カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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地上天気図上でははっきりしない厄介者 寒冷渦

2014-04-30 22:44:44 | インポート

①4月30日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月30日18時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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日本付近は、日本海と中国大陸に中心を持つ寒冷渦(上空の偏西風帯が蛇行しすぎ、偏西風帯まで渦を巻いてしまった状態のもの)のため、東海地方や近畿地方南部では、24時間雨量で200㎜を超え、4月としては記録的ともいえる大雨となりました。

引用図①②より、寒冷渦が発生すると、当該寒冷渦の南東側~南側には、暖湿流が大量に流れ込んで、とりわけ南東側で大雨に見舞われやすいものですが、おまけに、寒冷渦自体、字の通り、上空に寒気を伴っており、移動速度も遅いため、広範囲で急な強い雨や雷、降雹、突風など、激しい気象現象を引き起こします。

北海道~九州まで、寒冷渦が東海上に移動する、5月2日頃までは、大気が不安定になる昼過ぎから夕刻にかけては、天気の急変や落雷などには、注意が必要ですね。

寒冷渦に伴う、まとまった雨雲は、寒冷渦の南東にあり、引用図①のように、地上天気図で前線として描かれる地域周辺となりますが、当該まとまった雨雲から外れても、寒冷渦の南東~南側には、引用図②より、水蒸気画像上で、白く糸状の画像域が帯をなしております。こういった箇所では、大気が不安定で、雷雲が発生しやすい箇所と言えますね。雷雲は、水蒸気画像上に現れる、白く糸状の画像域の方向に沿って発生します。

さらに、引用図①より、地上天気図上には、寒冷渦に対応する気圧配置は、日本海に小さな低気圧があるのみ。このように、雲画像等を頼りにしないと、寒冷渦の全貌ははっきり解りません。厄介者です。

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雲画像図は、気象のレントゲン写真!

2014-04-25 18:26:14 | インポート

①4月25日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月25日12時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③4月25日12時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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4月25日は、日本付近を勢力の強い高気圧が覆いました。

こうなると、一見、全国的に、安定した晴天となるのが通常でありますが、引用図①②③を比較検討してみてください。

たしかに、引用図①より、本州付近、勢力の強い高気圧に覆われていますが、引用図②より、水蒸気画像上では、日本海西部に、渦巻く白くぼやけた画像域(上空の気圧の谷※寒気を伴っているものです。に伴う中層の上昇流域)が見られ、引用図③より、本州中部内陸部や、西日本の太平洋沿岸や、日本海西部には、所々、点々と、白くぼやけた画像域(おそらく、積雲系の雲で、雷雲の発達する兆候がある雲でしょう)がみられます。

このように、地上天気図上では表現されえない、気象の流れを、雲画像図は表現してくれるもの。いって見れは、雲画像図は、気象のレントゲン写真といえるでしょう。

ここで、雲画像(ⅰ:水蒸気画像 ⅱ:赤外画像 ⅲ:可視画像)について、の特徴(筆者調べ)について記しましたので、ご参考下さい。

ⅰ:水蒸気画像・・・・・中層(上空およそ2000m以上)以上の上昇流域に対応する、水蒸気含有量が多い箇所ほど、白くはっきり写る。おもに、500hpaの正渦度移流域に伴う、上空3000m付近の上昇流域や、太平洋高気圧の外縁部や、台風や熱帯低気圧の外縁部の伴う暖湿流などを表現させる。大雨発生懸念地域や、筆者自身、中層付近の乱気流発生懸念地域割り出しに活用しています。

ⅱ:赤外画像・・・・・温度の低い部分ほど白く写る。背の高い雲や、上層の雲ほど白く写るものである。

ⅲ:可視画像・・・・・雲の密度が多い地域ほど白く写る。海霧など、広範囲に発生する濃霧も白く写るものである。なお、可視画像で白く写るが、赤外画像でが不鮮明な画像域の場合、背の低い雲の集団で、可視画像も赤外画像も白く写る画像域は、背の高い発達した雲の集団と言える。

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内閣府作成 避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインについて

2014-04-18 23:58:34 | インポート

先だって8日、内閣府より、避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインhttp://www.bousai.go.jp/oukyu/hinankankoku/guideline/pdf/140407_honbun.pdf

が公表されました。

これによりますと、ガイドライン全99ページに及ぶものですが、当然、災害時、各自治体、このガイドライン通りに杓子定規に事を進めればよいと言うものではありません。各自治体の、地形的特性などを勘案されて、オリジナリテイーに、かつ、弾力的な避難指南ができる内容のマニュアルの作り換える事が肝要であると思いますね。

そのために、気象庁からの注意報、警報、特別警報が適切かつ、弾力的に発表されて、円滑に各自治体より、各住民の周知徹底されることが大前提のようです。この点、至極当然のことですが。

さらに、私自身、このガイドラインを読み通して痛感したことですが、災害対策基本法60条3号で、避難することがかえって危険になる場合、自宅の安全な場所に留まるとかして、身の安全尾図ることの趣旨が記されており、ガイドライン内でも、、各住民に、自主避難を推奨する記述も随所に見られます。

ただ、こういう、自主避難者に対しては、現行の災害救助法の運用ですと、救助の対象にはなりにくく、この点、諸刃の剣 と言える問題点となりそうです。災害発生時には、適切かつ円滑な避難行動指南のみならず、適切かつ円滑な救助活動が行われるよう、災害救助法等の、災害対策に対する諸法規の弾力的な運用や、場合によっては、改正など、必要となってくるでしょう。

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4日の埼玉の突風 竜巻でした。レーダーエコー図上での特徴は?

2014-04-05 23:57:43 | インポート

①4月4日15時10分の ⅰ:関東周辺レーダーエコー図 とⅱ:関東周辺レーダーエコー図を埼玉周辺を拡大した図(黄緑丸は突風発生地点)です。気象庁HPより引用・加工 

ⅰ:

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ⅱ:

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                           ↓

② 4月4日15時20分の ⅰ:関東周辺レーダーエコー図 とⅱ:関東周辺レーダーエコー図を埼玉周辺を拡大した図(黄緑丸は突風発生地点)です。気象庁HPより引用・加工  

ⅰ:

201404041520

ⅱ:

201404041520_3

                           ↓

①4月4日15時30分の ⅰ:関東周辺レーダーエコー図 とⅱ:関東周辺レーダーエコー図を埼玉周辺を拡大した図(黄緑丸は突風発生地点)です。気象庁HPより引用・加工 

ⅰ:

201404041530

ⅱ:

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④4月4日15時のアメダス関東周辺風向風速分布図 気象庁HPより引用

040415

                           ↓

⑤4月4日16時のアメダス関東周辺風向風速分布図 気象庁HPより引用

040416

4月4日15時20分頃~30分頃、埼玉県さいたま市桜区内や中央区内で突風が発生、民家の屋根瓦がめくれたり、学校の体育館の屋根が破損したりする被害がありました。

翌4月5日になりまして、熊谷地方気象台の現地調査より、4日の、この突風、竜巻である可能性が強いとの発表がありました。

竜巻の被害痕跡と言うもの、◇線状に、その中に点状に被害が分布している ◇被害痕跡に、風向の収束跡が見られる などの特徴がありますが、私が、過去の竜巻発生時の被害発生地点付近のアメダス風向風速分布図やレーダーエコー図での画像を調べた結果、以下の特徴があるように思います。

竜巻は

◆発生地点周辺で、風向の不連続部分が見られる

◆レーダーエコー図上では、竜巻発生地点周辺で、当該竜巻発生時刻頃、急速に発達するエコーが見られる

◆前記した、竜巻発生時刻頃の急速に発達するレーダーエコーは、同時に、反時計回りの動きをしている。

◆竜巻を発生させたと思われるレーダーエコーが去った後、当該竜巻発生地点周辺では、風速の変化は明瞭ではない。この点、ガストフロント と呼ばれる突風では、突風発生後風が強まる(寒気吹出し)のが通常である。

今回4月4日の突風の事例でも、引用図①②③④⑤より、以上列記した特徴が如実に現れていることが解りますね。

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チリ巨大地震の津波 日本へも到達!改めて津波の素性を再認識しましょう!

2014-04-03 14:02:14 | インポート

引用画像は、4月3日3時気象庁より発表された津波注意報の発表区域図です。気象庁HPより引用。

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まさに、自然現象には国境はありませんね。昨日のチリ巨大地震で津波が発生しましたが、その津波が日本列島にも到達すると気象庁が判断、3日3時に、北海道の太平洋側~東北太平洋側~関東太平洋側~伊豆諸島~小笠原諸島にかけて、津波注意報が出されました。

津波注意報の基準は、津波高さ20cm~1mということですが、あくまでも、この値は目安的なもの。津波と言うもの、海底までの水位が変動する波ですから、周囲の陸地や海底の複雑な地形の影響をデリケートに受けやすく、大変局地性ある振る舞いをします。

ここで、津波の特徴を、改めて列挙しますから、津波の素性を再認識しましょう!(すべて筆者調べ)

Ⅰ:津波は、海底まで変動する波である。海底や周辺の地形に敏感に反応し、津波同士が、屈折、反射などして、局地性が大変強い。予想される津波高さよりも、数倍高い津波が出現指定いる箇所もめずらしくなく、周囲が陸地で囲まれた地域では、津波が高く、かつ、長く津波にさらされやすい。

Ⅱ:今回のように、遠地で発生した津波は、継続時間が長く、最大波の出現は、第一波到達から、かなり時間経過してから観測することが多い。

Ⅲ:遠地で発生した津波は、その到達時間など、観測網の関係で、必ずしも正確ではなく、予想よりも短時間で到達したり、予想到達時間よりだいぶ遅れて津波が到達することもある。

Ⅳ:遠地で発生した津波ほど、海底や周辺の地形に敏感に反応し、津波同士が、屈折、反射などして、津波が長時間におよび、津波の周期は長くなるし、局地性がより強くなる。

Ⅴ:津波が到達すると、湾の形状や水深などにより、当該湾の一番波立つ周期(固有周期)と、到達する津波の周期とが一致してしまうと、津波の波高はぐっと高まってしまう。

今回の津波、3日朝方、日本列島各地に到達し、報道などを参考にすると、到達してから数時間経過した3日昼すぎになって、更に津波の高さが高まっている地点も多い様子です。

暫くは、油断なりませんね。