①7月29日9時の天気図 気象庁HPより引用
②7月29日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用
③7月29日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用
7月28日から、東北地方や北陸東部周辺で強い雨が降り続いていますが、特に、新潟県下越地方山間部や福島県会津南部只見地区周辺で、記録的な豪雨となりました。
29日21時までに、福島県の只見では461㎜ 新潟県宮寄上では322㎜もの大変な降水量となりましたし、新潟県下越地方山間部や福島県会津南部で、24時間降水量があちこちで200mmを超えました。
この、新潟県下越地方山間部や福島県会津南部の豪雨ですが、引用図②③より、500hpaの正渦度が偏西風の蛇行に伴い、シベリア~日本海中部~東北地方から北陸地方東部~関東の南東海上へと帯状に分布しておりますが、もう一つ、山陰沖~能登半島沖に帯状に分布する正渦度域があり、当該、2つの帯状に分布した正渦度域は、北陸東部から東北南部で合流しており、特にこの地域では、上空3000m付近の上昇流が特に顕著となっています。
さらに、この、北陸東部から東北南部では、引用図①より前線が掛かっていますが、i引用図②の下側図より、上空1500m付近の風向が引用図にはありませんが、日本海北部で北~北東風なのに対し、日本海西部ではおおむね西より風となっており、双方の中間あたる佐渡沖付近で北西風20ノットとなって、上空3000mの上昇流域が新潟県中部から北部付近にかけて、とりわけ顕著となっています。
また、ウインドプロファイラー風向風速データより、前線のすぐ南側に当たる新潟県高田上空1000mでは、29日日中、西より風がおおむね12m以上と強めで、暖湿流が西よりの強風となって新潟県内へ吹き込んでいる様子が解り、地形的に北西~西側へ開いた山の斜面の当たる、新潟県下越地方山間部や福島県会津南部で、引用図②より、水蒸気画像で特に白く輝き、非常に発達した対流性雲が分布していることがわかります。
下層(上空1500m以下)の暖湿流流入と、暖湿流が地形的特性による強制的上昇、さらに、上空3000m付近の顕著な上昇流に、500hpaの寒気が重なって状態が持続されたため、今回の新潟県下越地方山間部や福島県会津南部の豪雨が発生したと私は考えます。