カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風12号は本州目がけてゆっくりと北上!今シーズン初の上陸台風必至か?

2011-08-31 22:28:28 | インポート

①8月31日21時の台風12号位置と進路予想図 気象庁HPより引用※台風12号の情報は最新のものに注意ください!

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②8月31日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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大型で強い台風12号は、31日21時現在、小笠原諸島の西の海上を北上中です。

本州の太平洋沖の海水温は、27℃以上と台風の勢力を維持させるには好都合な状態であり、台風12号は、このまま大型で強い勢力を保ちつつ、本州目がけて北上しする見込みですが、台風を押す流す上空の気流の流れ(一般流と呼んでおります。)が極めて弱いため、台風12号は、このままゆっくりと北上して、あさって9月2日夜遅くから9月3日未明にかけて、四国から東海地方に上陸する公算が強まってきました。

引用図②より、台風12号の北から北西側に当たる本州上にA シベリア南部から中国東北部にかけてにBと、ほぼ南西~北東方向へ帯状の白輝域が見られますが、これらは、500hpaの谷の移動に伴う上空3000m付近の上昇流域をしめすものですが、併せて、500hpa(上空およそ5500m付近)の気流の流れる方向を示しています。

台風と言うもの、それ自体押し流す上空の気流の流れは、上空5500m付近の気流の流れに大きく左右されます。

さらに、引用図②より、前記A、Bの北側には水蒸気画像上の暗域があり、とくにB自体、北側の暗域が大きく南方向に出張り、U  字型になっています。水蒸気画像上の暗域が南方向へ出張りU字型になるほど、北からの寒気移流が強い証拠であり、当該寒気移流は次第に南方向へ広がっていくようになります。が、以上の事柄を踏まえると、この台風12号、本州へ石器インするにつれて少しずつ進路を北から北北東方向へと変えて、引用図①より、四国から東海地方へ上陸後、本州を縦断して、北陸地方から東北地方の日本海沿岸沿いを北北東へ進みそうです。

これから台風12号が四国~東海地方に上陸するまでは、台風自体の移動速度はゆっくりしていますので、台風の縁を廻るようにして本州上へ流れ込む暖湿流が長時間継続されてしまい、次第に、台風12号を取り巻く雲も関東以西の太平洋側にはかかって来ますから、関東以西の、特に、南~南東方向へ地形的に開いた山の斜面にあたる地域では、降水量が特に多くなりやすく、大雨災害には厳重に警戒を!!

また、関東以西の太平洋側では台風からのうねりが一層高まりやすく、高波や沿岸部の高潮には充分に注意してください!


今度は大阪で猛烈な雨 1時間に77・5㎜

2011-08-27 23:49:47 | インポート

①8月27日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月27日15時の日本付近雲画像図(水蒸画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③8月27日15時の近畿地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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④8月27日16時の近畿地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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昨日は、東京都内で雷を伴って猛烈な雨が降り、浸水家屋の発生や交通機関の乱れ等ありまたが、本日8月27日は、午前中、紀伊山地に発生・発達した降水域が北西方向へ移動し、夕方、大阪市周辺にて非常に発達して、大阪府内や兵庫県南東部(神戸市や尼崎市など)で雷を伴った猛烈な雨が降りました。

大阪では、27日16時08分までの1時間に77・5㎜と、観測史上タイ記録、昭和54年9月30日(台風16号)以来32年ぶりとなる猛烈な雨となりましたし、神戸でも、27日17日31分までの1時間に39㎜の降水量を観測しました。

大阪市内では、家屋の浸水や交通機関の乱れ、大阪伊丹空港では、航空機の遅延などの影響が出てしまいました。

引用図①より、大阪府周辺には前線は掛かっていませんが、引用図②より、本州中部~西日本にかけて、帯状に白くなっており、この方面には、前線の名残とも言える、中層の上昇流域が広がっています。

さらに、引用図①②を見比べると、本州のはるか南海上にある台風12号の縁を廻るようにして、紀伊半島周辺に流れ込む暖湿流(ぼやけてはいるものの、帯状の白輝域が見られますね。)が見られ、紀伊半島には、ひときわ白き輝く粒上になった画像が現れており、これは、前記した紀伊半島へ流れ込んできた暖湿流が紀伊半島周辺の地形的特性等の要因で発生・発達した発達した積乱雲を示すものです。

当該、発達した積乱雲の影響で、引用図③より、27日15時現在、紀伊山地から大阪府にかけて、南南東~北北西方向へ延びる発達した降水域が見られ、引用図④より、当該降水域は、27日16日は、大阪府周辺で一層発達し、大阪市周辺では、1時間雨量が50㎜相当となる、猛烈な降水が観測されております。

このように、大阪府周辺で降水域が発達した理由ですが、引用図にはありませんが、27日15時現在、大阪府沿岸部から内陸部にかけて、紀淡海峡から大阪湾からの南西風が卓越しており、紀伊山地から大阪府周辺へと掛かる発達した積乱雲が、前記した、紀淡海峡から大阪湾からの南西風(海上からですから相対的に湿っています)を受けて、大阪市周辺で、より一層発達したため、今回の豪雨に結びついたもの と私は考えています。

今回の事例に限らず、大阪府などの近畿地方中部南部では、内陸部(紀伊山地や京都府中部など)に雷雲が発生している場合、下層で、大阪湾や紀淡海峡や紀伊水道方面から大阪府や和歌山県、兵庫県南部の沿岸部へ吹く気流が卓越している場合、当該雷雲は発達するとくせいがあります。この点、注意するべき点ですね。


東京都内で雷交じりの猛烈な雨 練馬で1時間90・5㎜

2011-08-26 23:08:31 | インポート

①8月26日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月26日15時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③8月26日15時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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④8月26日16時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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⑤8月26日17時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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8月26日は、本州上を前線が南下しました。

夏季の前線南下・通過時には、強い雨、雷を伴うと言うことは、言わば定石と言えることですが、今回もこの定石通り、前線通過時の26日昼過ぎから夜にかけて、関東地方や甲信地方、静岡県など中心に、本州の広範囲で、雷を伴なった激しい雨に見舞われました。

特に、東京都内練馬では15時54分までの1時間に90・5㎜ 東京都内羽田空港では17時06分までの1時間に82㎜もの凄まじい豪雨となりましたし、東京都心(気象庁のある千代田区大手町)でも1時間(16時18分まで)55㎜の降水量を観測しました。

このため、東京都内では、目黒区内や練馬区内で浸水家屋が発生したり、神田川の増水で東京メトロ丸ノ内線一時運転を見合わせたり、羽田空港では15時過ぎから激しい降雨のため視界が悪化し、航空機の離着陸が一時出来なくなり、欠航や遅延便が続出しました。

この、関東地方(特に南部)の猛烈な豪雨発生の推移ですが、引用図②③④⑤より、26日15時現在、水蒸気画像上では、関東地方周辺には、A とB の筋状の白輝域が見られます。

Aは、昼過ぎより関東地方北部にある発達した降水域に対応するものですが、Bは、前記Aの前に分布する、別の中層の顕著な上昇流域をしめすもので、26日15時現在、このBに対応して、千葉県北西部~東京都東京地方~神奈川県北西部~山梨県南部や静岡県東部に降水域が発達してきています。

引用図にはありませんが、26日15時現在、前記した、関東北部にある発達した降水域を形成する積乱雲から吹き出す気流が、関東平野北部では北~北東風となって吹き出し、一方、関東南岸からは南より風が関東平野南部に吹き込んでいて、丁度、東京都23区周辺で、双方の気流が収束していました。

26日16時には、前線南下に伴い、前記Aに伴う降水域は弱まりながら関東平野を南下し、一方、前記Bの区域には、所処で降水域が発達してきました。とりわけ、東京都23区周辺では、地表付近の気流の収束も手伝ってか、降水域が非常に強まり、1時間あたり80㎜以上の降水が解析されている地域もあります。

26日17時には、前線の南下に伴って、前記したAに伴う降水域は南下しながら更に弱まり(一部埼玉県秩父地方~東京都多摩西部~山梨県北部に掛かる部分は発達してきました。)、替わって、前記Bに対応する降水域が点々と南西方向に発達しながら南下し、これに伴って、東京都23区周辺の非常に発達した降水域も南西方向に発達しながら南下してきています。

このように、本州上を前線が南下する場合、関東周辺では特に 

Ⅰ:関東北部山間部 とⅡ埼玉県秩父地域~東京都多摩西部~山梨県北部 で降水域が発生・発達しやすい

Ⅱ:関東地方北部山間部で先行して、降水域が発生・発達した場合、当該降水域を形成する席積乱雲より吹き出す気流と、関東南岸から吹き込み気流とが、東京都23区や多摩地方周辺で収束し、特に激しい雷雨を引き起こしやすい。

Ⅲ:降水域は水蒸気画像上に見られる筋状の白輝域(中層の顕著な上昇流域)に沿って発生。発達しやすく、関東南部~山梨県~静岡県周辺では、南西方向へも降水域が発達しながら広がっていく

以上の特性があります。


本州には2方向からの暖湿流が合流 大雨は水蒸気画像の縞状部分にも注目!

2011-08-24 23:49:16 | インポート

①8月24日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②8月24日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③8月24日21時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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8月24日は、前線が東北地方に停滞して、この前線に向かって、中国大陸南部と本州南海上より暖湿流が流れ込んで、当該2つの方向からの暖湿流が本州中部で合流しており、東北南部から関東甲信、東海地方では、所処で雷を伴なった激しい雨が降りました。

引用図①と②より、水蒸気画像上では、A (中国大陸南部から流れ込む暖湿流) と B(南西諸島南東海上の熱低の縁を廻るようにして流れ込んだ暖湿流)との2つの帯状の白輝域が見られ、これら、A B は、本州中部で合流し(暖湿流同士が合流している)、当該暖湿流同士が合流した本州中部では、ひときわ白く輝く画像が点々と現れて、非常に発達した積乱雲があることを示しています。

また、引用図②より、水蒸気画像では、本州中部では、白輝域が北東~南西方向に洗濯板のごとく縞状に分布しており、当該、縞状部分上に、ひときわ白く輝く画像(非常に発達した積乱雲)が点々と現れて、引用図③より、当該非常に発達した積乱雲が掛かる地域を中心に、これまた、北東~南西方向に帯状に強い降水域が分布している状況が解ります。

このように、水蒸気画像上で、白輝域が縞状に分布する場合、暖湿流がとりわけ大量に流れ込んでいる証拠であり、当該、縞状に現れている白輝域は中層での上昇流が卓越している地域を示もので要注意!! 当該箇所に、下層から地表付近で気流の収束等が重なれば、積乱雲が非常に発達しやすくなり、激しい降水を引き起こします。


日本海を前線がゆっくりと南下 東北日本海側で大雨 関東や東海では猛暑続く

2011-08-18 23:18:41 | インポート

①8月18日12時の天気図です。気象庁HPより引用

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②8月18日12時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③8月18日21時までの全国日最高気温一覧 気象庁HPより引用

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8月18日は、日本海中部から東北地方に前線が掛かり南下中で、当該前線上を低気圧が東進しました。

本ブログで、以前、夏季に本州上を北から南下してくる前線というもの、大雨を伴いやすいことを述べました。なぜなら、前線に向かって、大雨の源となる暖湿流が大量に流れ込んでくるためですが、今回も多聞に漏れず、東北地方日本海側から北陸地方、九州の北部や西部を中心に大雨となりました。

特に、山形県の浜中(庄内空港)では、24時間雨量が300㎜を超し、東北地方中心に交通機関の乱れが生じております。

引用図②より、18日12時現在、東北地方の日本海側や北陸地方には、ひときわ白く輝く画像が現れ、この方面には、非常に発達した雨雲があることを示していますが、関東平野や甲信南部、東海地方南部では、前線に沿って流れ込む暖湿流が、中部山岳などで山越えのフェーン現象を引き起こしたためでしょうか、晴れ渡っている様子が解ります。

このため、関東地方や甲信地方南部、東海地方南部や近畿地方では気温がうなぎのぼりに上昇して、引用図③より、軒並み、最高気温が35℃以上となる猛暑日を観測しました。

群馬県の館林では38・5℃ 埼玉県の熊谷では38・3℃の最高気温を観測したほか、東京都内でも、比較的海岸から離れた練馬で37・9℃ 東京都心でも36・1℃(本年最高、本年4回目猛暑日)の最高気温を観測しました。

東京都心では、18日は、朝の最低気温が28・7℃までしか下がらず、非常に寝苦しい思いをした方々もさぞ多かったのではないでしょうか?

引用図①での、東北地方から日本海中部に掛かる前線はゆっくりと南下中で、18日晴れ渡った関東地方や甲信地方南部、それに東海地方では、次第に天気は下り坂で、猛烈な暑さも、次第に収まってきそうです。

といっても、19日朝の東京都心の最低気温予想は29℃。・・・・・・・・う~ん・・・・・寝苦しい夜が続きそうですね。