カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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北日本では暴風 山間部中心に大雪 交通機関にも乱れ!冬型気圧配置上昇特にこんな箇所が荒天

2012-11-27 13:25:52 | インポート

※以下記事内記載の風速値は、毎秒値を記載しております。

①11月27日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月27日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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11月27日は、北日本中心に冬型気圧配置が強まり、北海道や東北地方では、台風並みの暴風や海上では高波、そして、北海道や東北地方山間部を中心に大雪となっています。

北海道日高地方のえりも岬では、午前9時42分に42・1m(西風)、10分間の平均風速最大では午前9時49分に32・2m(西風)を観測したほか、北海道や東北地方日本海側のあちこちで、瞬間風速で30m以上、10分間の平均風速で20m以上の暴風が吹き荒れています。

さらに、引用図②より、低気圧が北海道南西部から北海道南海上へと進む場合、青森県の八戸市周辺では、地形的特性で南西~西風が強まりやすく、本日も、午前10時44分に、10分間の最大風速が21.2m(西風)の猛烈な風を観測しております。

また、北海道や東北地方では山間部を中心に大雪となっており、24時間降雪量が30㎝を超えた箇所もあります。仙台では初雪を観測しました。

冬型気圧配置時における、大陸からの寒気の流れ込み具合ですが、実は、波状的に流れ込んでくるもので、当該寒気が流れ込む波(先端部分)にあたる部分が通過する際に今回のような強風や津様降水などの激しい気象状況をもたらすものなのです。

引用図①②を比較参照頂ければ、と思いますが、27日6時現在、北海道南西部にある低気圧の周辺では、一際白く輝く画像域があり、発達した雲の集団(この場合雪雲でしょうね)があることが解りますが、当該雲の集団から南~南西方向に、帯状に白くぼやけた画像域があります。同じような帯状の白くぼやけた画像域は、千島列島にある低気圧から延びる前線に対応する箇所と、もうひとつ、低気圧から前記した前線の西側にあたる三陸沖~南東南岸へも延びています。

前記した、帯状の白くぼやけた画像域で、千島列島にある低気圧から低気圧に伴う前線の西側にあたる三陸沖~南東南岸へも延びる部分と、北海道南西部にある低気圧に伴う雲の集団から南~南西方向に延びる部分は、寒気が段階的に吹出してきて、当該寒気の吹出しの先端部分にあたる箇所を反映するものです。

今回、この、寒気吹出し先端部分が通過したと推定される時間帯(北海道や東北日本海側では、27日2時~6時、北海道胆振日高地方や青森県八戸付近で6時~10時頃)に10分間の最大風速や最大瞬間風速を観測しており(気象庁HPより)、当該、寒気の吹出し先端部分通過時は要注意!と言えそうです。

当該寒気の吹出し先端箇所は、上空3000m付近の顕著な上昇流域や、地表付近の風向。風速の不連続部分(シアーライン)に対応するものですが、水蒸気画像での白輝域では激しい降水が、そして、水蒸気画像上で、画像の明暗のコントラストが強い箇所では、特に強い風を伴う傾向がありますね(筆者調べ)。これは、画像の明暗のコントラストが強い箇所で、上空での強い風が吹き降りてくるためです。


低気圧本州南岸沿いを北東へ移動中 これから太平洋側中心に大雨や暴風の恐れ!

2012-11-26 12:50:59 | インポート

※以下記事内での風速の値は、秒速値を記載しております。

①11月26日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月26日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③11月26日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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④11月26日11時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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⑤11月26日21時の予想天気図 気象庁HPより引用

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11月23日は、本州付近は、低気圧や前線を含む深い気圧の谷の中に入っています。

引用図①②より、四国付近には、水蒸気画像上で、白く輝く雲の集団が見られ、低気圧も解析されています。この四国付近の低気圧の南側の本州南沖には、▲型に、広範囲に白くぼやけた画像域が見られ、当該 画像域で ▲型の最上部付近が一際白く輝き、当該部分に低気圧が解析されています。

水蒸気画像上で、低気圧の南側で前記のような、▲型に、広範囲に白くぼやけた画像域となる場合、当該 低気圧に向かって暖湿流が大量に流れ込んでおり、低気圧の中心付近を中心に雨雲が非常に発達しやすいものです。

さらに、引用図③④より、11月26日9時現在、関東以西の各地では、上空1000m付近~上空3000m付近まで、風向はおおむね南西 風速は上空2000m以上では、あちこちで20mを超えており、所処で30m以上を観測していますが。上空1000m付近でも、近畿地方や四国地方などで20mを超えていますが、26日11時になりますと、関東地方周辺でも、上空1000m付近で20mを超えてきた地点も出てきました。

これは、本州上空では、気圧の谷接近・通過に伴い、気圧の谷前側の暖気移流と大陸からの寒気移流とのコントラストが次第に大きくなっている(大陸から寒気移流が本州上空に顕著になりつつあることです。)証拠で、この状態を受けて、四国付近にある低気圧は、今後発達しながら本州南岸を進み、特に、低気圧中心付近から南側で非常に風速が強まるのが特徴で、この低気圧は、26日21時には、三陸沖に達する予想です。(引用図⑤)

これから、関東~東海~近畿地方にかけて、低気圧が太平洋沿岸を通過するため、これらに地域では、低気圧通過時刻頃をピークに、激しい雨と、南~南西風の非常に強い風には警戒が必要です。

すでに、低気圧の中心付近に入った、高知県の室戸岬では、最大瞬間風速33・2m(南西風で10時55分)を観測して、最大風速でも28・0m(南西風で11時04分)と台風並みの暴風を観測しました。

26日12時30分現在、千葉県北東部や南部の一部と伊豆諸島北部、それに、高知県室戸地域に暴風警報、千葉県や神奈川県、伊豆諸島、静岡県、高知県の一部にわたって、波浪警報が発表されています。


低気圧から離れていても関東平野では意外に悪天 しかしてその実体は?

2012-11-19 13:46:38 | インポート

①11月19日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月19日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③11月19日9時の日本付近雲画像図(可視画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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④11月19日9時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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⑤11月19日9時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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昨日18日、東京では木枯らし1号を観測し、晩秋の青空が広がりましたが、本日19日は、関東地方各地では、1転して朝からうっとうしい曇天となり、東京や横浜など南部では、弱い雨もぱらついています。

この、関東平野の悪天のカラクリを説明しましが、実は、このような関東の悪天、珍しいことではいりません。

引用図①より、19日9時現在、日本海北西部に低気圧があり、高気圧が本州の東海上にあります。

一見、関東平野は、そう悪天にならないと思われますが、実は、引用図②③を参照ください!引用図上には地上天気図上の低気圧(低)と 高気圧(高)の位置を示しておりますが、関東地方には A の雲の集団が掛かっており、当該、Aの南東側から、本州の東海上にある高気圧の南側に向かって、オタマジャクシの尾っぽのように帯状に雲が分布しています。

さらに、引用図②③を比較すると、関東平野に掛かっている A は、赤外画像(雲高が高い雲ほど、より白い画像となります。では、薄くぼやけた画像となっているものの、可視画像(雲の密度が大きいほど、より白い画像となります。)では、白く輝いており、当該 A の雲の集団自体、雲の背は低いものの、雲の密度は大きく、関東地方には、日が差し込まず、悪天となっている様子が解ります。

この、A の雲の集団が形成されたカラクリですが、本州の東海上にある高気圧の南縁部から関東地方へと吹き込む南東~東より風が関東東海上にある南向きに流れる海流の影響と、関東平野の地上の摩擦作用を受けて、関東平野地表付近で北東~北より風(引用図⑤)となり、地表付近と上空(おおむね1500m以下)との鉛直シアーが増大したため(引用図④)に形成された雲の集団というわけです。

ですから、今日のような関東での悪天の場合、関東周辺の山地を雲が超えられず、甲府盆地や静岡県富士川付近より西側では、比較的当該雲の集団の影響は受けにくく、好天となっている場合が多いものです。

では、前記のような、関東での悪天を引き起こすシグナルですが、ウインドプロファーラー観測地点の勝浦での風向風速分布状況に注目です。(以下は筆者調べより)

Ⅰ:ウインドプロファーラー勝浦での風向が、上空2000m以上で西~南西となっていても、上空1000mでの風向が、南~南東~東に変化しつつある場合

Ⅱ:ウインドプロファーラー勝浦での風向と八丈島との風向とが、コントラストが大きくなっている(今回のような関東での悪天の場合、上空1000m地点での風向が、勝浦では東~北東風となっているが、八丈島では、西~南西風となっているものです。ちなみに、勝浦と八丈島の風向が共に南西~西より風と一致するようになると、関東平野の悪天は次第に解消します。)

Ⅲ:関東平野地表付近に目を向けると、沿岸部で南~南西風となっておらず、関東平野内陸部では北より風や北東風などとなって風向も疎らであったり、千葉県銚子あたりで北東風がやや強まっている場合

です。

さらに、

Ⅳ:当該、関東平野での悪天の場合、上空1500m付近での相当温位分布が、関東平野周辺で前線のようにコントラストが大きくなっているのも大きな特徴です!


雲画像で現れる寒気吹出しの特徴 こんな箇所には要注意!!

2012-11-13 12:21:21 | インポート

①11月13日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月13日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③11月13日3時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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日本付近上空には、本シーズン一番強い寒気が接近しつつあります。

本ブログで、寒気が流れ込む際には、当該寒気の進行方向先端部分で上空3000m付近の上昇流が顕著となり(流れ込む寒気が強いほど、当該上昇流は一層顕著となるものですが。)、大気が不安定となって、強い雨や雷、突風、竜巻などの激しい気象現象をもたらすことを紹介しました。

では、前記した激しい気象現象をもたらす箇所は、雲画像上ではどのような画像として表現されるものでしょうか?

引用図①②より、13日9時現在、北海道南東海上とシベリア東部に低気圧があり、これら低気圧の伴う雲の集団がシベリア東部~オホーツク海~千島近海に現れていますが、引用図②より、山陰沖~日本海中部~東北地方付近へと、お椀をかぶせたような ⌒ 型の白くぼやけた画像域 A (所処で白く輝く部分があり、雲の活動が大変活発な状態を示しております。)が見られます。

この A の画像域で表現される部分こそ、上空寒気の流入の露払い的な存在となる、上空3000m付近の顕著な上昇流域(500hpaの正渦度の前面にあたります。)ですが、このような画像域では、特に、当該 ⌒ 型になっている画像域の南~南西側にとりわけ発達した降水域があるのが特徴です。当該、発達した降水域が通過する際には、強い降水や雷、突風、竜巻などの激しい気象現象を引き起こします。要注意ですね!!

さらに、引用図②の A の後面には 縞状に白くぼやけた帯状画像域がいくつか連なるものの、全体として U 字型に表現される 暗域 が見られますが、この暗域の外縁部を、引用図②③と比較しますと、暗域自体、南東~南方向へ広がっています。

上空の寒気の流入方向は、水蒸気画像上の暗域がの広がり方向と一致し、暗域の画像部分と周辺部の画像域の画像の濃淡のコントラストが大きくなる箇所ほど、局地的な突風を引き起こしやすいですから、この点もご留意ください!!


雲画像の形から解る 寒冷渦の特徴とは?

2012-11-06 11:14:49 | インポート

①11月6日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②11月6日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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4日、中国北部に記録的な大雪をもたらした上空(500hpa※およそ上空5500m付近)の気圧の谷ですが、外縁部がU字型となり、中心付近が渦巻いた形となっています。

これは、寒冷渦 と呼ばれるもので、500hpa※上空5500m付近の流れが、蛇行が顕著となり、当該流れから、切り離された形となってしまった結果で、言い換えれば、550hpaの谷のp工面の寒気移流が強まって当該谷の中心付近に寒気の中心も位置する状態です。

さらに、500hpaの谷の後面の寒気移流が強まっていると言うことは、その前側の暖気移流も強まっていることに他ならず、当該寒気移流の場と暖気移流の場のの境目(寒冷渦の中心の東~南東~南側で特に雨雲が発達するものです。

引用図①②より、寒冷渦が500hpaに位置する際の地上天気図の低気圧の中心は、寒冷渦の中心のみならず、発達した降水域付近にも描かれることも多く、寒気移流と暖気移流との境目では前線も解析されることも多いですね。

寒冷渦というもの、まず、動きが遅いもの。そして、水蒸気画像上で暗域がU字型に入り込み、暗域内にも所々、帯状に白く輝く画像域(降水域、中には発達した降水域も見受けられます。)があるのが特徴です。暖気移流の場でも、寒気移流の場に近ずくほど、帯状に白く輝く画像域(発達した降水域)が多く見られ、この付近で、特に強い雨を降らせやすくなります。

前記した発達した降水域が掛かる地域で、地表付近で局地的な気流の収束がある地域(地形的特性や気温分布などで)で一層雨雲が発達します。

③11月6日6時の関東周辺アメダス気温分布図 気象庁HPより引用

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関東地方周辺に目を向けますと、引用図①③より、高気圧が関東の東海上にある場合、関東平野では東海上からの湿った気流(東風)~南東風が入り、その気流が関東内陸部では滞留する形となりやすく、海岸部との気温の差が非常に大きくなりやすいものです。関東平野全般で降水がある場合は、特にこの状態が顕著となります。

こういう、気温の明瞭なコントラストを形成している箇所では、前記した降水域が一層発達しやすい場の一つとなりうるもので、今後、関東沿岸部など、雨脚が強まりそうですから、お気をつけ下さい!!