カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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年末寒波。寒気吹出し時は本州付近の雲画像と関東では風向風速に注意!!

2009-12-31 13:28:02 | インポート

①12月31日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月31日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③12月31日9時の関東地方周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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31日は、日本付近では冬型気圧配置が強まり、上空には大変強い寒気も流れ込んできつつあります。

このため、北海道から九州までの日本海側では所々で降雪が強まり、四国や瀬戸内地方でも積雪を観測した箇所もあります。広島でも31日午前中、2cm積もりました。

冬型気圧配置強まって、上空に強い寒気 と言うパターンは、日本海側の広範囲で大雪 というのが定石ですが、関東地方では、この寒気の流れ込み方には、ある特徴があります。

それは、東地方のおおむね上空1500m以下では、本州では一番、寒気到達の時間が遅い と言うことですね。特に、冬型気圧配置でも、本州付近で等圧線の走向が北西~南東方向や西~東方向になる場合がこの傾向が顕著になります。

これは、上空寒気の流れ込んでくる方向に、関東平野西側には、関東山地や中部山岳等の高い山々が控えているため、寒気も関東地方には、一気に流れ込みにくくなってしまうからですが、このような時には、関東地方南部では、東海等方面からの気流が南西風となって吹き込み、沿岸部では強めに吹くことも多くなります(引用図③)が、関東平野の地表付近では、引用図③の風向風速時には、件の 関東山地や中部山岳を気流が越える気流が、関東平野で、フェーン現象による昇温を発生させるため、関東平野の各地だげ、隣接地域より高温になってしまうことも多いものだからですね。

ただ、関東地方では、前記した状態に、上空5500m付近の正渦度が通過する際には、地表付近で相対的に高温であるのに、上空3000m付近では上昇流が卓越する場となりますから、局地的に雲が発達しやすく、一時的に雪や雨が降ることもあります。

当該、上空5500m付近の正渦度通過を控えている際には、雲画像を見ると、北海道の南東海上~三陸沖~福島県沖には、例外なく、北東から南西方向へ連なる帯状の雲(レーダーエコーでは帯状にエコーが分布しています。)があり(引用図②)、前記、正渦度が接近するにつれて、帯状雲は南西方向に延びて関東平野に入り込んできます、この際に、関東平野地表付近には、南西風と北西風~北東風との、明瞭な風向のシアーラインを形成し、雲の発達に寄与するものです。

そして、当該、シアーライン上に形成された雲の帯は、前記、上空5500m付近の正渦度が通過するとともに、南東~東方向へ移動し、その後は、関東平野では、北西~北より風が急に強まると言うシナリオとなりますが、この、北西~北より風が急に強まる際には、上空1000mより下側では、ウインドシアー(低層乱気流)を伴うことが実に多いものです。成田空港や羽田空港着陸時の航空機が、この低層乱気流の影響を受けますので、要注意ですね!

※本ブログをご覧の皆様へ。本年1年本ブログご覧頂き、投稿欄もさることながら、連絡先メアドには、多数のご質問や講座企画などいただきました。誠にありがとうございました。

来年も、日々発生する局地気象現象をコンパクトに紹介し、内容を、より一層充実させて、硬派な、気象ブログを目指していきます。皆さん!良いお年を!


こんな時期に? 西日本で黄砂を観測

2009-12-26 23:36:52 | インポート

①12月26日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月26日0時~21時までの日本付近黄砂観測地点と視程 気象庁HPより引用

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クリスマスも過ぎて、本年もカウントダウンに入りましたが、なんとこの時期には珍しく、西日本へ黄砂が飛来しました。

黄砂は、中国大陸で強い風のため上空に吹き上がった地面付近の砂の粒が、上空の気流に流されて、日本へ飛来したものですが、

Ⅰ:中国大陸に低気圧(発達していれば尚の事)が進んできた翌日頃から日本付近へ飛来

Ⅱ:本州付近上空(おおむね上空3000mから5000m付近がおおむね西より風で強い(風速で30ノット以上)状態。

以上Ⅰ、Ⅱの気象状態を満たせば、日本付近へ顕著に黄砂が飛来するようになります。

引用図にはありませんが、26日は、午前9時の実況データより、本州付近上空では、上空3000m付近より上側では、おおむね西より風で30ノット以上。特に上空5000m付近より上側では、風速50ノット以上とかなり強めでしたからね。

通常、黄砂飛来って、春先によく発生するものですけど。なんとなく師走の黄砂飛来ってのは気色が悪い!冬であれば冬らしい陽気が私は好きですね。


日本海側で大雪続く 大雪範囲濃尾平野にも 東京では初霜初氷

2009-12-19 23:51:45 | インポート

①12月19日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月19日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③12月19日9時の本州付近雲画像図(赤外画像) 気象庁HPより引用・加工

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④12月19日22時現在日本全国24時間降雪量分布図 気象庁HPより引用

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12月19日も、日本海側では、北海道から九州まであちことで大雪が降り続きました。

引用図②の上側図より、19日は、上空500hpa付近の帯状の正渦度移流域(イコール上空3000m付近の上昇流域)は北陸地方から東海地方周辺へと位置し、大雪の中心は北陸地方や東海地方北部中心となりました。

19日22時までの24時間に、福島県只見で77cm、群馬県藤原で66cmを観測したほか、北陸地方や東海地方北部では、軒並み50cmを超えています。

また、引用図②③より、上空500hpa付近の帯状の正渦度移流域(イコール上空3000m付近の上昇流域)は北陸地方から東海地方周辺へと位置したことと、上空1500m付近の風向が、東海地方上空ではおおむね北西風となったため、日本海で発生した雪雲が若狭湾から濃尾平野へと続く地形的な鞍部に入り込んで来ました。(引用図③)

このため、日本海側のみならず、東海地方の濃尾平野周辺でも19日午前中を中心にして本格的な降雪となりました。岐阜では20cmの降雪、名古屋でも初雪を観測しています。

Ⅰ:若狭湾上空~濃尾平野1000mから1500mの風向がおおむね北西風~西北西風で風速が15m以上、

Ⅱ:北陸地方各地で大雪警報クラスの降雪となっている場合

Ⅲ:上空500hpa付近の帯状の正渦度移流域(イコール上空3000m付近の上昇流域)は北陸地方から東海地方周辺へと位置している。

以上3つを満たす気象条件の場合、例外なく、名古屋市周辺でも大雪注意報クラズ(5cm~10cm)以上の降雪量となりますが、今回19日は、前記Ⅰの若狭湾上空~濃尾平野1000mから1500mの風向がおおむね北西風~西北西風であるものの、風速は15m以上には今一歩であったため、名古屋市周辺では降雪量を観測するまでには及びませんでした。

一方、19日朝方は、関東地方各地でも冷え込みが強まり、東京(気象庁のある千代田区大手町)では、最低気温2・2℃となり、初霜(昨年より4日遅く)と初氷(昨年より8日早く)を観測しました。

⑤気象庁の観測露場(筆者撮影)

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日本列島は踏んだり蹴ったり 日本海側広範囲で大雪 静岡伊豆では強い地震

2009-12-18 23:55:55 | インポート

①12月18日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月18日9時気象庁発表AXFE 578図 日本気象予報士会HPより引用

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③12月18日9時の本州付近雲画像図(赤外画像) 気象庁HPより引用・加工

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④12月18日22時現在24巻降雪量分布図 気象庁HPより引用

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日本列島の上空には強い寒気が流れ込んでいる状態が持続し、18日も、北海道から九州までの日本海側の広範囲で所々大雪となりました。

ただ、昨日までと異なる点は、引用図②より、上空500hpa付近の帯状の正渦度移流域(イコール上空3000m付近の上昇流域)は北陸地方へと移動し、引用図③より、渦巻き状の雲の集団が形成する帯状雲は北陸地方へかかっています。

また、引用図にはありませんが、本州付近の上空1000m~1500m付近で西~北西風がおおむね風速15m以上と強まったため、大雪の中心は山間部へと広がり、18日22時までの24時間に、新潟県の一部では70㎝以上の降雪を観測しています。

冬型気圧配置時で、上空(基準となるのが、上空5500m付近ですが)の寒気が強く、かつ、上空1000m~1500m付近で風速が15m以上となれば、大雪の中心は平野部のみならず、山間部へと広がり、季節風の風向に沿って地形的に鞍部(上空1000m~1500m付近が目安となります)に沿って、雪雲(雨雲)が風下側の広範囲へと広がり、太平洋側でも降雪となる箇所も発生するようになります。普段、降雪が比較的少ない地域だけに、注意が必要ですね。

さらに、昨日17日から、静岡県伊豆地方で地震が頻発していますが、17日夜半前と、18日明日方、静岡県伊東市では震度5弱を観測し、民家の窓ガラスの破損等の被害が生じました。

⑤18日08時45分頃発生の地震の震央と各地震度分布図です。気象庁HPより引用

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18日08時45分頃発生の地震震源地は伊豆半島東方沖 ( 北緯35.0度、東経139.1度)で震源の深さはごく浅い、地震の規模(マグニチュード)は5.3と推定されます。

ただ、伊豆半島周辺の地層は、天城火山や箱根火山の噴火で堆積した火山性堆積物で非常にもろく、地震が、群発しやすい特徴がありますので、今後の推移には注意が必要ですね。


大雪の範囲は徐々に北陸や東海北部へ 筋状雲の中でも団子型は要注意!!

2009-12-17 23:57:23 | インポート

①12月17日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月17日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③12月17日9時の本州付近雲画像図 気象庁HPより引用・加工

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④12月17日23時の24時間降雪量分布図 気象庁HPより引用

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12月17日も、東北地方南部から北陸地方中心に大雪にも見舞われました。

昨日16日と比較すると、引用図②上側図より、上空550hpaの帯状の正渦度移流域の位置が少し南西方向へ移動したのに伴い、冬型気圧配置に伴なって発生する筋状雲が発達して形成する帯状雲の位置が、引用図③より、やや北陸地方側に移動しています。

このため、17日は、特に降雪量の多い地域は北陸地方から東海地方北部に移り、引用図④より、岐阜県の一部では、17日23時現在、24時間降雪量が50cmを越えた箇所もあります。

上空の寒気の流れ込み具合が、本州付近で一層増していることを示すものですが、更に、引用図②の上側図に注目です。日本海北西部~北陸地方に延びる上空500hpaの帯状の正渦度移流域の北西側、朝鮮半島付近から日本海北西部にかけてに正渦度がU字型に分布している箇所が進んできて、前記帯状の正渦度移流域と合流し始めてきました。

この、正渦度がU字型に分布している箇所は、上空500hpaの気圧の谷ですが、前記、上空500hpaの帯状の正渦度移流域に、更に、上空500hpaの気圧の谷が重なり合う箇所の前側では、当該帯状雲はより一層発達して、渦巻き型の雲の集団が、団子状に幾重にもつならるようになります。(引用図③参照)当該箇所で、低気圧が発生することも多いものです。

こうなりますと、前記した、渦巻き型の雲の集団が通過する際に、特に降雪が強まり、当該渦巻き型の雲の集団の進行方向右側や後側外縁部では、局地的に突風が吹き荒れやすくなりますね。要注意!!です。