カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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14日、熊本地震発生より1年 益城町内ではこんな特性が

2017-04-15 02:23:28 | 日記
4月14日、熊本地震発生より丁度1年が経ちました。

この地震(㍻28年4月14日、4月16日発生した地震はじめ一連の地震による)で、202名の方々が亡くなり、
未だに、熊本県内では、 4万人もの方々が仮設住宅暮らしを強いられております。

この熊本地震で、震度7 が2回観測された熊本県益城町ですが、同じ益城町内で、しかも直線距離でものの800㍍程度しか離れていない地点同士で、
実にコントラストの大きい揺れ方をしていました。

①熊本地震で、4月14日21時26分発生した地震での波形
A:益城町辻の城公園内観測地点(計測震度6・4 震度6強を観測 防災科学技術研究所設置
B:益城町宮園観測地点(益城町役場内、計測震度6・6 震度7を観測 熊本県設置)
※Aは防災科学技術研究所HPより引用 Bは気象庁HPより引用
※A、B双方比較する際に注意!経過時間をAは、21時26分20秒を0として表記しています!

A:


B:


②引用図①にて地震波形を紹介したA B各地点の位置図 国土地理院HPより引用


引用図①より、A Bとも 上下方向の揺れが最大になった直後から 東西方向と南北方向の揺れが大きくなっています。これは地震波の中で表面波のラヴ波が顕著になっていることを示しており、このことは、A、B共に、地表に近い地層が比較的やわらかい表土層で覆われていることを示すものですが、
Aよりも Bの方が、ラヴ波がより顕著になっています。つまり、Aよりも Bが表土層が厚く、地盤が軟弱である証拠ですね。

さらに、最大加速度観測時に目を向けると、A では、上下方向、東西方向 南北方向の加速度のピークがほぼ同時刻ですが、Bに至っては、上下方向の加速度のピーク観測後、遅れて、東西方向の揺れ内で観測しており、東西方向や南北方向の揺れは、上下方向よりぐっと大きく、大きな揺れの継続時間も
Aと比較するとBが長いことが読み取れます。さらに、B は Aよりも、最大加速度は小さく、最大加速度発生時の地震波の周期が長いですね。
このことからも、B は A よりも地盤は軟弱であることを物語っております。

実際、引用図②より、A は B よりも、標高の高い地点の位置しており、B は、近隣で小河川が流れ始めていて、A よりも地下水位が高いことが言え、地盤が軟弱であることがわかります。

地震波は、より地盤が柔らかくなる(硬くなる)ほど、
周期の長い(周期の短かい)地震波が卓越する。地震波の最大は、遅れて(早く)やってくる。

これ、鉄則 ですね。


この 鉄則 ゆえに、地盤が軟弱な地域ほど、継続物の被害は大きくなるわけです。