カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
講演依頼等連絡先は、tenki@air.ocn.ne.jpへどうぞ

低気圧は本州の地形の影響受ける 関東以西の南岸沿い地域中心に季節はずれの大雨!

2011-11-19 23:40:09 | インポート

①11月19日9時の天気図 気象庁HPより引用

11111909

              ↓

②11月19日12時の天気図 気象庁HPより引用

11111912

              ↓

③11月19日15時の天気図 気象庁HPより引用

11111915

④11月19日23時までの24時間降水量日最大値画像 気象庁HPより引用

Pre24h_mx00

昨日の記事の続編のようになりますが、18日夜に、東シナ海に発生した低気圧は、九州や中国地方へ接近後、天気図上では、その進路を東よりに取り、瀬戸内海を通過し、その後、東海道から関東南部をを移動してきました。

ただ、地上天気図上の低気圧(温帯低気圧)ですが、低気圧自体の背は台風と比較すると低いもので、本州の脊梁山脈を乗り越えることは困難で、前記のように東シナ海から瀬戸内海に低気圧が進行するように見えても、当該低気圧が中国山地に差し掛かると共に、低気圧自体、日本海沿岸と瀬戸内海に分裂して、瀬戸内海に分裂発生した低気圧が主体となって、南海上からの暖湿流を受けながら近畿地方中部~東海地方沿岸~関東南部へと進んでいった と考えるのが妥当である と私は思いますね。

このため、関東以西の南岸沿いの地域を中心に広範囲で大雨となり、静岡県や長崎県の一部では24時間降水量が300㎜を超え、地形的に南~南西方向に開いた斜面沿いにあたる地域を中心に、あちこちで24時間降水量が100㎜を超える、この時期としては季節はずれの大雨となりました。

また、風も、前記低気圧の周辺を中心に、当該低気圧通過前後にかけて南~南西風が強まり、紀淡水道に位置する和歌山県友ヶ島では、19日昼前に最大風速(10分間)27・3m、瞬間最大風速では33・2mを観測し、19日夜には、千葉県の一部には暴風警報が発表されました。

今回のように、南海上からの暖湿流が地表付近でも吹きつけが強い(風速が強い)場合、前記した、地形的に南~南西方向に開いた斜面のあたる地域では、内陸部にまで広範囲に降水量が多くなりますが、関東平野の場合、当該南~南西風の先端部分にあたる地域でも降水量が多くなり傾向にあります。

今回 11月19日の事例ですと、関東平野は、南部沿岸部を中心に南西風が卓越しましたが、南部でも内陸部や北部では、地表付近では風向は疎らで風速は弱目となっていて、気温も低めでした。前記した、南西風の先端部分にあたる神奈川県東部や南部、東京23区東部から南部、それに、千葉県北西部や南部と言った地域で雨量がまとまり、これらの地域では、24時間に100㎜を超えた箇所も散見しています。


西から本州付近へ深い気圧の谷が接近 九州の一部では激しい雨 徳之島では突風被害も!

2011-11-18 23:47:20 | インポート

①11月18日18時の天気図 気象庁HPより引用

11111818

②11月18日18時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

20111118180000

11月18日は、大陸から本州付近へ深い気圧の谷が接近してきて、南海上からは暖湿流が流れ込んだため、九州や四国、南西諸島北部では所処で激しい雨となりました。

特に、長崎県五島列島の一部では、18日23時までの24時間に300ミリ以上と、この時期としては記録的な降水量を観測しています。

引用図①②を見比べると、前線を伴なった低気圧が朝鮮半島北部にあり、別の前線が中国上海付近~東シナ海中部へと描かれていますが、水蒸気雲画像上では、この前線に対応するように、東シナ海中部に西南西~東北東方向へと人参状にひときわ白く輝く画像が(テーパリングクラウドと呼ばれるものです。)分布し、このテーパリングクラウドの南東側~南側には、幾重にも帯状に白く輝く画像が見られます。

そして、東シナ海北部から西日本にかけて、お椀をかぶせたような ⌒ 形に分布する白輝域が見られますね

これは、引用図①での、中国上海付近~東シナ海中部に低気圧が発生する兆しがあり、このこの低気圧が発生する兆しがある地域に周辺部に向かって南海上より暖湿流が流れ込んで、雨雲が非常に発達していることを示すものです。

④11月18日16時~22時までの、鹿児島県名瀬の、ウインドプロファイラー 時間-鉛直方向分布図です。気象庁HPより引用。

20111118160000

18日19時頃、鹿児島県奄美大島のすぐ南にある徳之島では、こういった非常に発達した雨雲が掛かったことと、引用図④より、18日19時頃、徳之島周辺では、上空3000m以上では南西風で風速強め、反対に地表付近ではおおむね南東風で風速は弱めとなっており、鉛直シアーが大きくなっていたことも加わってためでしょうか、局地的に非常に激しい突風(竜巻の可能性もありますね。)が発生して、全壊家屋が発生するなどの被害が生じています

⑤11月19日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

11111809

すでに、気圧の谷の前側の本州付近では、高気圧が本州の南東海上へと進んで、等圧線が南西~北東方向へと混み始めています。このようになりますと、西から本州付近へ進んでくる低気圧は日本海へと進んで発達して、本州付近では等圧線の幅が更に混んで、全国的に南~南西風が強まってきますが、

Ⅰ:日本海から本州へと前線が東西方向に横たわる形となったり、

引用図⑤のように、Ⅱ:低気圧が日本海沿岸部を通過する場合

ですと、

全国的(特に、地形的に南から南西側に開いた山の斜面に当たる地域を中心ですが)に降水量も多くなりますから油断なりません。


冬将軍北日本へ到来!山間部中心に積雪も!

2011-11-15 23:47:47 | インポート

①11月15日18時の天気図 気象庁HPより引用

11111518_2

②11月15日18時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

20111115180000

③11月15日18時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

20111115180000su

11月15日は、全国的に冬型気圧配置が強まり、北日本の上空には強い寒気も流れ込んだため、北日本の日本海側では、平野部でも降雪となった箇所がありました。

また、北海道や東北地方の山間部を中心に積雪となり、青森県の酸ヶ湯では、15日22時までの24時間に28cmも雪が降り積もり、15日22時現在、青森県の一部地域には大雪注意報が発表されております。

引用図②より、冬型気圧配置時の寒気の吹出しに伴う筋状の雲は、その発生地域が北海道や東北では、大陸からすぐの箇所となっており(離岸距離が狭くなっています)、北日本中心に強い寒気が流れ込んでいることを示しています。

さらに、引用図③の水蒸気画像上では、U字型に、白くぼやけ帯状の画像域が本州の南半分に現れていて、その北側には、やはり白くぼやけ帯状の画像域が縞状に連なっています。これは、冬型気圧配置に伴って、本州付近の上空に強い寒気が流れ込んできている証拠で、当該白くぼやけ帯状の画像域では、上空3000m付近の上昇流域に対応するもので、寒気吹出しに伴う筋状雲が帯状になって発達しやすい場所でもあります。

まさに本州付近、寒気にすっぽりと言う感じですね。皆さん、風邪など引かないように!


冬型気圧配置時 寒気の流入が一番遅い地域はどこ?

2011-11-07 23:53:19 | インポート

①11月7日12時の天気図 気象庁HPより引用

11110712

②11月7日12時の全国ウィンドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

20111107120000

11月7日は、昨日まで本州各地にまとまった雨を降らせた低気圧が本州の東海上に進んでやや発達し、大陸からは高気圧が緩やかに張り出し、本州付近は弱いながら冬型気圧配置となりました。

このような気圧配置になると、本州の日本海側では曇りや雨となり、太平洋側では晴天と言うのが常識です。そして、大陸から寒気が本州上空に流れ込んで、全国的に気温は低下すると言うのが一般論ですが。

しかし、11月7日の場合、日中の最高気温は、本州の日本海側や近畿地方を中心に前日より軒並み2℃~6℃も低下したものの、逆に関東平野の各地や山梨県内、それに静岡県内では、前日よりも2℃~4℃も高くなってしまいました。

このことは、冬型気圧配置になり始め時にはよく見られることで、引用図②より、7日12時現在、上空1000m付近では、若狭湾周辺から名古屋付近と、新潟県方面から関東平野中部で、北西風~北北西風が10m以上と強まっているのに対し、関東平野南部から静岡県周辺では、北東風~西より風と風向は疎らで、風速は弱目となっています。

このことは、日本海から本州付記へと吹きつける海陸からの気流(季節風)が、若狭湾周辺~濃尾平野~伊勢湾周辺と上信越方面から関東平野へと連なる地形的な鞍部を季節風が吹きぬけて、関東平野周辺~山梨県~静岡県周辺で中部山岳や関東山地をからの、山越えの気流がフェーン現象を発生させて、これらの地域で7日日中、気温を上昇させたと言うことです。

このため、これらの地域では、寒気の流入が遅れているわけですね。

ただ、前記した、関東平野~周辺~山梨県~静岡県周辺でも、引用図②より、上空3000m付近では、北西風が軒並み10m以上と強めとなっており、上空3000m付近より上側では寒気移流となっているのが通常で、日中下層で気温が上昇したことと、関東南岸~東海道沖にかけての地域で、前記した、若狭湾周辺~濃尾平野~伊勢湾周辺と上信越方面から関東平野へと連なる地形的な鞍部を吹きぬけて来た気流が、互いに合流して収束することも相俟って、7日夕方から関東南部~静岡県東部や中部を中心に、雨雲がまとまり、一時的に降水を観測しています。

③11月7日18時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

201111071800

冬型気圧配置になり始め時には、関東地方(特に南部)や静岡県東部や中部では、日中、気温が周辺よりも上昇した場合、決まって、この手の降水に見舞われて、その後、気温が低下するようになるものです。

ただ、前記した、冬型気圧配置になり始め時に伴う関東地方(特に南部)や静岡県東部や中部での降水は、上空3000m付近の顕著な上昇流域が通過したり、上空(5500m付近)の寒気が強さ加減で、降水の強度を強めてその範囲を広げ、神奈川県箱根周辺や静岡県東部、それに、山梨県富士五湖周辺などに、冬季、大雪を降らせたりしますから、油断なりません!

身近な例では、本年3月3日~3月4日にかけて、前記した降水域が勢力を強めて、静岡県の御殿場では、降雪18㎝を観測しています。