カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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こんな所でも航空機は要注意!

2012-12-31 23:19:20 | インポート

①12月31日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月31日12時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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④12月31日11時頃の東京都渋谷区内北方上空での尾流雲画像 筆者自宅(東京都渋谷区内)屋上にて撮影

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引用図②より、低気圧が千島付近で発達して、この低気圧から延びる寒冷前線に伴う雲の帯が本州のはるか南海上に延びていますが、当該寒冷前線に伴う雲の帯の北側に広がる別の帯状の雲の集団 A に注目です!

この A は、上空の気圧の谷(500hpaの正渦度移流域)には、一部、白く輝く画像があり、積乱雲も点在している様子ですが、この、A が関東地方南部に掛かっている31日11時ちょっと前あたり、自宅(東京都渋谷区内)屋上で撮影した、北方向に発生したVIRGA(尾流雲)です。このほかにも北~北東方向で数箇所、線状の尾流雲が発生していました。

尾流雲は、中層以下に発生する雲から雲の粒子が流れ落ちているが、粒子が落下途中で蒸発してしまった状態時に発生するものですけどね。尾流雲は、冬型気圧配置時では、上空に小さな谷が通過する際、当該気圧の谷の下側や後側の大気が比較的乾燥している場合に発生しやすく、尾流雲の周辺では、例外なく気流が乱れているもので、航空機など厄介な代物ですね。31日昼過ぎにかけて、羽田空港に離着陸する北日本からの旅客機が数機、乱気流に遭遇したとのことです。

※本ブログご覧の皆様へ

本年もいろいろ本ブログ御贔屓頂き、誠に有り難うございました!

来る2013年は、皆様にとって、どうか、穏やかで、かつ、実りのある良い1年でありますように!


日本海西部に低気圧発生は強い寒気流入前のセレモニー その時関東周辺では?

2012-12-23 13:06:39 | インポート

①12月23日3時の天気図 気象庁HPより引用

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                ↓

②12月23日9時の天気図 気象庁HPより引用

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③12月23日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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④12月23日9時の日本付近雲画像図(可視画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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⑤12月23日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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これから、本州付近上空には強い寒気が流れ込んでくる様相となってきました。

引用図①より、23日3時現在、本州付近は一見すると冬型気圧配置となっておりますが、本四等圧線の幅が広がり、日本海西部に低圧部も見られます。これは、冬型気圧配置時に本州付近に強い寒気が流れ込む際に、500hpa(上空およそ5500m)の正渦度が移流してきますが、当該正渦度が移流する方向の前側で、上空3000m付近で上昇流域が強まってきた所へ、朝鮮半島北部に東北東~西南西に連なる山脈の影響で、日本海西部~日本海西部にかけて、下層での気流の収束が強まりつつあるためです。

よって、前記の500hpaの正渦度が移流して接近するほど、その前側の上空3000m付近の上昇流域はより一層顕著となり、当該箇所の地表付近で気流が収束している箇所には低気圧が発生するようになります。

前記のような理屈で、23日9時の天気図には、日本海西部に低気圧が発生したことが解析された訳です。

さらに、前記したような、冬型気圧配置時に日本海西部に低気圧が発生する場合、これから日本付近には、500hpaの正渦度が移流してくるのに伴い、その前側では上空3000m付近の上昇流域も次第に顕著になりますから、冬型気圧配置時に、下層で伊勢湾から東海道沖からの気流と、関東平野から関東南岸へと吹く気流とが収束しやすい、関東南岸から関東南東沖(引用図⑤)でも雲が湧き上がり関東地方周辺にも雲が広がりやすくなります。

引用図③④より、23日9時に、前記した理屈で発生した雲の集団が関東地方周辺に見られますが、当該雲の集団は、赤外画像で比較的ぼやけてはっきりしていないものの、可視画像では、白くくっきりと写っています。このことは、当該雲の集団が、雲の背は低い(比較的下層で発生した雲)ですが、雲の密度は大きく、関東地方周辺で、日照をさえぎっている様子が解ります。

これらの、関東地方周辺に広がる雲の集団、雲の背が低いものが多いですが、局地的に上空3000m付近の顕著な上昇流域と結びついて、積乱雲まで発達することもあります。このような場合、関東地方南部上空が、羽田空港や成田空港の航空機進入経路にあたっていることで、この付近を航行中の航空機が、思わぬ乱気流に遭遇することもありますから、油断なりません!


7日 またまた東北~関東で強い地震 一時 津波警報も

2012-12-08 01:16:36 | インポート

引用図は12月7日17時18分三陸沖で発生した地震の震央と各地点震度分布図です。気象庁HPより引用・加工

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12月7日の17時18分に、東北~関東地方にかけて強い地震がありました。

この地震の震源地は三陸沖 ( 北緯37.8度、東経144.2度、牡鹿半島の東240km付近)で震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は7.3と推定されます。

この地震で、震度5弱を

青森県・・・・・八戸市南郷区 階上町道仏

岩手県・・・・・盛岡市玉山区薮川 盛岡市玉山区渋民

宮城県・・・・・栗原市金成  丸森町鳥屋

茨城県・・・・・常陸太田市金井町 常陸大宮市野口

栃木県・・・・・市貝町市塙

以上の各地点で観測し、北海道~東北~関東の広範囲と、山梨県、長野県の一部で震度4を観測しました。

この地震発生後、気象庁より、宮城県沿岸に津波警報が、青森県、岩手県、福島県、茨城県沿岸に津波注意報が出され、宮城県石巻市鮎川で、7日18時02分に、高さ1mの津波をかんそくしたほか、津波警報、津波注意報観測地点のいずれでも、津波の高さは、最大でも40cm以下にとどまり、大きな被害、混乱はありませんでした。

筆者自身、この地震発生時、東京都渋谷区内(最大で震度4を観測)の自宅におりましたが、当初、ユサユサと大船に乗った揺れが暫く続き、一旦その揺れが弱まったその後、今度はぐらぐらと↓揺れに見舞われました。丁度、昨年3月11日の東北地方太平洋沖地震の本震時の揺れ方と酷似したので、いやな予感が一瞬頭の中を過ぎりましたが、大したこともなく、一安心と言った感じですね。

この地震、前記した震源地より、北海道~東北~関東が載っている北米プレートと、その下側に沈み込む太平洋プレートとの境界部分の海底部分に近い箇所で発生したと思われますが、最大震度(5弱)を観測した観測地点が、比較的本州の内陸部に位置して、海側に古い地層の山地(北上山地や八溝山地等)がある地点となっています。

こういう地点で揺れが大きくなるのは、地震波が、北米プレートの日本海溝側の比較的深い箇所から当該北米プレートの地表に向かって伝播する成分が比較的大きい場合に現れるもので(筆者調べ)、今回の地震も、地震波を発生させた地殻の変動が、北米プレートの比較的深い箇所まで及んで、津波を発生させる海底部分の変動は小さくて済んだため、津波はたいしたことはなかったと、筆者は考えております。


天気図では現れていない新たな低気圧発生予想箇所には要注意!!

2012-12-03 12:39:22 | インポート

①12月3日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②12月3日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③12月3日9時の日本付近レーダーエコー合成図 気象庁HPより引用

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12月3日は、低気圧や前線を含む気圧の谷が西から本州付近へと近ずいてきました。

12月3日9時現在、引用図①より、朝鮮半島の北と伊豆諸島の南海上に前線を伴なった低気圧があるほかは、低気圧は本州付近には解析されておりません。

が、引用図②に注目です!引用図内 A と示した箇所ですが、 南東~北西方向と南西~北東方向へと、それぞれ帯状に雲の集団があり合流箇所にあり、狭い範囲ながら、白く輝く箇所も見られ、引用図②③を対比させると、 Aの箇所で、発達した降水域も見られます。

天気図(地上天気図)上で低気圧があり、当該低気圧の南側や北側には、等圧線で低圧部が広く表現されている場合は、天気図上に低気圧が解析かれていなくても、雲画像図(赤外画像や水蒸気画像)上で、前記のように、ハ の字型に雲が盛り上がっている箇所では、降水域が発達しており、併せて、新たに低気圧が今後、発生する箇所となるものですね。

では、前記のような気象条件になっている場合、低気圧として発生する箇所としては、地表付近で気流が収束しやすい箇所、具体的に地域としては、

◆低気圧が朝鮮半島~日本海に低気圧が進む場合・・・・・当該低気圧の南側の、九州南東沖~四国沖、淡路島付近から紀伊水道にかけて と、関東南東沖 

◆ 低気圧が朝鮮半島~日本海に低気圧が進む場合・・・・・当該低気圧の北側の、紀伊半島南東沖~東海道沖 

で新たに低気圧が発生しやすいですね。(筆者調べ)

そして、当該、新たに発生する低気圧は、発達した雨雲を伴いやすく、低気圧自体発達することが多いものです。

④12月3日21時の予想天気図 気象庁HPより引用

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                     ↓

⑤12月4日21時の予想天気図 気象庁HPより引用

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3日21時の予想で、前記した 引用図②でのAの箇所に 新たに低気圧が発生する予想ですが、当該低気圧は、4日21時には発達して三陸沖へと進む予想ですね。

これから明日3日にかけては、東日本の太平洋側、明日3日からあさって4日にかけては、北日本の太平洋側を中心に荒天となりそうです。