カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風が発達?衰弱?それにはこんな兆候が

2015-09-28 00:21:23 | 日記

引用画像は、9月28日0時の日本付近雲画像図(赤外画像dで拡大版)です。気象庁HPより引用


台風20号が、速度を非常に強めて先島諸島伺っています。

今回は台風が発達する場合と衰弱する場合に現れる現象を列記してみました。
(全て、筆者調べによります)

まず、

◇発達する場合・・・・・

:雲画像を時系列でみると、雲画像上で目の形が円形で輪郭がはっきりしてきたり、台風取り巻く雲の集団が次第に円形帯びてくる。

:台風が海上にある場合、台風の進路にあたる地域の海水温がおおむね27℃以上。

:主に秋期の表れやすいが、台風の進行方向にあたる海上の海水温が27度未満でも、台風の進行方向前側に前線があり、台風と当該前線を取り巻く雲の集団が、東西方向から、北東〜南西方向の分布変化する場合、

:と同時の表れる機会が多いが、台風の北西側から、水蒸気画像上の暗域(温位の相対的に低い気流が分布)が台風に次第に接近してくる場合

逆に、

◇衰弱する場合・・・・・

台風が陸地に上陸する場合(台風が小型ほどその傾向あり。ただし、台風上陸時に台風の中心気圧が950hpa台以下で、台風んぼ規模が中型以下と比較的小さい場合は、上陸後、進路にあたる地域では、数時間ではあるが、予想せぬ暴風に見舞われやすくなる。台風が上陸後、地表付近の摩擦力の作用と、角速度保存の法則とが相まって、台風の中心が小さくなる半面、台風の渦としての回転は増大するためである。)

台風が陸地に接近するにつれて、台風の進行速度が次第に遅くなり、陸地を避ける進路を取るようになる場合。

:台風の前側の前線が発生して、当該前線が,概ね東西方向へ延び続ける場合。


以上の特性がありますね。

台風が発達する場合の、、の場合、台風自体の移動速度は次第に早めることも多く、こういった台風の場合

さらに、台風が上陸後、台風の進行速度が早い(遅い)ほど、その台風は衰えにくい(衰えやすい)と言えますし、台風の規模は大きい(小さい)ほど、その台風は上陸後、衰えにくい(衰えやすい)傾向があると言えます。


日本列島は、まだまだ台風の季節!以上の点踏まえて、早めの防災活動をなさっていただきたいものです。



明け方、関東で強い地震!東京調布市で震度5弱を観測!

2015-09-12 18:30:45 | 日記
9月12日5時49分頃、関東地方で強い地震がありました。

関東地方周辺の各観測地点震度分布図と震央分布図です。気象庁HPより引用。


この地震で、東京都内調布市で震度5弱を観測して、市内の一部で水道管の破損などの被害が発生したほか、東京23区、多摩地域、埼玉県神奈川県、千葉県の一部地域にわたる広範囲で震度4を観測しました。

震源地は東京湾(北緯35.5度、東経139.8度)で、
震源の深さは約70km、地震の規模(マグニチュード)は5.3と推定されます。

この地震は、震央の場所や、震源の深さ、および、震度5弱および震度4の地点分布状況(震度5弱や震度4の地点が、東京23区、や多摩地域の広範囲に分布しているのに対して、千葉県では、震度4の地点は、浦安市や市原市など、東京湾岸のごく一部地域にとどまることなど)より、関東平野が載っている北米プレートの下側に沈み込む、伊豆半島等が載っているフイリピン海プレートの内部で発生した地震と考えられます。

フイリピン海プレートの沿って揺れが伝搬したため、東フイリピン海プレートの指示見込んでいる箇所に比
較的近い、東京23区や多摩地域などのに、揺れが伝わりやすかったことと、東京多摩地区東部から23区西部の地下の構造の特性で、フイリピン海プレートを伝播してきた地震波が、地震波の屈折などの作用が働いてさらに局地的に増幅せしめて、調布市内で震度5弱の強い揺れを発生せしめた、と考えられます。

10日、関東で帯状に集中豪雨 栃木県と茨城県に大雨特別警報発表。鬼怒川決壊などで甚大な被害

2015-09-11 01:40:40 | 日記
①9月10日6時の天気図 気象庁HPより引用


台風17号が、愛知県に上陸して、東海地方西部を縦断し、日本海に抜けた9日、台風一過の好天とはならず、どころか、関東平野中央部では、、9日夕方以降、帯状の発達した雨雲が掛かり続けて、地形的特性など相まって、栃木県や茨城県中心に、10日昼過ぎまで、局地的に豪雨となりました。

栃木県内では、軒並み24時間雨量が300㍉以上、一部では500㍉を超えて、茨城県内でも西部を中心に48時間雨量が300㍉を超えた個所があちこちで現れ、10日未明には、栃木県内に、朝7時45分頃には、茨城県内に、それぞれ、大雨特別警報が発表されるに至りました。

栃木県、茨城県内では、低地の浸水や崖崩れ、河川の氾濫などなどの大雨災害があちこちで発生して、茨城県内では、鬼怒川が、数か所で破堤して濁流が川沿いの広範囲の地域に流失し、被害の全貌はまだはっきりしないものの、甚大な被害が発生している模様です。

この豪雨ですが、台風18号から変わった低気圧に縁を流れてきた暖湿流と、東海上にある台風17号の縁を流れてきた暖湿流とが、関東地方で合流して、関東平野中央部で暖湿流同士が合流したことで帯状に上昇しながら強化されて、非常に発達した雨雲を帯状に形成し、おまけに、この状態が、9日夕方から10日午前中いっぱい継続してしまったため、特に、暖湿流の流れ込んでくる方向に地形的に開いた栃木県内と、発達した帯状の雨雲が長時間かかり続けた、茨城県西部や埼玉県東部など中心にして、記録的な降水量となってしまいました。

この様子を、

②全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用
:9月9日18時


:9月9日24時


Ⅲ:9月10日6時


この時間に対応する 
③日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用
:9月9日18時


:9月9日24時


:9月10日6時


でご覧いただければ、と思います。

関東地方の南で、台風18号の縁を流れ込む暖湿流(おおむね南西風)と、東海上の台風17号の縁を流れてきた暖湿流(おおむね南東風)とが合流して、関東平野上空で、上空1000㍍〜3000㍍まで、南より風ななっている様子がわかりますが、暖湿流同士の収束の結果、暖湿流が、上空まで及ぶ南寄りの気流となって関東平野に流入している証左ですね。
ついでに述べますが、

2都県以上にまたがる大河川の上流部で、

総雨量がおおむね200㍉以上・・・・・中流下流域で、当該河川に流入する小河川や用水の一部であふれ始める。

総雨量がおおむね300㍉以上・・・・・中流下流域で、越水などの大規模な洪水被害が発生し始める

という目安があります。(筆者調べ)


今回は、鬼怒川上流域で、総雨量が600㍉以上となった個所もあり、鬼怒川流域には、前記した帯状の発達した雨雲もかかり続けたため、中流部分の、茨城県内で、数か所にも及ぶ破堤につながってしまった。と言えるでしょうね。

台風18号、9日午前中には東海から近畿へ上陸か。今一度、前線や台風で特に降水量がまとまる地域は?

2015-09-09 01:02:35 | 日記
①9月8日21時の天気図 気象庁HPより引用


②9月9日9時の予想天気図 気象庁HPより引用


一昨日、本州のはるか南海上で発生した台風18号、北上を続けていて、このままですと、明日9日午前中に、東海地方から近畿地等へ上陸する可能性が大きくなってきました。、

台風の進行方向前側にあたる、関東南海上から東海沖にかけて前線が停滞しており、この前線に向かって、台風接近時に定石と言える、台風の周辺から、暖湿流が大量に流れ込んで、前線の活動は活発化しており、関東〜東海〜近畿東部中心に大雨となっており、静岡県の一部では、降り始めてからの総雨量が300㍉を超えて、浸水などの被害も発生しております。

今回の台風、風もさることながら、大雨に対して、とりわけ警戒が必要の様相ですが、ここで、今一度、前線や台風で特に雨量がまとまりやすい地域を列挙してみました。

まず
<前線>

Ⅰ:前線周辺の気流が、地形的特性などで収束しやすい地域・・・・・前線が関東地方通過時、海場からの気流と、関東内陸部の気流とが衝突しやすい、関東地方沿岸部の地域や、温暖前線が西日本の南海上から東海沖へ差し掛かる際に、東海沖で。さらに、寒冷前線が近畿地方を通過中での、京都盆地から大阪平野、さらに大阪湾沿岸地域など。

Ⅱ:前線と、上空3000㍍付近の上昇流とが合流していて、、さらに、下層から地表付近での気流の収束がある場所

Ⅲ:温暖前線、寒冷前線、どの前線もそうですが、前線周辺の上空1000㍍〜2000㍍の気流の流れ込む方向に開いた山の斜面になっている場所や、地形的鞍部になっている地域。


<台風>

Ⅰ:台風を取り巻く螺旋状の雲と、隣接する高気圧の縁を流れる暖湿流に伴う雲とが合流している場所

Ⅱ:台風を取り巻く螺旋状の雲と、前線の伴う雲とが合流している場所

Ⅲ:台風を取り巻く、上空1000㍍から2000㍍の気流の流れる方向に開いた山に斜面にあたる地域と地形的鞍部になっている地域

Ⅳ:台風を取り巻く螺旋状の雲が下層から地表での地形的な特性などによる気流の収束が見られる地域に差し掛かった時

Ⅴ:台風の北西側〜西側より、上空3000㍍付近の上昇流域が接近してきた場合、当該、上空3000㍍付近の上昇流の流れる方向に沿って降水域が発達する。


<高気圧縁辺を流れる暖湿流に伴う降水>

Ⅰ:暖湿流と台風や前線に伴う雲とが合流している場所

Ⅱ:暖湿流の下層から地表付近で、地形的特性などで気流の収束が見られる地域

Ⅲ:暖湿流と、別の上空3000㍍付近の上昇流域とが合流する地域


さらに、前記した項目が複数該当する地域ですと、当該、該当する項目が増えるほど、降水量がより一層まとまりやすいと言えます。


③9月8日21時の日本付近雲画像図
:(赤外画像)


:(水蒸気画像)


大雨発生が懸念される際には、赤外画像や水蒸気画像を参考にしつつ、以上述べた事項を吟味されて、防災活動にお役立ていただければ と思います。

6日夜から7日未明にかけて、千葉県北西部で竜巻発生!

2015-09-08 00:08:37 | 日記
①9月6日21時の天気図 気象庁HPより引用


9月6日21時30分頃、千葉県千葉市中央区今井町(丁度、JR蘇我駅付近)にて、竜巻とみられる激しい突風が発生して、60棟余りの住宅で、屋根が飛ばされるなどの被害が発生した模様です(県警調べより)
このほか、鎌ヶ谷市、成田市などでも、7日未明から朝方にかけて、竜巻とみられる突風得御観測しています。

引用画像①より、突風発生当時、千葉市を含む関東地方南部には、前線が停滞して、前線に向かって暖湿流が大量に流れ込んで、当該前線付近では雨雲が発達し易い状況でありました。

さらに、突風発生地点周辺の詳細な気象状況を考察しますと

②9月6日21時の関東地方周辺、アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用


③千葉県周辺のレーダーエコー合成図 !:9月6日21時20分 :9月6日30分
気象予報士西村氏主催ペパーランド気象センターHPより引用
:


:

6日21時には、東京都心や羽田、および、千葉県内でも木更津や館山あたりでは南〜南西風ですが、千葉市周辺では、東〜南東風となっています。これは、6日20時頃から、東京23区周辺に発達した雨雲がかかっており、千葉市周辺からは、この雨雲に吹き込む気流が入っているものと思われます。丁度、千葉市周辺には、東〜南東風と、南西風とがぶつかり合っている様子が伺いられますね。

その状況下を、引用図③、より、東京23区周辺にかかる発達した雨雲の南東側の東京湾口からか、新たに、雨雲が発達しながら北東進、6日21時30分頃、千葉市周辺を通過中、それも、千葉市周辺で、雨雲の一部が反時計回りに回転している様子もわかります。

東〜南東風と、南から南西風とが千葉市周辺でぶつかり合って、気流の不連続部分を形成しているところへ、雨雲が発達しながら通過、したことが、今回の突風(竜巻でしょうね)の原因となったと言えそうです。

局地的に発生する激しい突風というもの(颪風を除く)は


Ⅰ:周辺の等圧線が混んでいるところへ、地形的に低気圧が発生した個所

Ⅱ:上空の風速が強めであるところや、上昇流と下降流との境目となっている箇所へ、発達した雨雲や雪雲が通過する際に、当該雨雲や雪雲の外縁部

Ⅲ:地表付近で気流の不連続部分が発生している箇所へ、発達した雨雲や雪雲が通過する場合。

が挙げられます
が、とりわけⅡのケースが、ダウンバースト、Ⅲのケースが竜巻やダウンバースト といった、激しい突風を引き起こす原動力となるものです。