カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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大雨の範囲は東日本 北日本へ 帯状に降水域が発達

2010-04-28 23:12:30 | インポート

①4月28日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月28日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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③4月28日9時のアメダス関東周辺風向風速分布図 気象庁HPより引用

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④4月28日22時10分現在 全国24時間雨量最大値 気象庁HPより引用

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昨日の記事の続編となるようですが、大雨の範囲は、28日には、東日本や北日本へ移りました。

24時間降水量は、静岡県の天城山で300㎜を超えたのをはじめに、岩手県や福島県、」茨城県、神奈川県の一部で100㎜以上となりました。東京(気象庁のある千代田区大手町)でも88㎜の降水量を観測しました。

引用図④より、特に降水量が多かった地域は、東日本や北日本では、(天城山を除いて、というより、天城山もすぐ東側が海ですからね)山地と言うより、、山地と海岸線との中間に位置する平野部で、帯状に分布している様子が判ります。

このことは、昨日の本ブログ記事の、ⅡとⅢが同時に発生した賜物であると考えます。

引用図②より、上空1000mの風向風速は、北日本や東日本の沿岸部で南南東でおおむね20m以上と非常に強めですが、関東地方内陸部に着目しますと、風速は10m未満と弱めて、風向は南東となっていますね。関東内陸部上空と沿岸部上空とで風向、風速の不連続部分(シアーライン)があることが判ります。

更に、引用図③より、関東周辺の地表付近の風向風速の様子ですが、28日9時現在神奈川県や千葉県の海岸沿いで南東風が10m以上と強まっていますが、埼玉県西部や北部、栃木県、群馬県と言った内陸部ではおおむね風向は北東~北~北西と疎らで、風速は一部で5m以上とやや強まっているものの、概して風速5m以下と弱めで、丁度、帯状に降水量が多くなっている神奈川県から東京23区にかけて、やはり、風向風速の不連続部分(シアーライン)が明瞭になっております。この、関東内陸部の気流の状態は、地形的に、相対的の気温が低い気流が対流しているためです。

今回の事例のように、関東平野では、海上から南東~南より風が吹きつける時には、内陸部の地表付近~上空1500m付近には、相対的に気温の低い気流が対流しやすいもの。当該、相対的に気温の低い気流と海上から吹きつける気流との間で、シアーラインを形成して気流が収束し、帯状に降水がまとまることは、定石と言ってよいでしょうね。


徳島県内で局地豪雨 南北に連なる勢力強い高気圧の後側は特にご用心!

2010-04-27 23:38:08 | インポート

①4月27日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月27日18時の四国付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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③4月27日18時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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4月27日は、前線を伴なった低気圧が九州の南から本州南岸を進んできました。

さらに、引用図①より、千島近海から本州の南東海上にかけて、南北に連なる勢力の強い高気圧があって、当該高気圧の外縁を廻るようにして、南海上から暖湿流が大量に本州に流れ込んで来ました。

このため、関東以西の南岸沿いの地域では軒並み雨となり、所々で雨脚が強まりました。

特に、27日夕方から四国の徳島県内沿岸部では、局地的に豪雨に見舞われ、1時間に100㎜を超す猛烈な降水となり、24時間雨量でも200mm以上となった箇所もあります。

日本列島の東側に、南北に連なる勢力の強い高気圧があって、その後から、低気圧が本州へ接近してくる場合、ほぼ例外なく、当該低気圧接近・通過時に大雨をもたらします。更に、当該気圧配置時は、高気圧の後側より移動してくる低気圧は、移動速度は得てして遅く、閉塞しやすいものです。当該低気圧の閉塞点や閉塞前線、それに、基の低気圧の中心付近で特に雨雲が発達しやすくなりますね。

引用図①より、低気圧が閉塞した後、地上天気図上から閉塞前線が表現されなくなった後でも要注意!上空1000m~1500mで南海上からの暖湿流同士が収束していたり、低気圧性循環のある箇所ではとりわけ強い降水をもたらします。

最後に、暖湿流流入時、地形的特性で降水域が発達するのは、Ⅰ:山地の分布する方向に垂直に暖湿流が吹きつけて、山地で当該暖湿流が強制上昇する 場合と Ⅱ:山地の分布する方向に平行に暖湿流が吹きつけて、山地の分布する方向に並行に当該暖湿流が強制上昇する 作用もあります。勿論、Ⅲ:前記Ⅱが発生し、かつ、当該山地に接する平野部の地表付近に、相対的に気温の低い部分滞留している場合、尚の事ですね。

一般的に 前記Ⅰのみ発生の場合、山地で降水域が発達し、前記ⅡやⅢの場合は、山地に接する平野部で特に発達した降水域が見られるようになります。

今回4月27日の徳島県の豪雨は、前記Ⅱの典型的な事例と思われます。


アイスランド火山噴火火山灰による混乱は沈静化へ アイスランドも地質的に非常に個性豊かな地域です!

2010-04-20 23:47:41 | インポート

本ブログで、およそ4年ぶりに、火山ネタを紹介します。

去る14日に、北大西洋アイスランド島火山の大噴火が発生。折からの中層より上側での北西~西より風の強風(およそ50ノットは吹いていましたね。)の影響も加わって、火山灰がヨーロッパ大陸のほぼ全域を覆い、ヨーロッパ各国の航空機が19日にかけて離着陸を見合わせたため、大変な混乱が生じました。

成田空港ターミナル内でも、欧州国籍とおぼしき方々が、タイミナル内ベンチに陣取って、寝泊りしている光景を、私自身、何度も目にしました。

正直言って、お気の毒やら、異様な光景やら。だって、かつて、酔っ払った日本人の方が、空港第二ターミナル内ベンチに寝そべっていた所、瞬く間に空港警察のおまわりさん方に取り囲まれて、いろいろ職務質問されていたことがありました。ただでさえ、空港内は警備が厳重ですから、こんな光景は、通常、およそ、ありえませんからね。

さて、日本に限らず、地球上にある火山、地中からマグマ溶岩となって湧き上がっている箇所ですが、当該、溶岩に含まれる、珪酸の含有率によって、水あめのような粘っこい溶岩になるか、さらさらな溶岩になるか、が決まってきます。

比較的珪酸含有量が多い、PH5以下と酸性が強い溶岩を保有する火山を・・・酸性火山

比較的珪酸含有量が少ない、PH7以下と酸性が弱い溶岩を保有する火山を・・・塩基性火山

等と呼んでいます。

酸性が強い溶岩(酸性火山)ほど、水飴のごとく、粘っこい溶岩となり、当該火山の噴火時には、爆発性が強くなり、大きな災害を引き起こす易く、反対に、酸性が弱い溶岩(塩基性火山)ほど、さらさらとした性質の溶岩となり、噴火時には、爆発性は強くありません。

さらに、火山の噴火には、①マグマが吹出すタイプ ②地下水がマグマに触れて生じるもの(水蒸気爆発) ③前記①と②が複合的に生じて噴火するタイプ(マグマ・水蒸気爆発)の3パターンがありますが、このうち、タイプ③の噴火が、大規模なものとなり、深刻な被害を引き起こします。

今回のアイスランド島の噴火も、前記③(マグマ・水蒸気爆発)であろうと、私は見ています。

最後に、今回噴火のアイスランド島は、海嶺とよばれる地球上で、熱いマントルが上昇してきて地殻が新たに生成される場所なのです。海嶺では地下から新しい玄武岩質マグマが次々に供給されて海底で固まり、海洋地殻となって海嶺の両側に移動していきますが、世界で唯一アイスランドが海嶺を地上で観察できる場所で、アイスランド島は中央部の地溝から東西に拡大しつつある場所でもあるのです。

しかし、去る2月末のチリ地震の津波と言い、今回のアイスランド火山の噴火と言い、地球って、まさに、生き物みたいですよね。


東北南部や関東甲信に季節外れの雪が 東京では41年ぶりの最遅積雪

2010-04-17 23:47:18 | インポート

①4月17日3時の天気図 気象庁HPより引用

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本州上空には真冬並みの強い寒気が流入して、本州付近を低気圧や前線を含む気圧の谷が西から東へと通過したため、4月16日夜から4月17日午前中にかけて、東北南部から関東甲信地方では季節外れの雪となりました。

17日昼までに、栃木県の那須では40cmを超す降雪となりましたし、東北南部から関東甲信地方の山間部では、あちこちで10cm以上 雪が降り積もりました。

東京(気象庁のある千代田区大手町)でも、17日明け方にかけて、雪がうっすらと積もり、昭和44年4月17日の降雪2cm以来、41年ぶりに、積雪の最遅記録に並びました。

降水が雨にならず、降雪となるのは、

Ⅰ:おおむね地上付近で2℃以下、湿度が75%以下 

Ⅱ:上空1500m付近で-6℃以下(南岸低気圧の接近時の関東では-3℃以下)

となりますが、

Ⅲ:関東平野の場合、低気圧が本州南岸を通過する場合で、北海道の東から三陸沖の下層(上空1500m付近より下側で寒気移流が顕著となっている場合で、当該寒気移流の場所から北東風が関東平野上空に吹き込んでおり、当該北東風が次第に強まる場合

ですね。

ここで、引用図② 16日21時気象庁発表のAXFE578図 (日本気象予報士会HPより引用)をご覧いただきましょう。

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引用図②下側図より、北海道の東から三陸沖で風向(北西~北東風)が等温線に直交しており、この地域で寒気移流が顕著になっていることを示していますが、当該地域より、関東平野上空に向かって北東風~東風が吹いていますが、紀伊半島沖上空に低気圧性循環が見られ、引用図②上側図より、550hpa(上空5500m付近)の正渦が九州付近にあって、紀伊半島上空では、当該正渦の東側(西谷)になっていますから、前記した紀伊半島沖上空1500m付近の低気圧性循環は、今後さらに強まると見られ、関東平野上空では、次第に北東風(北海道の東から三陸沖での寒気移流が顕著な地域から吹きつけています。)が強まる状態でした。

まさに、前記Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを満たしつつある気象状態でした。

関東平野で降雪となる為には、上空の寒気流入と、下層(上空1500m以下)の寒気を関東平野に如何に呼び込むか?がポイントと言えそうです。当該、下層の寒気が関東平野内陸部で地形的に澱んで、更に気温を低下させるためであることは、以前、本ブログでも紹介しましたが。


北日本では台風並みの暴風 低気圧発達時は周辺の等圧線の走向・幅に注意!

2010-04-14 23:42:42 | インポート

①4月14日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月14日12時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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4月14日オホーツク海で低気圧が非常に発達しました。

このため、北日本中心に台風並の非常に強い風が吹き荒れました。

北海道の広尾では40・6m 同じく北海道のえりも岬では36・5mの最大瞬間風速を観測しましたし、10分間の平均でも、北日本のあちこちで20m以上を観測しました。

低気圧が日本付近で発達する場合、周辺の等圧線の走向や幅がどうなっているか?着目することが大事ですね。

今回のように、

◇低気圧が北日本周辺で発達していますが、西日本から等圧線の幅が緩んでいる場合、太平洋側の各地でも以外風が強まりやすくなります。→これは、当該低気圧の中心の上空3000m付近では、西から次第に下降気流が卓越するようになり、脊梁山脈を吹き降りる山越えのおろし風が卓越するためです。

このため、14日は、太平洋側に位置する 青森県八戸でも10分間の平均の最大で21・5m、福島県浪江や栃木県奥日光では、30m近い最大瞬間風速を観測しています。

また、14日の事例のように、等圧線が本州中央部で ⊃ 型になる場合は、関東の南海上から西に前線が走っていると思って間違いありません(天気図上に前線が描かれていなくてもです。)。後続の気圧の谷が西から近ずいていることも多いもの(この場合、気圧の谷本体が通過前に先行して、東海沖~関東近海で降水域がまとまる傾向があります。)です。このため、関東地方南部や東海、近畿南部 四国南部、九州南部では、以外に雲が広がりやすくなります。(引用図②)