カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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梅雨前線西日本を縦断 前線付近のみならず太平洋側の雨雲動向に注目

2007-06-24 12:30:58 | インポート

※引用図は全て気象庁HPより引用です。

①6月24日9時の天気図

07062409

②6月24日21時の予想天気図

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梅雨前線が西から活動を強めてきました。

すでに、昨日夜から九州の一部では強い雨が降り出しており、24日9時現在は、特に強い雨の区域は山陰地方にあり、島根県の一部には 大雨・洪水警報が出されております。

引用図①より、山陰沖の梅雨前線上では、∧の形に 前線がなっていますが、こういう部分に 低気圧 が隠されている(本当は低気圧がありますが、天気図では表現されていない と言うのが正解でしょう。)と考えて間違いありません。

この梅雨前線上の ∧(隠された低気圧)は、過去の天気図の動向より、西から東へ進んでいます。

この∧(隠された低気圧)の周辺で、特に雨雲が発達しやすく、この動向に注目ですが、今回のように、前線が日本海西部沿岸から本州上へ東西に延び、前線上を低気圧が東進する場合、当該前線上の低気圧の東進とともに、低気圧後面の前線の部分が南下し、九州中部付近にさしかかる頃、四国沖付近に別の低気圧が新たに発生して、この低気圧の周辺で雨雲の活動が強まり、その低気圧の東進とともに、強い雨雲も、西から東へと移動するようになります。

前記した、四国沖で低気圧が発生するプロセスは、天気図上では、四国沖付近に低気圧が発生すると、それまで本州を横切っていた前線は、この、四国沖付近に発生する低気圧上に南下するごとくその位置を変化をしますが、以前にも説明したように、前線と言うもの、一本の線ではなく、帯状のものとしてとらえましょう。前線に伴う雨雲そのものまで、南下するわけではありません。

今日24日は、午前中雨脚がつよまっていない四国付近でも、雨雲の動向に注目です。今後、夕方以降、四国沖付近に新たな低気圧が発生するのに伴い、この地域周辺で雨雲の活動が強まってきますね。そして、この低気圧の東進とともに、強い雨雲の範囲は、近畿、東海、関東へと広がっていきそうです。


梅雨前線復活 次第に南下 そもそも梅雨入り明けは杓子定規には決められません。

2007-06-21 23:50:52 | インポート

①6月21日15時の天気図(気象庁HPより引用)

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②6月21日15時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図(気象庁HPより引用)

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ここ2~3日、天気図上から姿を消した梅雨前線は、昨日になって東北地方からに本会中部、朝鮮半島付近へと延びてきて、今日21日には、東北地方全域と北陸地方が梅雨入りとなりました。

一方、沖縄では、本日21日に梅雨明け宣言が出されました。

気象庁には、ここ2~3日間、梅雨らしい天気が現れないとのことで、天気相談所さんへクレームをつける方々も多いとか。肝心の気象庁さんも、「梅雨入り宣言まちがえたかな?」と弱気になられているとのことですが、まあ、気象庁さん。元気だしてくださいな。私自身、誤解を承知で言いますが、梅雨というものは、気象歳時記的な意味合いなものであり、所詮、○月○日頃に、梅雨入り(明け)とか、確定日的に梅雨明け入りを区別できるものではありません。

梅雨というもの。気象学的に見ると春から夏に季節が変化するとともに、赤道のすぐ北側に四季を通して定常的に存在する中緯度高気圧(日本付近では夏季に¥太平洋高気圧を呼ばれるものです。)が勢力を拡大する過程(偏西風の北上と言う形で表現されますね)において、北からの気団とのぶつかりあいによって(これにはチベット高原という大きな地形的要因も加わり)発生するものです。

そして、この、中緯度高気圧と北からの気団は、双方押し競饅頭的にぶつかりあっている(最終的には、中緯度高気圧 すなわち 太平洋高気圧が寄りきり勝つわけですが)ため、梅雨時期は、毎日雨天ばかりと言うわけではなく、時には、梅雨中休みの晴天となりこともあります。

また、今年のように、偏西風が南北へ蛇行する年は、前記した、梅雨の雨天と中休みのコントラストが強いもので、梅雨中休みに入ると、あたかも、梅雨がなくなってしまったのでは?と言うイメージを抱かれやすいですね。

ただ、こういう年の梅雨は、地域的に梅雨前線の雨天と そうでない晴天とのコントラストも強く、空梅雨気味で旱魃になる地域もあれば、これに隣接した地域では、梅雨前線による雨量が多くなり、大雨災害も発生しやすい地域も発生してきます

これからの時期、この 梅雨のコントラストが何処でどうなるか?注意深く見守る必要があります。

さて、あす6月22日はどうでしょうか?

③6月22日9時の予想天気図

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引用図③より、梅雨前線は南北へ走っていますが、ゆっくりと南下して本州上へかかってくるでしょう。前線上を低気圧も東進する予想です。

こうなると、本州各地で所々大雨となり、前線の南側では天気が崩れにくい関東平野なども、全般的にまとまった雨量となりそうです。


関東は梅雨の晴れ間  東京で今年初真夏日30・9℃

2007-06-15 23:54:58 | インポート

①6月15日15時の天気図(気象庁HPより引用)

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②6月15日15時の関東周辺アメダス風向風速分布図(気象庁HPより引用)

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6月15日は、梅雨前線の影響で、九州南部の一部で激しい雨が降りましたが、関東地方や東海地方、甲信越地方南部では、昨日雨を降らせた低気圧が東海上へ去り、山越えの気流がフェーン現象を発生させた(これに、局地的に気流が集まった地域の周辺部とりわけフェーン現象を引き起こしている気流の風向方向では、その反動で下降気流がいっそう強まった)ため、各地で気温が上昇しました。

日中の最高気温は、

静岡県天竜で 32・1℃ 東京都府中で31・9℃ 東京都練馬で31・8℃を観測したほか、気象庁のある東京大手町でも30・9℃を観測し、今年初の真夏日となりました。

このほか、千葉 宇都宮 熊谷 秩父 甲府 名古屋などで 日中の最高気温が30℃を超えました。

この暑さの原因ですが、関東では平成17年7月27日の事例と酷似してますね。

まず、

①暖かい空気が残ったこと

②気流が山越え(関東山地や中部山岳 名古屋周辺では伊吹山方面からの)する際に、フェーン現象を発生させた 

③関東では、北部で北から北西風(一部北東風)と南部沿岸部では南から南西風 東京都と神奈川の県境付近で 気流同士が集まっており、濃尾平野から愛知県内では北西風で静岡西部では西より風ですが静岡中部では南より風が吹いており、静岡中部山間部付近で 気流同士が集まっています。

以上3点が 原因としてあげられますね

この様子を 以下の、③6月15日15時のアメダス関東周辺風向風速分布図 と④6月15日15時のアメダス関東周辺風向風速分布図で見てみましょう。前記したことが一目瞭然ですね

③6月15日15時のアメダス関東周辺風向風速分布図

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④6月15日15時のアメダス関東周辺風向風速分布図

200706151500001

このように、フェーン現象が発生している地域に、局地的に気流同士が集まっている箇所があれば、その周辺部(フェーン現象を引き起こしている気流の風向方向が特にそうですね。)では、いっそう、気温が上昇するものです。

この点、これから 暑くなる季節を迎えるにあたって、看過できないことですね。

さて、6月16日はどうでしょうか?

⑤6月16日9時の予想天気図(気象庁HPより引用)

07061509

6月16日も、6月15日と同様な気圧配置ですね。引用図にはありませんが、関東から甲信南部、東海では、各種予想図より、寒気の流入もありません。

よって、6月16日も、関東から甲信南部、東海にかけて、日中、15日と同等くらいの気温上昇が見込まれます。暑くなりそうですよ。


関東以西は梅雨入り

2007-06-14 23:53:59 | インポート

①6月14日15時の天気図(気象庁HPより引用)

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②6月14日9時のAXFE578図(日本気象予報士会HPより引用)

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昨日の九州北部と四国に続いて、本日14日に、関東甲信、東海、近畿、中国地方が梅雨入りしました。

前記事で、偏西風がチベット高原にぶつかって南北に分断されているといいましたが、偏西風が、このようにチベット高原にぶつかって南北に分断され、分断された偏西風の北側の部分が日本付近で南北に蛇行して、千島近海付近上空が寒気移流となり、オホーツク海から日本海北部あたりが上空の高圧帯(地表付近には、オホーツク海付近に高気圧が発生)となる状態が、梅雨時期の偏西風の典型的なパターンでもありますね。

引用図②より、大陸から偏西風上の谷(引用図②の上側の斜線部分)が大陸から本州付近に進んできて、地表付近には、前線が本州南岸にかかり始め、前線上を低気圧が東進するという気圧配置となったため、梅雨入りとなったわけです。

これからの梅雨時期、①梅雨前線の位置 ②梅雨前線の南側の 太平洋高気圧の勢力具合が注目されますが、もうひとつ ③南北に分断された偏西風の北側の蛇行具合にも注意 です。この蛇行が著しいほど、北からの寒気移流が強いことであり、ひいては、オホーツク海か負う気圧から吹出す冷気が強くなり、いわば 北日本や東日本を中心とする地域に 梅雨寒(この状態が長いと 北日本から東日本では冷害の恐れがあります。)をもたらします。


北海道で真夏の暑さ 暑さの源は大陸上空から?

2007-06-12 23:55:41 | インポート

①6月12日15時の天気図 (気象庁HPより引用)

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6月12日は、ほぼ全国的に気温が上がりましたが、とりわけ北海道(東部やオホーツク海側)で最高気温が30℃を軽く超えて、真夏の暑さとなりました。

各地の最高気温は、北海道網走支庁津別で33・2℃、北海道十勝支庁足寄で32・4℃を観測したほか、同じく北海道の北見や帯広で32・1℃と、この地域では、真夏でもそう観測されないほどの高温となりました。

この暑さの原因は、北海道の中央部にある石狩山地を西または南西の気流が吹き降りる際に、フェーン現象を発生させて、気温を上昇させたことによりますが、この根幹になるのは、偏西風がチベット山脈で2つに分断されて、モンゴルから中国東北部、さらに。シベリア南部上空が高圧帯となり、下降気流による昇温が根幹だったと私は考えます。

②6月12日9時のAXFE578図(日本気象予報士会HPより引用)

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③6月12日9時のAUPQ35図(日本気象予報士会HPより引用)

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引用図③の上下図より、日本付近は華南から本州南海上と、シベリアに、強風域(偏西風)がありますが、これは、チベット高原があるために2つに分断されたものです。

この分断された2つの偏西風の間の、モンゴルから中国東北部、それに、シベリア南部から日本海にかけて、引用図②③より、高圧部となっており(Hの印がありますよね)この方面の上空は高温となっています。さらに引用図②の下側より、中国東北部やシベリア南部の山地の風下側上空3000メートル付近上空が下降気流(無地の表示)で、1500メートル付近付近がとりわけ気温が上がっています。

この地域はおおむね西から南西風で、フェーン現象による気温上昇ですが、この高温域が上空3000メートル付近の下降流域がほぼ東西方向に北海道上空にも分布し、これに対応するように、上空1500メートルの高温域も北海道付近にかかっています。

つまり、12日の北海道の暑さの下地は、大陸上空で形成されたといっても過言ではなく、北海道付近上空が、高温、下降流の場であり、このことが気流が石狩山地越える際にフェーン現象を発生させやすく、今回の暑さを発生させるようになったというわけです。