カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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群馬で竜巻か?10人怪我

2009-07-27 17:48:53 | インポート

①7月27日14時の関東周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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②7月27日14時10分 関東周辺レーダーエコー合成図 気象庁HPより引用

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本日7月27日14時頃、群馬県館林市周辺で竜巻と見られる猛烈な突風が吹き、民家の屋根や窓ガラスが破損したりして、10名ほどの方々が怪我をしたというニュースが入ってきました。

引用図②より、27日14時には、館林市がある群馬県南東部付近では、南東風と北西風とが、明瞭な風向のコントラスト(風向のシアー)があります。が、27日12時頃より、群馬県南東部付近を境にして、前橋市や高崎市方面では比較的風速が弱めの西より風が卓越していたのに対し、埼玉県北東部から群馬県南西部、栃木県南西部では南~南西風が続いていて、風向のシアーラインが存在してました。この原因は地形的要因(群馬県は南~南西風が吹きにくく、地形的に南~南西風が澱んでしまうため)でしょうね。

引用図③より、館林市周辺で突風が発生したと見られる時刻付近、館林市が位置する群馬県南東部には、非常に発達したエコー(発達した雨雲)が見られますが、当該発達した雨雲は、前記した、前橋市や高崎市方面と埼玉県北東部から群馬県南西部、栃木県南西部にかけての、風向のシアーラインに伴って発達し、当該雨雲がこのシアーラインに差し掛かった際に、竜巻を引き起こした と言えそうです。(竜巻やダウンバーストの解説は、本ブログの7月20日の記事を参照ください。)

今回のように、地表付近と上空1500m付近より上側の風向がコントラストが大きい時(今回7月27日は、関東平野の地表付近では、おおむね南よりで、風速が弱めでしたが、上空1500m付近より上側では、南西風でおおむね20ノット以上とやや強めでした。)、地表付近の風向のコントラストが大きい箇所(シアーライン)では、突風が発生しやすいものです。

台風が本州に接近時、関東平野で、前記した地表付近と上空1500m付近より上側の風向がコントラストが大きい時に台風の外側にある螺旋系の雨雲(アウターバンド)が、関東平野の、前記した地表付近と上空1500m付近より上側の風向がコントラストが大きい場合、当該台風のアウターバンドが地表付近の風向のコントラストが大きい箇所(シアーライン)に差し掛かる際に、竜巻や突風が実は頻繁に発生しています。

この点看過できないことであると私は思っています。


大雨の範囲は東日本へ 大雨災害対策は 「石橋を叩いて渡れ」 

2009-07-27 12:32:10 | インポート

①7月27日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月27日9時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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西日本各地では、連日、大雨が降り続き、土砂災害や洪水などの被害があちこちで発生しています。

27日になって、この、大雨の範囲は、ゆっくり東へと移動しており、これから、北日本や東日本で大雨となる予想です。

本ブログで昨年書きましたように、大雨災害は、災害発生直前の雨量の大小もさることながら、その地域に、どれだけ雨量を受け止めたか? 換言すれば、どれだけ雨が浸み込んだか? で左右されるものと私は思いますね。

既に、昨年5月28日より、気象庁の大雨や洪水に関する注意報警報の発表基準には、前記した概念を取り入れた、土壌雨量指数 流域雨量指数 と言う指数をもって発表されていますし、JR東日本では、実効雨量(雨量の多少のみならず、その継続時間をも考慮するもの)を列車の運行規制に取り入れています。

昨年6月以降、実際に雨が小降りになっても、大雨警報や大雨注意報、洪水警報や洪水注意報が継続発表になっているケースに頻繁に遭遇しますが、前記した、土壌雨量指数 流域雨量指数の基準値で、大雨や洪水に関する警報や注意報を発表しているためです。

しかし、実際に発生する大雨災害に対する対策には、まだまだ不充分 と言わざるを得ませんね。

まず、道路関係ですが、通行規制基準に、連続雨量(降雨が継続している時間の雨量合計)を取り入れている路線が、現在も圧倒多数です。一例では、中央自動車道の八王子~中津川間では、連続雨量200㎜ か 連続雨量80㎜に達した後、時間雨量で40㎜に達した区間は、通行止め(中日本高速道路より調べ) と言う基準があります。が、この連続雨量は、あくまでも降雨が継続している時間が計算されるもの。直前までにまとまった雨量となっていても、一旦、降雨がやんでしまえば、連続雨量は0㎜となってしまいます。26日に、福岡県内の九州自動車道で、走行中の自家用車が土砂崩れに巻き込まれて、2人の方が亡くなってしまうと言う痛ましい事故がありました。事故発生区間では、連続雨量が通行止め基準に達してはいた直後で、通行止めにするまでに時間がかかり今回の事故が発生してしまいました。土壌雨量指数を通行止基準に取り入れれば、強い雨が連続して降り続いてた区間でしたから、早めに通行止め実施できた可能性が大です。連続雨量の盲点をさらけ出したと言っても過言ではないでしょう。

さらに、鉄道や道路では土砂崩れが発生しそうな区間に、法面補強や盛土補強工事を強化(このため、JR東日本 成田線 佐倉~成田空港間では、大雨時の列車運行中止規制はなくなっているそうです。)していますが、山間部や丘陵地の路線では、路線が走っている隣接地域ばかりでなく、周辺の地形にも留意して、対策工事をする必要があります。

大雨災害は、その土地の地形図通りに発生する と言うのが私の持論ですが、山間部、丘陵地のみならず、台地の谷地部分にあたる地域では要注意!、Ⅰ・周囲より低くなっていたり、水田や小さい河川が流れている箇所ではなおのことです。Ⅱ・朝晩、周囲より冷え込みやすく、降霜が顕著な地域も気をつけましょう。当該Ⅰ.Ⅱの地域は、大雨時に周囲より水が集まりやすい地域となりますし、山間部や丘陵地など、土石流に見舞われやすい地域でもあるからです。

さらに、山間部や丘陵地では、走っている谷の形状に注意!Ⅲ・谷はY字型になっている地域には要注意!さらに、Y字型谷が複合して、木を逆さにしたような谷の走行であればなおのこと!です。このような箇所では、大雨時には、谷底の土砂が流失したり、谷に土砂が崩れて、土石流となる危険性があるからです。

もうひとつ、当該谷に隣接する山服の勾配状況にも気をつけてください!Ⅳ:勾配が緩やかになって、その端が急勾配になっている箇所は表層に比較的軟らかい地層がある証拠で、その軟らかい地層が大雨時に崩壊しやすいものです。

大雨災害に対処するためには、周囲の地形を、石橋を叩いて渡る のごとく、注意することではないでしょうか?


19日の岡山美作町の突風 竜巻と断定

2009-07-20 23:57:20 | インポート

昨日の記事で、岡山県美作町に19時頃、猛烈な突風が吹き、電柱が倒されたり、民家が破損したりと被害が出たことを紹介しましたが、岡山地方気象台から本日、現地調査の結果、今回の突風は竜巻と断定するとの発表がありました。

突風の原因は昨日の記事でも紹介しましたが、本ブログで平成18年4月21日に紹介した記事を補足の意味で引用しました。ご覧ください。

<引用文>

今回のような突風が吹き被害が起きると、最寄の気象台、測候所で現地調査を行い、「竜巻」「ダウンバースト」か断定されますが、その基準発議の通りです。

①被害地域の被害痕跡が一列に並んで、建造物や樹木の転倒方向が収束性痕跡(渦巻状)になっている。被害地域で漏斗雲が見られた。ジェット機が通過するようなキーンという音がした。など。・・・・・「竜巻」と断定

②被害地域の被害痕跡が一列になっていない。建造物や樹木の転倒方向が収束性痕跡になっておらず扇状の広がりが見られる。など・・・・・「ダウンバースト」と断定。

前記①②いずれにもあてはまらない場合は、単に「突風が吹いた」とか、「竜巻、ダウンバーストいずれにも断定できなかった。」と、発表されます。

要は、気象庁で「竜巻」「ダウンバースト」と断定する基準は、被害地域の地表の被害痕跡によるものです。

実は、私自身、「竜巻」や「ダウンバースト」双方とも、発生原因の源となる部分は同じであると考えています。雷雲内の強い上昇流が、地表付近まで及んで、地表付近が低気圧性循環となるのが「竜巻、」一方、雷雲内の強い上昇流の影響で隣接部分に強い下降流が発生し、雷雲周辺の乾燥空気を当該雷雲に引きずり込んで、下降流をさらに発達させたのが「ダウンバースト」となるのではと考えています。

よく、気象の書物では、一般論として「ダウンバースト」は、一般的に中層に乾いた気流が流れ込んで、この中を雨粒が通過する際に、雨粒自体の蒸発が盛んになる為に、下降気流が加速されて生じると言うことがいわれていますが、この状態は、「ダウンバースト」をまさに引き起こそうとしている雷雲の中層に当該雷雲の隣接区域から局地的に強い下降流で乾燥空気が流れ込む形が考えられます。
このためには、当該下降流に隣接した、前記のダウンバーストを引き起こす雷雲内に局局地的な強い上昇流が不可欠となります。質量保存の法則によりますからね。

では、前記した雷雲内の局地的な強い上昇流発生原因は何かと言いますと、鉛直シアー(鉛直方向で風の風向風速の差が大きい状態)によるものではと考えます。それ以外に原因は考えられませんね。

よって、「竜巻」と「ダウンバースト」は発生源が同じであるので、当然、双方、隣り合わせて共存して発生、なんてことも充分ありえます。

以上ですが、気象庁さんには、危害痕跡もさることながら、突風が発生した過程の部分をも、充分に紹介していただければ、と私はいつも望んでいるんですが。


北日本や西日本で大雨 岡山では突風被害も

2009-07-19 23:51:11 | インポート

①7月19日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月19日19時の日本付近雲画像図(水蒸気図) 気象庁HPより引用

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③引用図②の岡山県周辺拡大版 気象庁HPより引用図を加工したもの

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7月19日は、日本海から北日本へ、低気圧が発達しながら進みました。

このため、北日本でや北陸では大雨となり、東北地方では24時間に200㎜を超す降水量を観測した地点が続出しましたし、10分間の平均風速の最大で20mを超す地点もありましたね。

そして、この低気圧が北日本へ差し掛かるとともに、中心から日本海に延びる前線が南下して、西日本へ19日夕方以降差し掛かってきたため、近畿地方や中国地方でも、19日午後から強い雨が降り始めました。

そして、岡山県の美作町では、この前線の伴う発達した雨雲が差し掛かった、19日19時ごろ、猛烈な突風が局地的に発生して、民家の屋根が飛んだり、コンクリート製の電柱がなぎ倒されたりして、怪我人も発生しました。

引用図②は、丁度、岡山県美作町で突風被害が発生した時刻あたりの、19日19時の水蒸気画像ですが、これを見ますと、岡山県付近には、白く輝く雲(水蒸気の分布が大きい部分。すなわち発達した雲)がかかっていますが、そのすぐ北では、水蒸気画像上の暗域(水蒸気の分布が少な移流、乾いた空気のエリア)が広がり、水蒸気の分布のコントラストが大変大きくなっているのが判ります。

これは、北日本で低気圧が発達していることが引き金となるもので、当該発達した低気圧後面の上空に、乾いた気流が流れ込んできたことを表しているものです。

さらに、引用図③より、岡山県付近では、水蒸気画像上で、白く輝く部分と暗域との境目部分に位置して、特に、美作町が位置する、岡山県北部では、当該白く輝く部分と暗域とのコントラストがより一層大きくなっていることが判りますよね。

このことは、突風が発生した時刻あたりの、岡山県美作町付近では、発達した雨雲の外縁部(おおむね西側)にあたり、当該発達した雨雲の外縁部には乾いた気流が分布している状態であることが読み取れます。

このように、発達した雨雲の外縁部で、乾燥した気流が分布している状態の場合ですが、当該発達した雨雲の外縁部では、実は、局地的に猛烈な突風は吹きやすいものなのです。発達した雨雲の隣接している乾燥した気流は、当該発達した雨雲を形成する上昇流が、その反動で隣接地域で下降流を発生させて出来たためであり、さらに、発達した雨雲の上昇流が隣接している乾燥した気流を呼び込む働きをもするためです。

平成3年6月27日(岡山市内) 平成15年10月13日(茨城県鹿嶋市、神栖町成田市など)に猛烈な突風が発生しましたが、今回の事例のごとく、発達した雨雲の外縁部で、乾燥した気流が分布している状態で、当該発達した雨雲の外縁部で突風が発生しています。


関東甲信で梅雨明け

2009-07-14 23:52:51 | インポート

①7月14日9時の天気図 気象庁HPより引用

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気象庁より、7月14日午前中に、関東甲信地方が梅雨明けしたと見られる との、梅雨明け宣言 がありました。

東海から九州北部までは、まだ梅雨明けしていませんから、本年も、変則的 と言える関東甲信地方の梅雨明けですね。

ただ、本ブログで私自身、たしか毎年書かせていただいていますが、梅雨入り、明け というのは、誤解を承知で言うなら、厳格に天気図上の気圧配置の変化で決めるものではなく、気象歳時記的要素が強いものではないでしょうかね。本年も、関東甲信地方では、16日17日頃に梅雨前線が日本海から南下してく予想ではあるものの、その影響が小さいと週間予報で確認されたから、梅雨明けが本日出されたわけですからね。

梅雨明けのパターンとして

Ⅰ・梅雨前線が北上して梅雨あけするもの

Ⅱ・梅雨前線が天気図上から消滅して梅雨明けするもの

の2つパターンがあるとのことですが、本年の関東甲信地方の梅雨明けは、正直、ⅠにもⅡにも属するといえそうではないでしょうか?

いずれにしても、これから、夏本番!! 熱中症と毛髪の抜け毛??にはご注意を。くれぐれも、私のような毛髪にはならないように!(でも、気象キャスターのTさんよりはふさふさしているでしょ?私って。)