カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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天気図に見えない上空谷と寒気が悪さを。静岡東部には大雪警報。

2010-03-29 22:34:58 | インポート

①3月29日15時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月29日15時の関東地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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③3月29日15時の関東地方、静岡県周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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④3月29日15時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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⑤3月29日9時気象庁発表AXFE578図 気象庁HPより引用

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3月29日は、先日、各地に雨や雪を降らせた低気圧が関東の東海上に移動して、一見、天気は回復するように見えますが、しかし、しか~し。と言う感じです。

引用図⑤の上側図より、29日9時現在、北海道の西から日本海中部上空550hpa上には、顕著な正渦度(上空の気圧の谷と言えそうです。)があり、本州目がけて移動中。引用図にはありませんが、29日夕方から夜にかけて、本州上空を通過する見込みです。

29日午後からは、関東地方や東海地方では、上空3000m付近での上昇流域に入ることが自ずと判りますね。

29日の関東地方や東海地方は、言ってみれば、この上空の気圧の谷の前側にあたっており、雲が発生・発達しやすい場となっており、引用図③より、東海地方では北西~西より風、関東地方北部では、おおむね北より風となっていますので、関東南部~静岡県東部周辺で気流の不連続部分(シアーライン)があることに気がつきますよね。引用図④の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図の上空1000mの図より、当該地域にシアーラインが存在することは明白です。

このため、29日午後から、神奈川県西部から静岡県東部伊豆や中部中心に雲が発達して、雪や雨が降りだし、所によっては積雪が20cmを超す大雪となってしまいました。

29日20時現在、静岡県東部には大雪警報が発表となっています。

低気圧が本州の東海上へ抜けたら、すぐ好天になると考えるのは早計ですぞ!29日の事例のように、500hpaの谷が抜けきらず、その前面となって入れは要注意。下層の気流の不連続部分(シアーライン)で、雲が発生・発達し易く、上空に強い寒気が入って大気が不安定な状態であれば、当該シアーライン周辺の雲はみるみるうちに発達して、時ならぬ大雪(大雨)を降らせるようになります。

さらに、前記のような気象状態では、冬型季節風に伴う降水域は、本州の脊梁山脈の鞍部に流れ込んでくるようになり、太平洋側の各地にも、まとまった積雪をもたらすこともあります。


山形県庄内に一時暴風雪警報が 雲画像で雲輪郭はっきりは局地的強風に要注意!

2010-03-27 23:50:38 | インポート

①3月27日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月27日9時気象庁発表AXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③3月27日9時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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3月27日は、引用図①より、日本列島では、等圧線はさほど混んでいなく,各地とも、風はそんなに強まらないと考えるでしょうね。

しかし、27日9時頃から15時頃まで、東北日本海沿岸部から新潟県下越沿岸部や佐渡では、南西~西よりの強風に見舞われました。

山形県の飛島では、最大瞬間風速が10時41分に西南西の風30mを観測し、10分間の平均風速の最大でも、11時05分に25mを観測しましたし、秋田県から新潟県にかけての沿岸部では、軒並み10分間の平均風速の最大で15m以上を観測しました。

このカラクリは何か?引用図①の地上天気図だけを見ていてはなかなか判りません。上空の強い風が地表付近にまで及んだことです。

まず、引用図②③をご覧いただきましょう。27日9時現在の様子ですが。

引用図②より、北海道の西には、低気圧に伴う雲の集団がありますが、当該雲の集団の南西側では、帯状となっており、雲の輪郭はくっきりしています。

引用図③(上側図)より、上空500hpaで、東北地方日本海側には正渦度移流域となって、特筆するべきは、等渦度線が非常に混んでいます。引用図③(下側図)より、引用図②で、雲の集団が見られた北海道の西から山形県域上空3000m付近では、上昇流が大変混んでおり、特に風速が強まった山形県沿岸から秋田県沿岸にかけては、下降流と上昇流とのコントラストが大変大きい部分に入りかけています。そして、当該、下降流と上昇流とのコントラストが大変大きい部分のすぐ南西側では、上空1500m付近で風速40ノット(西南西風)と大変強まっています。

今回の強風は、局地的に強まった上昇流が雲を発生発達させるばかりでなく、周辺部の上空から強い風を地表付近に吹き降ろして、引き起こされたと言えるでしょう。

今回のような強風が発生する目安として

Ⅰ:雲画像上で、雲の輪郭がはっきりしている

Ⅱ:上空500hpa(5500m付近)で等渦度線が混んでおり、上空3000m付近での下降流と上昇流のコントラスが大きい

Ⅲ:上空1500m付近の風速が強い(この付近で風速40ノット以上であれば、地表では暴風警報クラスの風速となりうるものです。)

以上です。

もっとも、前記Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの条件が全て出揃った場合に、地表で強風となりますが、逆に、当該条件が出揃わなくなると、地表の風速は次第に弱まってしまいますので、強風となる範囲は局地性が強く、比較的短時間(数時間程度)で弱まってしまうと言う特性があります。


桜前線は着々と本州を北上中! 東京や横浜で桜開花!!

2010-03-22 20:18:09 | インポート

①3月22日12時現在の天気図 気象庁HPより引用

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3月22日は、西日本を移動性高気圧が覆い、本州各地では、朝冷え込んだものの、東京で13・6℃、横浜で13・7℃まで気温が上昇して、ほぼ平年並みの陽気となりました。

東京や横浜では、桜が開花 したとの発表がありました。

東京では、昨年(3月21日でした。)より1日遅く、平年(3月28日)と比較すると6日早い開花となりました。

東京では、千代田区九段にある靖国神社の境内にある標本木(引用写真)の花芽の開き具合で、桜の開花や満開が発表されますが、当該標本木が22日午前中、5~6輪花芽が開いていることが確認。22日11時に桜の開花が発表されました。

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※靖国神社境内の東京の桜標本木を筆者写す。昨年11月10日撮影でしたので、桜は当然咲いていませんが。

各気象台では、基準となる桜の木を決めておき(通常は各気象台敷地内が多いですが、東京は靖国神社境内、ちなみに広島地方気象台では、縮景園内に桜の標本木があります。)

当該標本木の花芽が

数輪(5~6輪)咲いたら・・・・・開花

8割程度咲いたら・・・・・満開

という発表をしています。

よって、桜の花見に最適な時期(私自身は、桜の芽が全て咲きそろって、桜吹雪も楽しめる状態が好きですがね。人それぞれですが。)は、満開が発表となってから数日以内と言えそうですね。

勿論、各都道府県の一区域は広大ですから、地域的に開花・満開の状況も異なってくるでしょう。

いずれにしても、例年、桜の開花が発表となると、私自身、わくわく血が騒ぎます。花見に酒!! ビールやワインでもいいよな!!と思うと。・・・・・・

でも、皆さん。桜の花見で飲みすぎで、さくらん???しないように。かつで、東京都内千鳥が淵で花見で泥酔となり、皇居お堀に滑落した御方もいらっしゃるようで。その御方がどうなったか、知るよしはありませんがね


台風並みに発達した低気圧北海道へ 北日本東日本中心に大荒れ 関東以西では黄砂も

2010-03-21 13:57:24 | インポート

①3月21日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月21日9時の天気図 気象庁HPより引用

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③3月21日11時までの全国最大風速分布図 気象庁HPより引用

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昨日20日から日本海を低気圧が急速に発達しながら北東へ進んで、引用図①②より、21日9時には、北海道のすぐ北に達して台風並に発達しています。

このため、関東地方でも、沿岸部を中心に、21日未明から暴風雨となり、千葉で38・2m 東京江戸川区臨海(葛西臨海公園内)で35・2m 東京羽田空港や茨城県龍ヶ崎で29・3m 東京(千代田区北の丸公園内の科学技術館屋上)でも29・2mの最大瞬間風速を観測しました。

引用図③より、10分間の平均風速の最大値でも、21日11時までに、北日本や東日本のあちこちで20mを超えています。

ちなみに、室戸岬で27・3m 東京江戸川区臨海で26・7m 和歌山友ヶ島で24・6m 千葉で24・4m 東京羽田空港で21・2m 東京(千代田区北の丸公園内の科学技術館屋上)でも14・6mの最大風速を観測しました。

また、ですが、21日明け方に、神奈川県箱根や小田原で1時間に50㎜を超す猛烈な降水を観測しました。低気圧の伴う寒冷前線の前面、低気圧の暖域にあたる地域で、所々、雨雲が非常に発達しました。

④3月21日9時気象庁発表のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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引用図④の上側図より、21日9時現在上空500hpa(5500m付近)の正渦度極大域が、低気圧の西側の日本海中部から近畿地方周辺に残っています。

引用図④の下側図より前記した上空500hpa(5500m付近)の正渦度極大域のすぐ東側の本州の上空1500m付近の等温度線が大変混んでおり、当該等温度線が混んでいる箇所では、南西風と北西風または西より風とが風向の不連続部分を形成しています。その北側~北西側では、寒気移流が顕著となっていますね。

したがって、21日昼過ぎ以降、日本海側や西日本各地より、寒気の吹き出しが強まって、気温がぐっと下がってきそうです。

体調管理にはくれぐれもご用心!

⑤3月21日0時から12時40分までの日本付近黄砂観測地点と視程分布図 気象庁HPより引用

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さらに、この低気圧 日本列島へ接近・通過とともに、中国よりお土産を大量に持ってきました。お土産と言っても、あり難くない。持って帰れ!と言いたくなるものですが。

それは、黄砂です。

21日12時40分までに、中部地方や近畿地方の一部では、黄砂の影響で視程2km未満となっている箇所もあります。21日12時30分の成田空港の地上実況を見ると、成田空港でも、黄砂のため視程が5kmまでに悪化してきました。

21日は、低気圧が去って天気が回復した関東以西の各地では、黄砂にも注意しましょう!波分も多く飛んでいますから、外出には、いやな1日ですね!!


発達中の低気圧が日本海へ 20日夜には東京23区にも暴風・波浪警報

2010-03-20 23:50:19 | インポート

①3月20日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②3月20日18時の日本付近雲画像図(赤外画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③3月20日18時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用

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④3月21日9時の予想天気図 気象庁HPより引用

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3月20日は、低気圧が急速に発達しながら日本海を北東へ進んできました。

日本列島各地では、北海道や九州を除いて、日中は晴れ渡りましたが、全国的に、南~南西風が次第に強まり、日本海側の各地ではフェーン現象も加わって気温が上昇し、島根県の松江など、最高気温が25℃以上となる夏日を観測しています。

低気圧は、21日朝には北海道の北へ進んで台風並に発達する予想です。(引用図④)

このため、私の住んでいる東京渋谷区内でも、20日夜になって風が一層強まり、20日21時16分に、東京23区に暴風・波浪警報が発表されました。

東京23区に暴風警報が発表となったのは、平成21年10月8日の台風18号が中部山岳地域から東北地方を縦断した時以来(山手線など、首都圏のJR各線が一時、軒並み運転ストップしましたよね。)のことですね。

引用図①②③より、日本海には前線を伴なった低気圧がありますが、雲の形が北東方向にお椀をかぶせたような、⌒型に広く広がっていて、低気圧の雲の形自体、勾玉型となりつつあるのが判りますね。こういう雲の形をした低気圧は、低気圧の南から暖湿流が大量に吹き込み、かつ、低気圧の進行方向後側からは、比較的気温の低く乾いた気流が流れこんでいるもので、低気圧自体、急速に発達する兆候のあるものですね。

これから、日本列島各地は、低気圧の進行方向南側、すなわち、低気圧の暖域に入ることになります。気象の教科書などには、低気圧の暖域は、比較的、晴れ間が広がりやすいという記載がありますが、実は、低気圧の暖域は、対流不安定(そのままでは大気は安定しているが、下層で、地形的要因等で、一たび気流が上昇すると、みるみるうちに雲が発達しやすくなる場です。)になっており、降水域の発生・発達には、充分に気をつけるべき箇所であります。

引用図①で、日本海の低気圧に伴う前線とは別に、四国から九州には前線が描かれていますが、これは、低気圧の暖域に吹き込む、下層(上空1500m以下)の暖湿流の中に、南西風と西南西風との風向の不連続な部分に描かれているもので(引用図③の上空1000m付近の風速風速図より)、気流の風向の不連続な部分は、気流同士、収束し上昇することになりますので、対流不安定の場で下層の気流が上昇し、当該前線の箇所で、ひときわ白く輝く雲を形成しています(引用図②)

当該前線の箇所にある、白く輝く雲の下側にあたる、九州や四国の一部では、20日18時現在、所々で1時間に20㎜程度の強い雨が降っています。

低気圧の暖域に吹きつける気流同士が風向の不連続があったり、当該暖域に吹き付ける気流の風向に開いた山の斜面にあたる地域では、降水域が急に発達しやすくなりますから、充分に注意しましょう!

それにしても、これから21日は、日本列島各地で、まさに、春の嵐ですね。皆さん、ご用心!!