カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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静岡清水で22・6℃と初夏の陽気。東京でも14・7℃。

2006-01-30 18:59:43 | インポート

06013015 ※引用図は30日15時の天気図です。気象庁HPより引用。

30日は、北海道の北を低気圧が東進して、この低気圧に向かって本州の南海上の高気圧から暖かい気流が本州の南半分に流れ込みました。 特に、西に山地がある地域では、山越えの気流がフェーン現象を起こしたこともあり、特に気温が上昇し、静岡市清水では22・6℃と、春を通り越して初夏の陽気となったところもありました。静岡で20・6℃東京でも14・7℃と、ちょうど桜が咲く頃の、まさに、春を思わせる1日となりましたね。 しかし、天気は変わり目に来ています。 20060130090000 20060130150000

※引用図は、30日9時と15時の日本付近の雲画像(赤外)です。気象庁HPより引用。

この2つの雲画像図を見ると、中国大陸から、お椀を逆さにしたような形の、白く輝く雲が、本州付近に接近してきていますね。この雲は、気圧の谷を表す雲で、この気圧の谷は、気流が上昇している場、言い換えれば雲が発生発達する場でもあります。 よって、このような、お椀を逆さにした雲(気圧の谷の雲ですが)の下では、天気が崩れると思って間違いありません。

明日31日は、西から天気が崩れてきそうです。


24日未明に知床半島羅臼付近で「羅臼風」

2006-01-24 12:21:10 | インポート

06012321 06012403 20060124000000 20060124010000 引用図は23日21時と24日3時の天気図、および、23日24時と24日1時の北海道東部のアメダス風向風速図です。気象庁HPより引用。

23日から24日にかけて、低気圧が千島付近で猛烈に発達して、北日本中心に冬型気圧配置が強まりました。

このため、24日未明北海道知床半島付近では局地的に暴風が吹き、一時、根室北部には暴風警報が出されるほどでした。

今回の、北海道知床半島のように、中央部にある山脈に切り刻まれた谷や鞍部の形成されている方向と、地表の風向が一致する場合、当該谷や鞍部で風が吹き抜けたり、風が上空の風を引き摺り下ろして、相当強い風を吹かせることがあるものです。 この強風を、おろし風、または だし風 などと呼んでいます。

今回のように、低気圧が千島付近で発達する場合、北海道知床半島の羅臼町を中心とした、知床半島周辺で、北西の風が相当強まることがあります。(羅臼風などと呼ばれています。)

昭和29年5月11日には、この羅臼風が非常に強まり、最大風速は40メートル以上にも達して、羅臼町(当時は羅臼村)と中心にして、死者11人、全半壊家屋112戸を出す始末でした。

日本列島各地には、この、おろし風 や だし風が吹きやすい個所はいたる所にあり、時には強風の被害を引きおきします。 静岡県網代の西南西~南西風や、兵庫県神戸市六甲山南側の六甲おろし(北より風)、それに岡山県那岐地方の広戸風(北より風)、愛媛県東予地方のやまじ風(南西風)、山形県庄内平野の清川だし風などが典型的なものです。


関東から静岡県にかけて降雪。東京でも正午までに6㎝積もる。

2006-01-21 15:38:05 | インポート

06012109_1 引用図は21日9時の天気図です。気象庁HPより引用。

関東地方や静岡県では、21日未明より、気圧の谷の接近で雪となったところが多く、21日正午現在、水戸や横浜で10㎝,東京都心でも6㎝の降雪となりました。

昨日の夕方の段階では、低気圧が本州の沖合いを陸地から離れて通過する予想でありましたが、20日21時の天気図(気象庁HPより引用)を見ると、 06012021 本州に南海上にある低気圧の北側の等圧線が、周辺より低く表現されており、本州上は、言ってみれば、気圧の鞍部に入りつつあることがわかります。

実は、こういう、気圧の鞍部は、上空でも、気圧の谷の前面に当たり、雪雲や雨雲ができやすい地域でもありますね。 実際、このような気圧配置の場合、本州の陸地が低気圧からやや離れていても、関東以西の南岸沿いでは、別に低気圧が発生しやすく、特に、関東沿岸から静岡県(特に伊豆や東部)では、関東の東海上から吹き付ける北東気流の影響も加わり、思いのほか、降雨(降雪)がまとまることが多いものです。

では、今回の事例のような場合に、本州南岸のどの辺に、新しく低気圧ができるでしょうか? これは、地表の風向の不連続になっている個所で、地域的には①四国沖 ②紀伊水道沖 ③遠州沖 ④房総半島南東沖から関東南岸 が挙げれれますが、今回のように、関東平野に北東気流が入る場合は ②紀伊水道沖か ⑤遠州沖が多いですね。 06012103_1 20060121030000_1

引用図は21日3時の天気図と東海地方周辺アメダス風向風速図です。気象庁HPより引用。

引用図をご覧になってお解りかと思いますが、21日3時の天気図には、遠州沖に新しく低気圧が解析されています。同一時刻の、関東地方から東海地方の風向は、関東地方では関東から静岡県東部にかけて、北東の気流が入り込んでいますが、伊勢湾岸では北西風となっており、遠州沖で風向の不連続部分が発生している様子がわかります。 今回の遠州沖の低気圧も、この、風向の不連続部分上で発生したと言えます。


西から低気圧接近。関東平野では地表に冷気まとわりつく。

2006-01-14 20:15:27 | インポート

06011415 ※引用図は、14日15時の天気図です。気象庁HPより引用。

14日は、低気圧が本州南岸を発達しながら東進し、本州付近の上空には南から暖かい気流が流れ込んだため、今回は、本州各地では雪ではなく 雨となったところがほとんどでした。

このため、北陸や山陰など、これまで、かなりの積雪のあるところでは雪解けが進み、山間部では なだれが多発しました。このなだれのため、交通機関に影響の出た個所もありましたね。 ただ、関東平野では、地表付近には冷たい空気が滞留し、東京など、1日中肌寒い陽気となってしまいました。 Photo Photo_1 Photo_2

※引用図は、オハイオ州立大学のHPから引用しました、館野(茨城) 八丈島 浜松の3地点の、14日9時現在の3000メートル上空までの気温の様子図です。

八丈島や浜松では、すでに、地表付近では10℃を超えて、この時期としては、かなり気温があがっていますが、関東平野のほぼ中央部ある館野では、ようやく2~3℃と寒々しくなっています。 この現象は、高気圧が移動性となって、関東東海上に抜けて、西から低気圧が進んでくる場合に、関東平野ではよく見かけられることです。

高気圧が関東東海上に抜けて、関東の東海上で、等圧線が南北か、北西~南東方向に走る場合、このように関東平野の地表付近に冷気が滞留してしまう現象が発生します。 これは、、関東の東海上に親潮が北から流れているため、関東東海上で東風や南東風が吹いても、この親潮の海流の影響で、北向きに風向きが変って関東平野に入り込み、この気流自体、関東平野内で澱んでしまうため

このようにして、関東平野の地表付近に冷気がたまりやすくなります。

20060114150000200601141500001 ※引用図は14日15時の関東周辺アメダス気温図と、風向風速図です。気象庁HPより引用。

ただ、関東の南岸部までは、この冷気はかかりにくく、引用図のように、神奈川県沿岸部から千葉県沿岸部にかけて、気温と風向の明瞭なコントラストを形成する場合が多いものです(このコントラストを沿岸前線と呼んでいます。)

この沿岸前線上では、特に雨量がまとまり、時には突風や竜巻と言った、シビアーな現象を引きおきします。 14日夕刻から、当該 沿岸前線が発生している、千葉県から神奈川県三浦半島、それに静岡県伊豆南部では、局地的にかなりの大雨となっています。


大雪、今週末にはおさまりそう。

2006-01-08 13:06:01 | インポート

06010809_1 ※引用図は8日9時の天気図です。気象庁HPより引用。

先月から日本列島は、全国的に低温と、日本海側では断続的に大雪に見舞われてきましたが、天気図上には、そろそろ、その大雪の解消の兆しが見えてきました

引用図の天気図をご覧いただければ、と思います。一頃は、低気圧が日本の東海上で猛烈に発達して停滞気味になっていましたが、8日9時の天気図より、低気圧は日本の東海上をすんなり東進する進路をとっています。

一般に、日本の東海上で低気圧が猛烈に発達して停滞気味となり、大陸からは高気圧がぐっと張り出す形であれば、冬型は長続きして、日本付近の上空には強い寒気がどんどんと流入することになりますが、そうでなけば、日本付近の冬型気圧配置は長続きせず、強い寒気も流れ込んできませんので、大雪にはならなくなるということになります。

また、北半球の偏西風の動向を調べましたが、強い寒気が流れ込んでいる時期ですと、偏西風の谷が日本の東海上にあって、偏西風は南北に蛇行する流れ方となり(南北流型)、本州付近は北西風が顕著となりますが、1~2日前から、当該偏西風の流れが、南北流から、本州付近で東西に流れる東西流に移行しつつあります。 偏西風が東西流であれば、強い寒気が入りにくく、日本海側の雪の降り方も弱まるわけです

今週11日から12日に、本州付近は気圧の谷が通過して、いったん強い寒気が北日本上空に流れ込んできますが、それ以降は、本州付近上空には強い寒気の流入はなく、日本海側の雪も小康状態となりますね。気温も上がってきそうです。