①3月29日15時の天気図 気象庁HPより引用
②3月29日15時の関東地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用
③3月29日15時の関東地方、静岡県周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用
④3月29日15時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用
⑤3月29日9時気象庁発表AXFE578図 気象庁HPより引用
3月29日は、先日、各地に雨や雪を降らせた低気圧が関東の東海上に移動して、一見、天気は回復するように見えますが、しかし、しか~し。と言う感じです。
引用図⑤の上側図より、29日9時現在、北海道の西から日本海中部上空550hpa上には、顕著な正渦度(上空の気圧の谷と言えそうです。)があり、本州目がけて移動中。引用図にはありませんが、29日夕方から夜にかけて、本州上空を通過する見込みです。
29日午後からは、関東地方や東海地方では、上空3000m付近での上昇流域に入ることが自ずと判りますね。
29日の関東地方や東海地方は、言ってみれば、この上空の気圧の谷の前側にあたっており、雲が発生・発達しやすい場となっており、引用図③より、東海地方では北西~西より風、関東地方北部では、おおむね北より風となっていますので、関東南部~静岡県東部周辺で気流の不連続部分(シアーライン)があることに気がつきますよね。引用図④の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図の上空1000mの図より、当該地域にシアーラインが存在することは明白です。
このため、29日午後から、神奈川県西部から静岡県東部伊豆や中部中心に雲が発達して、雪や雨が降りだし、所によっては積雪が20cmを超す大雪となってしまいました。
29日20時現在、静岡県東部には大雪警報が発表となっています。
低気圧が本州の東海上へ抜けたら、すぐ好天になると考えるのは早計ですぞ!29日の事例のように、500hpaの谷が抜けきらず、その前面となって入れは要注意。下層の気流の不連続部分(シアーライン)で、雲が発生・発達し易く、上空に強い寒気が入って大気が不安定な状態であれば、当該シアーライン周辺の雲はみるみるうちに発達して、時ならぬ大雪(大雨)を降らせるようになります。
さらに、前記のような気象状態では、冬型季節風に伴う降水域は、本州の脊梁山脈の鞍部に流れ込んでくるようになり、太平洋側の各地にも、まとまった積雪をもたらすこともあります。