カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風7号は沖縄へ接近 意外と知られていない台風の素性についてPart11台風は太平洋高気圧の鬼コーチ

2010-08-31 11:07:06 | インポート

①8月31日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月31日6時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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台風7号は沖縄の南東海上を北西に進んでいます。

台風がこのままの進路ですと、本日31日夕方には沖縄本島付近を通過して、その後、東シナ海へと進む予想です。

台風や熱帯低気圧と言うもの、その中心へと吹き込む気流の渦巻きですが、中心付近で上昇した暖湿気流は、上空(およそ1万mくらいでしょうか)で周辺部へと広がり、やがて、下降気流に変化するようになります。この下降気流が、まさに、その外縁を台風が進む、太平洋高気圧の勢力を強める働きをするようなりますね。

地上天気図上で、太平洋高気圧の中心が本州付近から後退する進路ではなく、東から西への進路を取っていたり、当該太平洋高気圧の外縁部の等圧線が、さらに外へ広がったりする気圧配置の場合は、当該太平洋高気圧は次第にその勢力を強めつつあると考えて間違いありません。(引用図①より)

台風は太平洋高気圧の まさに 鬼コーチ と言っても過言ではないでしょう。

よって、本州各地の猛暑はまだまだ続きそうですね。皆さん!熱中症にはくれぐれもご用心!1

さて、東京(気象庁のある千代田区大手町)では、31日、午前3時34分に27・4℃までしか気温が下がらず、本年になって48日目の熱帯夜となってしまいました。このまま、日付けが替わるまで気温が25℃以上であれば、平成6年の47日を抜いて、史上最も多い熱帯夜を観測したことになります。

今日で8月は最後ですけど・・・・・ いい加減に涼しくなって欲しいよ!! と言っても当分無理か(涙)


関東でも猛暑復活 だが 気になるものが・・・

2010-08-22 20:44:59 | インポート

①8月22日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月22日(18時まで)の各地の最高気温分布図 気象庁HPより引用

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③8月22日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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8月22日は、東海地方や西日本は言うまでもなく 関東地方でも内陸部を中心に猛暑が復活しました。

各地の最高気温は、大分県犬飼で37・9℃ 広島県加計で37・8℃を観測したほか、関東地方内陸部の 群馬県館林で37・6℃ 前橋と同じく群馬県内伊勢崎で37・2℃ 茨城県古河で37・0℃を観測しました。

東京都内では、練馬(武蔵高校内が観測地点)で36・1℃を観測し、 東京(気象庁のある千代田区大手町)でも34・6℃と、猛暑日寸前となる厳しい暑さでしたね。

引用図③の上側図より、500hpa(上空5500m付近)には、東海地方から西の地域を高気圧がすっぽりと覆い、いかにも、猛暑をもたらすパターンですが、引用図③下側図をよく見ると、上空1500m付近で時計回り(高気圧性循環)となっている箇所が、四国沖と関東南東沖の2つあります。そして、当該上空1500m付近の高気圧性循環の外縁にあたる東海地方から西日本の広範囲では、帯状に縦縞模様の部分(上空3000m付近で上昇流域)が広がっていますね。

上空3000m付近で上昇流域となる箇所は 

Ⅰ:500hpa(上空5500m付近)の正渦度移流域 もしくは Ⅱ:上空1500m付近の暖気移流が顕著な地域 

と言うことになります。

特に、帯状に、上空3000m付近の上昇流域が帯状に分布する地域では、下層で暖湿流の流入が盛んになっている地域を示すものであり、地表付近の高気圧の勢力が、徐々に衰退しつつあることを物語るものです。

前記した、東海地方から西日本各地の上空3000m付近の帯状の上昇流域は、下層で暖湿流が大量に流れ込んで大気が不安定になっていると言え、地表付近での高気圧の勢力は、徐々に衰えてきている状態と見られますから、雷や急な強い降水が発生しやすくなっていると言えるでしょう。

今後、この帯状の上空3000m付近の上昇流域の動向には要注意です!!


猛暑もううんざり!! 岐阜多治見で38・8℃ 名古屋や大阪で37・3℃ 東京でも35・1℃で猛暑日日

2010-08-18 23:48:31 | インポート

①8月18日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月18日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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毎日毎日 もううんざりですよね。8月18日も、関東以西の各地(特に東海や瀬戸内地域中心)では猛暑に見舞われました。

最高気温は、岐阜県多治見で38・8℃を観測したほか、三重県桑名で38・5℃ 愛媛県宇和と大阪府堺で38℃を観測しました。

他には、名古屋と大阪で37・3℃ 京都と広島で36・4℃ 海岸沿いの神戸でも本年最高となる35・9℃を観測しています。

東京(気象庁のある千代田区大手町)でも、最高気温35・1℃を観測し、本年8回目の猛暑日ちなりました。猛暑日8回目は、平成7年の13回に次ぐ、史上2位タイ記録(平成6年)となりました。

この猛暑の原因は?と言いますと、本ブログで、一昨日と昨日で紹介したように、関東以西が、500hpa(上空5500m付近)の負渦度が顕著な地域に入り、上空1500m付近で、東海地方から西日本上空で気流の流れが高気圧性循環(時計回り)となっており(引用図②より) 中層より下側での下降気流により、下層での昇温(断熱昇温)が発生したためです。

なお、前記した気象状態では、地表付近で風向は疎らで風速は弱めになって、日中、海風が海上から内陸部に入り込みにくくなってしまうのが通常で、このことも気温上昇に寄与したと言えるでしょう。

東京の、18日10時から15時までの気温と風向風速を見てみますと

10 時 31.6 ℃  北 1m
11時  33.1℃   北東 3 m
12 時 33.8 ℃  北東 3 m
13 時 34.3℃   東 3m
14時  33.8 ℃    東 4 m
15 時 33.2 ℃    東南東 4 m

このように、通常、日中東京湾から吹き込む海風(南~南南東)は吹き込んでおらず、海風とは正反対に、陸上から東京湾へと流れる気流が顕著となっています。これは、18日は、日中、前記した気象条件のため関東北部や西部内陸部に地形性低圧部が発生しにくく、神奈川県と静岡県県境付近にしか発生しなかったため、海風が発達せずに、当該低圧部に吹き込む気流にとどまったためと考えられます。

このため、東京湾岸地域では、18日日中、海風ではなく、陸から海上へと流れる気流が卓越したため気温が上昇し、東京湾岸地域での観光スポットの一つである葛西臨海公園内にある、アメダス江戸川臨海でも、最高気温35・1℃を観測しています。

ただ、引用図②の上側図より、シベリアには、500hpaの気圧の峰が現れてきました。

500hpaで、シベリア付近に気圧の峰が進んでくると、地表では、日本海北部からオホーツク海、千島近海付近に高気圧が発生しやすくなり、こうなると、東北地方太平洋側や関東地方には、東海上からの海風が入りやすくなって、気温の上昇が鈍くなりそうですね。

③8月19日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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猛暑続く 東京では3年ぶりの高温 37・2℃

2010-08-17 23:38:46 | インポート

①8月17日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月17日の全国最高気温図(21時まで) 気象庁HPより引用

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③8月17日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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④8月17日12時の関東地方周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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8月17日も、各地で猛暑が続きました。

最高気温が、三重県桑名と東京都内練馬で38・2℃を観測したほか、岐阜県多治見で38・1℃ 群馬県館林で37・8℃と、凄まじい暑さとなりました。

東京(気象庁のある千代田区大手町)でも最高気温が37・2℃を観測し、平成19年8月16日に最高気温37・5℃を観測して以来、3年ぶりに最高気温が37℃を超えました。

他、主だった地点での最高気温は以下の通りです。

熊谷と甲府 37・4℃  浜松 37・0℃  前橋 36・5℃  大阪と岡山 36・4℃  名古屋 36・3℃  千葉36・2℃

引用図③の上側図より、東北地方から西日本にかけて、500hpa(上空5500m付近)の負渦度か顕著な区域にすっぽりと入っていて、下側図より、上空1500m付近で、関東地方の東海上と四国沖あたりで、風向が時計回り(高気圧性循環)となっていますね。

これらの高気圧性循環が、本州の脊梁山脈の風下にあたる関東南岸から東海道沖にかけて、気温21℃以上と、特に高温域が広がっています。

500hpa(上空5500m付近)の負渦度が顕著な区域+上空1500m付近で高気圧性循環である地域と言う箇所は、当該地域の500hpaには高気圧が居座っている証拠で、当該箇所では中層(およそ上空3000m付近)より下側で下降気流が卓越して、下層(およそ上空1500m以下)から地表付近で気流が澱んで昇温(断熱昇温)を引き起こす訳ですね。

引用図④より、17日12時現在の関東地方各地では、沿岸部のごく一部の地点を除いて、風向は疎らで風速が弱めとなっています。このことは、中層(およそ上空3000m付近)より下側で下降気流が卓越して、下層(およそ上空1500m以下)から地表付近で気流が澱んでいる証拠です。


前線の南側では猛暑 東京では本年6日目の猛暑日

2010-08-16 19:18:49 | インポート

①8月16日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月16日の各地の最高気温一覧(18時まで) 気象庁HPより引用

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8月16日は、東北地方から日本海に前線が延び、前線に沿って暖湿流が流れ込んだため(夏季に本州付近へ延びてくる前線の活動の典型的なものですが)、前線付近では強い雨が降ったところもありましたが、関東地方や東海地方、近畿地方、瀬戸内地域を中心に猛暑に見舞われました。

最高気温は、群馬県館林と同じく群馬県伊勢崎で38・2℃を観測したほか、東京23区内練馬や埼玉県越谷と埼玉県鳩山で38・1℃を観測しました。

東京(気象庁のある千代田区大手町)では最高気温36・3℃と、本年6日目の猛暑日になりましたし、特に、関東地方では各地で気温が上昇し、全ての県庁所在地で猛暑日を観測するほどでした。

関東地方以外では、名古屋や京都、大阪 広島などで猛暑日となりました。

③8月16日9時の気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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引用図③の下側図より、東北地方から日本海へと延びる前線の南側には南西風~西より風となって気流が流れ込んで、当該気流の流入部分では、縦縞模様の表示(上空3000m付近で上昇流域)となっています。これらは、暖湿流が南西風~西より風となって流れ込んでいることを示すものですが、その中で、関東地方から東海地方南部と、近畿地方から瀬戸内地域にかけて、前記した縦縞模様の表示が途切れて、これら途切れている地域の上空1500m付近では気気温が上昇している様子が判りますね。

これは、当該 前線に向かって南西~西より風流れ込んできた暖湿流が、本州や四国、九州の山地を越える際にフェーン現象を発生させたことを示しているものです。

さらに、各地で気温が上昇した関東地方に目を向けますと

④8月16日9時~15時までの埼玉県熊谷のウインドプロファーラー時間高度断面図 気象庁HPより引用

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⑤8月12日12時の関東地方周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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引用図④より、関東平野の中央部に位置する埼玉県熊谷では、16日9時~15時にかけて、上空1000mより上側では風向は、おおむね西より風であり、上空3000mより下側では、おおむね、下降気流が卓越しており、引用図⑤より、16日12時現在、関東地方では、海上から内陸へ吹き込む気流(海風)は卓越しておらず、各地点とも、風向は疎らで風速は弱目となっています。

Ⅰ:上空1000mより上側では風向は、おおむね西より風・・・・・関東地方では中部山岳方面での山越えフェーン現象を引き起こしていることが考えられます。

Ⅱ:上空3000mより下側では、下降気流が卓越・・・・・下層では下降気流での断熱昇温による気温上昇を引き起こすシグナルです。

Ⅲ:海上から内陸へ吹き込む気流(海風)は卓越しておらず、各地点とも、風向は疎らで風速は弱目となっている状態・・・・・下層の下降気流を示す典型的な気象現象です。

以上3つの要素を満たしている気象状況は、まさに、関東平野では、中部山岳方面での山越えフェーン現象により、下層で下降気流が卓越し、気温が上昇したとの確証を示すものですね。