カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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台風17号 夕方から夜にかけて近畿~関東へ上陸か?

2012-09-30 12:56:48 | インポート

①9月30日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月30日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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③9月30日21時の予想天気図 気象庁HPより引用

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台風17号は、30日9時現在、紀伊半島の南西沖を北東へ、速度をやや早めて進んでいます。

このままの進路ですと、30日夕方から夜にかけて、近畿地方~関東地方にかなり接近、あるいは上陸する恐れが強まってきました。引用図③より、30日21時現在には、山梨県付近へと達する予想です。

引用図②より、台風17号の西側~南西側には、水蒸気画像上の暗域が見られ、これは、速度を速めつつある台風を取り巻く雲の集団の分布の典型的なパターンです。

台風の北東方向には、依然と、帯状に白くぼやけた画像域 A が見られます。昨日本ブログの記事の引用図②と比較していただければ、と思いますが、当該 A の位置、昨日よりほぼ同じ位置に分布しており、その中に、白く輝く帯状の画像域 B も見られます。

Aの成因は、昨日の記事にて説明したように、上層で、台風から時計回りに吹き広がる気流が、上空、※500hpa~300hpa(およそ上空5500m~10000m)の台風を押し流す気流(指向流)が強まり、当該、指向流の吹く方向へ一層吹き広がったためですが、Bの成因は、当該、台風の指向流を強めた一因である、500hpa(上空およそ5500m)の谷の東進に伴い、当該500hpaの谷の前側に Aがあたっているため、Aの箇所で併せて、上空3000m付近の上昇流が強まり、雨雲が発達したためであります。

以上のことより、台風17号、今後、進路は、現状のまま(おおむね北東)で、進行速度を速めて近畿~関東へ接近してくるため、これらの地域では、急激に、雨風が非常に強まってきますから、油断なりません!

大雨や、暴風、高波は勿論、近畿~関東では、台風接近時に満潮を迎え、本日は大潮で潮位の変化が大きいことより、高潮にも、充分に警戒してください!

さらに、東海~関東にかけては、台風の移動速度が速いことと、台風の進行方向右前側に入り、地形的特性(関東平野では比較的内陸部でも要注意!)で、地表付近の気流の流れが乱流気味になることで、竜巻や突風が局地的に発生する恐れもありますから、この点も、充分ご留意ください!!


台風17号沖縄本島を通過 次第に本州南岸に接近

2012-09-29 23:56:05 | インポート

①9月29日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月29日18時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③9月29日12時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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非常に強い台風17号は29日、沖縄本島付近を通過して、29日夜には、奄美大島の南海上を北東へ進んでいます。

台風の通過に伴なって、沖縄本島の那覇では、最大瞬間風速61・2m毎秒を観測したほか、沖縄本島や 与論島 沖永良部島の各地で、毎秒50mを超す瞬間風速と、10分間の平均でも40m毎秒以上の、猛烈な暴風が吹き荒れました。

また、雨ですが、沖縄県の一部では、24時間に500㎜を超す雨量を観測した箇所があります。

引用図②③(時系列では③→②と見比べてください)より、水蒸気雲画像画像上で、台風の北東側に次第に、帯状に白くぼやけた画像域が顕著になりつつありますが、これは、台風の中心付近へ吹き集まった気流が上昇して、上空で時計方向へ吹き広がる気流が、上空の強い風と合流して帯状に広がっているわけで、台風自体、台風を押し流す上空の気流(指向流と言います)が次第に強まりつつある証拠なのです。

台風がこのような雲画像とした表現される場合、前記した、台風の取り巻く雲の集団から帯状に延びる白くぼやけた画像域の方向へ、次第に移動速度を上げて進むようになります。

引用図にはありませんが、台風17号は、台風情報より、30日夕方から夜にかけて、関東~四国にかけてかなり接近、あるいは上陸する可能性濃厚となってきました。今現在の情報より、台風移動速度が速まる懸念もあります!

最新の情報に留意し、早めの対応をなさってください!!


9月24日深夜の京急線脱線事故について雑感 原因は雷雲の移動特性と地形的特性とが大きな要因か?

2012-09-25 23:56:41 | インポート

9月24日23時58分頃、京浜急行電鉄本線追浜~京急田浦間で、土砂崩落箇所に特急電車が差し掛かり脱線、重軽傷者20名あまりの大きな事故がありました。

事故現場ですが、http://www.at-yokosuka.jp/mapoint/j/index.phpを参考ください。追浜~京急田浦間のトンネルを抜けて、すぐの京急田浦側の箇所のようですが、結構な傾斜地となっている様子です。

実は、横浜市~横須賀市にかけて、地質時代で第三紀(およそ6400年前~180万年前)の形成された、比較的古い地層、地下の比較的浅い箇所に隆起していて、海岸線から比較的急峻な地形の基となっており当該第三紀層の上に第四紀(およそ180年前~)の上に、富士山や箱根火山などの火山活動で堆積されたローム層が堆積している地質構造をしていますので、土砂災害には比較的弱い地域といえます。

さらに、24日22時~24時にかけての関東周辺レーダーアメダス解析雨量図(1時間毎)※引用図①③④と24日22時の関東周辺アメダス風向風速分布図②をご覧下さい(気象庁HPより引用)

①24日22時関東周辺でレーダーアメダス解析雨量図

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②24日22時の関東周辺アメダス風向風速分布図

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③24日23時の関東周辺レーダーアメダス解析雨量図 

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引用図①②より、24日22時現在、東京23区や川崎市~横浜市にかけて発達した降水域Aが見られ、これとは別に、千葉県北西部~北東部にも降水域Bが見られます。降水域Bを形成している雲の集団より、北東風が東京湾西部から三浦半島へ吹きつけている様子も解ります。

その後、降水域Aはおおむね南方向へと移動していますが、引用図③より、前記した、降水域Bを形成している雲の集団より、東京湾西部から三浦半島へ吹きつけている北東風が三浦半島で地形的に強制上昇気流となったことも災いしたのでしょうか?24日23時には、神奈川県横須賀市付近で急激に発達しており、24日23時までの1時間に、気象庁より、レーダーの解析で横須賀市付近で100㎜相当もの猛烈な豪雨を観測しています。

本ブログで、以前、今回の豪雨をもたらすような雲(積乱雲)は、上空10000m~1500mの風向の合成方向+周辺地域でより相当温位の高い地域へと移動するといいましたが、より相当温位の高い地域は、より当該積乱雲の勢力を維持・発達させるべくの箇所と言うわけですから、当該積乱雲の進行方向に地形的に強制上昇気流している地域があれば、当該地域へと積乱雲は移動し、あるいは、発達する というシナリオを描くわけですね。

さらに、事故現場の横須賀市や横浜市南部では、前日23日も、強い雨が降っていたため、地盤が緩んで、一層、土砂災害が起こりやすい状態であったことも災いしたと言えます。


台風16号は温帯低気圧へ 本州付近は台風一過とはならず!

2012-09-18 12:20:16 | インポート

①9月18日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月18日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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南西諸島北部や九州西部などに、平均でも30mを超す猛烈な暴風をもたらした台風16号ですが、昨日17日に朝鮮半島へ上陸し、その後北北東へと進んで、今日18日9時、ロシア国ウラジオストック市付近で温帯低気圧へ変わりました。

すでに、台風16号、昨日の段階で、台風自体を取り巻く雲の集団は、渦巻き状 から 勾玉型へと変化して、強い雨の区域は、勾玉型の南へ延びる大きな帯状の箇所に盛られるようになりました。台風を取り巻く雲の集団が前記のような変化をする場合、当該、台風自体、上空の偏西の谷と交わりつつ、温帯低気圧化しつつある典型的なパターンです。

台風がこうなりますと、偏西風帯の谷の前側の暖湿流の流入がより多い(ⅰ:台風縁辺を廻るようにして流れ込んだ暖湿流と、ⅱ:太平洋高気圧の外縁を廻るようにして流れ込む暖湿流と、ⅲ:偏西風袋の谷の前側の中層以下の箇所に流れ込む暖湿流とが合流する形になります。水蒸気画像で、白くぼやけた画像域が箒上に見られ、所処で白く輝くほど暖湿流の流入は大量と言うことになります。)ほど、偏西風帯の谷の前側から南方向にかけて幾重にも帯状に強い雨の区域が見られるのが特徴(筆者調べ。引用図②ではAの部分)で、当該帯状に連なる強い雨の区域は、偏西風帯の谷の東進と共に、次それ自体も東進するのが通常です(筆者調べ)。

18日9時現在、引用図②で図示した強い雨の区域 A が掛かる 東海地方西部や近畿地方で、津雨脚が強まっていますが、今後、強い雨の区域は東へと移動し、明日にかけて、関東地方や甲信越地方でも雨量がまとまる恐れがあります。


非常に強い台風16号 沖縄本島へ 台風があるとこんな所でも強い雨の可能性が!

2012-09-15 23:44:38 | インポート

①9月15日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②9月15日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用・加工

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先月下旬の台風15号に続いて、非常に強い(一時は猛烈な強さとなっていました。)台風16号が、沖縄本島に接近。16日明け方には沖縄本島を通過する予想です。

これに伴って、沖縄本島や奄美地方では、これから16日午前中にかけて、猛烈な風や海上の大しけ、沖縄本島では高潮にも厳重な警戒が必要となってくることは、各気象情報などで周知の通りかと思います。

さて、今回の記事では、

今回の台風16号に限らず、台風が本州付近にある場合、強い雨に特に注意するべき箇所を列記させていただきましょう。

台風接近・通過時には、Ⅰ:台風本体の雲の集団  Ⅱ:台風の周辺に集まる吹き抜ける非常に大量の暖湿流に伴う雲の集団 Ⅲ:太平洋高気圧の外縁部を吹き抜ける大量の暖湿流の伴う雲の集団 以上3つの雲の集団が、強い雨をもたらします。

これに、ⅳ:本州付近に前線が存在する場合、当該、前線に沿って、暖湿流が流れ込んでいますので、やはり、帯状の雲の集団が存在します。 

前記、ⅰ、ⅱ、ⅲ、ⅳの雲の集団が合致する箇所だったり、前記、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲが長時間掛かる箇所で、強い雨の発生は一層増すものですが、こと、ⅲについては、台風から比較的離れた箇所でも、思いのほか、強い雨をもたらす場合も多いものです。

ⅲに伴う降雨の場合、

ⅰ:当該暖湿流の流れ込んでくる方向に開いた山の斜面に当たる地域 

や 

ⅱ:暖湿流が流れ込んでくる方向へ沿って地形的に鞍部になっている地域 

と言う地形的特性で、特に降雨が強まりやすいですが、

ⅲ:本州の太平洋沿岸部では、台風から比較的離れていても、前記暖湿流が、内陸部に滞留する相対的に気温の低い気流との間に、局地的な前線を発生させて、当該局地的に発生する前線周辺で降雨が強まりやすい。

と言うことは、本ブログ内の記事で何度か記述させていただいています。

前記ⅲの局地的に発生する前線は、夜間から朝方にかけての時間帯に発生頻度が高くなりますから、油断なりませんね。

引用図にはありませんが、引用図②での C が、台風16号の北上と共に、西へと移動しています。16日は、東北や関東あたりでも、強い雨が降る可能性があります