カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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発達した雨雲本州上を通過 こういう雨雲ってどういう所へ発生するの?

2009-05-31 23:49:42 | インポート

①5月31日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月31日9時気象庁発表AXFE578図(31日9時の上空1500メートル付近の風向風速と気温分布図と上空5500メートル付近の渦度分布図気温と上空3000m付近の気流の鉛直分布の予想図) 日本気象予報士会HPより引用

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③5月31日9時の日本付近上空1500m付近の気温と風向風速、湿数分布図 5月31日9時気象庁発表のAUPQ78図を加工

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④5月31日9時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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⑤5月31日14時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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⑥5月31日15時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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5月31日は、本州上を発達した雨雲が通過して、所々で雷を伴なった強い雨が降りました。

今回は、発達した雨雲がほぼ南北に帯状となって本州を西から東へ通過しましたが、このような、強い雨雲が持続性を持って移動する場合、例外なくⅠ・上空5500m付近に強い寒気がある Ⅱ・上空5500m付近の正渦度域&上空3000m付近の上昇流域 Ⅲ・上空1500m付近で前線帯となっているものです。

引用図②③④よりこのことはうなずけますよね。31日9時には、本州上空は、上空5500m」付近で正渦度移流域で上空3000m付近の上昇流の場となっています。(引用図③より)。更に、引用図④より、潮岬より東側では、湿数は3以下、本州の各地点では殆ど0に近い状態ですが、その西側の鳥取では湿数12と乾燥しており、風向も潮岬では北西風であるものの、潮岬を挟んで東側(南西風)と西側(北西風)と、風向が不連続となっており、この地域は前線帯となっていることが判りますね。※引用図にはありませんが、31日9時には、上空5500m付近では。日本海西部に寒気の中心があり、本州中部では、-12℃以下となっておりました。

引用図④より、上空5500m付近の正渦度域&上空3000m付近の上昇流域の場、かつ、上空1500m付近の前線帯となっている部分に、強い雨雲が分布しています。

そして、このような雨雲は、上空5500m付近の正渦度が移動(今回は西から東へと移動)する方向へ雨雲も移動するようになり、今回の事例では、31日15時には、関東付近へ雨雲が到達しています。

更に、引用図⑤より、関東地方周辺の風向風速分布を見ると、風向は全般的に弱めであるものの、鹿島灘方面から吹き込む気流が、関東平野内陸部で北より風となっているのに対し、関東南岸からは、南から南東風が吹き込んでおり、東京23区西部から多摩北部、埼玉南部で双方の気流がぶつかり合い、明瞭な風向の不連続部分を形成しています。

こういう、地表付近で、風向の明瞭な不連続部分があると、当該風向の不連続部分で雨雲が局地的により一層発達するもので、引用図⑥より、31日15時には、東京23区西部から多摩北部、埼玉県南部周辺で雨雲が特に発達している様子がわかり、当該地域では、1時間に30㎜を超す激しい雨が降りました。

 


切離低気圧が四国沖へ、28日は西日本太平洋側で大雨や暴風の恐れ!

2009-05-27 23:57:27 | インポート

①5月27日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月27日9時の気象庁発表AXFE578図(4日9時の上空1500メートル付近の風向風速と気温分布図と上空5500メートル付近の渦度分布、気温と上空3000m付近の気流の鉛直分布の予想図) 日本気象予報士会HPより引用

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③5月28日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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④5月27日9時気象庁発表のFXJP854図(左上・・・27日21時 右上・・・28日9時 左下・・・28日21時 右下・・・29日9時の 上空1500m付近の風向風速分布と相当温位分布予想図) 日本気象予報士会HPより引用

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本年は、日本付近で上空の偏西風帯が蛇行しやすくなっていますね。

上空の偏西風帯の蛇行が顕著になると、しまいに、偏西風帯内に、孤立した渦巻き(時計回りが切離高気圧、反時計回りが切離低気圧)が発生するようになります。

切離高気圧の部分では、高気圧が勢力を広げて、切離低気圧の部分では、低気圧が発達しながら停滞気味となるものです。その結果、勢力の強い高気圧と隣り合わせに、発達した低気圧が停滞気味となりますから、広範囲で風が強まり、雨量も多くなるものですね。

切離低気圧が上空で発生すると、その下の地上付近では、地前線を伴なった低気圧が閉塞した後の形となっており、当該閉塞点(当該切離低気圧の南東縁部にあたります。)に別の低気圧が発生して北東方向へ進むようになり、特に強い降水域は、当該閉塞点に発生した低気圧付近に位置するようになります。(引用図④を参照)

これから28日にかけては、引用図③④より、四国沖で低気圧が発達して閉塞する予想ですが、当該閉塞点付近で特に雨雲が発達し、その、特に発達した雨域は、28日午後から29日にかけて、東海沖から関東近海を北東へ進む予想となっています。

さらに、西日本の上空1500m付近では、東より風が40ノット~50ノット程度に達して、地表では等圧線が非常に混んで、四国付近では、経度1度につき2・5~3hpa程度の気圧の傾きとなりそうですから、西日本の太平洋側では、暴風(暴風警報クラスの風速)に警戒!他、東日本から南西諸島にかけて、広範囲で強風や海上の高波には充分に注意が必要です!

西日本の東~南東に開いた山の斜面にあたる地域では雨量が相当多くなりそうで、大雨の区域は、次第に東海地方や関東地方へと広がってきそうですね。


24日の寒気伴なった上空谷について雑感 正渦の動向には注意!

2009-05-25 23:55:10 | インポート

①5月24日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月24日9時の気象庁発表AXFE578図(24日9時の上空1500メートル付近の風向風速と気温分布図と上空5500メートル付近の渦度分布図と気温と上空3000m付近の気流の鉛直分布の予想図) 日本気象予報士会HPより引用

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③5月24日21時の気象庁発表AXFE578図(24日9時の上空1500メートル付近の風向風速と気温分布図と上空5500メートル付近の渦度分布図と気温と上空3000m付近の気流の鉛直分布の予想図) 日本気象予報士会HPより引用

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④5月24日9時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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⑤5月24日21時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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5月24日は、本州上空を、寒気を伴なった気圧の谷が通過しました。

このため、本州各地で大気が不安定となり、あちこちで雷を伴った強い雨が降りましたね。東京都心でも24日夜に、1時間40ミリもの降水量を観測しています。

兵庫県芦屋市内では、落雷のために亡くなった方もいたとか。今回のような上空に寒気を伴なった気圧の谷が通過時に、地表に低気圧が解析されれば、それが、寒冷低気圧と呼ばれるんでしょうけど、当該、上空に寒気を伴なった気圧の谷通過時に、降水域は、やはり、上空5500m付近の正渦度移流域に伴って発達しやすいと言えます。

引用図②③④⑤をおのおの比較してみましょう。24日9時、21時とも、上空5500m付近の正渦度移流域に伴い(引用図②③の上側図斜線部分に注目)、降水域が発達しているのが判りますよね。

降水域発達は、一・地表と上空(5500m付近)との気温差が大きくなること と、二・下層が高温多湿になる(高温位となる)を前提として

①上空5500m付近の正渦度移流域(イコール上空3000m付近の上昇流域)+②地表付近の気流が収束している箇所

以上を満たす箇所が必要充分条件となりますね。


低気圧が発達しながら日本海へ 低気圧暖域では暖湿流流れ込み具合に注意!

2009-05-16 23:54:01 | インポート

①5月16日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月17日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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③5月16日9時気象庁発表のFXJP854図(上空1500m付近の風向風速と相当温位分布予想図※左上・・・16日21時予想 右上・・・17日9時予想 左下・・・17日21時予想 右下・・・18日9時予想) 日本気象予報士会HPより引用

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天気は西から下り坂。17日は引用図②より、前線を伴なった低気圧が日本海に進んでくる予想で、更にこの低気圧、発達しながら日本海を北東へ進む予想ですね。(引用図③より)

天気の基本書には、前線を伴なった低気圧の進行方向南側は暖域と呼ばれて、比較的雲の切れ間がある記載がありますが、実は、低気圧の暖域は、気象学的に言えば、対流不安定が強い場である(そのままでは雲は発生していなくても、一たび、気流が局地的に収束するなど、雲を引き起こす原動力が起きると、堰を切ったように対流が発達して、降水雲が発達しやすい場)と言えます。

比較的に下層が湿っていて、中層より上が比較的乾いている状態が対流不安定になる場と言えそうですね。

前記した、雲を引き起こす原動力となるものは、Ⅰ・気流が山の斜面にぶつかって強制的に上昇気流となったり、Ⅱ・気圧配置の関係で、気流同士、収束してしまっている場合 この2つがあげられます。Ⅱの場合、上空1500m付近で、高温位の場が帯状になっている部分ですね。そして、こういう場では、例外なく、上空1500m付近の風速が強まっていたり、周囲から気流が合流するような風向となっているものです。更に、前記ⅠとⅡが同時に該当する箇所では、降水雲がとりわけ発達し、大雨災害を引き起こすことが多くなります。

大まかな目安で、上空1500m付近で、相当温位が320K以上、風速が50ノット以上、で、当該高温位の部分の移動速度が時速30㎞~40㎞であれば、24時間雨量で100㎜以上となるポテンシャルがあると言えますね。

引用図③より、17日9時から21時にかけて、本州南海上から本州南岸沿いにかけて、上空1500m付近で、帯状になった高相当温位域(330K以上)が、2箇所(南東~北西方向と南西~北東方向に見られて、当該部分では、風速はおおむね40ノット~50ノット程度(一部ではそれ以上)と強まっているのが判ります。

17日は、関東以西の本州南岸沿い地域では、あちこちで雨量がまとまり大雨災害が発生する懸念があります。また、全国的に風が強まり、海上では時化ますからご用心!


暑い暑い!各地で真夏日 

2009-05-10 23:52:10 | インポート

①5月10日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②5月10日9時の気象庁発表AXFE578図(10日9時の上空1500メートル付近の風向風速と気温分布図と上空5500メートル付近の渦度分布図と上空3000メートル付近の気温と気流の鉛直分布の予想図) 日本気象予報士会HPより引用

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③5月10日12時のウインドプロファイラー風向風速分布図(全国) 気象庁HPより引用

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5月10日は、ほぼ全国的に晴れて気温が上がり、関東以西の各地では、あちこちで最高気温が30℃以上となる真夏日となりました。

宮崎県西米良と群馬県中之条で33・9℃ 茨城県大子で33・3℃ の最高気温を観測しました。

東京都内でも、八王子や練馬など内陸部で最高気温が30℃以上となり、気象庁のある千代田区大手町でも、本年最高気温となる28・3℃を観測しました。

通常、日本各地が高温になる場合の原因として

Ⅰ・上空3000m付近が下降流の場となっている。

その結果

Ⅱ・上空1500m付近の気温が上昇する

さらに、

Ⅲ・その気温上昇した下層空気が、本州の山地を越える際に フェーン現象を発生させる。

以上Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの要素あり、前記Ⅰ、Ⅱ、Ⅲが複合的に発生する場合、一層の高温となるものですが、今回5月10日の事例は、前記、Ⅰ、Ⅱの要素が大きく寄与したと言えそうですね。勿論、関東地方など、局地的にはⅢの要素も寄与していますけどね。

引用図③より、10日12時現在、上空3000m付近では、本州上空でおおむね西より風で風速は10m以上とやや強い状態ですが、上空2000m付近ですと、北陸地方上空では西南西風に対して、東海地方上空では西北西で、それぞれ10ノット以上の風速でや強い状態です。中部山岳で気流が分断されている様子がわかりますね。

このように、山地の外縁部上空を気流が分断された状態で強めに吹く様子は、当該山地の風下側(この場合関東地方上空)で、フェーン現象を発生させている状態を示すものです。

ただ、今回の場合、上空1000m付近まで下がると、中部山岳で気流が分断されているものの、風速は、静岡県上空付近を除いて弱めとなっており、下層では、フェーン現象の程度は比較的弱く、関東地方の沿岸部では、日中、内陸部へ海風も入り込んで、幾分、」気温の上昇は抑えられた格好となりました。

一方、引用図②の下側図より、地表で最高気温が30℃以上となる目安の、上空1500m付近の気温15℃以上の等温線は、東北南部から南側の地域をすっぽりと覆っており、その上側の上空3000m付近では、東北地方より南側の地域では、下降流が卓越している状態となっています。(上空5500m付近では、負渦度移流域となっています。)