向左側相当温位の低い気流が流れ込んでくることで、台風を取り巻く暖湿流とに間に帯状に雨雲が発達しやすくなる所へ、地形的な要因も加わることで、山陰地方でも、かなりの雨量が見込まれそうです。

各方面とも、厳重に警戒されて、早目早めの対応をお願い致します!!


勢力を増した台風15号 次第に速度を上げて本州へ

2011-09-19 23:52:32 | インポート

①9月19日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月19日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③9月19日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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④9月20日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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沖縄の東海上で、旋回気味にゆっくりと移動している間に、勢力を強めた台風15号、ようやく、台風を押し流す後押し(語弊あるようですみません)をつかみつつあります。

まず、引用図②③内 帯状に白くぼやけている画像となっている A の位置に注目です。

Aの極側縁に沿って上空のジェット気流(およそ10000メートル付近中心、およそ5500m付近より強風帯となっています。)が位置しているものですが、引用図③(19日9時)と引用図②(19日21時)とを見比べると、前記 A の位置は次第に本州付近へ南下しつつあることがわかります。

つまり、本州上空には、ジェット気流が南下しつつあることより、次第に風速(今回の場合、前記 Aの走向より、おおむね南西風)が強まりつつありことを示すもので、南西諸島の東海上をゆっくりと北上する台風15号は、本州に接近するとともに、次第に、本州上空では南西風が強まってきますから、進路を北東へ取り、次第に(明日夜以降)移動速度を上げてきそうです。

台風15号の北側の本州には前線も停滞しており、東北地方や西日本の所処で、すでに雨脚が強まっていますが、台風15号の北上に伴って、さらに、一層、大雨が予想されます。土砂災害や洪水などには厳重な警戒が必要です!


紀伊半島豪雨災害 深層崩壊の可能性!

2011-09-13 23:39:15 | インポート

①紀伊半島に記録的豪雨をもたらした台風12号 9月4日21時の天気図です。気象庁HPより引用。

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紀伊半島に記録的豪雨(総雨量が所によっては2000㎜を超していました。)をもたらした台風12号ですが、すでに周知の通り、通常でも降水量の多い紀伊半島の各地に、甚大な被害を残してしまいました。

また、一部メデイアでも紹介されているように、この紀伊半島豪雨災害、深層崩壊と見られる土砂崩壊であるとの、各専門家の方々のご指摘でありますが、本日は、この、深層崩壊について、説明していきましょう。

まず、

◆通常の土砂崩壊ですが・・・・・地面付近の数m程度の堆積した、相対的に軟らかい地層(表土層と呼んでいます。)が崩壊することですが

◆深層崩壊は・・・・・表土層の下の岩盤もろとも崩壊する土砂崩壊です。通常の土砂崩壊発生時よりも降水量が多量になる場合に発生しやすく、大規模な土砂崩壊となります。 

と言うものですね。

深層崩壊を起こしやすい岩盤ですが、Ⅰ:風化していたり、Ⅱ:岩盤に亀裂が入っている地域 にて発生しやすいようです。岩盤自体が崩壊するわけですから。

深層崩壊が発生しやすいと予想される地域を図示した、深層崩壊ハザートマップが、国土交通省砂防局より公表されていますので、以下のアドレスより、アクセスなさってください。

http://www.mlit.go.jp/common/000121614.pdf

この、深層崩壊ハザートマップ より、本州では、中部地方から近畿地方、四国地方へと走る大きな断層である 中央構造線の太平洋側にあたる地域や 糸魚川ー静岡構造線(フォッサマグナ)周辺で、深層崩壊が多く発生して、今後も危険性が高い と言えますね。これら地域では、相対的に古い地層の岩盤の上に盛り上がって岩盤が形成されていたり、日本列島を形成する岩盤同士がぶつかり合いなどして、大規模な山地を形成している地域です。紀伊半島もこれらの中に含まれています。

逆に、北上山地や阿武隈山地、それに、奥多摩周辺、や 中国山地など(これらの山地では、殆どの地域で、およそ6000万年前よりも古い時代に出来た地層が分布している地域です。)では、比較的、深層崩壊は発生する可能性は低いと言えそうです。