カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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東京で桜開花。

2005-03-31 22:55:22 | 日記・エッセイ・コラム

2005033115

31日の東京は、最高気温15・5℃となり、午後には、桜の開花が発表されました。東京の桜の開花は昨年と比べると13日遅く、平年と比べても3日遅いものでした。
東京以外でも、甲府、名古屋、高知などでも桜の開花が発表されました。

桜の開花というものは、各気象台が基準となる場所の基準の桜の木(これを標本木といいます。)を決めており、その標本木が5~6輪つぼみが咲くと、開花と発表されますし、開花の後、当該標本木のつぼみが80%以上咲くと、満開と発表されます。

桜は、開花から概ね平均気温の積算が55℃~60℃に達すると満開となるもので、週間予報などを勘案すると、東京あたりでは、4月の第1週目の土日あたりに満開となりそうですね。
ようやく、花見の季節を今年も迎えるようになりました。
花見と言えば、そう。桜の木の下での酒盛りですね。こたえられません。
でも、皆さん。桜の花見で、酒を飲みすぎて、桜ん???(錯乱)状態にならないように、くれぐれもご注意あれ。

※引用図は31日15時の天気図です。(気象庁HPより引用致しました。)
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地震のマグニチュードは3種類算定方法があります。

2005-03-29 23:21:57 | インポート

日本時間で29日未明に、スマトラ島沖でマグニチュ―ド8・7の巨大地震が発生しました。被害の様子が刻々と各メデイアで伝わってきますが、昨年末の、大津波を起こした巨大地震の震源域のすぐ南東に隣接する地域で発生した模様で、地震による被害も甚大なものであることが、次第に判明しつつあります。

さて、地震のマグニチュードとは、地震の規模を表すものですが、マグニチュードには3種類の算定方法があるのは、皆さん、ご存知でしょうか?

そもそもマグニチュードは地震の規模を示す値です。1935年にアメリカの地震学者リヒターが考案しました。

リヒターの定義は、震源から100km離れた、特定の種類の地震計が記録した最大の針の振れはばの大きさを、マグニチュードとしました。ただし、実際には、地震計が震源からちょうど100km離れたところにあることはまずないので、距離によってマグニチュードの値を修正していました。

マグニチュードという値を作るときにリヒターが工夫したことは、地震の揺れは小さいものから大きいものまでさまざまなので、最大の振れはばの大きさをそのまま数字で表すのではなく、その数字のケタ数をマグニチュードとしたことです。ですから、巨大地震のマグニチュードも少ないケタ数で表すことができます。

リヒターがマグニチュードを考案した後、マグニチュードの求め方について別の提案があり、目的に応じて、さまざまなマグニチュードが生まれました。現在3通りのマグニチュードの算定方法があります。これらのマグニチュードは、基本的に同じ地震に対して同じ値になるように考案されたものでしたが、実際にはかなりの差ができてしまいました。
これらのマグニチュードについて以下紹介します。

①表面波マグニチュード
地震計で観測した地震波の周期(波の山が来てから次の山が来るまでの時間)が20秒程度の表面波の最大の揺れと、地震計と震央(震源ではない)との距離からマグニチュードを求める方法。
浅いところで発生した地震について用いるが、地震計の限界により大体M8.7~8.8以上の値を表せなく、巨大地震の規模を比較するのには向いていません。
日本の気象庁が発表している「気象庁マグニチュード」も深さ60キロより浅いものは、この表面波マグニチュードを取り入れています。

②実体波マグニチュード
地震計で観測した地震波の実体波(P波とS波)の最大の揺れと周期、震源の深さなどからマグニチュードを求める方法。
深発地震の規模を表すために用いられているが、やはりM8.7~8.8以上の値は表現できません 。日本の気象庁が発表している「気象庁マグニチュード」も深さ60キロより深いものは、この実体波マグニチュードを採用しています。

③モーメントマグニチュード
震源となった断層のずれの量、断層の面積、断層付近の岩盤の性質などの、断層運動からマグニチュード求める方法。
これらの値は、地震波を長い時間観測しなければ求められないので、モーメントマグニチュードは地震速報には用いられない。しかし、どんな大きな地震でも表せるので、巨大地震の規模はモーメントマグニチュードで表されることが多いですね。

ただ、このモーメントマグニチュードは、震源が深い地震は表現できない性質があります。
ちなみに、観測史上最大の地震は、1960年のチリ地震で、この地震のモーメントマグニチュードは9.5でしたし、昨年暮れの、スマトラ島沖地震は、モーメントマグニチュ―ドで9.0でした。

ちなみに昨今の海外の大地震発生時に、これらのマグニチュードをごっちゃにして各メデイアが報道しているように見うけられるふしもありますが、以上のようにどのマグニチュ―ドで算定したのか、はっきり明示するべきであると私は申しあげておきます。

さて、マグニチュードと地震のエネルギーの関係ですが、マグニチュードが1増えると、地震のエネルギーは約32倍になります。2増えれば、エネルギーは32倍の32倍ですから1000倍になります。つまり、M8の巨大地震のエネルギーは、マグニチュード6の中規模の地震1000回分に相当することになります。


関東南部に沿岸前線発生。

2005-03-28 22:55:57 | 日記・エッセイ・コラム

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2005032818_Kion

2005032818

28日は、低気圧が本州南岸を東進したため、本州の南岸沿いの地域では全般的に雨となりました。南西諸島の一部ではかなりの大雨となったところもあります。

て、引用図の28日18時の天気図、関東地方のアメダス風向風速図と気温図をみると、低気圧が関東南岸にありますが、関東平野では、千葉から横浜を結ぶ線上より南側では、気温が概ね13℃から15℃程度となっており、風向は南側では南よりの風、北側では北よりの風となっており様子が判ります。なお、画像にはありませんが、関東地方上空では1000メートルあたりより上空では南よりの暖かく湿った風が吹いています。言ってみれば、地表付近の前線が発生していると言えますね。

この状況は、関東以西の太平洋側の沿岸部で発生し易く、沿岸前線と呼んでいます。

特に関東平野では、低気圧が西から接近通過する場合、内陸部に冷気が溜まり易く、関東南岸で南よりの風となる場合は、沿岸前線が発生し易くなります。

この沿岸前線を境にして、直線距離で10キロ程度しか離れていなくても、気温差が10℃以上となることは珍しくなく、冬季の関東平野では、雨と雪との境目となります。。

沿岸前線付近を中心に雨量がまとまるものですし、時には沿岸前線付近では、短時間強雨や、竜巻、突風が発生することもあります。昨年6月30日にに静岡県静岡市で360ミリを超す豪雨となったり、本年1月16日に千葉県銚子で200ミリを超す冬の大雨となったのはこの沿岸前線の影響と考えられます。


冬型強まる。三宅島で最大瞬間風速34・7mを観測。

2005-03-25 23:03:41 | 日記・エッセイ・コラム

2005032509_Kaze200503250925日の日本列島各地では、一時的に冬型気圧配置が強まり、日本海側では各地で雪となりました。また、全国的に風が強く、伊豆諸島の三宅島では午前10時20分頃、最大瞬間風速34・7mを観測したほか、関東地方では、午前中、JR鹿島線の延方~鹿島神宮間で、運行規制値の25mを観測したため、列車の運行が見合わせとなったりしました。

引用図では、25日9時の天気図と、関東地方周辺のアメダスの風向風速図をご覧頂いていますが、関東地方の風向風速の情況をつぶさに見ると、埼玉県より北側では、北西風が、そして、伊豆諸島から伊豆半島では西から西南西の風が吹いており、この風向の異なる風同士が神奈川県三浦半島から相模湾沿岸で衝突しています。すぐ東側の千葉県でが西よりの風が強まっていますが、この2つの風が衝突している三浦半島から相模湾沿岸付近を中心にして、神奈川県西部や東京多摩地区では、風は弱めとなっています。

実は、このような現象は、関東平野では冬型気圧配置時には良く見かけることです。2つの風が最も衝突し易い地域は伊豆大島近海から神奈川県箱根周辺ですね。

冬型気圧配置時には、季節風は日本列島の地形的特性の為、関東地方には、上信越の山岳や福島方面から関東平野に向かって吹く、北~北西風と、静岡方面からの西から西南西の風が関東南岸で衝突するようになりますが、静岡方面からの風の南分が大きくなり、その風が強まるほど(言いかえれば西南西風から南西風となる場合)、前記した、2つの風の衝突する地域は、北側に移動するようになります。概ね、本州付近の等圧線が、北北西から南南東に走っている時は、当該衝突する地域は東京地方から神奈川県付近、日本海北部に低気圧があり、本州付近が西より風が卓越する場合は、栃木県南部あたりまで北上することもありますね。

このように関東地方は、全国でもあまり例がない、本州の地形的特性で分断された冬型季節風同士が衝突する場でもあるんですね。

※引用図は3月25日9時の天気図とアメダス風向風速の関東の画像です(気象庁HPより引用致しました。)


ポーラーロー日本海を東進。25日は冬型強まり冬に逆戻り。

2005-03-24 23:42:44 | 日記・エッセイ・コラム
200503241524日は、ポーラーロー(寒冷低気圧)が日本海を東進しました。このため、関東以西の各地では不安定な空模様となり、所々で一時的に強い雨や雷が発生しました。また、風も強まり、瞬間で30mを超す台風並の突風が吹いたところもありました。
今後、このポーラーロー(寒冷低気圧)は東北地方を通過して、その後三陸沖に達し、25日は、冬型の気圧配置がだいぶ強まりそうです。上空にも真冬並の非常に強い寒気が流れ込みますので、本州の日本海側では全般的に雪で、所々大雪となる恐れもあります。
なお、24日夜~25日午前中にかけて、このポーラーロー(寒冷低気圧)の通過に伴い、特に新潟県沿岸や山形庄内地方、秋田県沿岸では南西から北西の暴風に警戒。関東地方も千葉県南部や伊豆諸島、東海地方では静岡県沿岸部でも25日は西~南西の風が非常に強まり、瞬間で30mを超すような台風並の風が吹く可能性があります。

※引用図は24日15時の天気図です。(気象庁HPより引用致しました。)