カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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大雨の発生箇所の一つはこんな所

2012-04-23 23:51:30 | インポート

①4月23日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月23日12時の東海地方周辺アメダス風向風速分布図 気象庁HPより引用

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③4月23日12時の東海地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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④4月23日15時の東海地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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⑤4月23日18時の東海地方周辺レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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4月23日は、引用図①での通り、小さな低気圧が東海道沖から関東南岸へと進みました。

今日のように、天気図上では、小さく解析される低気圧というもの、実は大いに曲者なのです。このような低気圧、例外なく、上空には寒気を伴っており、低気圧に向かって南から暖湿流が入り込み、低気圧周辺では非常に大気が不安定で、雨雲が発達しやすいものです。

更に、当該低気圧の何処で特に雨雲が発達しやすいと言うと、低気圧周辺の気流が地形的特性の影響で互いに収束する箇所となります。

地形的特性の影響で互いに収束する箇所は、本州南岸沿いの地域では、海岸線の沿った地域、とりわけ、関東平野沿岸部で顕著になりますね。

23日の事例でも、引用図②より、 静岡県内では、風向はおおむね北東~東よりに対して、伊豆諸島の新島や神津島では南東風となっており、神津島では風速12mと強めとなっていることから、静岡県沿岸部に、明瞭な風向のシアーラインがあることが自ずと推測されます。

引用図③④より、前記した静岡県沿岸部のシアーライン上で降水域が発達して、引用図①にある東海道沖にある低気圧の東進に伴い、前記したシアーラインが東へと広がり、当該発達した降水域も東へと移動しました。

当該発達した降水域がかかった静岡県沿岸部では、23日日中~夕刻にかけて、1時間雨量で50㎜を超すような豪雨に見舞われ、静岡県内の御前崎では、24時間雨量が200㎜を超えました。

                                                                               


西日本の所処で暴風 四国や九州南部では大雨 その原因は?

2012-04-22 18:02:42 | インポート

①4月22日12時の天気図 気象庁HPより引用

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4月22日は、本州付近は西から低気圧や前線を含む気圧の谷が進んできていますが、本州の東海上に優勢な高気圧が居座り、西日本を中心に等圧線の幅が非常に混んでいます。

このため、西日本(山陰や四国九州に沿岸部を中心にですが)の所処で、平均風速でも20mを超す暴風が吹き荒れ、各地に暴風警報や波浪警報が出されました。

鳥取県の湖山(鳥取空港)では、最大瞬間風速が38・1m(南南東風で11時32分)、最大風速でも24・7m(南南東風で13時11分)を観測し、鳥取空港や米子空港では、午前中、航空機の離着陸が全く不能な状態となりましたし、JR山陰本線などもダイヤが大混乱しました。鳥取県内では、走行中のトラックが数台、強風のために横転する事後も発生しています。

トラックやバスなど、重心が高い車ほど、強風の影響を受け、横転事故に遭遇しやすい傾向にあります。昨今、高速路線バスなどでも、2階建てのバスがずいぶん普及しておりますが、この点留意する必要がありそうですね。

等圧線の幅が混んで強風が予想される場合、予想される風向に沿っている地形的な鞍部で特に風速が増大します。この地形的な鞍部は地表だけではなく、地表から上空1000m程度までの部分に注目する必要があります。予想される風下側に山地があっても、当該山地が標高1000m未満で、周辺の地域が上空1000m程度が地形的鞍部に当たっている場合、山地の風下側に当たっても、かえって、当該山地を吹き降りるおろし風が発生して、思いのほか風速が増大します。当該山地の稜線部分に直交するある地形的鞍部がある場合はなおのことです。

また、以前、本ブログでも記事で書きましたように、優勢な高気圧の後面(西側)と言うもの、南から暖湿流が大量に流れ込んで大雨が降りやすいもの。今回も優勢な高気圧の後面に入った西日本には、南海上から暖湿流が大量に流れ込んで、22日17時までの24時間に、高知県の三崎(足摺岬の近く)で367㎜もの降水量を観測したほか、高知県や宮崎県、鹿児島県の一部では、24時間降水量が200㎜を超えました。


天気図だけではわからない 雲画像図は気象現象のレントゲン画像

2012-04-17 23:54:22 | インポート

①4月17日12時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月17日12時の雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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4月17日は、引用図①より、地上天気図上では判読できませんが、上空の気圧の谷(500hpa上で顕著な正渦度)が北日本、東日本を通過して、あちこちで、雷を伴なった一時的な強い雨に見舞われました。

こう言った上空の気圧の谷(500hpa上で顕著な正渦度)は、地上天気図上では、低気圧として解析される場合もあるものの、今回のように、地上天気図上では、一見、判別しにくいものです。雲画像図上(水蒸気画像や赤外画像)では、上空3000m付近の顕著な上昇流域を表現する典型的な、白く輝いたり、ぼやけいる画像、その形は、帯状形か、勾玉形として表現されますね。

さらに、引用図②を凝視なさっていただければ、と思いますが、前記した帯状形か、勾玉形として表現される白く輝いたり、ぼやけいる画像は、何本かの筋状になった画像域が、一つにまとなって、帯状形や勾玉形を形成しています。

このことは、上空3000m付近の上昇流域は、特に顕著になった上昇流域が筋状になって形成されているといえますね。

地上の降水も、この、特に顕著になった上昇流域に対応して、地表付近の気流の収束箇所では一層発達します。この様子を、以下、引用図④⑤にてご覧下さい。

④4月17日12時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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⑤4月17日15時の全国レーダーアメダス解析雨量図 気象庁HPより引用

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関東地方周辺に限ると、特に、降水域が発達しやすい箇所は、栃木県、群馬県山間部と、埼玉県秩父地域~東京都西部山間部となっており、当該降水域が平野部へ移動すると言うパターンが一般的ですね。

特に、埼玉県秩父地域~東京都西部山間部で発生・発達する降水域の移動に注意!当該地域での降水域の発達具合が顕著なほど、この降水域の移動に伴い、東京23区や神奈川県横浜市川崎市周辺では、大雨に見舞われやすい傾向にあります。


本州上を西から気圧の谷が通過 低気圧発生する場所はこんな所へ

2012-04-11 23:55:29 | インポート

①4月11日6時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月11日6時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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③4月11日12時の天気図 気象庁HPより引用

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4月11日は、西から本州上を気圧の谷が移動してきました。

当該気圧の谷に向かって南から暖湿流が流れ込んできたため、関東以西の各地を中心に大雨となり、24時間降水量が100㎜を超えた箇所もあちことで発生しましたし、全国的に、南~南西風も強まりました。

本州上を西から気圧の谷が通過時に、地上天気図上の何処に低気圧が発生するか?によって、各地の降水量や風向などがさまざまに異なってきますが、引用図①②を見比べれて頂ければ、特に気圧の谷が、東シナ海から西日本へと差し掛かっている際には、地上天気図上の等圧線がくぼんだ箇所が何処なのか?に注目するべきかと思いますね。以下のことが言えます。

Ⅰ:地上天気図上の等圧線がくぼんだ箇所に上昇流が発達して、雲の活動が活発である(水蒸気画像や赤外画像上で勾玉型や帯状型に白く輝く画像域となります。まとまった降水域があるとも言えます。)。

Ⅱ:当該、雲の活動が活発な区域が日本列島に差し掛かるに連れて、その区域に新たに低気圧が発生する。

よって、本州上に気圧の谷が接近してくる際には、地上天気図のみならず、雲画像図(水蒸気画像や赤外画像)にも注目!特に、引用図②で見受けられるように、帯状型が人参のよう形になっている場合は、とりわけ強い降水域を伴ってるもので、当該箇所に発生する低気圧は発達するものです。


暴風の区域は北日本へ 各地で瞬間風速40mを超す

2012-04-04 23:54:23 | インポート

①4月4日9時の天気図 気象庁HPより引用

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②4月4日9時の日本付近雲画像図(水蒸気画像で拡大版) 気象庁HPより引用

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3日に関東以西の各地に暴風をもたらした台風並みに発達した低気圧ですが、4日未明に、東北地方北部にあった低気圧に伴う前線の閉塞点に新たな低気圧が発生、当該低気圧が更に発達して北上、4日9時には、オホーツク海に進んで中心付近の気圧が952hpaと大型台風並みに発達しました。

このため、暴風の範囲は北日本や新潟県付近へも広がり、新潟県佐渡の両津では最大瞬間風速が43・5m(西風)を観測したほか、北海道から東北地方の広範囲(一部は栃木県日光地域)で、瞬間風速で30m以上の暴風を観測しました。

また、引用図②より、東北地方では、水蒸気画像上で、日本海側には白くぼやけた画像域が広がっていますが、奥羽山脈を経た太平洋側では水蒸気画像上では、日本海側ほど白くぼやけておりません。奥羽山脈などの脊梁山脈を境に、水蒸気画像上で、このような画像分布をするのは、脊梁山脈の風下側(奥羽山脈の場合ですと東北地方太平洋側)で、山越えのおろし風が強く吹くパターンです。

この、山越えおろし風が強まったため、東北地方太平洋側の仙台では、平均風速の最大で20・7m 瞬間最大風速が32・2mを観測しました。