カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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東京で本年初真夏日31・9℃ 上空ではいかなる状態?

2009-06-26 23:47:33 | インポート

①6月26日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②6月26日9時の気象庁発表AXFE578図(26日9時の上空1500メートル付近の風向風速と気温分布図と上空5500メートル付近の渦度分布図気温と上空3000m付近の気流の鉛直分布の予想図) 日本気象予報士会HPより引用

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6月26日、ほぼ全国的に気温が上がりました。

最高気温は、福島県の福島で35・5℃を観測したほか、群馬県伊勢崎で34・7℃、茨城県大子で34・5℃、東京都心でも31・9℃と、本年初めて真夏日となりました。

この暑さの原因は何か?と言うと、本ブログ4月9日の記事を参照。日本付近で、当該記事に書かれていることが、6月26日も発生したことにより、この暑さとなったと言えるでしょう。関東地方あたりでは、これにプラス、中部山岳を気流越える際に、フェーン現象を発生させたことも、一要因として加わりますけどね。

まず、引用図②を見てみましょう。上側図より、上空5500m付近では、本州南海上は太平洋高気圧の縁になっていますが、北海道の北では、等高度線が狭まっており、偏西風帯がチベット高原で2つに分断されて、おのおの、本州の南海上と、北海道の北を通っており、このために、チベット高原から中国大陸、日本海から北日本、東日本にかけては、上空3000m付近で下降流が卓越したため、上空1500m付近では、おおむね18℃以上(8月並です)、中国大陸では21℃以上とかなり高くなっています。これに、東北地方や関東地方内陸部では、日中日差しに恵まれたこと(関東では、フェーン現象も少々加わり、今回の高温となったわけです。

本州付近の高温は、チベット高原で、偏西風帯が2つに分断されて、中国大陸が高温となっている。こういうシチュエーションでも発生するものですね。


天気図(地上天気図)だけではわかならい。雲が湧き上がる場所はこんなところにも

2009-06-20 23:55:21 | インポート

①6月20日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②6月20日21時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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天気図上(地上天気図)では、日本付近には梅雨前線が姿を見せていませんが、油断は禁物。本ブログで、天気図と雲画像とはセットで検討しましょうと書きましたように、引用図②より、天気予報をする上での、レントゲン ともなるべき、雲画像図には、日本海から東シナ海、中国大陸にかけて、改めて、梅雨前線と呼ばれるべき雲の帯がびっしりと映し出されています。

私自身、この日本海から東シナ海にかけての雲の帯もさることながら、紀伊半島沖から本州の南海上へと北東~南東方向へ広がる雲の帯も見過ごすべきではない と考えています。

そもそも、雲が湧き上がり発達しやすい場所として

Ⅰ・台風や低気圧の周辺

Ⅱ・前線付近

Ⅲ・気流の流れ込んでくる方角に地形的に開いている場所

と言うのは基本ですが、これら以外に

Ⅳ・上空1500m付近の相当温位のコントラストが混んでいる部分

Ⅴ・上空3000m付近の上昇流域・・・・・言い換えると、上空5500m付近の正渦度移流域

でも、雲が湧き上がり発達しやすい場所なのです。

前記した、紀伊半島沖から本州の南海上へと北東~南東方向へ広がる雲の帯は、前記Ⅳに該当し、一見、雲の活動が活発でなくても、沿岸部などで、夜間、内陸部の冷気と海上からの湿った暖気とがぶつかったりとか、日中、海風が内陸部に吹き込むなどして、局地的に気流の収束があると、みるみるうちに雲が発達し、時には強い雨を降らせたりすることもあります。

さしあたり、今後、日本海から東シナ海の雲の帯もさることながら、当該紀伊半島沖から本州の南海上へと北東~南東方向へ広がる雲の帯の動向に注意しましょう!ことによると、東海地方あたりに局地的に強い雨を降らせそうな予感もします。


富士山静岡空港 はたして大丈夫?

2009-06-13 23:51:29 | インポート

①富士山静岡空港ターミナルビル全貌です。筆者撮影。

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②富士山静岡空港の位置地図

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③滑走路輪郭図(略式ですみませんが) ②③とも筆者撮影で静岡市観光政策室了解済み

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6月13日に、今月4日開港した、静岡県内 富士山静岡空港へ局地気象の特性を調査のために、行ってきました。

富士山静岡空港自体、国内線と国際線併せても、まだまだ、羽田空港や成田空港などの離着陸数には及びませんが、なんとも見学の方々の多いこと。航空機利用の方々と見学の方々との割合は、1:9くらいだったでしょうか。ターミナル内は混雑していましたね。

この富士山静岡空港、引用図②より静岡県中部にある牧ノ原台地の高台(と言うか、稜線上といったほうが適切かもしれません。)にあり、周囲の展望はすこぶる良さそうですが、気象の観点から見ると、どうでしょうか?

私自身、気象的には、気流が乱れやすく、悪天候で離着陸に影響が生じやすい空港であると認識しましたね。

それは、引用図②より、空港周辺の地形は、決して平坦とは言えない状態であり、こう言う地形では、地表付近に乱流が置きやすいものです。

さらに、引用図③より、滑走路の方向は、西北西~東南東となっています。通常、空港では、滑走路の走向は、当該空港周辺の卓越風向や地形などを考慮して設定させますが、実は、この富士山静岡空港周辺では、強風(風速10m以上)の風向は、西~南西と北東~東が圧倒的に多くなっています。静岡県中部焼津付近より西側では、冬季には、空っ風(この地域では、俗に、遠州の空っ風と言われる、西~西南西風の強風)が多く吹きますし、静岡県は、おおむね上空700~800m付近では、東部神奈川県境から、北東~南西方向に地形的に鞍部となっており、駿河湾西岸地域では、北東~南西風が強まりやすいと言う特性もあります。

おまけに、引用図②より、富士山静岡空港は、地形的に稜線上になった部分に位置し、北東側は低地となっていますね。北東風はことのほか強まることが予想され、当該北東風は、滑走路の走向と直交した風向となり、滑走路の走向と直交した風向であれば、横風成分(本ブログ平成18年10月6日の記事を参照)が増大し、航空機の離着陸には悪影響を及ぼすようになってしまいます。

さらに、静岡県は地形が比較的急峻であり、海上からの気流と、山間部からの気流がぶつかり合いやすく、その境目にあたる地域では局地的に沿岸前線が発生しやすく、濃霧や局地的大雨など発生しやすいものですし、特に冬季ですが、関東平野からの気流と、関が原~伊勢湾周辺からの気流とが駿河湾~伊豆半島周辺で合流しやすく、当該気流の合流地域の近隣に富士山静岡空港は位置していますから、このような状況では、地表付近の気流が乱れやすくなることも考えられます。

よって、今後、富士山静岡空港では、気流の乱れなど悪天で、離着陸する航空機のダイヤに見乱れが生じやすいと言えそうですね。


関東甲信 北陸 東北南部で梅雨入り 梅雨期は雲画像図を重宝するべき

2009-06-10 23:32:52 | インポート

①6月10日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②6月10日12時の日本付近雲画像図(赤外) 気象庁HPより引用

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③6月10日12時の日本付近雲画像図(水蒸気) 気象庁HPより引用

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世間が、件の豚インフルエンザで右往左往していたり、本ブログにも、著名人のブログのように、エッチなサイトの勧誘が入り始めた(苦笑) 、喜んでいいのか?どうなのか?思っていた昨今ですが、季節の歩みは着実に進んでいたんですね。

気象庁より、本日6月10日 関東甲信地方と北陸地方、東北地方南部が、梅雨に入ったと見られる とのコメントがありました。

これより、梅雨明けの1ヶ月ちょっとの時期は、天気図上の梅雨前線の位置に目が離せなくなりますが、梅雨の時期は、天気図上の梅雨前線の位置とともに、雲画像図にも気を配っていただきたいものです。

雲画像図では、赤外画像(引用図②)では、雲頂高度が高い雲ほど、白く輝いて写り、水蒸気画像※大気中の鉛直方向の水蒸気の濃淡を表現します。では、上昇気流が顕著な雲ほど、白く輝いて写るものですね。

赤外画像も水蒸気画像も、白く輝く雲は、そうですね。上昇流が強く、雲頂高度が高い雲、すなわち、発達した、強い降水をもたらす雲ということになります。引用図②③より、四国や九州南海上から東シナ海に、所々、件の、発達した強い降水をもたらす雲が存在することがわかりますね。

このように、赤外画像と水蒸気画像とを対比させて雲画像を見ることは、強い降水をもたらす雲を検出するために重要なことであると私は思っています。

このほか、赤外画像では、中層の上昇流域や前線が移しだされます。刷毛で書いたような形やコンマ形の画像が現れたら、淡い画像として(こういうときは地表では降水となっていないことも多いものです。)写っていても、上空に寒気が入り大気が不安定になる場合は要注意!このような画像の箇所で、雨雲(雪雲)が地形的特性等の要因で急激に発達しやすく、強い降水や強雷等をもたらすことも多いものです。


エールフランス機墜落事故について

2009-06-06 01:31:06 | インポート

さて、前置き長くなるようでスミマセンが、私自身 先月28日に防災関係の仕事で神戸に出かけて、その後7日事なきを得ず、ほっと一安心と思っていた矢先の、日本時間1日午前ブラジル・リオデジャネイロ発パリ行きのエールフランス447便(A330-200型機)がブラジル沖の大西洋上で遭難したことが確認されました。乗客乗員228名の安否が絶望視とのことで、悲しい知らせとなってしまいました。

私自身、多忙と、資料が揃わなかったことで本件、投稿が遅れてしまいました。

事故の要因ですが、諸説紛々な感じはするものの、私自身、発達中の積乱雲が大きな要因の一つであると感じました。

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引用図は、EUMETSATで公開、飛行コース(航跡)と遭難時刻と推定される1日0215UTCのMet-9の画像を重ね合わているもの、日本気象予報士会 東北支部、真木伸之様が日本気象予報士会MLにてご提供されたものです。

事故機が遭遇したと推測される積乱雲の画像ですが、まさに発達したもの、というより、まさに発達途上にあるものと言えそうです。(エコーの形が、楕円形や小豆状となって、強エコー域がエコーの外縁部まで及んで、外縁部の輪郭が、はっきりして、ぼやけた形ではないですよね。最盛期を過ぎて、衰弱過程に入っているエコーだと外縁が次第にぼやけてきますからね。)

本事故機が、当該積乱雲を通過する前には、おそらく機載レーダーには、それほど強いエコーとして移っておらす、当該積乱雲の発達程度を予測誤ったと考えられそうですが。

さらに、強いエコーを伴う積乱雲の雲頂付近を吹く気流の風向の 風下側でも、気流がかなり乱れますから、当事故機が、当該強エコーの風下側に不覚にも入ってしまい、事故に遭遇してしまったとも考えられそうです。

まあ、真相は?それは、大西洋に沈んだ事故機のボイスレコーダーが発見されて解析されれば、の話ですけど。・・・・・・

エコーの集団は全体として、帯状となっており、前線や正渦度移流
に伴って発生したものと言えそうですね。