カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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東京で本年初30・0℃,仙台でも真夏日。

2006-06-28 23:03:57 | インポート

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引用図は、6月28日15時の天気図とアメダス気温分布図です。ともに気象庁HPより引用。

28日は、本州上に気温の高い空気が流れ込み(北海道の西にい動きの遅い低気圧、そうです。寒冷低気圧があります。寒冷低気圧の南側の下層では、気温の高い気流が流れこんでいるものです。)、東北以南の各地では気温が上がりました。

特に、山の東側に当る各地では特に気温が上がり、東京では最高気温30・0℃と、本年初の真夏日を観測しました。仙台でも最高気温が30℃を超えました。

東京や仙台など、山の東側に位置する地域で気温が上がりましたが、これは、前記したように気温の高い気流が本州上に流れ込んだこともさることながら、南西から西よりの気流が山を越える際に、フェーンを起こしたことも原因のひとつであると言えますね。

では、茨城県館野と仙台の6月28日9時のエマグラム図(米国ワイオミング州立大学HPより引用)をご覧いただきましょう。(左側が館野、右側が仙台です。)

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館野も仙台も、おおむね1500~1600メートルより下方に気温の逆転層(エマグラムの右側の実線に注目です。)があり、左側の露点温度の実線との幅が広がっています。フェーン発生時の典型的なパターンですね。

このように、寒冷低気圧は、東から南東側は、強い雨に注意と言うことは以前述べましたが(本ブログで本年4月20日の記事)、南側から南西側は下層には気温の高い気流が流れ込み、山の東側ではフェーンによる昇温を覚悟する必要があるでしょう。


九州で大雨。熊本で1時間112ミリ。

2006-06-26 22:13:25 | インポート

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引用図は6月26日6時の天気図(左側)赤外雲画像図(右側)です。ともに気象庁HPより引用。

梅雨前線が、西日本で活動化させています。熊本では朝方、1時間に112ミリもの猛烈な強い雨を観測しました。熊本県をはじめ、九州や中国地方の各地では、大雨による土砂災害など、被害が多発しております。

引用図の右側の雲画像図では、熊本付近ににんじんのような形のひときわ白く輝いた雲が見られます。この雲はテーパリングクライド(にんじん状雲)と呼ばれ、この雲の下では特に強い雨や、周辺部では、突風や竜巻など引き起こす、厄介なものです。(本ブログ本年4月20日の記事を参照ください。)

梅雨前線は、このまま、活動が活発な状態で明日にかけてもほぼ同じ場所に停滞するため、九州(特に南西斜面)など、引き続き、大雨に厳重な警戒が必要です。

この時期、梅雨前線の北上・南下が、天気を左右するひとつのキーポイントですが、その目安となるのが、梅雨前線の北側の雲の様子に注目することですね。

引用図(気象庁HPより引用)の、6月25日18時(左側)と6月26日6時(右側)の赤外雲画像図をご覧いただきましょう。

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引用図の雲画像図の梅雨前線の北側のシベリア付近に注目しましょう、白く輝いた雲の集団(上空の気圧の谷に伴う雲ですね)が、西から東に移動しており、この雲のちょうど南側の梅雨前線上ではひときわ雲が白く輝いています。また、このシベリアの雲の集団が東進するにつれて、梅雨前線の雲も北上している様子がわかります。

これは、上空の気圧の谷が接近すると、南から暖かく湿った気流が前線上に流れ込み、梅雨前線の活動が活発化して、梅雨前線の位置も北上すると言うわけです。

このように雲画像図からは、梅雨前線に関することに限らず、天気変化のシナリオが読み取れるものですよ。


いよいよ梅雨本番!西日本の所々で大雨

2006-06-22 23:26:59 | インポート

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引用図は、6月22日18時の天気図(左側)と、6月23日9時の予想天気図です。ともに気象庁HPより引用。

本州各地では、梅雨の時期真っ盛りとなってきました。本州上に梅雨前線が停滞するようになり、梅雨前線の活動が西日本で活発となってきました。

引用図より、明日23日9時でも、梅雨前線は、西日本で、今日とほぼ同じ位置に停滞し、梅雨前線は、やや、北西から南東方向に傾いています。

実は、梅雨前線が、北西から南東方向へ傾きながら停滞している場合、例外なく、その梅雨前線の活動は活発化しており、各地に大雨をもたらします。

これは、梅雨前線の南側にある、夏の太平洋高気圧の勢力が強まったきて、当該梅雨前線の西側まで、勢力を伸ばしている証拠だからですね。

明日23日にかけては、西日本各地で、大雨に警戒ですね!

こういう梅雨前線の状態の場合、上空の天気図をみると、梅雨前線のすぐ南側では上空5500メートル辺りまで太平洋高気圧が張り出しており、北西から南東方向の傾きが急になるほど、当該太平洋高気圧の勢力は北西方向に及んでいるものです。

そして、上空5500メートルより下側ではこの太平洋高気圧の縁を廻るようにして、南海上から暖かく湿った気流が流れ込んでいる様子がわかります。

下記の、6月22日9時のAUPQ78図(左側)とAUPQ35図(右側)をご覧ください。日本気象予報士会HPより引用ですが。まさに、前記したことがうなずけますよね。

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さらに、天気図上で梅雨前線が、北西から南東方向の傾きが急になっている場合当該梅雨前線の上空5500メートルより下(中層・下層)では大気が湿っていますが、それより上の上空10000メートル付近(上層)では、風速が帯状に強まり、比較的乾いた気流が入り混んでいるものです。これは、太平洋高気圧がその背が上層までおよんおよんで、その張り出しが強まることに起因するものですが、こういう、大気の中・下層が湿って上層が乾いた状態を、当該大気は、対流不安定 な状態と呼んでいます。

大気の状態が対流不安定であると、中・下層が地形的要因で気流が合流して上昇気流となったり、上空の気圧の谷が通過するなどしたことを引き金として、雲を発達させる上昇気流が加速的に強められて、非常に発達した雨雲を発生させます。

平成16年7月の新潟豪雨や福井豪雨などは、この、対流不安定が引き金となって発生したものです。


梅雨の時期。雨のみならず霧にも注意。

2006-06-18 20:01:41 | インポート

06061815 引用図は、6月18日15時の天気図です。気象庁HPより引用。

18日も、梅雨前線が本州の南海上に停滞し、南西諸島では強い雨も降りました。

梅雨の時期ですと、梅雨前線の動向や、それに伴う雨の降り方などに関心がいきますが、もうひとつ、注意していただきたい現象があります。

それは、濃霧です。

濃霧(霧)は、大気中の水蒸気が凝結した水滴などが大気中に浮遊しするために、視界が1キロ以下になった状態を霧といいますが、この霧の中で、おおむね視界が陸上で100メートル以下、海上で500メートル以下となって、交通機関などに著しい影響が生じることが予測される状態を言います。

言ってみれば、濃霧も雲のうちです。地表付近に発生した雲といえますね。実際に雲画像などで、広範囲に濃霧になっている箇所をみると、可視画像で、白く輝いた映像となりますので。

よく、気象の教科書で、霧には、①移流霧 ②前線霧 ③放射霧 ④蒸気霧 ⑤山霧という区分けがあります。(各霧の区分けのついての解説は本記事では省きますが)実際に濃霧になるケースは、前記した①から⑤までの現象がいくつか複合して発生したケースであることが殆どです。

濃霧は、暖かい気流が上空まで流れ込み、海上では、露点温度が海水温より高い状態であれば、たちどころに発生します。陸上では、風速が弱かったり、海上からの気流と内陸部の気流との風向がぶつかっている箇所で発生します。山間部(箱根や軽井沢、日光や富士五湖など)では、湿った気流が山にぶつかり発生するケース(前記⑤山霧ですね)が多いのものです。

そして、これまで(本年4月)の記事でも紹介したように、陸上で濃霧になる箇所では、上空700メートルから1000メートルに気温の逆転層があり、特に地表付近が湿っている(湿数が3以下)となっています。

これから明日朝にかけて、北日本、東日本では、所々濃霧となりますので、交通機関などは注意が必要です。


大雨の範囲は関東以北へも広がる。

2006-06-16 08:56:15 | インポート

06061606_1 20060616060000_1  引用図は、6月16日6時の(左側)天気図と(右側)全国レーダーアメダス合成図です。双方とも気象庁HPより引用。

昨日の記事の続きですが、16日未明に、前線の閉塞点である紀伊半島付近に低気圧が発生して、6月16日6時現在、東海道沿岸を東北東に進んでいます。

引用図より、この東海道沿岸の低気圧の中心付近~前面の約100キロ東側にわたって特に強い雨雲があります。また、北海道の太平洋側でも雨脚が強まってきました。

東海地方の大雨の峠は越えましたが、これまでの24時間に200ミリを越えた箇所が随所にあります。河川の増水や土砂災害などにはまだしばらく警戒が必要ですし、関東地方では昼前後まで大雨に対する警戒が必要です。

その後、大雨の範囲は、東北地方や北海道地方太平洋側へ移動するでしょう。