カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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改めて合掌!!東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から12年 東京都内では山の手台地地区と下町低地地区では揺れ方にこんな差が。

2023-03-11 17:59:02 | 日記
本日11日で、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)から12年過ぎました。

改めて、今回も、この東北地方太平洋沖地震、どのように引き起こされたのか振り返ってみましょう。

一昨年、昨年同日の本ブログ記事の一部を再度引用しますが

①㍻23年東北地方太平洋沖地震発生させた地殻変動の時系列図 防災科学技術研究所HPより引用


◇引用図①より、

宮城県牡鹿半島東約130㌔東で発生した変動(震源)は、発生後90秒までは、プレート間内陸部に近い部分で一部発生するものの、
殆どの変動は、震源より東側、宮城県沖でのプレート間の海底の近い部分(比較的軟らかい地層)主体に変動しており、この変動のずれは、一部で50㍍以上に
及んでおります。



◇変動発生後90秒後になりますと、これまでとは異なり、プレート間でも、陸地に近い部分での変動が発生、比較的古い堅固な地層が変動したことで、比較的
周期の短かい地震波を発生させて、



◇発生100秒後になりますと、福島県沖でも変動が発生、この変動も、プレート間の陸地に近い部分での
変動が広がり、やはりこの地域特有な比較的古い堅固な地層が変動したことで、これまた比較的周期の短かい地震波を形成させながら、プレート間での変動は次第に
茨城県沖へと広がった。

というシナリオを描きました。

②平成3年東北地方太平洋沖地震での宮城県築館、塩竃、茨城県日立 と、平成7年兵庫県南部地震での、兵庫県鷹取と葺合での地震波速度応答スペクトル図
(東京大学地震研究所HPより引用)



引用図②より東北地方太平洋沖地震、前記のように、比較的周期の短い地震波が多く発生したことで、
建造物の深刻な被害を与える地震波は多くなかったことがわかります。

しかしながら、前記のように、プレート間の海底に近い地層の変動が甚大であったことで、未曽有の大津波を引き起こす結果
となりました。

③平成23年東北地方太平洋沖地震で、いずれも震度7を観測(防災科学技術研究所観測)した、
ⅰ:宮城県築館 ⅱ:茨城県日立 ⅲ:栃木県芳賀 での地震波形図(防災科学技術研究所HPより引用

ⅰ:


ⅱ:


ⅲ:


④平成23年東北地方太平洋沖地震での最大加速度観測分布図 防災科学技術研究所HPより引用





引用図③ⅰより、築館では、変動発生後およそ90秒後発生した、宮城県沖での陸地に近いプレート間が変動したことでの
比較的周期が短かい地震波が最大の揺れを引き起こしましたが、周期が短い地震波のため、最大の揺れはすぐにおさまっています。

引用図④より、最大加速度1000GAL以上を観測した、マゼンダ色の観測地点が、宮城県内、福島県内と、関東地方の広範囲にまで
及んでおりますが、今回の地震が、宮城県から福島県、そして、茨城県沖でのプレート間の変動が、陸地に近い比較的深い地域の境界部分で発生したため、
変動した地殻が比較的固く、地下の比較的深い箇所であったため、内陸部の広範囲にまで、比較的周期の短い地震波が発生拡散していったといえる証左ですね。


日立では、変動発生凡そ110秒に最大の揺れを観測、これは、当初発生した宮城県沖の変動に伴う地震波と、福島県沖から茨城県沖に変動が及んで発生した地震波との収束の賜物で、
芳賀(栃木県)での最大の揺れは110秒から120秒にかけて発生しております。


最大の揺れの発生時刻が、ⅰ→ⅱ→ⅲと時系列で変化していることがわかりますが、これは、福島県沖から茨城県沖での変動の伴う地震波と、最初に発生した
宮城県沖での変動で発生した地震波が、福島県中通り地域に広がる、地形的鞍部を伝播して、収束した結果と思われます。

さらに、気象庁HP内、強震観測データの項目をひも解くと、東北地方太平洋沖地震発生時の、各観測地点の波形や、加速度、震度などが閲覧できますが、と以外強震観測データより、地震波の加速度(瞬間的な揺れの強さ)に地域性があり、総じて、加速度が高かった地震といえそうです。

地震波は、加速度は高くなるほど、当該地震波の周期は小さくなり(比較的がたがたと揺れる)加速度が低くなるほど、当該地震波の加速度は大きくなる(比較的ゆさゆさと揺れる)ようになる性質があります。

一つの地震の中には、様々な周期加速度の地震波が含まれてはいるものの、おおまかに地震波の加速度と周期の間には次のような関係があります。(引用画像は気象庁HPより)


東北地方太平洋沖地震では、震度7を観測した宮城県栗原市(栗原市築館)での最大加速度(南北、東西、上下3成分合成)で、2933ガルなのに対し、20年前の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)発生時の、
震度7と推定される地域の最大加速度(3成分)は、おおむね700ガル〜800ガルでした(気象庁等調べより)同じ震度7でも、栗原市は、周期0・1秒程度だったのに対し、兵庫県南部地震での震度7観測地域では、
地震波の周期は0.8秒~0.9秒程度だったことになります。

地震波とその周期との関係として(筆者調べ)

◆地震波の周期が1秒程度であると、建造物と共振して揺れが大きくなり、建造物にかかるダメージは大きくなってしまいますが、周期0・1秒~0.4秒の短周期の地震波は、山がけ崩れや、
建造物の外壁破損や屋根瓦のずれ・落下などは発生しやすくなるものです。

◆地形的に、台地や丘陵などの比較的固い地盤では、周期の短い地震波(周期0・3秒以下)が共振しやすく、三角州や埋め立て地などの軟弱地盤では、
比較的周期に長い地震波(周期0・6秒以上)が共振しやすくなります。

◆さらに、周期の短い地震波ほど、崖の周辺や硬軟が不均一な地質を伝番する際に、地震波が屈折、反射して、より周期な短く、加速度が高い地震波を
発生しやすくなります。


まさに、東北地方太平洋沖地震、比較的周期の短い地震波が多かった地震といえますね。東京都内でも、山の手地域の観各観測地点が、下町地域の観測地点よりも加速度は高く観測されております、

山の手地域の属する、杉並区や中野区、千代田区の一部では、加速度が、300ガル台〜400ガル台を観測しており、被害状況(総務省消防庁)見ましても、一部破損家屋の戸数は山の手地域でもまんべんなく発生しており、杉並区で956棟も発生していることからも、このことが伺えられますね


続いて、全被害のおよそ90%をもたらしたといえる 津波 ですが

◇プレート間の変動と、変動に伴う地殻変動との双方で津波を発生させ、双方が合体し、大津波を引き起こした!!⑤岩手県沖~宮城県沖~福島県沖のかけてのGPS波浪計の観測結果(港湾航空技術研究所HPより引用)
※引用図内メートル表示数字は、観測地点の水深です。


引用図⑤より、地震発生直後から、プレート間の変動に伴う海面の変動が見られ、引用図内矢印で示す第1波の峰は岩手南部沖と宮城北部沖で比較的大きくプレート間の変動が、これらの地域の沖合で大きかった所作ですが、
岩手中部沖や岩手北部沖、それに、福島県沖には、第1波の峰のあと、それ以上に極めて短時間に急な海面の変動が見られます。

この急な海面の変動ですが、
岩手北部沖では15時19分に約4・0㍍上昇、岩手中部沖では、15時12分に約6・3㍍上昇、岩手南部で、ほぼ同時刻の15時12分に、約6・7㍍上昇福島県沖でも、15時15分頃、約2・6㍍上昇 となっており、
各々の地点で、ほぼ同じ時刻頃に、急な海面の上昇が見られます。

なお、宮城北部沖と宮城中部沖でも、津波の第一波の峰自体高いところへ、前記の各地点と同様な短時間での海面の上昇が見られるものの、測定機材が津波の影響で測定不能となってしまい、正確な値は測定不能です。

これら、第1波の峰の後の、短時間の急な海面の上昇は?それは、地震を引き越したプレート間の変動の後、岩手県沖から福島県沖にかけて、プレート間変動とは別の地殻の変動があったといえ、当該地殻変動は、引用図④より、岩手県沖と、もう一つ、福島県沖でも発生したものといえますね。

そして、この地殻変動が発生した原因ですが、引用図➀より、今回の東北地方太平洋沖地震、岩手県沖から茨城県沖にかけて、プレート間の変動は、陸側の直下に近い箇所からプレート間の境界の日本海溝の海底に近い箇所まで広範囲に変動が生じましたが、とりわけ変動した面積が大きい箇所は、岩手県沖から宮城北部沖の部分と、もう一つ、福島県沖沖にもみられます。
どうも、この、変動の面積が大きい ア:岩手県沖から宮城県北部沖 と イ:福島県沖で、海溝側に堆積している比較的柔らかい地層が、プレート間変動に触発されて、大規模にかつ、急激に崩壊移動したためではなかろうかと私は考えております。

今回の東北地方太平洋沖地震のように地震を起こすプレート間の変動が、海底近くの箇所が広範囲に大きくなった場合、2次的な地殻変動が海底で発生しやすく、大津波をひこ起こす。このことは今後の教訓となるでしょう!!

◆東京都内山の手台地地区と下町低地地区とでは揺れ方にこんな明瞭な差が!

さて、震源からおよそ350キロ余り離れた東京都内23区山の手台地地区と下町低地地区とでは、揺れ方にこんな明瞭な差がありました。

⑥東京都内23区山の手台地地区 新宿(新宿区上落合2丁目)※防災科研観測 の地震波形図 防災科研HPより引用



⑦東京都内23区下町低地地区 辰巳(江東区辰巳 辰巳水門そば)※防災科研観測 の地震波形図 防災科研HPより引用



引用図⑥⑦より、新宿と辰巳は地震波到達時刻はほぼ同じ時刻でありますが、辰巳が東西南北上下成分の大きなピークが新宿とほぼ同時刻であるものの、東西成分と南北成分の継続時間が長く,当該ピークからおよそ20秒経過して最大震度(計測震度5.4 震度6弱にほぼ近い)を観測して、地震波形も新宿と比較して周期の長い地震波が卓越しています。

これは、辰巳が位置する下町低地が関東平野を形成する鍋底状の基盤上に位置すること、山の手台地端を地震が反射して比較的周期が長い表面波を多く形成して、辰巳周辺の軟弱地盤と当該周期長い地震波と固有周期が合って,さらに地震波を増幅させたため と思われます。

地盤がより軟弱になる程、地震波は増幅しますが、より周期の長い地震波が増幅して地震継続時間も長くばる。この特性により、建造物被害が増大するわけです、







改めて合掌!兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)から28年!地震波は物語る。建造物を破壊しやすい地震!!

2023-01-17 00:40:57 | 日記
28年前の本日 1995年(平成7年)1月17日午前5時46分、兵庫県淡路島北縁を始まりとした断層運動破壊は南南西〜北東方向へ進行、その後、神戸市垂水区付近から北北東へ移行、続いて神戸市須磨区北部から兵庫区北部、中央区北部、灘区北部から東灘区北部を経てい芦屋市周辺まで西南西から東北島方向へおよび、
神戸市などの阪神地区に帯状の所々に震度7の激烈な揺れをもたらし、壊滅的な被害をもたらしました。

この地震、神戸という大都市のほぼ直下で発生した直下型大地震ですが、いつまでも、防災上の観点から、この地震の特徴・教訓は語り継がなければなりません。

本日は、この立場から、本ブログで記した記事を抜粋し、兵庫県南部地震というものを語っていこうと思います。

以前、本ブログにて記述したように、この兵庫県南部地震、建造物にダメージを及ぼしやすい周期の地震波が卓越した地震ということでした。
今一度、平成23年3月に発生した東北地方太平洋沖地震での速度応答スペクトル図(任意の固有周期を持つ建造物が地震でどのようは速度を観測したかを図示したもの)
を引用図①(東京大学地震研究所HPより引用)をご覧ください 。




周期1秒以上の地震波が、木造家屋への影響が大きくなるもので、鉄筋や鉄骨建造物も同様です。それに、建造物の階数がより高くなると、影響を受けやすい地震波の周期は大きくなります。
さらに、速度応答スペクトルが周期1秒以上で200㌢毎秒以上になると、建造物に壊滅的な被害が生じるようになります。

ご覧のように、東北地方太平洋沖地震での築館、塩竃、日立では、応答速度が100㌢毎秒以上の固有周期は1秒以下なのに対して、兵庫県南部地震でも、神戸市中央区葺合と須磨区鷹取の速度応答スぺクトル値を見ると、
周期1秒以上で200㌢毎秒以上をなっております。故に、兵庫県南部地震では、建造物にダメージを及ぼしやすい地震波が卓越したといえるわけです。

さらに、平成28年に発生した熊本地震での、熊本県益城と熊本での速度応答スペクトル図(防災科学技術HPより引用)を引用図②で紹介しでみました。


◇4月14日21時26分発生

益城


熊本



◇4月16日1時25分発生

益城


熊本


ご覧のように、昨年の熊本地震(4月14日21時26分と 4月16日1時25分)においては、益城、熊本いずれも、周期1秒以上で速度100㌢毎秒以上、益城では、4月14日、4月16日双方発生の地震でも、
速度200㌢毎秒を観測した周期が1秒以上の周期に見受けられます。


よって、平成28年熊本地震でも、兵庫県南部地震ほどではないにせよ、建造物のダメージを及ぼしやすい地震波が卓越した地震であるといえるでしょう。


兵庫県南部地震や熊本地震のように、建造物にダメージを及ぼしやすい地震波はどのような地形やメカニズムにして発生するか?ですが、

Ⅰ:基盤の上に表土層が堆積している箇所(火山の近隣など)

Ⅱ:地震発生する地殻の破壊が、ドミノ崩しのごとく、連鎖的になっていた。

ことがあげられますね。



④兵庫県南部地震発生させた断層破壊プロセス図 国土地理院HPより引用


⑤兵庫県南部地震時の神戸海洋気象台(当時は神戸市中区山手)の地震波形・スペクトル図 気象庁HPより引用


引用図④より、兵庫県南部地震発生させた断層破壊プロセスは、大きな破壊は3つ※3つを細分して5つという説もあります。で、明石海峡→神戸市西部から北西部→神戸市東部 と推定されて、これに対応して、
当時の神戸海洋気象台の地震波形。プロセス図より、大きな揺れの部分が3つあることがわかります。

さらに、⑤より、神戸地方気象台では、大きな揺れの部分は、地震波のS波到達とともに発生しており、まず、東方向成分と南方向成分の地震波が急激に大きくなり、さらに、当該大きな揺れの到達時に、東西方向、南北方向、上下方向とも顕著なっており、かつ、東西方向、南北方向の地震波成分の継続時間が上下方向よりも長くなっていて、地震波の速度も大きくなっております。
これは、表面波が顕著になっていて、神戸市周辺の地形的特性(基盤が地震波が進んで来る方向に開いていて、斜面状になった基盤の上に相対的に柔らかい表土層が堆積している.震源から地中を地表に進んできた来た地震波(実体波)と地表に到達後地表を進む地震波および基盤に跳ね返って地表をそれまでとは逆に進んできた地震波相互が合流し増幅するものである。))を反映して、実体波S波の部分が上下方向に変化したことと、表面波のラヴ波が顕著になったことですが、まさに、前記、Ⅰ、Ⅱを如実に反映しているといえますね。
同様な特性を醸し出す地形として、断層周辺 もそうです。基盤が水平ではなく不連続に分布しているからです。事実、当地震で、大阪府内豊中市内で局地的にかなりの倒壊家屋が出た要因がこれです。


※大阪府や京都府も甚大な被害であった!!最後に未曾有の大被害をもたらした兵庫県南部地震ですが、京阪神地域(兵庫県、大阪府、京都府の被害状況について記しました、ご参考にしてください!(気象庁発刊、㍻9年兵庫県南部地震報告より、震度分布は気象庁、JR,各自治体、阪神高速道路公団発表地震加速度値より筆者が推定したもの)

<兵庫県>
※神戸市、淡路島北淡町、津名町、一宮町、宝塚市、芦屋市、西宮市の一部で震度7を観測

死者:6394名 行方不明:2名

負傷者 :(重傷)857名 (軽傷)31497名

全壊家屋:103934棟 半壊家屋:136096棟 一部損壊家屋:240030棟


<大阪府>
※大阪では公式発表震度は4であったが、現行の震度算出方式では計測震度4・55(現行では震度5弱)であった。大阪市、豊中市、池田市、吹田市の一部地域では、震度6弱以上を観測したものと推定される。

死者:30名 

負傷者:(重傷)175名 (軽傷)3414名

全壊家屋:895棟※このうち豊中市657棟 半壊家屋:7221棟※このうち豊中市4263棟 一部損壊家屋:87879棟※このうち豊中市35176棟

<京都府>
※京都市の公式発表震度は5 現行では震度5強、京都市一部や亀岡市などの一部地域では局地的に、現行震度では震度6弱程度の揺れがあったものと推定される。

死者:1名

負傷者:(重傷)3名 (軽傷)46名

全壊・全焼家屋:3棟 半壊・半焼家屋:6棟 一部損壊家屋:2741棟







京都市内でも大雪!大雪警報も!!本年1月21日の事例より

2022-02-04 01:25:32 | 日記
①1月21日6時の天気図 気象庁HPより引用


②1月21日12時までの近畿地方周辺12時間降雪量日最大値画像


1月20日夜遅くから翌21日昼頃にかけて、京都市内周辺でも大雪となり、京都で最大14㎝の降雪を観測しました。

引用図②より、降雪量は通常降雪量多い近畿地方日本海側よりも、京都市内周辺で降雪量が多くなっておりました。

これは、なぜか?ですが


③20日21時と21日9時の日本付近上空5500㍍付近渦度分布図 日本気象予報士会HPより引用
(気象学上、渦度は渦巻の度合いを示す。正渦度は縞状表示で
低気圧性循環の度合い。負渦度無地上表示は高気圧性循環の場の度合い。図内数値は当該度合いを数値化したもの。
正渦が移流する場は、雲を発生発達させる場、反対に負渦度移流する場は雲を衰弱させる場となります。正渦度移流域と負渦度移流域の中間は渦度0線といいまして、中層から上空5000㍍でも強風域で、中層では、上昇流と下降流の境界をしますもの)
ⅰ:

ⅱ:


④1月21日3時、6時、9時の近畿地方周辺レーダーエコー図 日本気象協会HPより引用
ⅰ:21日3時 ⅱ:21日6時 ⅲ:21日9時を示す
ⅰ:

ⅱ:

ⅲ:


引用図にはありませんが、前日から21日早朝にかけて、石川県輪島上空5500㍍付近-35℃の寒気の中心が通過して能登半島周辺を通過して、引用図③より、近畿地方では、20日夜以降偏西風帯の谷Aが通過したとみられ、 正渦度移流の場となって、北〜南方向から北北西〜南南東方向に帯状に正渦が移流してます。帯状に雪雲が発達する場となっていますね。
また、概ね北〜南方向北北西〜南南東方向に走る渦度0線が21日9時頃差し掛かっていることより、中層から上空5500㍍付近も北〜北北西の強風域に入りつつありますので、日本海の雪雲が近畿地方内陸部にも流れ込みやすい状況下であったといえます。

引用図④ 近畿地方地形図 国土地理院HPより引用



そこに、引用図④より、京都府北部〜中部上空1000㍍付近より上側は、地形的にほぼ南北方向に京都市街周辺へ向かって鞍部となっています。このため、とりわけ、京都市内周辺でも、雪雲がかかり続け、大雪となったわけです。

石川県輪島上空5500㍍付近-35℃以下、500㍱正渦度移流域が帯状で概ね北〜南から北北西〜東南東で、渦度0線のすぐ前側にあたる 京都市内で大雪警報クラスの降雪となる目安です。

兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)から27年!改めて合掌!!

2022-01-17 12:35:08 | 日記
兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)から、本日で27年が経ちました。

この地震、神戸という大都市のほぼ直下で発生した直下型大地震で、神戸や淡路島を中心にした阪神地区に未曽有の大被害をもたらしました。が、いつまでも、防災上の観点から、この地震の特徴・教訓は語り継がなければなりません。

本日は、この立場から、本ブログで記した記事を抜粋し、兵庫県南部地震というものを語っていこうと思います。

以前、本ブログにて記述したように、この兵庫県南部地震、建造物にダメージを及ぼしやすい周期の地震波が卓越した地震ということでした。
今一度、平成23年3月に発生した東北地方太平洋沖地震での速度応答スペクトル図(任意の固有周期を持つ建造物が地震でどのようは速度を観測したかを図示したもの)
を引用図①(東京大学地震研究所HPより引用)をご覧ください 。




周期1秒以上の地震波が、木造家屋への影響が大きくなるもので、鉄筋や鉄骨建造物も同様です。それに、建造物の階数がより高くなると、影響を受けやすい地震波の周期は大きくなります。
さらに、速度応答スペクトルが周期1秒以上で200㌢毎秒以上になると、建造物に壊滅的な被害が生じるようになります。

ご覧のように、東北地方太平洋沖地震での築館、塩竃、日立では、応答速度が100㌢毎秒以上の固有周期は1秒以下なのに対して、兵庫県南部地震でも、神戸市中央区葺合と須磨区鷹取の速度応答スぺクトル値を見ると、
周期1秒以上で200㌢毎秒以上をなっております。故に、兵庫県南部地震では、建造物にダメージを及ぼしやすい地震波が卓越したといえるわけです。

さらに、平成28年に発生した熊本地震での、熊本県益城と熊本での速度応答スペクトル図(防災科学技術HPより引用)を引用図②で紹介しでみました。


◇4月14日21時26分発生

益城


熊本



◇4月16日1時25分発生

益城


熊本


ご覧のように、昨年の熊本地震(4月14日21時26分と 4月16日1時25分)においては、益城、熊本いずれも、周期1秒以上で速度100㌢毎秒以上、益城では、4月14日、4月16日双方発生の地震でも、
速度200㌢毎秒を観測した周期が1秒以上の周期に見受けられます。


よって、昨年の熊本地震でも、兵庫県南部地震ほどではないにせよ、建造物のダメージを及ぼしやすい地震波が卓越した地震であるといえるでしょう。


兵庫県南部地震や熊本地震のように、建造物にダメージを及ぼしやすい地震波はどのような地形やメカニズムにして発生するか?ですが、

Ⅰ:基盤の上に表土層が堆積している箇所(火山の近隣など)

Ⅱ:地震発生する地殻の破壊が、ドミノ崩しのごとく、連鎖的になっていた。

ことがあげられますね。



④兵庫県南部地震発生させた断層破壊プロセス図 国土地理院HPより引用


⑤兵庫県南部地震時の神戸海洋気象台(当時は神戸市中区山手)の地震波形・スペクトル図 気象庁HPより引用


引用図④より、兵庫県南部地震発生させた断層破壊プロセスは、大きな破壊は3つ※3つを細分して5つという説もあります。で、明石海峡→神戸市中央区沿岸→神戸市東部 と推定されて、これに対応して、
当時の神戸海洋気象台の地震波形。プロセス図より、大きな揺れの部分が3つあることがわかります。

さらに、⑤より、大きな揺れの部分は、地震波のS波到達とともに発生しており、さらに、当該大きな揺れの到達時に、東西方向、南北方向、上下方向とも顕著なっており、かつ、東西方向、南北方向の地震波成分の継続時間が上下方向よりも長くなっております。
これは、表面波が顕著になっていて、神戸市周辺の地形的特性(基盤が地震波が進んで来る方向に開いていて、斜面状になった基盤の上に相対的に柔らかい表土層が堆積している.震源から地中を地表に進んできた来た地震波(実体波)と地表に到達後地表を進む地震波および基盤に跳ね返って地表をそれまでとは逆に進んできた地震波相互が合流し増幅するものである。))を反映して、実体波S波の部分が上下方向に変化したことと、表面波のラヴ波が顕著になったことですが、まさに、前記、Ⅰ、Ⅱを如実に反映しているといえますね。
同様な特性を醸し出す地形として、断層周辺 もそうです。基盤が水平ではなく不連続に分布しているからです。事実、当地震で、大阪府内豊中市内で局地的にかなりの倒壊家屋が出た要因がこれです。


※大阪府や京都府も甚大な被害であった!!最後に未曾有の大被害をもたらした兵庫県南部地震ですが、京阪神地域(兵庫県、大阪府、京都府の被害状況について記しました、ご参考にしてください!(気象庁発刊、㍻9年兵庫県南部地震報告より、震度分布は気象庁、JR,各自治体、阪神高速道路公団発表地震加速度値より筆者が推定したもの)

<兵庫県>
※神戸市、淡路島北淡町、津名町、一宮町、宝塚市、芦屋市、西宮市の一部で震度7を観測

死者:6394名 行方不明:2名

負傷者 :(重傷)857名 (軽傷)31497名

全壊家屋:103934棟 半壊家屋:136096棟 一部損壊家屋:240030棟


<大阪府>
※大阪では公式発表震度は4であったが、現行の震度算出方式では計測震度4・55(現行では震度5弱)であった。大阪市、豊中市、池田市、吹田市の一部地域では、震度6弱以上を観測したものと推定される。

死者:30名 

負傷者:(重傷)175名 (軽傷)3414名

全壊家屋:895棟※このうち豊中市657棟 半壊家屋:7221棟※このうち豊中市4263棟 一部損壊家屋:87879棟※このうち豊中市35176棟

<京都府>
※京都市の公式発表震度は5 現行では震度5強、京都市一部や亀岡市などの一部地域では局地的に、現行震度では震度6弱程度の揺れがあったものと推定される。

死者:1名

負傷者:(重傷)3名 (軽傷)46名

全壊・全焼家屋:3棟 半壊・半焼家屋:6棟 一部損壊家屋:2741棟







6日の関東大雪について、冬型気圧配置の置き土産

2022-01-17 12:15:08 | 日記
①1月6日21時までの12時間降雪量日最大値一覧画像 気象庁HPより引用



去る1月6日、関東地方は南部東部中心に予想反して大雪となりました。降雪量最大は東京都心で4年ぶりに10㎝、
横浜、つくばで8㎝、千葉や水戸で7㎝を観測、鉄道ダイヤ乱れや首都高速道路の入り口閉鎖など、都心部のインフラ
は大混乱となりました。

気象庁さんには悪いですが、当初、前日5日の予報では、降雪は予想されるものの、関東南部で3㎝程度、都心辺りまで1㎝程度の降雪とされていたものの、前記のような大雪となってしまい、東京23区や千葉県、茨城県南部には大雪警報も出されたほどの結果となってしまいましたが、
それはなぜか?といいますと。

まず、5日から6日にかけて、引用図にはありませんが、本州付近、九州南部辺りまで上空-3℃以下の寒気に覆われて、関東地方では、降水あれば雪となるような状況でした。

②1月5日21時と9時の雲画像図(赤外)ⅰ;21時 ⅱ:15時と ア:21時の全国ウインドプロファイラー風向風速上空1000メートル画像
雲画像は高知大学HPより引用 ウインドプロファイラー風向風速画像は気象庁HPより引用 ※画像内 低 は地上天気図上の低気圧の位置
を示します。
ⅰ:

ⅱ:

ア:

引用図②より、前日5日は、北日本東日本は冬型気圧配置画が続いていたため、関東~東海沖にまで冬型気圧配置に伴う筋状雲が分布していたところ、東海沖の筋状雲aが当該筋状雲の南から下層の南寄りの暖気の補給受けて擾乱として発達し、伊豆諸島近海から東海道沖でナマコ状の形になっております。筋状雲からナマコ状雲になったこと、これは、擾乱として発達途中で、低気圧としてまとまりつつある証左なのです。
また東シナ海から日本海西部の広範囲にわたり、お椀をかぶせた形の雲集団(中層といわれる上空3000㍍~4000㍍の上昇流が3つほど見られ、本州は深い気圧の谷に入りつつある
様子です。



1月5日21時、1月6日9時、15時の日本付近レーダー画像図 日本気象協会HPより引用
ⅰ;5日21時 

ⅱ;6日9時 

ⅲ;6日15時 

画像内には、地上天気図の低気圧位置を 低 別の低気圧とまとまっている降水域 a としていますが、降水域の様子、地上天気図上の低気圧の北東側の、aで、お椀を逆様にしたような形まとまり、関東南部や東部に広がり、当該降水域内には一部発達した部分もあります。
反対に地上天気図上の低気圧周辺では、次第に降水域が減少しつつあり、a に 降水域を明け渡すような格好ですね。


以上、6日の関東地方南部や東部、東海道沖周辺の冬型筋状雲が南からの暖気の補給受けつつまとまった a の影響で時ならぬ大雪になったわけですね。

勿論、前記 a は、低気圧として解析するべき ですが、気象庁発表の地上天気図には、低圧部 として表現されておりません。
と言いましても、前記したように、雲画像図の形状から、本州付近が深い気圧の谷内に入りつつあるときは特に、前記したような、地上天気図の低気圧とは別に、スケールの小さい低気圧
が発生することを肝に銘じてください。