カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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日本列島寒波なう! 今度は福井嶺南地区で記録的大雪 日本海寒気吹出し雲はよく見てくると個性が

2011-01-31 23:46:31 | インポート

①1月31日3時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月31日3時の北陸地方周辺雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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1月は寒波来襲で始まりましたが、1月最後の31日も、日本列島上空には強い寒気が流れ込んでいます。

このため、日本海側の所処で降雪が強まっており、特に、昨日30日夜から福井県嶺南地区や滋賀県北部では、記録的な大雪となり、24時間降雪量が80㎝を越えた箇所もあります。

このため、この地区を通る北陸自動車道や国道8号線では、大雪でスリップしたり、視界が不良となったりして、1000台もの車が立ち往生する事態も発生しました。

冬型気圧配置時に、日本海には、件の、寒気の吹出しに伴う筋状雲が発生しますが、この寒気に吹出しに伴う筋状雲、上空(おおむね5500m付近ですが)の寒気の強弱や、上空3000mの上昇流域の程度などで、その様相を変えるものです。

まず、引用図②のA Bに注目です。

Aは、筋が太く、筋状というより、帯状となっています。それに、北西~南東方向と、これに直行する方向の南西~北東方向とに帯状雲が現れて、おのおの帯状雲が会い交わる箇所では、渦上の雲が現れていますね。

一方、Bですが、雲の筋の幅は比較的狭く、全体的に、刷毛で書いたような形状となっています。

寒気吹出しの伴う雲の集団は、上空の寒気が強かったり、上空3000m付近に顕著な上昇流域があるなど大気が不安定で、雲の活動が活発であるほど、BからAの形状に変化するものです。

引用図②では、若狭湾東岸付近にひときわ白く輝く渦上の雲の塊が見られますが、この雲の塊の下にあたる、福井県嶺南地区や滋賀県北部で、記録的な大雪となったわけです。この地域でとりわけ雪雲が発達したことですが、北西~西北西風が福井県嶺南地区の山地で強制上昇したところへ、前記した北西~南東方向と、これに直行する方向の南西~北東方向との帯状雲が会い交わったため、とこのほか、雪雲が発達したと考えられますね。

冬型気圧配置上昇の寒気吹出しに伴う雲も、実は、こういう個性を持ち合わせているんですね。


冬型気圧配置時 日本海に低気圧出現 実に厄介!!

2011-01-29 13:55:43 | インポート

①1月29日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月29日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③1月29日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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④1月29日21時の予想天気図 気象庁HPより引用

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連日のように、日本付近では冬型気圧配置が続いていますが、引用図①より、日本海中部には小さな低気圧が出現しました。

じつは、こういう 冬型気圧配置時に日本海に低気圧が出現するのは、実は厄介なことなんですよね。

冬型気圧配置時に日本海に小さな低気圧が発生するのは

Ⅰ:大陸から日本列島付近へ上空(500hpa)の気圧の谷が接近して、日本海の上空3000m付近で上昇流が顕著となること。

Ⅱ:前記Ⅰの状態のところで、地表付近で地形的特性などで気流の収束している箇所があること。

以上、Ⅰ、Ⅱを満たす場合に発生するものであり、新たに、日本列島に寒気が流れ込んで来る兆候であるともいえます。

さらに、当該、低気圧周辺では発達した積乱雲が分布しやすく、強い降水や雷、突風や竜巻と言った激しい気象現象を引き起こしやすく、今回のように、地表付近の低気圧と500hpa(上空5500m付近)の正渦度極大域(※引用図①②より、地上天気図上の低気圧Aの中心の西側に、500hpaの正渦度極大域aがあり、ますね。)の渦管の結びつきがある場合、当該低気圧が本州を横断する際に、太平洋側に、別に低気圧が新たに発生し、この新たに発生する低気圧が、思いのほか、太平洋側の天気を崩す場合も少なくありません。

引用図①②④より、今回1月29日の事例では、29日9時に能登半島の西にある低気圧Aは、29日21時には佐渡沖に進みますが、新たに、関東南東沖に低気圧A´が発生する予想となっています。

じつは、関東沖は、こういう 日本海から本州中部に低気圧が接近・通過する際に、新たに別の低気圧が発生しやすい地域でもあるんです。


雲画像上で小さな渦巻きが出現 これ荒天の狼煙 要注意!!

2011-01-20 23:52:44 | インポート

①1月20日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月20日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③1月20日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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④1月20日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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⑤1月20日12時の北海道周辺雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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⑥1月20日15時の北海道周辺雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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1月20日は、冬型気圧配置が続き、新潟県付近を中心にまとまった降雪となり、新潟県の一部には大雪警報が出されたりしましたが、天気図や雲画像図上には、もうひとつ、特筆するべきものが現れました。

それは、引用図①②より、20日9時現在、北海道積丹半島の北にある低気圧ですが、この低気圧、雲画像上は台風のごとく、螺旋状に渦巻いた雲の集団の形となっていますし、引用図②の上側図より、500hpaの顕著な正渦度の位置付近に低気圧の中心が見られます。

こういう雲の集団は、ポーラーロー(寒冷低気圧)と呼ばれるもので、当該、ポーラーロー通過時には、一時的に強い降水や雷、降雹、突風や竜巻などと言った、激しい気象現象を引き起こす厄介者です。油断できませんね!

こういう、ポーラーローの雲画像を画像を拡大して見ると、ポーラーローに伴う雲の集団は、

Ⅰ:渦巻き状になっているものの、台風のような、いくつかの帯状の雲の塊が螺旋状に連なっているものです。

さらに、

Ⅱ:螺旋状の雲の塊は上空3000m付近の上昇流が局地的に非常に強まった区域であり、必ず、隣接した区域は、上空3000m付近の下降流が局地的に非常に強まっています。よって、当該、螺旋状の雲の塊の外縁部や、螺旋状の雲の塊同士の雲の谷間になっている地域では、局地的に強風に見舞われるものですね。

このⅡの強盗する区域で、地上天気図上で等圧線の混んである箇所(高気圧が張り出している方向の区域)で、特に風速が強まり易くなります。

引用図②③④⑤⑥より、この寒冷低気圧の中心位置を雲画像上に、黄色の丸印で反映させてあります。時間が経過するごとに、南南東方向へ移動する様子が解ります。

引用図①より、この低気圧の周辺部で等圧線が混んでいる箇所に入った、北海道の後志支庁や渡島半島周辺では、所処で風速20mを超す非常に強い北西~西北西の風が、20日13時頃~16時頃にかけて吹きまくり、檜山支庁せたなでは、最大瞬間風速29mと、台風並みの風を観測しています。


寒波襲来! 各地で大雪や寒さ 東京では5年ぶりの低温

2011-01-16 12:56:56 | インポート

①1月16日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月16日6時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③1月16日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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④1月16日6時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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⑤1月16日9時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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日本列島の上空には、再び強い寒気が流れ込んできました。(16日9時現在、石川県輪島上空5000m付近で-39℃以下)

このため、北海道から九州まで、日本海側ではほぼ雪となり、あちこちで大雪となりました。

さらに、昨日15日夜から16日朝方にかけて、本州中部を上空(500hpa付近)の気圧の谷が通過したため、関東地方では北部の平野部でも降雪となり、熊谷や銚子でも初雪を観測しましたし、関東地方の高速道路では、外環道や常磐道などで、チェーン装着規制となった箇所もありました。

引用図②③より、日本海や黄海には、寒気吹出しに伴う筋状雲がびっしりと発生しており、寒気の勢力が強いことを物語っています。引用図③より、16日6時現在、関東地方付近には上空500hpa付近の谷が見られ、その西側の東海地方から近畿地方周辺から山陰沖~日本海西部にかけて、500hpaの正渦度移流域に伴う、帯状の白輝域が見られます。この500hpa正渦度移流域に伴う、帯状の白輝域に対応するように、引用図④より、発達した降水域が見られ、16日9時には、当該発達した降水域は南東に広がり、濃尾平野周辺から伊勢湾岸周辺まで、降水域が見られます。この降水域がかかる、愛知県の名古屋市内では、16日9時現在、降雪になっており、濃尾平野西部では、24時間降雪量が10cmを超えた箇所もあるとのことです。

16日6時~9時にかけて、名古屋や福井の上空1000m~1500m付近では、北北西~北西で風速が13m~16m程度であったため、名古屋市内もさほどの降雪となっていませんが、名古屋や福井の上空1000m~1500m付近で北西風で風速20m以上になれば、名古屋市内でも24時間降雪が10cm以上となる降雪量が見込まれます(Ⅰ:輪島500hpaで-36℃以下 Ⅱ:名古屋、福井の上空1000m~1500m付近で北西風で風速20m以上 Ⅲ:濃尾平野~伊勢湾岸周辺が500hpaの正渦度移流域にあたっていること 以上Ⅰ、Ⅱ、Ⅲを満たす場合、名古屋市付近で24時間降雪量が10cm以上となる と言う目安があります。)

引用図③より、今後は、沿海州からシベリア沿岸に見られる500hpaの谷が本州中部に南下してくる16日夜頃から、北陸地方や近畿地方中心にふたたび降雪が強まりそうですね。

⑥1月16日9時現在の全国最低気温分布図 気象庁HPより引用

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強い寒気の襲来で、北海道から九州まで、15日夜~16日朝方にかけて厳しい冷え込みに見舞われて、東京(気象庁のある千代田区大手町)でも、16日朝、最低気温が-1・1℃を観測し、平成18年2月5日の-1・5℃以来5年ぶりの低温となりました。


大陸から強い寒気が再び本州付近へ 雲画像上ではこんなことが・・・

2011-01-15 12:37:30 | インポート

①1月15日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②1月15日6時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③1月15日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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大陸から強い寒気が再び本州上空へ流れ込んでくる様子です。

本州上に寒気が流れ込んできる場合、その露払い的な立場のごとく、本州上に気圧の谷が移動してきますが、当該気圧の谷ですが、本ブログで、地上天気図だけでは解らない様相(たとえば、低気圧が特に発生・発達しやすい、上空3000m付近の顕著な上昇流域がどこかなど)が地上天気図と雲画像を比較することによって、解ってくるものです。

このことを踏まえたうえで、引用図①②③を比較検討してみましょう。

まず、気圧の谷接近・通過時に、とりわけ低気圧が発生・発達しやすい箇所(上空3000m付近の顕著な上昇流域)は、本ブログの記事内で、お椀をかぶせたような ⌒ 型 の画像が雲画像上に現れます。当該部分を、引用図②③内に、前記、⌒ 型 の画像が現れている箇所を、それぞれA,B,Cと図示しました。(なお、A,B,Cは、広がりを持った区域です。点ではありません。このことを留意ください。)

まず、引用図②③ともに、日本海や黄海には、寒気の吹出しに伴う筋状の雲でびっしりと埋まり、寒気の勢力が強いことを物語っています。さらに、⌒ 型 の画像がA・・・朝鮮半島南部から日本海西部 B・・・九州西方~中国地方四国地方付近 C・・・南西諸島の東海上 に見られます。

当該A、B、Cですが、引用図③より、中国大陸~本州の南半分~本州の東海上にかけて、長々と、帯状の白輝域が見られますが、これは、500hpa上の正渦度移流域と上空の気流の流れ方向とに上昇流域が分布した画像であり、前記Cは、当該上空の気流の流れ方向(東南東~東方向)へ移動し、本州への影響は殆どないと考えられますが、問題は、A,Bですね。この、A,Bですが、Bは本州南岸を東進して、Aは日本海中部から北陸地方、東北地方を通過する見込みです。

引用図②③より、A,B,Cの内で、とりわけ、Aがひときわ白く輝く画像であり、3つの中でも特に顕著な上昇流域を持ち併せている様子が解りますね。Aのような区域では、特に降水域(今回の場合降雪ですが)が発達しやすく、雷や突風、竜巻など激しい気象現象を伴うものですから、油断なりません。北陸地方や東北地方など要注意!!Bが通過する関東以西本州南岸でも、所処で降水域がまとまり、雪や雨が降る懸念もあります。