カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風2号から変わった低気圧は関東南岸から東海上へ 東北や関東で強い風雨 福井嶺南では昨夜から30日朝

2011-05-30 23:58:44 | インポート

①5月30日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月30日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③5月30日9時気象庁AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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台風2号から変わった低気圧ですが、本州南岸を東へと進み、30日9時には関東南岸へ達して、その後、関東東海上へ進みました。

この低気圧の影響で、四国から近畿、関東から東北地方の太平洋沿岸のあちこちで、瞬間で30mを超す非常に強い風が吹き、宮城県石巻や千葉県銚子では10分間の平均風速の最大でも20mを超す暴風となりました。

一方、大雨の中心は、30日は、東北地方の太平洋側へと移り、この地域では、あちこちで24時間雨量が100㎜を超えて、仙台市内など、浸水被害も発生しました。

更に特筆するべきなのは、昨日29日夜から本日30日朝にかけて、福井県嶺南地方(若狭湾沿岸の地域)で局地的な豪雨となり、福井県大飯では、30日午前7時20分までの24時間に、実に370㎜もの凄まじい降水量を観測しました。

今回の、この福井県嶺南地方の局地的豪雨の発生したカラクリですが、

まず、引用図②でAの部分に注目!このAは、引用図③の上側では、500hpaの顕著な正渦度移流に対応します(本ブログに5月29日記事の引用図で、5月29日9時のAXFE578図と見比べてください。)。更に引用図③の下側では、850hpa(上空1500m付近)では、本州中央部では、台風の名残といえる暖気が分布しているものの、北陸地方沖では、局地的ですが寒気移流の部分も見られ、北陸沿岸は北東風も強まり、局地的に前線の体をなしています。(この部分は昨夜はもっと広範囲ではっきりしていましたが)

実は、昨日29日夕方より日本海中部から西部には、台風から変わった低気圧が持ち込んだ暖気移流と北日本方面からの局地的な寒気移流とのコントラストが強い部分に、前記した500hpaの顕著な正渦度移流域(上空3000m付近の顕著な上昇流域に対応)がマッチングした形となっており、当該箇所には、帯状に強い降水域が発生していました。

当該帯状の強い降水域は、500hpaの顕著な正渦度移流域が東へ移動すると共にそれ自体も東へ移動し、山陰地方や北陸地方沿岸へもかかり、29日夜から30日朝方にかけて、福井県若狭湾沖では、北東~北より風が卓越していたため、当該方向に地形的に開いている福井県嶺南地方西部で、地形的に降水域が一層強まり、今回の豪雨となった と 私は考えています。

ただ、今回の事例は、特異なことではありません。台風が西日本の南岸に接近する際にに、大陸から500hpaの谷が本州に進んで来ると、日本海中部から西部には、前記した帯状の強い降水域が発生し、当該500hpaの谷の移動に伴い、前記した帯状の強い降水域は東~南東へ移動するようになります。(筆者調べより)。平成16年の台風23号が四国へ上陸した際が同様な事例でした。


台風2号は15時に温帯低気圧へ 引き続き大雨や暴風 高波には要警戒!!

2011-05-29 18:26:04 | インポート

①5月29日15時の天気図 気象庁HPより引用

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昨日5月28日に、沖縄本島や久米島などに猛烈な暴風雨をもたらした台風2号ですが、その後北東へ進んで四国沖へと進んできましたが、さすがにこの時期、沖縄近海の海水温は25℃以下と、台風の勢力を維持させるには、まだまだ力不足と言う感じですから勢力は次第に衰えtれきました。

その後、5月29日15時に、台風2号は、四国沖で温帯低気圧に変わりました。

ただ、台風から温帯低気圧に変わったというのは、台風と言う熱帯低気圧から、相対的な暖気移流(高温位)相対的な寒気移流(低温位)のぶつかる合う箇所になったと言う、単に、低気圧のしての構造が変化しただけの話です。引き続き、台風から変わった低気圧周辺では、非常に強い雨雲があり広範囲で大雨の恐れは残っています。また、風ですが、台風から温帯低気圧に変わった後、より広範囲で強風が吹くことも多いですね。

台風に伴う強風ですが、Ⅰ:台風の渦巻きの回転運動に伴うもの に + Ⅱ:気圧経度の大きくなる箇所 に左右されます。ですから、台風周辺で、気圧経度が大きい箇所や、台風移動と共に今後気圧経度が増大する箇所が要注意と言えます。

前記したことは、以前、本ブログの記事で紹介しましたが、台風が温帯低気圧へ変わってもこのことは同様!かえって、台風が温帯低気圧に変わった場合、500hpaの谷の後押しを受けて、渦有効運動エネルギーを補給されて、低気圧として、発達する場合もありますから、油断なりません!!

台風2号が温帯低気圧に変わる前の

②5月29日9時の天気図 気象庁HPより引用

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③5月29日気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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④5月29日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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引用図②③④より、29日9時現在、台風2号は九州の南東海上にありますが、500hpaの谷が対馬海峡付近へと進んできて、台風と重なり合う一歩手前の状態となっています。また、台風2号に伴う雲の形状ですが、台風特有の螺旋状の渦巻き型 ではなく、勾玉型 になってきています。これらのことは、台風が温帯低気圧へ変化するまさに直前であることを示すものですね。

⑤5月30日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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引用図①⑤を見比べると、オホーツク海に高気圧が停滞しており、当該台風2号から変わった低気圧は29日9時には関東南岸まで進んできますが、それと共に、関東東海上~東北地方太平洋でかけて、広範囲で等圧線の幅が狭まってくる予想です。

さらに、低気圧に伴う前線の形状ですが、温暖前線と寒冷前線が次第に閉塞し、温暖前線がほぼ東西に走る形状となっています。こう言う前線の形状を持つ低気圧ですが、低気圧の進行方向前側で暖湿流が大量に流れ込んでいるもので、当該低気圧の中心~前線付近を中心に雨量がまとまる特性があります(筆者調べより)。

引き続き、東日本~近畿、中国、四国地方の広範囲で大雨の恐れがありますが、今後、地形的に、暖湿流が流れ込んでくる方向に地形的に開いている、関東地方東部や東北地方の太平洋側で、明日30日にかけて、雨量がかなりまとまりそうですね。

また、関東東海上や東北地方太平洋沿岸では、等圧線が混んできますから、あす30日にかけて、暴風や高波、それに、沿岸部の高潮には充分に警戒してください!!

(追伸)

台風2号が、29日15時に四国沖で温帯低気圧に変わりました。四国沖から紀伊半島沖を台風や発達した低気圧が進んでくると、そうですね。岡山県北東部の那岐山南麓での広戸風 や兵庫県神戸市周辺での、六甲おろし が強まってきています。

広戸風は29日14時前から、六甲おろしは29日16時頃から強まりだしました。

⑥5月29日18時の近畿地方周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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29日18時現在、岡山県奈義で北北西24m(広戸風)、兵庫県神戸で北19m(六甲おろし) を観測しています。


台風2号は南西諸島へ 沖縄では暴風荒れ狂う!!

2011-05-28 23:42:12 | インポート

①5月28日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月28日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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台風2号は、5月28日夜、沖縄久米島付近を通過し北東へと進んでいます。

5月28日21時現在、台風2号の中心付近の気圧は950hpa 中心付近の最大風速は40mとなっていますが、28日23時までに、最大瞬間風速は那覇で55・3m 北原(久米島空港)で53・5m 安次嶺(那覇空港)で52mを観測したほか、前記、北原(久米島空港)や安次嶺(那覇空港)では10分間の平均でも最大で40mを超えています。

沖縄本島や久米島では、暴風で民家の窓ガラスが割れるなどの被害が出ているとのことです。

引用図②より、台風を取り巻く雲の集団から北東~東方向へ大きく広がる白く輝いた画像部分(引用図内ではAと表示)ですが、これは、台風の渦巻きが上空で吹き広がったものと上空(およそ5000mより上側)での帯状に風速が強まっている部分(強風軸)に伴う雲とが合さったもので、当該白く輝いた画像部分(引用図②ではAと表示)の走向が、今後の台風の進路を暗示していると言えるものです。

引用図にはありませんが、西日本の南海上から沖縄近海にかけての海水温は、5月27日の観測ではおおむね25℃以下となっており、それゆえ、今回の台風2号、勢力は、今後徐々に衰えると思われますが、それでも、29日夜には、西日本へかなり接近する見込みです。

本州の南海上には前線が停滞しており、今後、台風2号の北上と共に、暖湿流が当該前線に向かって大量に流れ込んできますから、この前線の活動は西から次第に活発になる予想です。

(追伸)5月28日24時までの24時間に鹿児島県の屋久島では419㎜の降水量を観測しました。

さらに、台風と言うもの、台風自体もさることながら、台風の縁を廻るようにして当該台風の進行方向前側に流れ込む暖湿流は下層から中層まで及ぶために、台風接近に伴う降雨は、地形的特性を大きく受けやすいもの。今後、下層から中層まで、同一な風向が継続しやすくなると予想される地域は、太平洋側の南~南東に開いた斜面にあたる地域のみならず、西日本の日本海側の各地でも雨量がかなりまとまるのではないでしょうか?


関東甲信越や東海で梅雨入り おまけに厄介なことが・・・・・

2011-05-27 23:58:27 | インポート

①5月27日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月27日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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気象庁より、5月27日午前中に、関東甲信越地方と東海地方が梅雨に入ったと見られる 都の発表がありました。

関東甲信越地方の梅雨入りは、昨年と比べると17日早く、平年と比べても12日早いもので、昭和38年(5月6日頃と梅雨入り発表)に次ぐ、2番目に早い梅雨入りとなりました。

ちなみに、関東甲信越地方の梅雨入りで一番遅い梅雨入りは、昭和42年と平成19年の6月22日となっており、およそ1ヶ月の差がありますね。

引用図②上側図より、中国大陸奥地と樺太付近~沿海州付近で500hpaの気圧の峰があり、シベリア東部から中国東北部~中国大陸東部にかけて500hpaの気圧の谷が進んできました、この気圧の谷接近をうけてでしょうか、前述した樺太付近~沿海州付近で500hpaの気圧の峰周辺部の気流の流れは、ブロッキングしかけてきました。こうなりますと、当該、気圧の峰周辺部の気流の流れは、ブロッキングしかけてきた樺太付近~沿海州付近~オホーツク海ふきんにかけて、高気圧の勢力が強まってくるものと予測されます。

まさに、梅雨入りのお膳立ては整ったといえますよね。

だが、引用図①より、沖縄の南海上に台風2号が進んできました。

引用図①②より読み取れることですが、台風の北西側に500hpaの気圧の谷が進んできて、かつ、当該500hpaの気圧の谷の東側で500hpaの気圧の峰が深まり周辺部の気流の流れがブロッキングするようになると、当該台風の進路は北向きに変化するようになります。(過去の台風進路から筆者が経験則で認識していることですが)

こうなりますと、今後の台風2号の進路予想に目が話せなくなってきました。本州へかなり接近したり、上陸する可能性もでてきましたね。


天気は西から回復 だが、再び悪天の影が

2011-05-24 23:57:20 | インポート

①5月24日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月24日15時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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5月24日は、伊豆諸島近海を低気圧が通過して東海上へ進んだため、関東地方では、朝方強い雨が振ったところがあるものの、天気は、一旦、西から回復してきました。

ところが、再び、西から悪天となりつつあるんです。引用図②より、中国大陸には、お椀をかぶせたような ⌒ 型の雲の集団がありますが、これは、500hpa(上空5500m付近)の気圧の谷です。

本州の南海上に前線が停滞している状態で、一旦、前線の活動が弱まって本州各地の天気が回復する場合でも、500hpa(上空5500m付近)の気圧の谷が西~本州付近へ接近すると、当該本州の南海上に停滞する前線が再び西から北上して、天気が崩れてくると言うのが定石ですね。

ちなみに、今回は、件の500hpa(上空5500m付近)の気圧の谷を表現している、⌒型の雲の集団の東側に注目しますと、今回は、⌒型の雲の集団の東側で、北西~南東方向に帯状に雲が分布している様子が解りますね。

特に、前記した、500hpa(上空5500m付近)の気圧の谷を表現している ⌒型の雲の集団の東側で 帯状に顕著に雲が分布している部分は、上層(おおむね上空5000m以上)では、帯状に雲が走る方向へ吹く強風軸(高度が上がるほど強風軸は北へずれて行きます。)となっており、航空機の運行には注意しなければいけない区域でもあります。