カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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明日26日は全国的に海山では大荒れ。本州南岸沿いの地域中心に大雨も。

2006-02-25 20:17:00 | インポート

06022509 ※引用図はあす26日9時の予想天気図です。気象庁HPより引用。

このところ、天気の変化が早くなってきてますね。

明日26日9時は、前線を伴った低気圧が四国沖と北海道の西に進み、その後、これらの低気圧は発達しながら本州南岸を東進する見込みです。

このため、26日は、全国的に海山では大荒れの天気となりそうですね。また、本州上空には、南から暖かい気流が流れ込みますので、北海道や東北でも雨となるところも多く、積雪地域では、なだれ(この場合全層なだれが主体ですが)や屋根からの落雪、それに雪解けによる洪水などに警戒が必要となってきました。

こうなると、雪って、「天からの授かりもの」なんって言われていますが、まったく、厄介な授かりものですね。特に今年のような雪が多い年は。 本当に、今年は、雪は行き過ぎ???に思われます。(かなり無理しました。)

また、低気圧が本州南岸を東進すると言うことで、関東以西の太平洋側を中心に大雨の恐れもあります。

ここで、引用図を見ていただきたいのですが、東北地方や中部地方西部あたりで等圧線が混む予想となっています。

じつは、このような予想天気図の場合、佐渡沖や若狭湾沖あたりに地形的な影響で、さらに、低気圧が発生して天気図上で表現される可能性が高いといえます。

低気圧が本州南岸を東進する場合、本州の日本海側の佐渡沖や若狭湾沖あたりに別の低気圧が発生しやすいものなんですよ。また、当該本州南岸を東進する低気圧に伴う雨雲も、太平洋側の各地のみならず、この佐渡沖や若狭湾沖でもまとまり易い傾向があります。

この点、本州南岸を東進する低気圧に伴う雨雲を論じる場合に、欠かせない点と私は思いますね。

ですので、明日26日は、関東以西の太平洋側のみならず、北陸地方から近畿地方北部や鳥取県付近にかけても、雨量がまとまる可能性も大きいですね。

また、このような気圧配置になると、山形県庄内平野では、「清川ダシ」と呼ばれる東よりの強風にもご用心!


春の陽気は今日まで。東京でもあすは雪か?

2006-02-23 22:50:18 | インポート

06022315

※引用図は23日15時の天気図です。気象庁HPより引用。

昨日、今日と、関東以西の太平洋側では春を思わせる陽気となりましたが、この陽気は今日までです。 明日24日は、東京を含む関東南部でも、午後から雪の可能性がでてきました。

06022309 引用図で、明日24日9時の予想天気図(気象庁HPより引用)をご覧いただいていますが、明日24日は、本州南海上に前線が停滞し、前線上を低気圧が東進する予想です。 また、本州付近は気圧の谷に入る見込みで、東北地方の日本海側にも低気圧が発生する様子ですね。

一方、高気圧が三陸沖に進み、関東平野には、この高気圧から冷たい気流が流れ込む見込みです。

こうなると、関東平野で雪が降りやすいパターンですね。

さらに、明日24日注意するべき点ですが、本州上が気圧の谷に入るということで、このような気圧配置のときに低気圧が発生しやすい、遠州灘沖あたりに、さらに低気圧が今後発生し、本州南岸を東進するのでは、と、私は見ています。

こうなると、私が先月21日の記事に書いた気圧配置と酷似しますね。静岡県周辺や関東平野でも南部や沿岸部を中心に思いのほか、雪が積もってしまう可能性もありますね。

皆さん、今後の気象情報には注意しましょう。!


まさに濡れ落ち葉。関東南部だげ雲覆う。

2006-02-17 23:47:11 | インポート

06021715 20060217150000 200602171500001 ※引用図は17日15時の天気図と雲画像図(可視画像。図では中側)と雲画像図(赤外画像。図では右側)です。気象庁HPより引用。

昨日、各地にうっとうしい雨を降らせた低気圧が東海上に去り、前線も本州南海上に南下しました。

一見して、17日は、関東以西は晴天、と思いたくなりますが、ところがどっこい、関東地方、特に南部では1日中曇天となってしまいました。夕方には関東南部では小雪も舞ったところもありましたね。 200602171500002

引用図は15日15時の関東甲信越付近の日照の様子です。気象庁HPより引用。

引用図より、関東南部や静岡東部や伊豆、それに山梨東部や富士五湖方面は日照はありませんが、他の地域は日照に恵まれて(すなわち晴れている)様子がわかります。 冒頭の引用図より、この関東南部を中心に覆っている雲は、可視画像(雲の密度が高いほど白く写ります)で白く写っており、赤外画像(雲の高さが高いほど白く写ります。)では、かすんでいます。 すなわち、この雲は、雲の密度は高いが、雲の高さは低い為、関東地方西部の山地を越えにくく、関東南部や静岡東部や伊豆、それに山梨東部や富士五湖方面だけ雲が覆ってしまったと言うわけです。

では、何で、こんな雲が発生したのでしょうか?次の引用図、極東高層実況図(気象業務センターHPより引用)をご覧いただきましょう。 Z__c_rjtd_20060217000000_met_cht_jciaxfe

引用図より、斜線で表現された、U字型の画像部分(上空の気圧の谷)本州の西側にあります。 すなわち、本州上は、上空の気圧の谷が抜けきらず、当該気圧の谷の前面にあります。上空がこのような状態の場合、本州付近は雲が発生発達しやすい場でもあります。とりわけ、相違う風向同士が衝突する場所などに、雲が発生発達しやすくなります。また、関東平野、特に南部には、関東東海上から、天気を悪くする北東から東よりの風が 入りやすくなるものです。

次に、17日15時の関東甲信越方面のアメダス風向風速図(気象庁HPより引用)をご覧いただきましょう。

200602171500003

関東平野、特に南部には、関東東海上からの北東の風が入り込んでいます。関東東海上から北東風が関東平野に入り込むと、雲の密度が高いが背の低い雲(層積雲と呼ばれる雲が主流です。)に覆われてしまいますね。

また、関東の北東~北よりの風と東海道沿岸に吹く西よりの風が静岡東部付近で衝突している様子がわかりますね。

以上の理由から、17日は、関東南部や静岡東部や伊豆、それに山梨東部や富士五湖方面だげ曇天になってしまった。と言うわけです。

それにしても、私の住む東京も曇天。関東北部や静岡、甲府なんかは晴天だったそうな。

低気圧が去って、天気はどんてん返し?とは行かなかったですな。(あまり、語呂が良くない。)


関東や静岡でポカポカ陽気。静岡で24・6℃、東京でも19・9℃

2006-02-15 23:13:24 | インポート

06021509 06021515 20060215150000 ※引用図は15日9時と15時の天気図と15日15時のアメダス全国気温分布図です。気象庁HPより引用です。

15日は、関東地方や山梨、静岡で気温が上がりました。 特に、静岡市の最高気温は24.6℃と6月上旬の陽気となり、甲府でも最高気温が23・7℃と5月上旬並みの気温となり、一気に、、冷たいビールを飲みたくなるような陽気となりました。 東京でも最高気温は19・9℃と、4月下旬頃の陽気でしたね。

この、関東地方や山梨、静岡の昇温は、本州の南海上の高気圧から西風となって暖かい空気が本州上に流れ込んだのと、この西風が中部山岳を越える際に、フェーン現象を起こしたものです。

では、米国オハイオ州立大学のHPより引用した、茨城県館野と静岡県浜松の700hpa(3000メートル上空)までの気温と風向風速図とご覧いただきましょう。 200602150047646 200602150047681

これらの図より、15日9時は館野も浜松も3000メートル上空までおおむね西よりの風となっていますが、気温の線(図内の右側の実線です。)を見ると、850hpa(図内で1487メートルと書かれた箇所です。)より下方の気温が、浜松より館野の気温が2~3℃高くなっています。そして、地表は館野は朝の冷え込みが加わり気温がは浜松より低くなっているものの、高度が下がるほどに館野と浜松の気温差は大きくなっていよう様子がわかります。

このことより、15日は朝から関東平野はフェーン現象が発生していると言えますね。

このことは、西風がまず、中部山岳南縁に接触して、この接触した部分の気流は集まる(収束する)ことになります。一方、気流が集まる(収束する)部分の隣接地域(今回の場合は、中部山岳東側の関東平野や山梨県、静岡市周辺があたります。)では、気流は広がる(発散する)状態になります。 そしてまた、当該、気流が広がる(発散する)状態の場合は、当該気流は上空から地表に下降している状態(下降気流)にもなるわけですね。さらに、気流が下降気流の場合は、当該気流は地表に達するほど、そうでない場合よりその気流の気温は上昇する性質があります。(下降気流による断熱昇温)

このようなわけで、西側に中部山岳を控えた関東平野や山梨、静岡市周辺の高温が発生したわけです。

ただ、この暖かい陽気も15日まで。16日は低気圧や前線の影響で、関東地方や山梨、静岡市周辺では、天気がぐずつき、冷たいビールではなく、熱燗が欲しくなるような寒い1日なりそうです。

こうなると、私のような左党には・・・おでんや焼き鳥で熱燗を。う~ん。こたえられぬ。


朝方、北海道石狩湾岸西部で局地的大雪、日中には秋田県でなだれ。死者も。

2006-02-10 23:50:46 | インポート

10日朝方、北海道石狩湾岸西部で局地的に大雪が降り、後志北部には一時大雪警報が出されました。

小樽の西側に位置する余市町(ニッカウヰスキーで知られていますね。)では、観測史上最高となる積雪196cmを観測しました。

この様子を、10日6時と9時の天気図とレーダーアメダス図、それにアメダス風向風速図8北海道南西部)で見てみましょう。(※引用図は全て気象庁HPからです。) 06021006_1 06021009_1 200602100600_1 200602100900_1 200602100600001_1 200602100900001_1 余市町のある石狩湾岸西部から積丹半島南東部にかけて強い降雪域がかかっていますが、この強降雪域をはさんで、東の石狩平野北部では南東から東風が、そして、西側の積丹半島南西部からは南西風が吹いていて、強降雪域で衝突している様子がわかりますね。これら相違う風向の風同士がぶつかり合い、この強降雪域を形成し、今回の大雪につながったわけですね。

ただ、今回は、この相違う風向同士のぶつかりあいが10日昼前にははっきりしなくなりました。これに伴い、当該強降雪域も弱まったため、石狩湾岸西部から積丹半島南東部にかけての大雪も、午後には治まりました。06021012

200602101200 一方、10日は、前線を伴った低気圧が日本海を東進して、この低気圧から延びる寒冷前線が北日本を通過しました。このため、10日日中は、北海道や東北地方に日本海側では湿った雪が降り、秋田県乳頭温泉ではなだれ(表層なだれですね。)が発生して、亡くなった方が1名、その他怪我をされた方が多数でてしまいました。

※引用図は10日12時の天気図とレーダーアメダス図です。気象庁HPより引用。

なだれには、古い雪の上に新雪が積もったときなどに雪の層の表層が崩れて発生する表層なだれと、気温が上昇したり、ある程度まとまった雨が積もった雪の上に降ったときに、積もった雪の層全層が崩れて発生する全層なだれ とがあります。

表層なだれは、崩れる雪の速度が高速なのが特徴で、時には時速100キロ以上にも達し、爆風をも伴うこともあります。よって、表層なだれは破壊力が凄まじく、なだれの死者の9割は、この表層なだれによるものです。それに、表層なだれは、古い雪の上に新しい雪が多量に積もった場合に発生するばかりでなく、今回のように、いったん降った雪が残っている状態で朝晩冷え込みが強まり、その後、新たに湿った雪が降るケースも発生頻度が高いことを忘れてはなりませんね。これは、性質の違う雪同士の境界は、非常に不安定で滑りやすいためです。

一方、全層なだれは、崩れる雪の速度は表層なだれほどではないものの、崩れる雪の規模は広範囲に及ぶ特徴があります。

本年は雪が多いですが、雪が多い年は例外なくなだれの被害も多いです。積雪地域に皆さん、ご用心!