①5月31日9時の天気図 気象庁HPより引用
②5月31日9時気象庁発表AXFE578図(31日9時の上空1500メートル付近の風向風速と気温分布図と上空5500メートル付近の渦度分布図気温と上空3000m付近の気流の鉛直分布の予想図) 日本気象予報士会HPより引用
③5月31日9時の日本付近上空1500m付近の気温と風向風速、湿数分布図 5月31日9時気象庁発表のAUPQ78図を加工
④5月31日9時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用
⑤5月31日14時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用
⑥5月31日15時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用
5月31日は、本州上を発達した雨雲が通過して、所々で雷を伴なった強い雨が降りました。
今回は、発達した雨雲がほぼ南北に帯状となって本州を西から東へ通過しましたが、このような、強い雨雲が持続性を持って移動する場合、例外なくⅠ・上空5500m付近に強い寒気がある Ⅱ・上空5500m付近の正渦度域&上空3000m付近の上昇流域 Ⅲ・上空1500m付近で前線帯となっているものです。
引用図②③④よりこのことはうなずけますよね。31日9時には、本州上空は、上空5500m」付近で正渦度移流域で上空3000m付近の上昇流の場となっています。(引用図③より)。更に、引用図④より、潮岬より東側では、湿数は3以下、本州の各地点では殆ど0に近い状態ですが、その西側の鳥取では湿数12と乾燥しており、風向も潮岬では北西風であるものの、潮岬を挟んで東側(南西風)と西側(北西風)と、風向が不連続となっており、この地域は前線帯となっていることが判りますね。※引用図にはありませんが、31日9時には、上空5500m付近では。日本海西部に寒気の中心があり、本州中部では、-12℃以下となっておりました。
引用図④より、上空5500m付近の正渦度域&上空3000m付近の上昇流域の場、かつ、上空1500m付近の前線帯となっている部分に、強い雨雲が分布しています。
そして、このような雨雲は、上空5500m付近の正渦度が移動(今回は西から東へと移動)する方向へ雨雲も移動するようになり、今回の事例では、31日15時には、関東付近へ雨雲が到達しています。
更に、引用図⑤より、関東地方周辺の風向風速分布を見ると、風向は全般的に弱めであるものの、鹿島灘方面から吹き込む気流が、関東平野内陸部で北より風となっているのに対し、関東南岸からは、南から南東風が吹き込んでおり、東京23区西部から多摩北部、埼玉南部で双方の気流がぶつかり合い、明瞭な風向の不連続部分を形成しています。
こういう、地表付近で、風向の明瞭な不連続部分があると、当該風向の不連続部分で雨雲が局地的により一層発達するもので、引用図⑥より、31日15時には、東京23区西部から多摩北部、埼玉県南部周辺で雨雲が特に発達している様子がわかり、当該地域では、1時間に30㎜を超す激しい雨が降りました。