カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風のこんなところで風が強まる。平成30年21号の事例より

2019-02-17 23:38:13 | 日記
⓵平成30年台風21号が近畿地方に上陸直後のレーダー画像図 国土交通省川の防災情報HPより引用

ⅰ:9月4日14時00分 


ⅱ:9月4日14時10分 


ⅲ:9月4日14時20分


ⅳ:9月4日14時30分


※⓵引用画像内、
◆印は10分間最大風速 赤色が20㍍毎秒以上 紫色が35㍍毎秒以上
■印は最大瞬間風速 赤色が40㍍毎秒以上 紫色が50㍍毎秒以上
英字は風向※sは南風 ESEは島南東風というように
数字は、当該最大風速 最大瞬間風速発生時刻
を示すものとします

⓶近畿地方の地形図 国土地理院HPより引用



平成30年9月4日に、四国東部へ上陸し、その後、神戸市付近に再上陸した台風21号ですが、近畿地方の各地に記録的な暴風をもたらし、大阪府を中心に、近畿地方各府県で、家屋の損壊およそ8万棟という近年にはない大きな被害をもたらしました。

この台風21号が、兵庫県神戸市付近に再上陸して、近畿地方を縦断した平成30年9月4日14時~14時40分にかけての10分後のレーダー画像内で、最大風速(10分県平均)最大瞬間風速を観測した位置、時刻を記してみました。
※時刻ですが、おのおのの引用画像には、前後5分間に発生した位置を記しました。

引用図⓵⓶より、台風を取り巻く螺旋上の雨雲、地形図のおよそ、標高2000㍍以下地形的暗部に沿って分布して、一部、螺旋状の雨雲同士、ぶつかり合っている個所もあります。

台風を取り巻く螺旋状の雨雲、言うまでもなく気流が収束している個所でありますが、地形的鞍部で、さらに気流の収束が強まっている様子がわかります。

さらに、引用図⓵ⅰ~ⅳより、
台風の螺旋状雨雲の外縁で最大風速、最大瞬間風速を観測していることがわかり、

その中で、

◇最大風速発生個所は・・・・・螺旋状雨雲がほぼ一様に帯状になっている箇所の外縁


◇最大瞬間風速発生箇所は・・・・・螺旋状雨雲を形成する塊状の雨雲の外縁や、螺旋状雨雲同士がぶつかり合って塊状になっている箇所の外縁。風向が変化すると考えられる箇所ともいえる。

で発生していることがわかります。



特に、螺旋状雨雲同士がぶつかり合っている箇所は要注意!と言えます。このような個所は、陸地では、地形的特性の影響を受けて発生したもので、当該、螺旋状雨雲がぶつかり合っている個所というもの、雨雲としての活動が活発で強い降水をもたらしやすいこともさることながら、地表付近の気流の収束と摩擦で、角速度保存の法則の影響を受けて気流の渦が一時的に強まるため、局地的に風速が強まりやすいのも特徴です。

引用図⓵より、このような、螺旋状雨雲が地形的特性うけてぶつかり合っている箇所が、京都府亀岡市周辺や滋賀県彦根市周辺に見られますが、これらの地域は、周辺部よりも一層風速が強まっており、京都府亀岡市では4日14時20分に最大瞬間風速 東南東風44・5㍍毎秒(亀岡消防署観測)、滋賀県彦根市では、4日14時13分に最大瞬間風速 南東風46・2㍍毎秒 といった凄まじい暴風を観測しております。