カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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不安定さらに加速 関東南部で大雨 ひょうの所も

2007-05-31 23:42:05 | インポート

※引用図は全て気象庁HPよりの引用です。

①5月31日18時の天気図

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②5月31日18時の関東周辺アレーダーアメダス解析雨量図

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31日は、昨日の記事で書いたようなシナリオ通りに、南関東から甲信南部、静岡県周辺の所々で、雷を伴なった強い雨(所により、時間雨量50㎜~90㎜)が降りました。

南関東から甲信南部、静岡県周辺の5500メートル上空付近で-18℃以下となったのに対して、地表では、最高気温がおおむね23℃~26℃程度(東京では23・2℃)まで上昇したためもあり、大気が非常に不安定となり、雨雲(雷雲)の発達に拍車をかけましたね。

東海道山陽新幹線では、31日17時45分頃、多摩川橋付近の雨量計が規制値(時間雨量60㎜)以上を観測したため、一時、運行がストップしました。

東京都内大田区や、群馬県前橋では、一時 ひょう を観測したとか。まさに、びっくり ひょうへん??? する1日でしたね。

今回のように、関東地方やその周辺では、大気が不安定な時(不安定な程度にも寄りますが)に、鹿島灘沖からの湿った北東から東風が入る場合、決まって、関東南部(静岡県沖付近に北西と北東の風向の不連続な部分※シアーラインと言います。がある場合は、甲信南部や静岡県付近まで)が強い降水を伴なった雷に見舞われます。この点、防災上、看過できないことですね。


30日は各地で天気不安定 31日は30日よりもいっそうに、にわか雨や雷には注意

2007-05-30 23:20:32 | インポート

①5月30日18時の天気図 気象庁HPより引用

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5月30日は、上空に寒気を伴なった低気圧が日本海から本州に接近してきたため、東北から九州までの広範囲で、大気が不安定で雷や短時間に強い雨を所々で観測しました。

あす31日も、上空に寒気を伴なった、別の低気圧が日本海から再び本州に接近してきます。

②5月31日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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引用図②より、日本海に低気圧が表現されていますが、この低気圧こそ、上空に寒気を伴なった低気圧です。その様子を引用図③より、5月31日9時予想の、FXFE578図(ウエザーニューズ提供 日本気象予報士会HP、スグダス2より引用)で見ていきましょう。

③5月31日9時予想の、FXFE578図

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引用図③の上側の左と右を比べると、本州上空5500m付近では、今日よりあす31日のほうが気温が低くなる予想がわかります。つまり、あす本州上空にやって来る寒気のほうが、今日、本州上空にやってきた寒気よりも強いものである といえますね。

よって、本州上空では、あす31日のほうが、今日30日よりも大気が不安定となるわけで、今日よりも、雷や短時間に強い雨の頻度や程度が大きくなることになります。

上空に寒気を伴った低気圧が接近通過する際に限らず、低気圧接近通過に際して、強い降水となる箇所は、地表で気流が集まる箇所です。地形的にシアーラインや、海陸風が集まる箇所ですね。

あす31日の場合、引用図②より、定性的に、駿河湾あたりににシアーラインが発生することが予想され、31日は関東東海上からは北東風が関東平野に吹き付けますが関東南部の一部では、31日日中、南東風となる箇所も予想され、関東南部から甲信南部、それに静岡県東部や中部周辺にかけて、特に強い降水となることが考えられます。

これらの地域の皆さんは、雨の降り方に注意しましょう!


北日本は天気すっきりせず。関東はこれからにわか雨や雷の所も

2007-05-27 13:28:25 | インポート

①5月27日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月27日9時のAXFE578図(日本気象予報士会HPより引用)

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③5月27日21時の予想天気図 気象庁HPより引用

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27日は、関東以西では各地で気温が上がっています。27日12時現在 宮崎県に一部では気温が34℃以上を観測している地点もあり、東京(気象庁)でも28℃を上回っています。

ただ、引用図③より、日本海にある上空に寒気を伴なった谷が、これから東北地方を通過する見込みで、この影響で、北日本の各地では、天気はすっきりせず、関東地方では、27日夕方以降、関東南岸の南西~西より風と、内陸部や鹿嶋灘方面からの北から北東風とが関東南部周辺でぶつかり合い、雨雲(雷雲ですが)として広がり、引用図③より27日夜には関東南岸で低気圧も発生する見込みです。

このため、関東地方では、27日夕方以降、にわか雨や雷(南部中心です)となる恐れがありますね。地表の気温が上がる分、雨雲(雷雲)も発達することも考えられますから、注意しましょう!


25日は本州の太平洋側では強い雨の恐れ。

2007-05-24 20:54:22 | インポート

①5月24日15時の天気図です。気象庁HPより引用。

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24日は、23日に続き、本州各地では晴天に恵まれて気温が上がり、最高気温が30℃以上となる真夏日を観測した箇所もありました。

それに、24日は、23日に比較すると、関東以西の各地では、湿度が上昇した箇所も多く、体感的には23日よりも蒸し暑く感じた所も多かったのではないでしょうか?

湿度が上昇すると言うことは、次第に高気圧の縁に入り、西から気圧の谷がやってくる前兆であることも多く、多聞にもれず、西から本州付近に気圧の谷が接近してきました。25天気は西から下り坂です。

②5月25日9時の予想天気図

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③5月26日9時の予想天気図

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25日は、低気圧が日本海を東進し、低気圧から延びる前線が本州上を通過しますが、本州上で前線同士閉塞し、この閉塞点上に別の低気圧が発生し(関東東沖あたりでしょうか)、その低気圧が26日9時には三陸沖に達する というシナリオを描きそうですね。

④5月24日9時のAXJP578図(日本気象予報士会HPより引用)

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引用図④は、上空1500メートル付近の風向風速や、相当温位(気象学上での用語で、気温と湿度との組み合わせを指数化し、同じ指数を線で結んだ※これを等温位線といいます。したものの予想図です。この数字※Kが単位です。高いほど、その気流は高温で高湿度であることを表現します。大雨の予想などに使用されますね)

引用図④(上段右側と下段左側と南側に注目)より25日9時には本州南岸では330K以上の気流が南海上から流れ込んでいますが、本州の南海上から南より風と南西風とが紀伊半島沖で合流し、その部分で340K以上の帯状の高温位域が温暖前線(本州南海上でハ の字型に等温位線が混んでいる部分の右側)に接していますね。

よって、あす25日は、この温暖前線周辺で特に雨雲が発達すると予想されます。

本州の太平洋側、地形的に南から南東に開いた山の斜面沿いを中心に雨量が多くなりそうですよ!

また、本州付近全般的に、南東~南西風が30ノット以上と予想されますので、南東~南西の風が全国的に強まるでしょう。海・山を中心に、強風にも注意が必要です!


19日夕方 神奈川城ヶ島沖で高速汽船高波で船体損傷事故 

2007-05-20 15:05:10 | インポート

※引用図は全て気象庁HPよりの引用です。

①5月19日18時の天気図

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②5月19日17時の関東周辺アメダス風向風速図

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③5月19日18時の関東周辺アメダス風向風速図

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19日午後5時25分頃、神奈川県城ヶ島南約10キロの海上で、東海汽船伊豆大島発東京竹芝桟橋行き高速船が、高波を受け船体が損傷、乗客の方々20名が怪我をされるという事故がありました。

通常、東海汽船の高速船は、風速12メートル、波高3mで欠航となるとのこと(東海汽船様より情報提供)ですが、事故発生当時、風速は、伊豆大島や三浦半島三崎港でも、風速12メートルm未満で、波浪実況図より、相模湾から伊豆大島近海周辺では、波高2メートル~2・5m程度と推定され、欠航の規制にかかる状況ではなかったようです。

が、引用図②③をご覧いただきましょう。

引用図②より、関東南岸で、北~北西(東京湾岸では北東風)と南西風とがぶつかって、シアーーライン(気流の不連続線)を形成しております。このシアーラインが、引用図③より、19日18時には、伊豆大島の北側にまで南下しており、事故現発生当時、現場付近に当該シアーラインがかかっていたと思われます。

実は、こういったシアーライン周辺では、気流が四方から吹き集まりますので、相異なる方向からの波がぶつかり合う地域でもあり、局地的に波高が高まりやすく、三角波 と呼ばれる、非常に大きな波も頻繁に発生するものですね。

私自身、今回の事故を、このシアーライン付近で発生した局地的な高波も大きな要因のひとつと見ています。

このように、局地気象現象を見極めることは、防災上不可欠なものでもありますよね。