カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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新潟下越山間部や福島県会津南部で記録的豪雨

2011-07-29 23:46:49 | インポート

①7月29日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月29日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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③7月29日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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7月28日から、東北地方や北陸東部周辺で強い雨が降り続いていますが、特に、新潟県下越地方山間部や福島県会津南部只見地区周辺で、記録的な豪雨となりました。

29日21時までに、福島県の只見では461㎜ 新潟県宮寄上では322㎜もの大変な降水量となりましたし、新潟県下越地方山間部や福島県会津南部で、24時間降水量があちこちで200mmを超えました。

この、新潟県下越地方山間部や福島県会津南部の豪雨ですが、引用図②③より、500hpaの正渦度が偏西風の蛇行に伴い、シベリア~日本海中部~東北地方から北陸地方東部~関東の南東海上へと帯状に分布しておりますが、もう一つ、山陰沖~能登半島沖に帯状に分布する正渦度域があり、当該、2つの帯状に分布した正渦度域は、北陸東部から東北南部で合流しており、特にこの地域では、上空3000m付近の上昇流が特に顕著となっています。

さらに、この、北陸東部から東北南部では、引用図①より前線が掛かっていますが、i引用図②の下側図より、上空1500m付近の風向が引用図にはありませんが、日本海北部で北~北東風なのに対し、日本海西部ではおおむね西より風となっており、双方の中間あたる佐渡沖付近で北西風20ノットとなって、上空3000mの上昇流域が新潟県中部から北部付近にかけて、とりわけ顕著となっています。

また、ウインドプロファイラー風向風速データより、前線のすぐ南側に当たる新潟県高田上空1000mでは、29日日中、西より風がおおむね12m以上と強めで、暖湿流が西よりの強風となって新潟県内へ吹き込んでいる様子が解り、地形的に北西~西側へ開いた山の斜面の当たる、新潟県下越地方山間部や福島県会津南部で、引用図②より、水蒸気画像で特に白く輝き、非常に発達した対流性雲が分布していることがわかります。

下層(上空1500m以下)の暖湿流流入と、暖湿流が地形的特性による強制的上昇、さらに、上空3000m付近の顕著な上昇流に、500hpaの寒気が重なって状態が持続されたため、今回の新潟県下越地方山間部や福島県会津南部の豪雨が発生したと私は考えます。


全国的に大気が不安定 所処で短時間豪雨 この状態は暫く続きそう!

2011-07-26 23:51:14 | インポート

①7月26日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月26日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③7月26日9時のAXFE578図 日本気象予報士会HPより引用

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昨日から、ほぼ全国的に大気が不安定となり、あちこちで雷を伴なった激しい雨が降りました。

26日も、この、全国的に大気が不安定な状態は続き、鹿児島県の屋久島内にある屋之間では、午前6時05分までの1時間に92㎜もの猛烈な降水を観測したのをはじめ、栃木県の今市で80㎜ 岐阜県美濃で73・5㎜もの1時間雨量を観測しました。

この程度の1時間当りの降水ですと、勿論室内では話す声が聞こえなくなり、まさに滝のような、恐怖感を感じるような凄まじい降水と言えますね。

引用図②③を見比べると、正渦度 A と Bの移流に伴い、特に白く輝く画像(上昇気流が特に発達して、中層でも湿っている状態です。換言すれは、非常に発達した対流性雲が掛かっている証拠ですね。)が見られますが、もう一つ、注目するべき点は、引用図③の上側図では、樺太付近の上空500hpa(およそ5500m付近)では、高気圧が見られ、ブロッキング状態となっております。

このように500hpa上にブロッキング高気圧が現れると、この高気圧の外縁部に隣接して、正渦度が、波状的に移流するもので、この波状的な正渦度移流域は本州付近に当たっており、当該状態は、少なくとも数日は持続してしまうものです。

500hpaの正渦度の箇所には、例外なく500hpa付近に寒気を伴っており、当該正渦度が移流する前面では、上空3000m付近の顕著な上昇流域にもあたり、とりわけ、大気が不安定な状態になり易く、当該、大気が不安定な状態は、本州付近では、ここ数日、続いてしまいそうです。

当該、大気が不安定になる状態下では、下層での気流が収束する箇所(Ⅰ:日中、地表付近で地形的に海風や斜面風が収束する箇所や、Ⅱ:内陸部に冷気が溜まりやすく、内陸部と海岸部との気温差が大きくなる地域が代表的ですね!! )

なかんずく、前記Ⅱに該当する地域では、夜間から朝方にかけて、対流性雲(積乱雲)が発達しやすくなる傾向があり、不意打ち的に激しい雨に見舞われやすいですから、油断大的です!!


台風6号の行く先 オホーツク海高気圧が阻む

2011-07-19 23:56:43 | インポート

①7月19日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月19日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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台風6号は北上を続けて、19日21時には、高知県室戸岬付近に進んできました。

このため、室戸岬では、19日22時少し前にに、最大瞬間風速46・6m 10分間の平均でも最大で39・4mもの猛烈な暴風を観測しましたし、24時間降水量では、高知県の一部で850㎜以上に達したほか、神奈川県西部から東海地方、近畿地方の一部では500㎜以上となっています。

本ブログの先日の記事の引用図②と本記事の引用図②とを比較すると、19日になって、台風を取り巻く雲の集団ですが、中心がぼやけてはっきりしなくなり、当該台風を取り巻く雲の集団の渦巻きも、その形が次第に崩れかけてきています。

この台風6号自体、徐々に衰えていることを示すものです。

これは、引用図①②より、カムチャッカ半島の南に低気圧があり、その西隣のオホーツク海には高気圧があり、南へ移動しつつ、その勢力を広げている様子が解りますね。

実は、台風というもの、オホーツク海高気圧とは相性が悪いと言うか、犬猿の仲 と言っても過言ではないのです。オホーツク海高気圧自体、背の高い、しっかりした高気圧でありますから、台風の行く手をブロックすることは朝飯前!当該、オホーツク海高気圧が台風の進行方向前側の勢力を広げると、台風自体の移動速度が減少し、台風自体、オホーツク海高気圧を避ける進路を取るようになりますし、台風自体の移動速度も減少することから、その勢力も、次第に衰える傾向にあります。

とは言いましても、今後は、オホーツク海高気圧と台風6号との間では、気圧経度が広範囲で大きくなりますし、台風自体の移動速度は遅いですから、これから、東北地方~関東地方~東海地方~近畿地方~四国地方の広範囲では、大雨に厳重な警戒が必要ですし、また、今後は、強い風の区域は、東海地方や関東地方沿岸部、東北地方太平洋沿岸へと広がりますから、これらの地域では、暴風や高波、高潮には充分にお気をつけ下さい!!


台風6号西日本目がけて北上 台風に伴う大雨は地形的な鞍部でもご用心!!

2011-07-18 23:37:27 | インポート

①7月18日21時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月18日21時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③7月18日23時までの24時間雨量分布図(全国) 気象庁HPより引用

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台風6号は、ゆっくりとに西日本目がけて北上中です。

台風がこのままの進路を進みますと、明日夜遅く、四国にかなり接近、あるいは上陸と言う降参が強まってきました。

台風接近に際して、本州の太平洋沿岸では、早々に高いうねりが出ており、18日23時現在、関東以西の太平洋沿岸には波浪警報が発表されて、東名高速道路の一部区間では、通行止めとなっています。(けんいちろうさん、貴重な情報ご投稿ありがとうございました。)

既に、台風を取り巻く強い雨雲の一部や台風の縁を廻るようにして南海上からの暖湿流のために、紀伊半島や四国、九州では断続的に強い雨が降り続き、18日23時現在、四国の一部では24時間雨量が300㎜を超えた箇所もあります。

台風接近時に伴う降雨ですが、

◆通常、台風や台風の縁を廻るようにして流れ込む暖湿流の方向に向かって地形的に開いた山の斜面にあたる地域が雨量が多くなるということは、いわば定石となっていますが、

筆者自身が、これまで、日本付近に接近した台風に伴う雨量の地域的分布を調査して判明したことより

◆台風接近時は、前記した、台風や台風の縁を廻るようにして流れ込む暖湿流の方向に向かって地形的に鞍部になっている箇所あたる地域のみならず、当該台風や台風の縁を廻るようにして流れ込む暖湿流の方向に向かって地形的に鞍部になっている箇所でも雨量が多くなる ということです。

前記した、台風や台風の縁を廻るようにして流れ込む暖湿流の方向に向かって地形的に鞍部になっている箇所にあたる地域であれば、本州の内陸部にあたる地域でも雨量がまとまりますね。

これも筆者自身の調査の結果判明したことですが、今回のように、台風が、本州の南海上から西日本へ北上してくる場合

紀伊半島の南東斜面や四国東部なども去ることながら

Ⅰ:濃尾平野周辺や近畿東部から若狭湾周辺にかけてに地域 やⅡ:紀伊水道周辺 が、前記した台風や台風の縁を廻るようにして流れ込む暖湿流の方向に向かって地形的に鞍部になっている箇所にあたり、暖湿流同士が収束しやすく、前記、ⅠとⅡの経路を経てきた暖湿流同士が、近畿地方北部や山陰地方あたりでさらに合流して収束し、この方面に大雨を降らせ易い傾向があります。

特に、今回の台風6号のように、台風の規模が大きく、移動速度が遅いほど、この傾向は一層顕著になりますね。

引用図③より、18日23時現在、24時間降水量で、紀伊半島や四国、九州南部でとくに多くなっていますが、前記した地形的鞍部になっている、滋賀県や京都府周辺でも雨量がまとまってきていす様子が解りますね。

台風6号接近の折、前記した事項を踏まえて、防災対策に活用なさってください!!


台風6号不気味に北上 関東以西の太平洋沿岸には高波も

2011-07-17 23:40:23 | インポート

①7月17日18時の天気図 気象庁HPより引用

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②7月17日18時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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超大型で非常に強い台風6号は、不気味に本州南海上を北上し、17日夜には、南大東島の南東海上に達しています。

南大東島では、17日夜半前には、台風の風速25m以上の暴風域に入る予想で、既に、暴風・波浪警報が発表されて、18日夜になって、瞬間で25mを超す強風が吹き始めてきました。

私自身、今回の台風6号ですが、暴風、大雨もさることながら、関東以西の太平洋沿岸の高波にはとりわけ警戒するべし と考えております。

なぜなら、台風6号自体、超大型で強い風の区域は、本州南海上の広範囲に及んでいることと、2~3日前の天気図(地上天気図)を見比べれば一目瞭然かと思いますが、本州の南海上では、ここ2~3日、南~関東風が広範囲で卓越した状態となっています。

今回の本州南海上のように、強い風が同一方向で継続する場合、海上の波は、より一層高まり、当該波の周期も大きくなる(波自体のエネルギーが増大する)ものです。

波の周期が大きくなる(波自体のエネルギーが増大する)と、当然、当該波自体、遠方に伝播しても波自体の波高は低くなりにくく、この状態に台風6号が北上すると、関東以西の太平洋沿岸では、より一層、波が高まりやすいと言うことになりますね。

事実、国土交通省港湾局HPより、17日18時現在、静岡県御前崎沖のGPS波浪観測地点では、波高3mを超え始め、17日23時現在、徳島海陽沖GPS波浪観測地点では、波高5mを超え、前記した、静岡県御前崎沖のGPS波浪観測地点でも、波高3・84mと、波高が高まってきています。

さらに、引用図②より、本州南海上にある台風6号の東側の広範囲では、台風と太平洋高気圧の外縁を廻るようにして、暖湿流が大量に流れ込んでいる様子が解り、今後、台風6号の北上に伴い、東海以西の南~南東斜面にあたる地域では、大雨となる恐れもあります。