カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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神奈川の一部で震度4

2006-08-31 23:59:17 | インポート

31172800391 引用図は、8月31日17時28分気象庁発表、31日17時18分発生の東京湾震源の地震の震源・震度分布図です。気象庁HPより引用。

31日17時18分頃、関東地方中心にやや強い地震がありました。

震源地は東京湾 ( 北緯35.6°、東経140.0°)で震源の深さは約70km、地震の規模(マグニチュード)は4.8と推定されます。

この地震で、横浜市神奈川区や相模原市、厚木市の一部で震度4を観測したほか、関東地方の広い範囲や伊豆半島の一部で震度3を観測しました。私鉄の京王線では一時運転を見合わせとなりましたね。

この地震は、関東平野が乗っている北米プレートの下に沈み込むフィリピン海プレートと、日本列島の東海上から日本列島の下に沈み込む太平洋プレートとの境界付近で発生した地震であると推定されます。

昨年7月23日に、東京都足立区で震度5強を観測した地震と、発生メカニズムは同じものです。

通常、地震の揺れの強さ(震度)は、各地域の地盤や地形、地下の構造(断層や、火山性の軟らかい地質が在ったりとかです。)、震源地で地殻が破壊(このエネルギーが地震波となって四方へ伝播するのが地震なのですから。)などで左右されますが、今回のような地球上の地殻を形成するプレート同士がぶつかり会う場所で発生すると、当該プレートに沿っても揺れが広がる傾向があります。

よって、地震も、その揺れ方に地域性があるのものです。

たとえば、山梨県東部から神奈川県境で発生する地震(本州の地震の巣のひとつです。)であれば、山梨県東部富士五湖は勿論、神奈川県の酒匂川流域や平塚市北部から相模川周辺から東京都八王子市から町田市付近にかけてが、揺れが強くなりやすいですし、今回のように、東京湾の地下70キロより深いところで発生する地震であれば、神奈川県東部や東京都23区西部や多摩地方東部などで揺れが大きくなる傾向があります。


紀伊半島で局地的に激しい雨

2006-08-27 13:17:13 | インポート

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引用図は8月27日9時の天気図と、近畿地方周辺レーダーアメダス解析雨量図です。双方とも気象庁HPより引用。

昨日は、前記事で紹介しましたように、太平洋高気圧と北の高気圧との境目の地域で大気が不安定となり、所々で雷を伴った強い雨が降りました。

その後、26日午後になって、北の高気圧が北海道の東に中心を移して勢力を広げるとともに、26日夜になって紀伊半島南東部(の沿岸部)を中心に局地的に激しい雨が降り出しました。

三重県尾鷲市では、27日12時までの12時間に284・5ミリの降水量を観測しています。

このため、JR紀勢線では三重県内で27日午前中、一時運転見合わせましたが、12時現在、運転再開したとのことです。

さすがに、これだけの降水量であるのに、通常から雨の多い三重県南部のことだけあります。雨による被害は大したことはないですからね。

引用図の近畿地方レーダアメダス解析雨量図より、①東西方向の帯状に発達した雨雲が東海沖からと、もうひとつ、②紀伊半島の南海上から南~南西方向の帯状に発達した雨具雲が双方衝突して紀伊半島南東にかかり、特に紀伊半島の沿岸に沿って発達している様子がわかります。

前記①は、北海道の東海上の高気圧が勢力を南に広げた結果、その高気圧の縁を廻るようにして、東海沖から暖かく湿った気流が流れ込んだこと と示していますし、前記②は、勢力がやや後退して西に進んだ太平洋高気圧の縁を廻るようにして、本州の南海上から、やはり、暖かく湿った気流が流れ込んでいる様子 を表すものです。

今回の、この激しい雨の原因ですが、前記したように、①異なる方向から流れ込む暖かく湿った気流がぶつかり合いながら紀伊半島南東部に侵入したこと と もうひとつ ②26日夜から27日朝方にかけて、内陸部の気温低下に伴い、紀伊半島南東部沿岸域に沿岸前線(これまでも本ブログで紹介しています。)が発生したもの との相互原因と言えますね。

よく、台風接近時に紀伊半島で大雨が降る原因となる、紀伊半島の山地に暖かく湿った気流が衝突することによる 気流の強制上昇が、今回もややもすると、この大雨の原因として取り上げられそうですが、今回の大雨については、この、山地に気流が強制上昇する作用は薄い と私も思います。等圧線が混んでなく紀伊半島に気流が衝突する度合いは低いであろうことからですね。その証拠に、今回は、隣接する奈良県南東部の各観測地点での12時間雨量は、いずれも5ミリ以下 となっていますから。

北日本周辺から高気圧が張り出す時で、その高気圧が背の高い高気圧の場合、その高気圧の張り出し具合によっては、紀伊半島東部や南部、それに四国東部や南部、九州南東部では、この手の大雨に注意するべし!といえるでしょう。


大陸から高気圧。でも関東以西は夕立に注意!

2006-08-25 23:55:20 | インポート

06082518 引用図は8月25日18時の天気図です。気象庁HPより引用。

昨日、前線が北日本を通過して、今日25日には千島沖に抜けましたが、この前線が通過したあと、大陸からは高気圧が東進して、今日には日本海に進んできました。

気象の知識がある方にはもうお解かりですが、この日本海の高気圧、本州の南海上の高気圧(太平洋高気圧)とは成因、性質は異なるものです。一見、天気図上にも秋の気配が、と感じることと思いますが。

しかし、高気圧というもの、その成因、性質が違う場合、それらの高気圧の間には そう、前線 が隠されていると考えて間違いありません。特に、今回のように、高気圧が南北に並いて、南側の高気圧が太平洋高気圧である場合は、当該太平洋高気圧の縁を廻って、暖かく湿った気流が、この高気圧の間に流れ込んできますので、当該高気圧の間は、特に大気が不安定になりやすく、帯状に、所々で強い雨や雷となるものです。

今日も、前記した高気圧の間で雷雲が発達し、関東以西の所々で短時間に激しい雨が   降りました。その様子を、8月25日18時のレーダーアメダス解析雨量図(気象庁HPより引用)で確かめてみてください。

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今日のように、南海上に太平洋高気圧があるが、大陸から(オホーツク海から南下する高気圧も同様です。)別の高気圧が本州に移動してきた場合は、太平洋高気圧と、もうひとつの別の高気圧との間の部分に要注意!帯状に所々で強い雨や雷が発生しやすくなります。

関東以西が、前記した高気圧の間に入るケースですと、全体的に帯状に強い雨や雷が発生するものの、とりわけ、内陸部や関東北部や西部山間部、それに甲信越、東海北部で、激しい雨や強い雷に見舞われやすくなります。

06082509 引用図は明日8月26日9時の予想天気図です。気象庁HPより引用。

引用図より、明日26日も、今日と気圧配置は殆ど変わりない予想ですね。特に屋外の行事や、山間部でのレジャーには、雷や急な強い雨にご用心!川の中洲や沢沿いには絶対に立ち入らないでください!


昨日22日の大阪北部豪雨について

2006-08-23 12:37:21 | インポート

06082215 引用図は、8月22日15時の天気図です。気象庁HPより引用。

昨日22日は、大気が不安定になって各地で雷を伴った激しい雨が降りました。

特に、大阪府北部では、15時頃から局地的に猛烈な雨となり、大阪府豊中市では、1時間に110ミリと、観測史上最高の1時間雨量を観測しました。この程度の雨量になると、傘をさしていても効き目がなくなり、雨音は ゴー とうなろ、恐怖感を感じるようになります。

この大阪北部の豪雨ですが、レーダーアメダス解析雨量図をみると、雷雲同士がぶつかり、重なり始めた直後、発生しています。

では、22日13時(左側)、14時(真ん中側)、15時(右側)の大阪・京都・兵庫付近の、レーダーアメダス解析雨量図をご覧いただきましょう。(引用は、当ブログに引用されている、気象予報士、西村隆さんの、ペパーランド気象センターHPからです。)

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引用図より、22日13時(左側)には兵庫県北西部に発達した雨雲があり、南東に進んでいますが、別の雨雲が京都市付近にあり、この雨雲は発達しながら、南西に進んでいます。

22日14時(真ん中)になると、兵庫県北西部にあった雨雲は更に南東に移動し、兵庫県南東部あたりに進んできました。また、京都市付近にあった雨雲は、発達しながら、さらに南西に移動して、前記した兵庫県南東部の雨雲との間隔が狭まってきました。

22日15時(右側)になると、前記した兵庫県南東部の雨雲と、京都市付近から南西に進んできた雨雲とが、大阪府北部付近でぶつかり始め、雲同士重なり始めた大阪府豊中市から兵庫県伊丹市付近では、1時間80ミリ以上に相当する猛烈な降水の表示になっています。

一般に、雷雲は、①上空1500メートルから10000メートルの風向を合成した方向に移動する。②気温の上昇している地域へ移動する ③地表と1500メートル上空の鉛直シアーが大きい地域 へ 発生、移動、発達するものですが、雷雲の発達期になると、当該雷雲からの下降し、地表を時計周りに広がる気流(下降気流)が生じるようにもなりますね。この下降気流が、地表付近の暖気をめくりあげたり、地表と1500メートル上空の鉛直シアーが大きい地域で上昇気流を加速させながら、雷雲が移動、発達するわけです。

発達期の雷雲同士が接近して、重なり始める部分は、おのおの雷雲の下降気流同士が収束し、この部分では局地的に上昇気流が強まって、雷雲の活動を活発せしめて、特に激しい雨をもたらすという理屈です。

今回のように、大気が不安定で、雷雲が発生発達しやすい時には、発生した雷雲の発達度合いや、その雷雲の移動方向にも注意!雷雲同士かさなり合う場所では特に激しい雨となるものです。この点、防災の観点からは看過するべきことでなありませんね。


台風10号 九州を北上。前線のかかる北海道東北北部でも大雨。

2006-08-18 23:25:16 | インポート

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引用図は、左側が8月18日22時の台風10号進路予想図、右側が8月18日18時の天気図です。ともに気象庁HPより引用です。

台風10号は、18日未明に宮崎県南部に上陸し、その後は、ゆっくりとした速度で九州を北上中です。

台風10号は、あす8月19日には、日本海に達して、その後、次第に進路を東よりに変える予想ですが、引用図より、台風の位置と、太平洋高気圧が北に偏っている現状を勘案すると、台風周辺や太平洋高気圧の周辺を廻って、暖かく湿った気流が本州の南海上から北日本にかかる前線に向かって、互いに集まりながら流れ込んあることが推測されます。

でありますので、北日本にかかる前線は、特に活動が活発となっており、北海道や東北北部でも、大雨となっています。

20060818220000 引用図は18日22時の日本付近、レーダーアメダス合成図(気象庁HPより引用)ですが、台風の雨雲がかかる九州や四国もみならず、前線のかかる北海道や東北北部でも雨脚が強まっている様子がわかりますね。

このように、台風がある場合、台風の位置と、周辺の太平洋高気圧の位置にも気を配り、台風や太平洋高気圧縁辺を廻る暖かく湿った気流の入り方向にも周囲しましょう。その、暖かく湿った気流の入る方向に前線がある場合、台風から前線が離れていても、暖かく湿った気流によって前線の活動が強められて大雨となるものと考えて間違いありません。このことは、防災上、看過するべきではないことといえます。

明日19日も、九州や中国、四国地方では、台風10号の影響が残って強い雨には注意が必要ですが、今後は、北日本にかかる前線に伴う大雨にも気を配りましょう。北海道や東北北部では要注意です。