カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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5月1日 静岡県牧之原市内と沼津市内で突風被害発生!竜巻との混在で発生の箇所も。

2021-05-06 02:13:18 | 日記
①5月1日18時の天気図 気象庁HPより引用




5月1日、夕刻に静岡県牧之原市内と沼津市内で突風が発生!牧之原市内では1日18時30分頃、沼津市内(下香原地区)では1日19時10分に
発生した模様です。

引用図①より、突風発生時刻間際の1日18時には、日本海に発達中低気圧があり東北東に移動中、実はこの低気圧、上空には強い寒気を伴っていました。
強い寒気を伴った低気圧というもの、当該低気圧の進行方向東~南側の下層には、南から暖湿流が大量に流れ込むこともあり。大気が非常に不安定になります。
突風が発生した牧之原市や沼津市が位置する静岡県内では大気が非常に不安定であった様子がうかがわれます。


ⅰ:牧之原市に突風が発生した1日18時30分の静岡県中部周辺レーダーエコー図※突風被害発生区域を黒線で囲んであります
国土交通省川の防災情報HPより引用と加工




ⅱ:沼津市に突風が発生した1日19時10分の静岡県東部周辺レーダーエコー図※突風被害発生区域を黒線で囲んであります
国土交通省川の防災情報HPより引用と加工





引用図②より、牧之原、沼津ともおのおの突風が発生した時刻頃には、ほぼ南北に帯状に連なる発達した雲の集団(帯状クラスター)がかかっておりますが、この帯状クラスター、南から暖湿流が大量に流れ込んで、一部暖湿流同士が収束しているために発生したものですが、

ⅰ:より、牧之原市内に突風が発生した区域には、北西側にフック状の発達したクラスターがあります。これは竜巻が発生している証左ですね。

一方、他区域、東側や南側には、別の発達したクラスターとの間部に入っています。こういう発達したクラスターの間部に当たる区域では、発達したクラスターの上昇流で上昇した気流が上空の強風を引きずり降ろしながら下降する箇所でもあり、この上空の強風が引きずり降ろされることによる強風災害が発生しやすい箇所でもあります。

この様子より、18時30分頃の牧之原市内の突風被害発生区域では、北西部区域では竜巻と推定!他区域では、上空の強風が引きつり降ろされたことによる局地的な強風であったといえそうです。

また、ⅱより、19時10分頃の沼津市内下香原地区では、やはり、発達したクラスターの間部に入っています。これにより、上空の強風が引きずりおろされたことによる局地的な強風といえそうですね。

牧之原、沼津市両市内に突風被害が発生した時刻頃の1日18時~19時にかけては、引用図にはありませんが、静岡県内上空3000㍍~5000㍍付近では、概ね南西から南南西風で風速30㍍毎秒~40㍍毎秒と推定され(静岡ウインドプロファイラー風向風速データから推定)、発達したクラスタの間部には、当該上空3000㍍~5000㍍付近の風速値の強風が吹き降りる(筆者調べ)ことになります。
さらに、沼津市下香貫地区などは、地形的に鞍部になっていることも相まって、強風被害を発生させてしまった といえるでしょう。

今回の5月1日の突風被害、久々に甚大なものでした。損壊家屋が牧之原市内でおよそ100棟 沼津市内でもおよそ20棟!このほか、牧之原市内ではトラックの横転や電柱の倒壊多数!
日本版Fスケールでは、牧之原市内ではF2 沼津市内ではF1と推定されるものでした。